お知らせ

  • データの移行について
    2005年10月26日のブログ開始当初から、2024年9月30日までの記事は、「猫の欠伸研究室(アーカイブ)」に移行しました(http://blog.livedoor.jp/taichimaru151/)。 このココログの「猫の欠伸研究室」には、2019年1月以降の記事を残し、2018年12月以前の記事は削除しました(2019年1月1日から2024年9月30日までの記事は、両方にあります)。

レンズを通した自然観察

  • この「レンズを通した自然観察」ということばは、恩師のお一人が、私の趣味を形容しておっしゃったものです。2023年2月7日のブログに書きましたが、実はときどき思い出していることばです。お世話になった先生方はたくさんいらっしゃいますが、この恩師は、就職のことから学位論文の執筆、審査に至るまで本当にお世話になった先生です。「写真の撮り方を指南してもらいたい」ともおっしゃったのですが、これはお世辞と理解しています。私はほぼ隠居状態となって10年以上になりますが、今、改めてこのことばをかみしめています。この先生には結婚式の際に「理論と臨床をつなぐ仕事をするように」ということばをいただきました。体調を崩してそれには十分に応えられませんでしたので、せめてこの「レンズを通した自然観察」については、極めるとまでは行かないにしても、もう少し精進したいと考えています。

ブログ名の由来

  • ブログ名の「猫の欠伸研究室」は、中日新聞の夕刊に連載されている「紙つぶて」というコラム(平成22(2010)年1月13日)に、元新党さきがけ代表の武村正義さんが書いていらっしゃった「人生は猫の欠伸である」というコラムによります。武村さんは、“チベットで鳥葬を取り仕切る僧侶が、「人の生涯は猫の欠伸のようなもの」と語った”と書いていらっしゃいます。「猫の欠伸のようなもの研究室」としたかったのですが、ちょっと間延びしますので、「猫の欠伸研究室」とした次第です。「研究室」とつけたのは、過去、大学に勤めていたことがあるということやら、知らないこと、分からないことがあると何でも調べずにはいられない性分であること、屁理屈、講釈が大好きであることからであります。しかし、「人生の研究をしている」のではありません。「大所高所」からのご高説を開陳できるほどの力量はないが故、「小所低所」からの戯れ言をつぶやくのが精一杯(苦笑)。身の程に合わせ、勝手なことを書き綴っていますので、御用とお急ぎでない皆様には、今後ともご交誼のほど、お願いいたします。是非ともコメントを頂戴し、少しでも世間を広げたいと熱望しております。

モットー

  • 座右の銘というほど立派なものはありませんが、過去に体調を崩し、療養生活を送った経験から、私なりのモットーをつくっています。その一つは、「淡々と飽きもせず……」です。自分では、「……」と余韻を残しているところが気に入っています。こだわりすぎや、やり過ぎはよくありません。若い頃はムキになってやったこともありますが、今はこのように「淡々と飽きもせず……」が自分に合っていると思っています。もう一つは「晴耕雨読」ならぬ「晴歩雨読」です。マンション暮らし故、耕すところはありません。代わりに歩いています。そして、最近(令和3(2021)年に入った頃から)追加したのが、「散歩生活、ときどき仕事」。NHKのテレビ番組に「晴れ、ときどきファーム!」というものがあります。これのもじり。浅学非才の身ですので、ご交誼の上、いろいろとご教示をお願いします。

季節

2024年9月19日 (木)

20240918ハーベストムーン

Dsc05728c Dsc05703c_20240919040001  今年の中秋の名月は、9月17日でしたが、満月は9月18日。アメリカの農事暦では、ハーベストムーンというそうです。夕方は、雲が多くてうまく撮影できませんでした(右の写真は、18時40分頃)。左の写真は、9月19日の朝3時頃に撮ったもの。撮影条件は、中秋の名月のときと同じく、ソニーDSCーRX10M4を使い、f/8、SS1/125秒、ISO感度250、オートホワイトバランス、600mmズームで撮影しています。三脚は使わず、手持ち撮影。トリミングをしています。

Dsc05729c_20240919035301  こちらは、ノートリミングの写真。19日の朝3時頃に撮ったというのは、たいてい晩酌をして夜8時には寝てしまうのです。寝る前にも月を見たものの、やはり雲におおわれていました。

Dsc05727c_20240919035301 Dsc05726c_20240919035301  朝、自分で撮影しようと思って、カメラを確認したら、昨日(18日)の夜20時20分頃に撮った満月の写真がありました。家内と娘がなにやら話をしているような感じがしていたのですが、どうも娘が、私に変わって満月を撮っておいてくれたようです(微笑)。それがこちら。

2024年9月17日 (火)

20240917中秋の名月

Dsc05155c_20240917183701  今夜は中秋の名月です。ただし、今年の中秋の名月は、満月ではありません(こちら)。というのも、中秋の名月は、太陰太陽暦 の8月15日の夜に見える月のことを指し、満月とは異なるからです。満月は、明日です。中秋の名月をめでる習慣は、平安時代に中国から伝わったといわれています。日本では中秋の名月は農業の行事と結びつき、「芋名月」などと呼ばれることもあります。

Dsc05154c_20240917183701  今回も、ソニーDSCーRX10M4を使い、f/8、SS1/125秒、ISO感度250、オートホワイトバランス、600mmズームで撮影しています。三脚は使わず、手持ち撮影。撮影時刻は、18時半少し前。冒頭の写真は、この条件で撮って、トリミングをしています。左の写真も同じ条件で撮っていますが、こちらはノートリミング。

Dsc05161c_20240917183701 240917185047896c  こちらも、同じ条件で撮ったものですが、24mmで撮りました。よく見ていただくと、町の明かりが少し写っています。右の写真は、20分後にスマホで撮ったもの。

2024年4月20日 (土)

20240420諸戸氏庭園(その1)……庭園の花々

Dsc09406c_20240420182901  わが家のすぐお隣に諸戸氏庭園があります。江戸時代に豪商山田彦左衛門の隠居所として造られた庭園を明治に初代諸戸清六が買い取り、増築を行って現在に至る庭園です。今日・4月20日から春の一般公開が始まりました(6月16日まで)。故あって庭園内の写真をいろいろと撮らせていただくことになり、早速、今日、散歩の帰りに寄ってきました。10時半から12時過ぎまで1時間半あまり、旧知の歴史案内人Kさんがほかのお客さんを案内されるのに、無理矢理ついてまわって、あれこれ写真を撮ってきました。今日は、いろいろな花を中心に。

Dsc09089c_20240420183001  庭園内には、たくさんのドウダンツツジが植えられています。改めて調べてみて知りましたが、ドウダンツツジは、房総半島南部及び天城山以西の本州、四国、九州に分布しますが、三重県の朝熊山周辺はドウダンツツジの名所の1つだそうです。漢字では「満天星」という書き方があります(灯台躑躅とも書きます)。真っ白な花が株全体を覆う姿から星空を連想し、「満天星」と呼ばれるのです。ちなみに「灯台躑躅」の方は、枝分かれの様子が、結び灯台に似ているところから名づけられたものといわれているといいます。

Dsc09091c_20240420183001  1本だけ赤い花が咲く満天星があります(Kさんのご教示によります)。赤い花が咲くドウダンツツジには3種類あるようです(こちら)が、リンク先の写真と見比べると、ベニドウダンという種類かと思われます。

Dsc09118c_20240420183001 Dsc09154c_20240420183301  ツツジは、庭園全体ではまだ満開とはいえませんでしたが、木によってはよく咲いていました。左の写真は、推敲亭の方から藤茶屋の方向を撮ったもの。奥の中央あたりに藤茶屋の前のフジが見えています。別のところから撮ったものですが、同じあたりをクローズアップすると、右の写真のようになります。

Dsc09267c_20240420183301  ちなみに推敲亭の方を東側から見ると、このような景色です。手前の燈籠と推敲亭の間は、花菖蒲が植えられています。1ヶ月くらい先には、花菖蒲が見頃になるでしょう。

Dsc09210c_20240420183001 Dsc09202c こちらは主屋に向かって右手にある洋室のところ。ドウダンツツジを入れて撮ってみました。右の写真は、花ではありませんが、煉瓦蔵の内側におかれた鉢。メダカが入っています。

Dsc09252c_20240420185601 Dsc09241c_20240420183101  藤茶屋と、藤茶屋の前の藤棚。江戸時代、山田彦左衛門の隠居所であった頃には、桑名藩主の御成があり、ここでお茶でもてなしたといいます。もとの建物は、昭和20年に戦災により焼失したため、現在の建物はその基礎の上に記憶を頼りに元の建物に似せて昭和43(1968)年に再建されたものです。

Dsc09263c_20240420183101 Dsc09283c_20240420190501  菖蒲池の中には、コウホネもあります。咲き始めたばかりのようで、今日は3輪の花が見られました。菖蒲池の北には、蘇鉄山。

Dsc09396c_20240420191101  こちらは御殿玄関を背景にしたドウダンツツジ。庭園内にあるドウダンツツジの中には、樹齢が100年を超え、高さも3~4メートルになるかと思われるものもありました。ドウダンツツジは、通常は、高さ2メートルくらいだそうですから、それに比べるとかなり立派です。

Dsc09402c_20240420183201  主屋(本邸)では、今年からカフェが開店。「白ぎつねcafe」という名前で、時間指定制(45分制)、全8席、珈琲茶菓子付きで¥1,200。チケットは受付で購入できるそうです。主屋(本邸)は、私が桑名に引っ越して、現在のマンションに入居したときには、諸戸林業(諸戸ホールディングス?)の本社があって、ここで仕事をしておられたところのはずです。

Dsc09404c_20240420183201  ということで、今日のところは、庭園の花々についてまとめました。明日以降、建物その他や、トリビアについて書くつもりです。余談ですが、提灯に書かれているのは、カタカナで「モロト」。鬼瓦などにこの文字が刻まれていますが、一緒に回っていた方の中には、これをハングル文字と思い込んでいた方もおられました。

2024年3月10日 (日)

桑名市博物館の「春期企画展『刀剣アラカルト』」と光徳寺のヒカンザクラにメジロ……寺町で気象予報士の山田修作さんに遭遇

Dsc08326c_20240310165601 Dsc08332c_20240310165601  天気は良く、気温も昨日よりは高く、10.7℃になりました。風は弱くなるという予報でしたが、7.1m/sとけっこう吹いていました。朝7時半から散歩へ。住吉神社、九華公園、貝塚公園、内堀公園から桑名市博物館へ。さらに外堀から先日も行った光徳寺、旧東海道、鍛治町、吉津屋町、京町、寺町と7.6㎞も歩いてきました(微苦笑)。今朝は、藤原岳など鈴鹿の山並みは雪景色。

Dsc08570c  住吉入江には、ヒドリガモのオスが2羽にメスが1羽。例によってお休み中でしたから、写真は割愛。船津屋さんの裏手で久しぶりにホオジロ。オス。写真が撮りにくいところにいて、枝かぶり。近くにメジロもいました。

Dsc08726c_20240310165701  Dsc08751c_20240310170601 柿安コミュニティパークの堀には、今日もカンムリカイツブリ。コガモもオスが5羽にメスが8羽。昨日と同じ。

Dsc08787c  オオバンも2羽がいて、これまた最近ずっと同じ。カンムリカイツブリも、コガモも、オオバンも最近はここに常駐しているのか? と思えてきます。

Dsc08911c Dsc09155c_20240310165701  九華公園の奥平屋敷跡では、ツグミ。カワラヒワもかなりたくさんやって来ます。ほかには、ハクセキレイなども来ました。今日は天気は良かったのですが、小型野鳥は少なく、ジョウビタキも、コゲラも見られませんでした。

Dsc09226c Dsc09340c  ユリカモメは24羽ほど。ユリカモメは、英語では“black headed gull”といいますが、よく見ると頭部が夏羽の黒色に少しずつ変わってきています。さらに今日も、カイツブリが1羽。ときどき来ている若い個体と思います。

Dsc09029c_20240310165701 Dsc09040c_20240310165701  カモは、キンクロハジロがなんと84羽。今シーズン最多記録。ハシビロガモは12羽、ヒドリガモは2ペア、ホシハジロは1ペアとオス1羽。

Dsc09537c  貝塚公園では、ツグミ。2羽を確認しました。

Dsc09582c Dsc09590c_20240310165801  続いて桑名市博物館へ。昨日から春季企画展「刀剣アラカルト」が開催されていますので、早速見に行ったという次第。桑名といえば、「村正」ということになりますが、それ以外にもさまざまな刀剣などが展示され、その見どころが紹介されています。また、あわせて桑名市文化功労者である江川香竹先生の没後一周忌にあたり、2階展示室にて特集陳列「川のように 風のように ―江川香竹回顧展―」も開かれています。

Dsc09600c_20240310165801  毎回1点だけ撮影可能という展示があります。今回は、こちら。「脇差 銘 桑名住義朋斎三品廣房作/慶応二年四月 以多度斎火鍛之(わきざし めい くわなじゅうぎほうさいみしなひろふささく・けいおうにねんしがつ たどいみびをもってこれをきたう)」とあります。三品廣房は、19世紀半ば、桑名で活躍した刀工(現在、打刃物広房として営業しておられるお店の先祖)。多度大社の斎火(いみび)で鍛えたものということ。

Dsc09826c_20240310165901 Dsc09641c_20240310165901  さらに、光徳寺へ。先月29日にもここのヒカンザクラ(ただしくは、カンヒザクラですが、桑名市の観光サイトには「ヒカンザクラ」とあります)を見に行ったのですが(2024年2月29日:光徳寺のヒカンザクラ…ふれあい教室にも早咲きの桜がほぼ満開)、そろそろ見頃という話しを聞き、それならと足を延ばしました。いや、老木ではありますが、見応えがありました。

Dsc09694c_20240310165801 Dsc09807c_20240310165901  このヒカンザクラを今まで知らなかったのは、実にもったいない気がしました。ヒカンザクラは、2~3月、葉の出る前に、緋紅(ひこう)色の花が鐘状に半開して下向きに咲くといいますが、その通り。

Dsc09872c Dsc00024c  桜をあちこちから撮影していたら、ちょうどよいタイミングでメジロが登場してくれました。数羽がやって来て、賑やかでした。

Dsc09913c  こんなシーンも撮れました。メジロも役者です。

240310104219477c  ところで帰り道、今日もまた寺町商店街に立ち寄ったのですが、そこでこの方に遭遇。河津桜の前で花見団子を持ってポーズを取っているのは、メ~テレのドデスカ!と、ドデスカ!+で天気予報を担当している山田修作さん。番組のロケをしておられたようです。今週、放送があるかも知れません。

2024年1月30日 (火)

今日は久しぶりのヤマガラに、ジョウビタキのオスデー

Dsc00729c_20240130155901  朝は、0.6℃でしたが、日中は13.5℃と春の陽気になりました。いつも通り7時半から散歩へ。住吉神社、九華公園、貝塚公園、内堀南公園、外堀、内堀公園、京町、寺町と5.9㎞。

Dsc08403c_20240130155801  拙宅マンションを出てすぐにヤマガラの鳴き声が聞こえてきました。マンション内の小公園にいて、電線に移ってきました。ヤマガラを見たのは、去年9月以来(2023年9月18日:九華公園にヤマガラ……ダイサギは今日も)。近くにはメジロも2羽。

Dsc08546c  住吉神社前の揖斐川には、ヒドリガモが13羽ほど。近くの住吉水門のところには、コガモのペアが1組。今日は、中な幸先がいいと思えます。

Dsc08627c_20240130155801  柿安コミュニティパークでは、ジョウビタキのオス。すぐに逃げられましたから、証拠写真。ここの堀には、コガモのメスばかり5羽が上陸して休んでいました。

Dsc08678c_20240130155801 Dsc08969c_20240130162801  九華公園に着いて、北門のところのサザンカにメジロ。花粉で嘴の周りが黄色くなっています。奥平屋敷跡は、最近静かで、今日も来たのはハクセキレイ1羽とツグミ2羽。

Dsc09151c Dsc09387c_20240130155801  二の丸跡では、シジュウカラ2羽。朝日丸跡では、まずカワラヒワが数羽。ただし、2羽ずつのペアになって行動しています。

Dsc09299c_20240130155801 Dsc09353c_20240130155901  朝日丸跡では、さらにジョウビタキのオス1羽と、シジュウカラが2羽。このシジュウカラは、二の丸跡にいたものが移動してきたのかも知れません。

Dsc09404c Dsc09404c  朝日丸跡でもう1種類。久しぶりにあれこれとみられました。木曜日に大雪が降りましたから(2024年1月25日:ちょうど1年ぶりの大雪)、山の方から鳥たちが降りてくるのではないかと期待していたのですが、その通りだったかも知れません。

Dsc09509c_20240130155801 Dsc09652c_20240130155901  本丸跡でも、また、公園の外周遊歩道の南でもジョウビタキのオス。ひょっとしたら、同じジョウビタキが公園内を回っているのかも知れません。

Dsc09598c_20240130155901 Dsc09419c_20240130155801  ユリカモメは6羽のみ。カモは、キンクロハジロが37羽、ハシビロガモが22羽(同時に見ましたから、間違いなし)、ヒドリガモのオスが2羽にメスが1羽。ホシハジロのオスが2羽。 キンクロハジロは判別がつきませんが、ハシビロガモの多くはペアで行動していますし、ヒドリガモも1組のペアができています。右の写真は、ハシビロガモのオスですが、渡ってきた頃に比べると、ずいぶん男らしくなりました。

Dsc09679c_20240130155901  貝塚公園でも、ジョウビタキのオス。ここではほかにメジロ、カワラヒワ。上空をトビが旋回していました。内堀公園でもジョウビタキのオスが出て来たのですが、あいにくカメラのバッテリーが切れて交換しているときで撮れず。

Dsc09720c_20240130155901  拙宅近くの住吉入江に戻ってきたら、カンムリカイツブリ。南の端から諸戸氏庭園前まで潜ってエサを探しながら移動していたのですが、最後にとてもおもしろいシーンが見られました。が、そのシーンを含め、今日はなんと2,300枚以上も写真を撮ってきてしまい、その整理が追いついていません。カンムリカイツブリのとっておきシーンは、別記事にて。

Dsc09704c_20240130155901  寺町商店街には河津桜の並木があります。一部では、つぼみが少し膨らんできていました。梅が咲き始めましたから、次はこのカワヅザクラの番です。いつ咲き始めるか楽しみ。

2024年1月29日 (月)

シラウオ漁の季節

Dsc07502c_20240129144201  朝からよく晴れて、風も弱く、暖かい日になりました。最高気温は11.8℃。今日もいつも通り7時半から散歩へ。住吉神社、九華公園、貝塚公園、内堀公園、京町、寺町と7.9㎞も歩いたようです。Google Fitのデータですが、九華公園、貝塚公園で鳥を追ってウロウロしました。

Dsc07534c_20240129143901 06a4736e  すでに漁は始まっていたはずですが(こちらに中日新聞の記事があります)、今朝、今シーズン初めて「シラウオ漁」をしている漁船を見ました。2隻の漁船がペアになって長く、大きな網をゆっくり曳いて行きます。はまぐりプラザにある食堂「はまかぜ」では、この季節、白魚丼が食べられます(3月初旬頃までの見込み、¥1,500)。一度だけ、白魚丼を食べたことがあります(2015年2月5日:はまぐりプラザでしらうお丼を食し、ユリカモメを堪能……カンムリカイツブリ、今日も登場、右の写真はそのときのもの)。

Dsc07654c_20240129143901 Dsc07680c  九華公園までの間、鳥は少なく、七里の渡し跡でコガモのオス1羽、メス3羽が堤防に上がって休んでいるのと、柿安コミュニティパークの堀にキンクロハジロのメスとコガモのメスが1羽ずついただけでした。九華公園に着いてハクセキレイ1羽。そばにスズメもいましたので、たまにはスズメの写真も載せましょう。

Dsc07777c Dsc07814c_20240129143901  奥平屋敷跡は静か。ここに来たのは、ハクセキレイのペア1組が、1回だけ。ほかには、ヒヨドリ、ドバト、ハシボソガラスが少数。天気がよくて、暖かいのに野鳥が来ないのは、残念。

Dsc08062c_20240129143801  Dsc07969c_20240129143801 二の丸跡でシジュウカラ2羽がいたのですが、上手く撮れず。朝日丸跡ではジョウビタキのオスと、ハクセキレイ。今日は、ハクセキレイばかり(微苦笑)。

Dsc07727c Dsc07839c_20240129143901  カモは、キンクロハジロが28羽、ハシビロガモが19羽(重複して数えたかも知れません。左の写真は、ハシビロガモのメス)、ヒドリガモのオス(右の写真)が2羽にメスが1羽、ホシハジロのオスが1羽と、いつものメンツ。

Dsc08198c_20240129143801 Dsc08107c_20240129145901  ユリカモメは17羽。今日も飛翔シーンにチャレンジ。もう少し近かったらよかったのですが、あまり近いところには来てくれません。

Dsc08241c_20240129143801  貝塚公園で、ツグミ。ほかには、ウグイスを目撃したのと、ジョウビタキの鳴き声が聞こえたくらい。ヒヨドリはほとんどいません。内堀公園ではジョウビタキのオスがいたものの、写真には撮れず。

Dsc08323c_20240129143801 Dsc08346c_20240129143801  寺町では、常信寺に行って梅を見てきました。紅梅というか、ピンクの梅はほぼ満開。白梅もかなり咲いてきました。ここは、境内にある樹木をきちんと手入れされているようで、季節の花がしっかりと楽しめます。

Dsc08376c_20240129143801 Dsc07598c  藤原岳は、今日も白くなっています。左の写真は、拙宅玄関前から撮った写真。右の写真は、毎年、藤原岳に雪が積もっているときに1回は撮りに行く写真。 市民プールのところから拙宅マンションを入れて、藤原岳を撮っています。望遠レンズによる圧縮効果で、拙宅が藤原岳の目の前にあるように見えるのです。

【追記(1/29)】 ブログを書いてから、夕方、確定申告作業をe-TAXで行い、完了しました。毎年思うのですが、国税庁のe-TAXのサイトは、やはり分かりにくい。必要なところにたどり着くのにまずは苦労します。ここが一番の難所。たどり着けば、後はスムーズなのですがねぇ。お陰様で今年も還付金がいただけるはず。

2024年1月25日 (木)

ちょうど1年ぶりの大雪

Dsc04723c 012509rain  大雪警報まで発令されました。冒頭の写真は、今朝7時半頃に撮ったもの。積雪量は、正確には分かりませんが、10cm以上。最低気温は-2.1℃、最高気温は今のところ3.5℃。日中は、晴れ間もあるのですが、まだときどき雪雲が通って雪が降ることもあります。合間を見計らって散歩に出ようと、何度か思ったのですが、今日は行けそうにありません。ベランダから見ると、橋の上の歩道にはまだ雪がかなり残っています。散歩コースの住吉神社から九華公園あたりは堤防を歩きますが、そのあたりは凍っているかも知れません。午後になってようやく、散歩に出るのは諦めました。昨日の記事にも書きましたが、1年前の今日も大雪で大変でした(2023年1月25日:大雪の中、後期の定期試験)。

Dsc04735c Dsc04774c  こちらは、諸戸氏庭園や六華苑の様子。葉っぱの落ちた木々にも雪が積もってきれいです。マンションの駐車場や、車もすっぽりと雪におおわれています。

Dsc04751c_20240125134301  Dsc04755c 7時半頃、多度山も真っ白でした。藤原岳も真っ白なのですが、この時間帯には、雪雲が半分くらいかかっていました。右の写真は、拙宅玄関前の通路の手すりに積もった雪の様子。

240125074351198c  朝のメ~テレドデスカ!という情報番組では、桑名駅前から大雪情報の中継をしていたくらい。いなべ市や菰野町の方では、もっとたくさん積もったと思われます。午前10時現在で、東名阪道の蟹江IC~桑名ICの上下線と、新名神の四日市JCT~亀山西JCTの上下線、東海環状道の大安IC~新四日市JCTの内回り・外回りが通行止めでした。近鉄も正午現在で上下線とも10分くらいの遅れがあったといいます。

240125093122614c  という次第で、外に出たのは、9時半頃朝刊を取りに降りたときだけで、結局のところ蟄居生活を送っています。明日は、同級生K氏と津島へウォーキングに行くつもり。津島あたりはこの辺よりも積雪は少なかったはずですし、晴れて暖かくなるという予報ですから、予定通りに行けるでしょう。

【追記(1/25夜)】 ニュースや天気予報を見ていますと、JPCZ(日本海寒帯気団収束帯型)という用語がよく聞かれました。わが家あたりで大雪になるのは、たぶんこのJPCZが若狭湾周辺に流れ込むと、それが伊吹山あたりから北西の季節風に乗ってやってくるからではないかと思います。北から強い寒気が南下すると朝鮮半島でいったん東西に分かれるのだそうです。ペクトゥ山(白頭山)などの高い山があるためです。その後、日本海側に近づいた時に再び合流し、前線のように風がぶつかりながら収束して雲が発達しやすくなるのだといいます。ちなみに、白頭山は、標高2,744mで、朝鮮半島が日本の植民地だったころ、金日成氏が抗日パルチザン闘争の拠点としたため、北朝鮮では「聖地」とあがめられています。

2024年1月24日 (水)

雪、ちらつく

Dsc04703c 0124rain_20240124141401  昨日の天気予報では、1日中雪ということでしたが、実際には時々雪になっていて、これを書いている時点では(15時前)、家々の屋根や、駐車中のクルマにうっすら積もっていますが、道路の積雪はゼロ。冒頭の写真は、10時20分頃のもの。右の雨雲レーダーは、14時ちょうどの画像。明日の午前中まで雪という予報が出ていますから、夜の間に雪が積もるかも知れません。今のところ、最低気温は-0.2℃、最高気温は4.1℃。

Dsc03943c  さて、朝7時頃は、ほぼ0℃でしたが、7時半からいつものように散歩へ。住吉神社、九華公園、貝塚公園、内堀南公園、外堀、内堀公園、京町、寺町と6.6㎞。鳥も散歩友達も少ないこと(微苦笑)。この写真は、住吉神社前から北の方を見たもの。多度山も雪雲の中でしたし、このあと私が歩いているあたりにも雪が飛んできました。

Dsc03921c Dsc03983c  住吉入江では、ヒドリガモが3ペア。寒いためか、皆お休みモード。揖斐川では、漁船が出ていたものの、カンムリカイツブリが1羽。

Dsc03994c Dsc04017c  七里の渡し跡でも、ヒドリガモが3ペア。今日は、オカヨシガモのペアもいました(右の写真)。

Dsc04054c_20240124141601  ここまでカモ、カンムリカイツブリしか見ていません。柿安コミュニティパークの堀にもコガモが上陸して休んでいました。8羽。ツグミもチラッと見えたのですが、写真は撮れず。

Dsc04114c Dsc04254c  九華公園についても、静かでした。ヒヨドリ、ドバト、カラスはほとんどいません。アヒル小屋のところにカワウ。証拠写真ではありますが、カワラヒワ。

Dsc04300c Dsc04482c_20240124141501  奥平屋敷跡には、ヒヨドリが少し来ただけで、今日はハクセキレイも来ません。本丸跡でハクセキレイ。辰巳櫓跡のところでは、今日もジョウビタキのオスも出てきました。「今日も」というのは、昨日も同じあたりでジョウビタキのオスが出て来たのです。姿を店に来たような感じ。

Dsc04452c_20240124141501 Dsc04546c  ハクセキレイも1羽。ほかには、ツグミもいましたが、暗くて黒っぽい写真になってしまいました。野球場のところでカワウにかなり接近。ほぼ正面の顔は、なかなか愉快。

Dsc04131c_20240124141501 Dsc04595c_20240124141401  カモは今日は、キンクロハジロが31羽、ハシビロガモが20羽(重複したかも知れません)、ヒドリガモのオスが2羽にメスが1羽。ホシハジロのオスは、今日は1羽。ユリカモメは7羽ほどがいたのですが、すぐにどこかに行ってしまいました。

Dsc04360c Dsc04583c_20240124141401  鎮国守国神社の境内では、今日は白梅が咲き始めていました。これで、枝垂れ梅に始まって、一気に紅梅、白梅と咲きました。とはいえ、咲いている梅はまだごく一部です。また、九華公園の外周遊歩道の南側では、水たまりの水が凍っていました。

Dsc04606c_20240124141401  九華公園にヒヨドリはほとんど来なかったと書きました。このヒヨドリは、貝塚公園の近くで撮影しましたが、鳴き声に元気がありません。嘴の根元が少し黄色くなっていますが、これは花粉でしょう。サザンカなどの花の蜜を吸っているのかも知れません。

Dsc04641c  珍しくはありませんが、ハクセキレイ。内堀南公園の近くにて。このハクセキレイ、実は右足の先が欠けています。同じ特徴を持つハクセキレイを九華公園で毎日のように見ます。たぶん同一個体であろうと思います。2つの公園の間は、430mあまり。これくらいの距離は、ハクセキレイの行動範囲なのでしょう。このあと内堀公園で、ツグミ3羽(電線の上)、ジョウビタキのオス、メジロなども見ました。

0125weatherforecast C58d43da  明日の気象協会による天気予報。昼過ぎまでは雪となっています。明日の朝の方が、雪が積もっていたり、道路が凍っていたりしそうです。そういえば、去年の1月25日は、非常勤先では後期の期末試験でしたが、大雪で交通機関は大乱れでした(2023年1月25日:大雪の中、後期の定期試験、右の写真はこの日のキャンパスの様子)。このとき、出席した学生は60%くらいで、多数の追試者がありました。

 追記。15時過ぎから、この地方にしては雪がDsc04715c_20240124154101 Dsc04719c_20240124154101 よく降ってきました。雨雲レーダーを見ると、伊吹山のあたりから雪雲が流れ込んできています。このパターンは、このあたりでは、それなりに雪が積もるパターンです。

2024年1月23日 (火)

鎮国守国神社で紅梅も咲く……ホシハジロはエビを食べる

Dsc03888c 0124weatherforecast_20240123165601  寒くなってきました。今シーズン最強の寒波がやってくるそうです。今日は、朝は4℃でしたが、最高気温は9.6℃。気象協会による明日の天気予報は、雪。最低気温は-2℃、最高気温も3℃の予想。くわばらくわばら。それはさておき、今日もいつも通り、7時半から住吉神社、九華公園、内堀公園、京町、寺町と散歩。いったん帰宅して、駅方面へ用事を済ませに行ってきました。歩いたのは、合計で7.2㎞。

Dsc03568c_20240123165801 Dsc03533c  まずは、紅梅。鎮国守国神社の拝殿前にある紅梅も咲き始めました。この紅梅も比較的早くに咲きます。九華招魂社の鳥居の所にある枝垂れ梅は、さらに開花が進んできました。梅が咲くのは、この時期の散歩の楽しみなのです。

Dsc02788c_20240123165701 Dsc02816c  さて、散歩の初めから。住吉入江には、ヒドリガモが6ペア。このところ、ヒドリガモのほとんどはペアで行動するようになっています。同じあたりにはオオバンも1羽。

Dsc02868c  住吉水門の外側にもヒドリガモ。10ペアもいました。揖斐川は風で波立っていて、いたのはカワウとオオバンくらい。

Dsc02913c Dsc02923c  七里の渡し跡。毎年、今頃は、カモで賑わいます。ヒドリガモが3ペアいたほかには、コガモが、オス1羽にメス8羽。まさかハーレム?? カンムリカイツブリも1羽。渡し跡の先にある川口水門のところにはオカヨシガモのペアが1組。

Dsc03103c_20240123165701  九華公園は、カラスやヒヨドリ、ムクドリが少ないので静かでした。ヒヨドリたちは、そろそろ食べるものが本格的になくなってきたようで、元気がありません。鳴き声のトーンが低いのです。今日は、地上に降りている姿も見ました。ヒヨドリが食べ物が本当になくなると、花壇の花(パンジーなど)や、雑草を食べることがあります。

Dsc03029c_20240123165701 Dsc03048c_20240123165701  奥平屋敷跡も静か。カラスやムクドリは来ません。ヒヨドリもドバトも数えるほど。やって来たのは、ハクセキレイのみ。風が身にしみます(苦笑)。

Dsc03445c Dsc03620c_20240123165801  辰巳櫓跡では、ジョウビタキのオス。ハクセキレイは、本丸跡にて。

Dsc03378c_20240123171301 野球場で、ツグミ。九華公園で地上に降りているのは、今シーズン初見。こんなことは今までなかったと思います。

Dsc03338c_20240123171301  さらにミサゴも飛来。気づくのが遅れ、ちょっと遠いところを飛ぶのをなんとか捉えられました。

Dsc03703c_20240123165801  カモでは、おもしろいシーンが写っていました。ホシハジロのオス、今日は2羽いたのですが、そのうち1羽を撮ったら、何とエビらしきものをくわえていたのです。結構大きくて、食べるのに苦労していました。

Dsc03137c_20240123165701 Dsc03653c  カモは今日は、ホシハジロのオスが2羽、キンクロハジロ(左の写真)が33羽とやや増え、ハシビロガモは12羽、ヒドリガモはオス2羽にメス1羽。キンクロハジロは、久しぶりに「寝癖ガモ」といえるシーン。ハシビロガモ(右の写真)は、泳ぎながら食事中。

Dsc03786c_20240123172001 Dsc03801c_20240123172001  拙宅近くの住吉入江まで戻ってきたら、ヒドリガモが合計5ペアにメスが1羽。朝からずっといたのだろうと思います。

Dsc03862c_20240123172001  オオバンも2羽。全身真っ黒に思えますが、微妙に色合いというか、模様というか、違います。

Dsc03147c_20240123165701 Dsc03774c_20240123172001  ところで、九華公園でツツジをよく見たら、芽なのか、花芽なのか、出始めていました。右は、寺町商店街の河津桜。つぼみは微妙に膨らんでいるところがあります。今年はいつ頃、咲くか、楽しみですが、その前に明日の雪を乗り切らないと。幸い、非常勤の仕事は、補講期間で明日はありません。ラッキーです。

 

 

2024年1月11日 (木)

寒くて鳥も散歩友達もいませんでしたが、「サザンカにメジロ」が撮れました

Dsc05409c_20240111164401  午前中は曇って肌寒い感じでしたが、午後からは晴れて、11.9℃まで上がりました。朝は、7時40分から散歩へ。午前中に定例の内科受診をしようと思っていましたので、住吉神社、九華公園、貝塚公園、内堀公園、京町、寺町と5.6㎞。鳥も散歩友達もおらず、9時20分には帰宅していました。

Dsc04359c Dsc04363c_20240111164401  朝は、曇っていたものの、眺望がききました。左の写真は藤原岳。雪が少し積もっていますが、曇っていていかにも寒そう。右の写真は、木曽御嶽山と、その向かって左に乗鞍岳まで見えていました。どちらも雪化粧。

Dsc04415c  諸戸氏庭園前でハクセキレイ。ペア1組の他、もう1羽がいましたが、陰になっていてなかなか上手く撮れません。

Dsc04495c_20240111164401  揖斐川は静かで、カンムリカイツブリが6羽ほど見えました。ほかにも、キンクロハジロ、ヒドリガモ、コガモもそれぞれ数羽ずついます。

Dsc04636c Dsc04690c  九華公園に着いて、北門のサザンカにメジロが2羽。なんとか「サザンカにメジロ」が撮れました。奥平屋敷跡には、ハクセキレイが1羽。何かエサを見つけたようです。ほかにはヒヨドリ、ムクドリ、ドバト、ハシボソガラス。ここにあるセンダンの木の実は、ほとんど食べ尽くされていました。ヒヨドリとムクドリが食べていくのです。

Dsc04749c Dsc04800c  アオサギは、今日もまた辰巳櫓跡にある松の木にいました。最近の定位置はここです。鎮国守国神社の境内で目の前を横切った鳥がいます。ジョウビタキのメス。九華公園あたりでジョウビタキのメスを見たのは、久しぶり。

Dsc05063c_20240111164401  ユリカモメは、47羽。堀端や堀にかかる橋の上に人が立つと、エサがもらえるかと思うのか、飛んできますが、今日もエサをやる人はほとんどありません。

Dsc04741c Dsc04784c_20240111164401  カモは、キンクロハジロが27羽。寒いのか、皆お休み中。ハシビロガモは13羽。こちらはエサ取りをしているものと、休んでいるものが半々くらい。ヒドリガモはオスが2羽、メスが1羽。

Dsc05184c Dsc05299c_20240111164401  内堀公園では、モズに遭遇。何か虫を捕まえて食べた後の写真。また内堀公園では、公園の周りの電線にツグミが10数羽集まっていました。地上に降りてくることはなく、しばらくしてから皆が、南の方へ飛び去ってしまいました。今シーズン、ツグミが地上でエサを拾っているところはまだ見ていません。

Dsc05386c  住吉入江まで戻ってきたら、オオバン1羽が食事中。

Dsc05411c  散歩から帰って、10時半過ぎから定例の内科受診に行ってきました。ところが、結構混雑していて、1時間半ほどかかってしまいました。いつもは空いている時間帯を狙って行くのです。昨日の授業の補足説明は、さほど手こずることもなく、午後早くに完成。チェックまで済ませましたので、これから修正して夜には仕上がる予定。写真は、揖斐川の上流方向。岐阜・福井県境の山並みが見えています。

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  • 関裕二: アマテラスの正体(新潮新書)

    関裕二: アマテラスの正体(新潮新書)
    著者の前著『スサノヲの正体』も、興味深く読みました。斬新な着眼点と発想で、思いもかけない結論に至っています。読み物としてはとてもおもしろいという点で、☆を5つとしました。ネタバレになりますから、詳しいことを書くのは控えておきますが、著者は、伊勢神宮に祀られているのは、いわゆる「天照大神」ではなく、別の霊威の強い(祟る)、二柱の神だとしています。祟るが故に、伊勢に放逐されたのだと主張するのです。ただ、著者の肩書きは、歴史作家にして、武蔵野学院大学日本総合研究所スペシャルアカデミックフェローであり、仏教美術に関心をもち、奈良に通ううち、独学で日本古代史を研究したということですから、現在の歴史学や考古学が明らかにした内容と整合性がとれている主張なのかどうかは、私には判断はできかねます。それ故、「読み物としてはおもしろい」と評価しています。 (★★★★★)

  • 小塩真司: 「性格が悪い」とはどういうことか ――ダークサイドの心理学 (ちくま新書)

    小塩真司: 「性格が悪い」とはどういうことか ――ダークサイドの心理学 (ちくま新書)
    タイトルに惹かれて読みました。ただし、初めにお断りしておきますが、図表こそないものの、心理学の専門書といっても良いくらいの、分厚い記述になっていますので、馴染みのない方にとっては読みやすいものではありません。「性格が悪い」ことについて、最近研究が進んできた「ダークな性格」を中心にまとめられています。ダークな性格とは、マキャベリアニズム、サイコパシー、ナルシシズム、サディズムの4つの特性です。これらの特性とリーダーシップ、社会的成功との関連、身近な人間関係中でのダークな性格、ダークな人物の内面、ダークな性格の遺伝、ダークさとは何かについて、文献を引用しつつ論じられています。その上で、性格の良し悪しは、その内容ではなく、どのような結果に結びつくかで判断されるというのが、著者の結論でした。 (★★★★)

  • 和田 秀樹: 老いるが勝ち! (文春新書)

    和田 秀樹: 老いるが勝ち! (文春新書)
    和田秀樹さんは、もともと高齢者専門の精神科医です。浴風会病院というところで35年間勤務され、6,000人以上の高齢者の方を診てこられました。その臨床経験から、高齢者については、理屈通りに行かないと思うことがたくさんあるといっておられます。タバコをたくさん吸っていても100歳まで生きる人もいれば、検査データはすべて正常なのにガンで亡くなる人もいるのだそうです。医者にいわれて血圧その他に注意していたのに、脳卒中を起こす人もいます。和田さんはこの本で80歳を過ぎたら我慢せず、好きな物を食べ、行きたいように生きることを勧めています。また、医療に関わらない方が長生きできる共書いています。不摂生を勧めておられるわけではありませんが、常識にとらわれず、自由に生きた方が楽しみも見つかってよいのではないかと思います。養老孟司先生流にいえば「なるようになる」のですから。 (★★★★★)

  • 彬子女王: 赤と青のガウン オックスフォード留学記 (PHP文庫)

    彬子女王: 赤と青のガウン オックスフォード留学記 (PHP文庫)
    彬子女王殿下の英国留学記です。彬子女王は、ヒゲの寛仁親王のご長女。殿下は、女性皇族として初めての博士号をオックスフォード大学で取得されました。この留学記は、ネットで話題になっていましたので、ぜひとも読んでみたいと思っていました。今上天皇の「テムズとともに」も読んだことがありますが、皇族の皆様は、どなたも誠実で朗らかで、それでいてユーモア溢れるお人柄をお持ちのようですが、殿下も同様でいらっしゃり、それがよく感じられる文章で楽しく拝読し、爽やかな読後感を持ちました。 (★★★★★)

  • 石井光太: ルポ スマホ育児が子どもを壊す

    石井光太: ルポ スマホ育児が子どもを壊す
    タイトルに惹かれて買ったのですが、帯にあるように「衝撃の現場報告」でした。この本に書かれているエピソードのうち、いくつかはこれまでにもマスコミ報道などで接していましたが、これだけのことがらが一度に示されると圧倒されます。現代の子どもたちは、まさに私たちが知っている(知っていた)子どもではなくなっているといえるようです。たとえば、「2歳児のネット利用率は58.8%」「子守歌はアプリで聞く赤ちゃん」「ヘッドガードの制服化」「教室の『アツ』に怯える小学生」「褒められ中毒はエスカレートする」などなど。スマホが登場して16年でその影響は大ですが、子どもたちの特徴に影響しているのはスマホだけではなく、現代社会や、大人達のありようも大きく影響しているといえます。「『将来の夢は交通整理のバイト』と言う女子高生」などはその例でしょう。私が教えている学生も、「『アツ』がすごい」ということがあり、いったい何だ?と思っていましたが、よく分かりました。すでに若い先生方は、デジタル・ネイティブ世代になっていますし、この本に登場する若者達が社会に出て、その中核を担うのも遠い将来のことではありません。これらの若者は、高い情報処理能力を持ち、周囲に適応する力もあり、コンプライアンス能力も高いのですが、それらを認めた上で、彼らが自立した大人になるために何が必要か見極め、それを提供することが必要とされるのでしょう。その意味では、大人の世代にも彼らを適切に理解し、必要な支援を提供する責任があります。 (★★★★)

  • 養老 孟司, 中川 恵一: 養老先生、再び病院へ行く

    養老 孟司, 中川 恵一: 養老先生、再び病院へ行く
    『養老先生、病院へ行く』の続編です。医療とは距離をとっておられる養老先生が、再診のため1年3ヶ月ぶりに東大病院に行かれました。大病から復活された今だからこそ語ることができる老い、医療、健康、死との付き合い方について、養老先生ご自身と、教え子にして主治医の中川恵一先生がお書きになっています。養老先生のスタイルをそのまままねすることは、凡人には不可能であり、よろしくはありません。しかし、健康についての考え方や、死についてのとらえ方などはとても参考になります。私が啓蒙されたことがらは、「健康法は人の数だけ存在する」「養老先生は抜け道の天才」「不連続な体調の変化に気をつける」「具合が悪いときは一週間様子を見ると医者に行くべきかどうか分かる」「お酒はもはや百薬の長ではないが飲む飲まないは自分で決めてよい」などでした。 (★★★★★)

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    宮口幸治: 歪んだ幸せを求める人たち―ケーキの切れない非行少年たち3―(新潮新書)
    「ケーキの切れない非行少年たち」シリーズの3冊目です。本の帯には「『幸せを求めて不幸を招く人』の戦慄ロジック」とあります。「みんな幸せになりたい」という動機は万人がもつものでしょう。しかし、幸せの形は人それぞれですし、幸せになりたいと強く願うものの、かえって生きづらさや苦悩を抱える人たちもたくさんいます。著者は、人は幸せになりたいが故に、結果的に他人が不幸になることでもやってしまうといいます。さらに、幸せになりたいのだけれど、そのやり方がよくない」と考える、結果的に他人を不幸にする人たちを理解できるともいいます。著者が長年関わってきた非行少年達にもそれは共通するそうです。歪んだ幸せを求める人たちの背景にある要因として、著者は、怒りの歪み、嫉妬の歪み、自己愛の歪み、所有欲の歪み、判断の歪みの5つの歪みを取り上げ、事例も含めて考察しています。これを読むと、こうした5つの歪みは、ごく普通の人びとも多少とももっているものといえます。最終章では、自分と他者の「ストーリー」という概念を用いて、歪んだ幸せを求める事についてどう向き合えばよいか、提案されています。 (★★★★)

  • 森永 卓郎: 書いてはいけない

    森永 卓郎: 書いてはいけない
    他の本を買いに行った時、書店で平積みになっていましたので、思わず買ってしまいました。メディアのタブーに触れつつ、現在の日本が凋落している要因を3つ指摘しています。サブタイトルは、「日本経済墜落の真相」となっています。3つは、ジャニーズの性加害、財務省のカルト的財政緊縮主義、日本航空123便の墜落事件。この3つについては、関係者は皆知っているものの、触れてはいけない、本当のことをいってはいけないタブーになっているといいます。メディアで触れたら、瞬時にメディアには2度と出られなくなるそうです。ジャニーズ問題は、BBCの報道のためにオープンになってしまいましたが、著者の森永さんは、ご自身が病を得られたこともあって、現状を打破するためにこの本を書かれました。財務省による必要以上の財政緊縮政策と、日航123便の事故のお陰で日本がアメリカに対してどんどん主権を失っていったことが、日本経済の衰退の主たる要因と主張しています。たぶんそれは本当だろうなというのが、私の読後感。 (★★★★)

  • 立木 康介: フロイト『夢判断』 2024年4月 (NHKテキスト)

    立木 康介: フロイト『夢判断』 2024年4月 (NHKテキスト)
    何を今さら勉強しているのか? と思われるかも知れませんが、ちょっと前に流行った言葉でいえば、リスキリングに相当するかも知れません。学生時代に読みましたが、しっかり理解したかといえば、アヤシいのです。学生時代からは50年近い月日が経っていますので、その後の研究成果も含め、新しいことがあるだろうと思ったのです。100分de名著というNHK Eテレの番組のテキストです。講師の立木先生は、パリ第8大学で精神分析の博士号を取得され、京大人文科学研究所の教授。精神分析は「昨日までとは違う自分を手に入れるために行う」とおっしゃっていました。この番組でもっとも印象に残ったのは、あの有名な「エディプス・コンプレックス」よりも、今日、重要なフロイトが提案した概念は、「両性性」であるということでした。これは、いかなる個人も与えられた解剖学的性にしばられないセクシュアリティの自由を持つことをうたうものです。この視点に立てば、同性愛も、トランスジェンダーもいわば当たり前の存在であるということになります。これらを踏まえると120年間に書かれた「夢判断」の内容は、きわめて今日的な意義を持ってくると再認識する必要があります。 (★★★★★)

  • 諸富 祥彦: NHK「100分de名著」ブックス フランクル 夜と霧

    諸富 祥彦: NHK「100分de名著」ブックス フランクル 夜と霧
    フランクルのこの本は、改めて紹介するまでもないほど、有名な本です。私も学生時代、霜山徳爾先生の翻訳で読みましたが、ことばでは書き尽くせないほどの衝撃を受けたことを、いまでもよく覚えています。第二次世界大戦中にナチスの強制収容所に収監された経験をもとに、精神医学者・フランクルが、人生の目的を明確にし、その実現に向けて没頭する心理療法を紹介する本です。原題を直訳すると「それでも人生に然りと言う:ある心理学者、強制収容所を体験する」となります。実存心理学の名著であり、極限の環境におかれたとしても、何かが、あるいは、誰かがあなたを待っているということを主張しています。絶望して終わるのではなく、人生が何をわれわれに期待しているのかが問題であり、私たちはそれを学ぶことが重要だとしています。何度か読み直すことによって、人生への理解が深まる気がします。 (★★★★★)

  • 松田 忠徳, 増田 晋作: 枕草子の日本三名泉 榊原温泉

    松田 忠徳, 増田 晋作: 枕草子の日本三名泉 榊原温泉
    榊原温泉は、全国的に有名とはいえないかも知れませんが、名湯です。それは、枕草子に「湯は七栗の湯 有馬の湯 玉造の湯」にある、七栗の湯が榊原温泉と考えられるからです。最近、日本三名泉といえば、有馬温泉/兵庫県、草津温泉/群馬県、下呂温泉/岐阜県とされますが、枕草子に取り上げられたのはそれよりも古く、「元祖日本三名泉」といえます。榊原温泉の湯は、肌がきれいになる「美人の湯」というだけでなく、抗酸化作用もある健康の湯でもあります。この本は、日本一の温泉教授・松田先生と、地元を知り尽くした増田さんの共著で、「何もない」といわれていた榊原温泉の魅力を語り尽くしています。ちなみに、私にとっては家内の実家を知る上で格好のガイドブックです。 (★★★★)

  • 文藝春秋: 定年後に読む不滅の名著200選 (文春新書)

    文藝春秋: 定年後に読む不滅の名著200選 (文春新書)
    この本の帯には「これが定年後の知の道しるべ!」とありますが、私自身はさほど大上段に構えたつもりで読んではいません。どのような本が選ばれているかにももちろん興味はあったのですが、それらがどのように紹介されているかといった方面に興味があって読みました。本を紹介している方々はいろいろな分野で功なり、名を挙げた方ばかり。それらの方がどんな本を読み、どのように唱歌していらっしゃるかが知りたかったのです。ちょっと邪道な読み方ではありましたが、しっかりと楽しめました。 (★★★★)

  • 石田泰弘(編著): 街道今昔 佐屋路をゆく (東海の街道2) (爽BOOKS 東海の街道 2)

    石田泰弘(編著): 街道今昔 佐屋路をゆく (東海の街道2) (爽BOOKS 東海の街道 2)
    さほど本格的に取り組んでいるわけではありませんが、昔の街道を歩くのは好きです。この本のテーマである佐屋路(佐屋街道)も歩きたいと思って調べています。佐屋路は、東海道佐屋廻りとも呼ばれたように、東海道の迂回路でした。江戸時代に東海道宮宿と桑名宿の間を、陸路万場宿、佐屋宿の陸路を経て、佐屋から桑名宿への水路三里の渡しによって結んでいた街道です。実際に歩いて書かれたと考えられますが、旅人目線で書かれたウォーキングガイドです。津島街道、高須道も取り上げられています。部分的には歩いたところがありますが、佐屋路はいずれ、歩いてみたいと思い、計画中ですので、とても参考になりました。実際に歩かなくとも、歴史読み物としても楽しめます。 (★★★★★)

  • 柳瀬博一: カワセミ都市トーキョー 【電子限定カラー版】 (平凡社新書1049)

    柳瀬博一: カワセミ都市トーキョー 【電子限定カラー版】 (平凡社新書1049)
    東京都心にたくさんのカワセミが棲んでいるというのは、最近割とよく知られるようになっています。清流の鳥というイメージがあるかも知れませんが、東京の「野生」環境をうまく利用して繁殖もしています。そのカワセミが暮らす街は東京屈指の高級住宅街ばかりだそうです。すなわちカワセミも、人間も好む環境は同じというのです。カワセミが暮らす街は、人間にとってもよい街ということです。カワセミの存在に気付いたことから、「小流域源流」をキーワードに「新しい野生」と「古い野生」の繋がりを論じています。カワセミの生態も詳しく観察されていますので、私も今までよく知らなかったことが多々書かれていて、興味深く読みました。 (★★★★)

  • 内田 樹: コモンの再生 (文春文庫)

    内田 樹: コモンの再生 (文春文庫)
    私は、内田樹先生の評論が好きで割とよく読みます。「コモン(common)」とは、形容詞としては「共通の、共同の、公共の、ふつうの、ありふれた」という意味ですし、名詞としては「町や村の共有地、公有地、囲いのない草地や荒れ地」を意味します。昔は、ヨーロッパでも日本でも村落共同体はそういう「共有地」を持っていました。コモンを管理するには「みんなが、いつでも、いつまでも使えるように」という気配りが必要になるのですが、近代になって怒った「囲い込み」によって「コモンの私有化」が起こり、村落共同体が消え、集団的に維持されていた儀礼、祭祀、伝統芸能、生活文化が消えてしまったのです。著者は、このコモンを再生することが市民の原子化、砂粒化、血縁、地域共同体の瓦解、相互扶助システムの不在という索漠たる現状を何とかするために必要と考えています。ちなみに、マルクスとエンゲルスによるコミュニズムは、著者によれば「共同体主義」と訳した方がよく、彼らは「コモンの再生」が必要と提言したといいます。「共産主義」と訳されてしまったがため、なんだかよく分からないことになっているのです。「共有主義」あるいは「共同体主義」と意訳してくれていたら、もろもろが変わっていたかも知れないという話には、膝を打ちました。 (★★★★★)

  • 本田 秀夫: 知的障害と発達障害の子どもたち (SB新書)

    本田 秀夫: 知的障害と発達障害の子どもたち (SB新書)
    児童精神科医の本田先生の最新刊です。今回は知的障害が取り上げられています。これまでの本田先生の御著書では、発達障害が主に取り上げられてきたのですが、実は知的障害を持つ子どもたちも一定数存在していますし、発達障害と知的障害を合わせ持つ子どもたちもいます。その意味で、発達に困難のある子どもたちのことをきちんと理解して、適切な支援をする上では、両者を視野に入れることが重要です。著者は、知的障害の支援では、「早く」と「ゆっくり」がキーワードになると書いておられます。これは私もそうだと思います。可能な限り早期から支援を受けた方がよく、一方で、発達のスピードに合わせて「ゆっくり」としたペースで支援をすることが大切になります。発達障害の子どもたちにも「本児のペースに遭わせた支援が必要」とおっしゃる方がありますが、発達障害の子どもたちの理解/支援の上でのキーワードは「アンバランス」です。この本は、発達が気になるお子さんをお持ちの保護者の方、特別支援教育に携わる教員の方々にとって、基本的なテキストといえます。 (★★★★★)

  • BIRDER編集部: お手本でわかる!野鳥撮影術 (BIRDER SPECIAL)

    BIRDER編集部: お手本でわかる!野鳥撮影術 (BIRDER SPECIAL)
    バードウォッチングや野鳥撮影を趣味にしています。とはいえ珍鳥を追うのではなく、主に自宅近くを散歩しながら、いわば「定点観測」のように野鳥を見ています。自分の写真の撮り方を振り返ると、図鑑的に撮ることがほとんどです。なぜそうなのかを考えてみると、研究者の端くれであったことが関わっている気がします。つまり、写真を撮ることを、観察した記録やデータと見ているからではないかということに思い当たりました。野鳥撮影の「幅を広げたい」と思っていたら、この本が出版されました。ざっと目を通したところ、「色とりどりの花と鳥」「木の実レストラン」「やわらかい表情を追う」などさまざまなテーマで鳥とその周辺を撮る方法が載っています。これを参考に、自分の野鳥写真の世界を広げられたらいいなと思える本です。 (★★★★★)

  • 磯田 道史: 磯田道史と日本史を語ろう (文春新書)

    磯田 道史: 磯田道史と日本史を語ろう (文春新書)
    磯田道史さんが、さまざまな分野の達人と歴史についての論賛をしたのをまとめた本です。論纂とは、①人の徳行や業績などを論じたたえること、②史伝の終わりに著者が書き記した史実に対する論評のこと。異分野の専門家同士が議論をすることによって生まれるものは、別次元となり、大変興味深いものとなります。この本がその論より証拠。養老孟司さんとの論賛からは「脳化社会は江戸時代から始まった」という話が出て来ています。忠、孝、身分などは、シンボリズムであり、それらは見たり、触れたりできません。また、関東大震災に遭遇したことは、被害に対する鈍感さをもたらし、それが太平洋戦争につながったという指摘には、なるほどそういう面も確かにありそうだと思わされました。その他、歴史や人間について、実にさまざまな、新しい見方が示され、大変おもしろく読み終えました。 (★★★★★)

  • 保阪 正康: 近代日本の地下水脈 I 哲学なき軍事国家の悲劇 (文春新書 1440)

    保阪 正康: 近代日本の地下水脈 I 哲学なき軍事国家の悲劇 (文春新書 1440)
    本の帯に「『水脈史観』で日本の失敗を読み解く」とあります。「水脈史観」という概念には初めて接しましたが、「攘夷のエネルギーは、いまも日本社会の根底に流れている」という見方です。明治維新後、日本がとりえた国家像は、欧米型帝国主義国家、道義的帝国主義国家、自由民権国家、米国型連邦制国家、攘夷を貫く小日本国家の5つであったが、哲学なきまま欧米型帝国主義国家の道を突き進み、軍事中心の国家作りを推し進めたことが、戦前の日本の失敗の原因であったというのが著者の主張です。それは確かにそうだと思いますが、私には、ほんのサブタイトルにある「哲学なき国家」ということが、現代日本の様々な問題の背景にあるような気がしてなりません。 (★★★★)

  • 佐伯 泰英: 陰流苗木(かげりゅうなえき)~芋洗河岸(1)~ (光文社文庫)

    佐伯 泰英: 陰流苗木(かげりゅうなえき)~芋洗河岸(1)~ (光文社文庫)
    今回も特別に時代小説を取り上げます。この2つ前の本に佐伯泰英さんの「恋か隠居か 新・酔いどれ小籐次(二十六)」を取り上げ、これは佐伯さんの300冊目の「文庫書き下ろし小説」だと書きました。今回のこの本は、301冊目です。しかも、80歳を越えて、さらに新しいシリーズを始められたのです。美濃を食い詰めた浪人・小此木善治郎が、職なし、金なし、住むあてなしながら、剣の達人にしてとぼけた侍であるものの、なんとも頼りになる存在で、親切な住人や大家によって受け入れられた長屋の秘密と謎の渦に巻き込まれるという設定。これまたおもしろそうなシリーズです。毎月刊行で、全3巻の予定とか。第2巻が待ち遠しい内容です。 (★★★★★)

  • 養老孟司, 鵜飼哲夫: なるようになる。 僕はこんなふうに生きてきた(中央公論新社)

    養老孟司, 鵜飼哲夫: なるようになる。 僕はこんなふうに生きてきた(中央公論新社)
    養老先生の新刊が出たというので早速入手し、ほぼ一気に読み終えました。「はじめての自伝!」といううたい文句で、帯には「虫と猫と、バカの壁。考え続けた86年」ともあります。養老先生は、かなりしつこい性格でいらっしゃるようで、疑問に思ったことは「まぁいいか」などと思わず、考え続けてこられたそうです。その結果が、これまでのユニークな著作に結実しています。それはさておき、考え続けた結果、「なるようになる。」というのが、養老先生の現時点での結論だそうです。「なるようにしかならない」ではなく、「なるようになる。」のです。物事は、はっきりとした目的意識があって進むのではないので、「なるようになる。」なのです。忘れてしまったような些事がその後の人生を動かしてきたかもしれないともあります。なるほどと、この本を読み、養老先生の来し方をいささか知ると、納得できます。というか、納得した気になっているだけかも知れませんが…… (★★★★★)

  • 佐伯 泰英: 恋か隠居か 新・酔いどれ小籐次(二十六) (文春文庫)

    佐伯 泰英: 恋か隠居か 新・酔いどれ小籐次(二十六) (文春文庫)
    佐伯泰英さんは、この本で「文庫書き下ろし小説」というジャンルで300冊刊行を達成されました。佐伯さんの時代小説はすべて読んでいます。まさにストーリー・テラーといえる作家で、実に読み応えのある時代小説をたくさん書いておられます。このシリーズは、いったん完結となったかと思ったのですが、この「恋か隠居か」で復活しました(と理解しています)。隠居を考える小籐次ですが、小籐次親子に挑戦状が届くところから始まる物語。今回も楽しめました。 (★★★★★)

  • 安藤優一郎: 15の街道からよむ日本史 (日経ビジネス人文庫)

    安藤優一郎: 15の街道からよむ日本史 (日経ビジネス人文庫)
    街道歩きを少ししています。三重県内では、東海道のほとんど、伊勢参宮街道、美濃街道・養老街道などを歩きました。もっとあちこちの街道を歩きたいと思っていますが、そのときにこの本が出版されましたので、早速入手して読みました。芭蕉の奥州街道、伊勢参宮街道のお伊勢参り、武士の旅日記などの章をとくに興味深く読みました。主要な街道を取り上げることで読みやすい歴史物語となっています。 (★★★★)

  • 大芦治: 心理学をつくった実験30 (ちくま新書)

    大芦治: 心理学をつくった実験30 (ちくま新書)
    「誰もが一度は耳にしたことがある有名実験の背景・内容・影響を紹介、新たな心理学像を呈示する」と帯にあります。心理学全般に関心を持つ社会人を読者に想定しているといいますが、私には心理学史のテキストとして、あるいは、入門段階の心理学を学んだ方がさらに学習を深める際に読む本としてもよいかも知れません。 私自身も、心理学の教科書を執筆したことが何度かありますが、そこに引用する理論や実験については、いわゆる「孫引き」をしてしまったこともよくありました。この本の著者は、可能な限り原典にあたって執筆していらっしゃり、その意味では参考になったところが多々あります。 ところで、著者は心理学の未来にあまり明るい展望を持てないようです。臨床心理士、公認心理師の資格が人気を集め、心理学部などもたくさん設けられました。私自身の勝手な個人的意見を書けば、資格ができると、レベルは下がると思っています。根拠はありません。個人的な印象によるものです。私は実験心理学でトレーニングを受け、臨床心理の分野に進みました。心理学の基本は実験心理学と個人差測定心理学にあると思っています。学部段階からいきなり臨床心理学プロパーに進むのは、相当よろしくないと思います。臨床実践にあたってはその基礎となる確かな、科学的な学問(知見、理論なども含む)が必要です。また、仮説演繹法などのものの見方もきちんと身に付ける必要があります。これらは実験心理学と個人差測定心理学から養われると思っています。 この本は、基礎的知識がない方がいきなり読むのは難しいでしょうが、科学的心理学を学びたいと思う方にはよい参考書となります。 (★★★★)

  • 磯田 道史: 家康の誤算 「神君の仕組み」の創造と崩壊 (PHP新書)

    磯田 道史: 家康の誤算 「神君の仕組み」の創造と崩壊 (PHP新書)
    磯田先生の書く本はどれもとても面白く読めます。といっても、私が読むのは研究書ではなく、新書だからなのかも知れません。この本は、家康がなぜ幕藩体制を創ることができたのか、江戸時代、誰が神君の仕組みを崩わしたのか、幕末、かくして神君の仕組みは崩壊した、神君の仕組みを破壊した人々が創った近代日本とは、家康から考える日本人というものという5つの章からなっています。家康は天下を取ったあとこの国を支配するのに巧妙な仕掛けをつくり、平和な時代が続いたのですが、誤算が生じて、徳川政権が変質し、崩壊に至ったと著者は考え、そのプロセスを俯瞰しています。いろいろな時点で「神君の仕組み」を骨抜きにする人物や政策が表れたといいます。組織が弱体化する姿を見ておくと、自分たちの劣化を防ぐ力が養われると磯田先生は述べています。徳川時代が現在にあたえている影響も多く、その分析も興味深く読めます。 (★★★★★)

  • 多井 学: 大学教授こそこそ日記

    多井 学: 大学教授こそこそ日記
    文庫本を買いに本屋に行ったら、平積みしてあるのを見つけて思わず買ってしまいました。私もその昔、ご同業だったことがあったからです。帯に「いくらでも手抜きのできる仕事」とありますが、私の経験でもそういう人もそれなりにいました。ちなみに私自身は、こき使われたと思っています。さらに「現役教授が打ち明けるちっとも優雅じゃない生活」とも書かれていますが、これはまさに私の体験と同じ。本に書かれていることがらも、ことごとく納得できます。私は、「そうそう!」といいながら読み終えました。大学教授で儲けている人はごく一部などなど。まぁ大学教授の仕事や生活に興味をお持ちの方は、さほど多くはいらっしゃらないとは思いますが、お暇な方にはどうぞ。 (★★★★)

  • 宮口 幸治: 境界知能の子どもたち 「IQ70以上85未満」の生きづらさ (SB新書)

    宮口 幸治: 境界知能の子どもたち 「IQ70以上85未満」の生きづらさ (SB新書)
    「境界知能」という言葉は、専門家はよく知っていると思いますが、一般のご父兄や、小中学校の先生方にはあまりなじみがないかも知れません。IQという指標でいえば、多くの場合70以上85未満の子どもたちがこれに該当する可能性があります。一見したところでは普通の子どもたちと変わりはなく、なかなか気づかれません。しかし、理論的には約14%の子どもたちが含まれますから、本の帯にあるように「日本人の7人に1人」となります。平均と知的障害のはざまにあり、気づかれにくいものの、授業について行けなかったり、友だちと上手くつきあえなかったり、感情のコントロールが苦手であったりして、当事者の子どもたちは苦戦し、辛い思いをしています。発達障害はよく知られるようになりましたが、境界知能の子どもたちにもしっかり目を向け、必要な支援を提供することは喫緊の課題といえます。この本では、境界知能とはどのような状態なのか、教科学習の前に認知機能を向上することの重要性、子どもの可能性をいかに伸ばしたら良いかについて具体的に、分かりやすく解説されています。 (★★★★)

  • 関裕二: スサノヲの正体(新潮新書)

    関裕二: スサノヲの正体(新潮新書)
    タイトルに惹かれて手に入れたものの、序章の記述が私にとっては退屈でしばらく放っておいたり、読み直そうと思ってくじけたりしていました。しかし、そこを乗り越えるとこの本はとても面白くなり、ほとんど一気読みしました。スサノヲ(素戔嗚尊)の正体を探るプロセスでアマテラス(天照大神)の謎も明らかにされて行き、それもとても興味深いものがあるのです。アマテラスは皇祖神とされますが、実在の初代王と言われる崇神天皇はアマテラスを伊勢に追いやっています。また、伊勢神宮を整備した持統天皇だけは伊勢に参ったものの、それ以降明治になるまで、1,000年以上も歴代天皇は伊勢神宮を訪れていません。明治天皇が東京に遷御したあと武蔵国の鎮守勅祭の社に定めたのは、スサノヲの祀られる氷川神社(現さいたま市)です。明治天皇は氷川神社を訪れた翌年に、伊勢神宮を訪れています。そもそも伊勢にいる神はアマテラスなのかという疑問にも立ち向かっている、古代史や神に関心がある方にはお勧め。 (★★★★★)

  • 安藤 優一郎: 大名屋敷「謎」の生活 (PHP文庫)

    安藤 優一郎: 大名屋敷「謎」の生活 (PHP文庫)
    時代小説をよく読みます。捕物帖、市井の人たちの生活、侍の物語、大名の話などいろいろとあります。庶民の生活については、これまでもいろいろな本でかなり知っていますが、大名の生活については分からないところの方が多いと思っていました。タイトルに惹かれて買ったのですが、大名やその家族の生活が詳しく書かれているのではなく、勤番侍の生活、大名屋敷の庭園、御用達商人や豪農、幕末の動乱と大名屋敷などの話が中心でした。それはそれで知らなかったことが多々あり、興味深く読みました。 (★★★)

  • 服部環ほか: 指導と評価2023年10月号(図書文化社)
    「指導と評価」は、日本教育評価研究会の機関誌であるとともに、日本で数少ない教育評価に関する月刊誌です。この号では、教育・心理検査の意義と活用という特集が組まれています。「教育・心理検査の意義」に始まり、WISC-Ⅴ、KABC-Ⅱなどの個別検査の使い方、解釈の仕方、指導への活かし方がそれぞれの専門の先生によってわかりやすく解説されています。特別支援教育の現場でも、きちんとした心理アセスメント所見に基づいた支援を展開することが望ましいのですが、現場の先生方には敷居が高いようです。ご関心がおありの方には、どのように使えるか、どのように考えたらよいかについて基本的なことがらを理解するのに適しています。出版社のWebサイトからバックナンバーとして購入できます。 (★★★★)
  • 石田 光史, 樋口 広芳(ナツメ社): ぱっと見わけ観察を楽しむ 野鳥図鑑

    石田 光史, 樋口 広芳(ナツメ社): ぱっと見わけ観察を楽しむ 野鳥図鑑
    野鳥図鑑はすでに何冊も持っていますが、この野鳥図鑑は、2015年の刊行で、なぜ今までこの存在に気づかなかったと反省するほど便利そうなもの。掲載されているのは324種ですが、それぞれの特徴や、見わけのポイントがパッとわかるようになっています。その鳥の生活型や生息地、食性や羽色、形態などのほか、雌雄、夏羽冬羽、幼鳥などで特徴が異なる場合は、それらについても説明されています。観察したい行動から、おもしろい生態、探し方までもが載っていますし、鳥の鳴き声が聴けるQRコードも付いています。私自身、野鳥の特定がけっこうアヤシいので、しっかり活用しましょう。 (★★★★★)

  • 千枝大志(風媒社): 街道今昔 三重の街道をゆく (爽BOOKS)

    千枝大志(風媒社): 街道今昔 三重の街道をゆく (爽BOOKS)
    「東海の街道」シリーズの第4巻です。「街道歩きのお供に最適の1冊」といううたい文句。内容は、三重の主な街道、近世三重の城郭図・城下図を読み解く、お伊勢参り小咄、伊勢をめぐる〈参詣〉をデジタル化するの4章構成で、まさに三重の街道歩きの参考書としてよいと思います。私自身も県内の東海道、伊勢街道、美濃街道、濃州街道はほとんど歩き、ほかの街道も部分的に歩いていますし、城もここに載っているところはかなり訪ねています。デジタル化も、ブログに写真・記事を載せていますから、出来不出来はともかく、私も取り組んでいます。県内の街道はさらに歩こうと思っていますし、デジタル化にももっと取り組みたいと考えていますので、十分活用できるでしょう。 (★★★★★)

  • 唐沢孝一: 都会の鳥の生態学 カラス、ツバメ、スズメ、水鳥、猛禽の栄枯盛衰 (中公新書)

    唐沢孝一: 都会の鳥の生態学 カラス、ツバメ、スズメ、水鳥、猛禽の栄枯盛衰 (中公新書)
    都市にもたくさんの野鳥がいることを知る人は少ないかも知れません。私がいつも散歩している地方都市の公園では、これまで10年あまりで70種類近くの野鳥を観察しています。都会は自然の少ない人工的な環境にあふれていますが、野鳥たちはもともとの生態を活かしつつこれらにしたたかに適応してい生きています。この本では、カラス、ツバメ、スズメ、水鳥、猛禽を取り上げ、その都会における生態や、活動の変化、人間と鳥との関係とその変化などについて多くの実例や、調査結果をもとに、豊富な写真を使って楽しく読めるようにまとめられています。 (★★★★★)

  • 堤未果: 堤未果のショック・ドクトリン 政府のやりたい放題から身を守る方法 (幻冬舎新書)

    堤未果: 堤未果のショック・ドクトリン 政府のやりたい放題から身を守る方法 (幻冬舎新書)
    「ショックドクトリン」とは、テロや大災害など、恐怖でこくみんが思考停止している最中に、為政者や巨大資本がどさくさ紛れに過激な政策を推し進める悪魔の手法のことです。アメリカでの3.11以来、日本でも大地震やコロナ禍の裏で知らない間に個人情報や資産が奪われようとしているというのがこの本のテーマ。パンデミックで製薬企業は空前の利益を得、マイナンバーカード普及の先には政府のよからぬ思惑があるなどよくよく注意し、自分の生命・財産を守らないといけないというのが著者の主張。「今だけ、自分だけ、お金だけ」という強欲資本主義に負けないようにするには、ちょっとした違和感を大事にし、お金の流れがその裏にないか、また、それで大もうけして回転ドアをくぐって逃げる輩がいないかをチェックすることです。また、政府が何か、大急ぎで導入しようとしたり、既存の制度を急拡大しようとするときは、要注意だそうです。 (★★★★)

  •  奥山景布子: 葵の残葉 (文春文庫)

    奥山景布子: 葵の残葉 (文春文庫)
    いわゆる「高須四兄弟」である徳川慶勝、松平容保、松平定敬、徳川茂栄は、幕末維新の激動期に、結局のところ官軍と幕府とに分かれて戦う運命になったのですが、この四兄弟を取り上げて埋もれた歴史を活写した小説。私自身は、桑名藩主であった松平定敬が取り上げられているので興味を持って手に取った次第。幕末維新は、次々に色々な出来事が起きて、さまざまな人たちの思惑も複雑に入り組んでいるので、小説にするのは難しいと思っていたのですが、隠れた主人公ともいえる高須四兄弟の視点からとても躍動感のある読み物になっています。また、この時期の歴史をより一層深く理解できたという感想も持っています。 (★★★★)