お知らせ

  • データの移行について
    2005年10月26日のブログ開始当初から、2025年4月30日までの記事は、「猫の欠伸研究室(アーカイブ)」に移行しました(http://blog.livedoor.jp/taichimaru151/)。 このココログの「猫の欠伸研究室」には、2020年1月以降の記事を残し、2019年12月以前の記事は削除しました(2020年1月1日から2025年4月30日までの記事は、両方にあります)。

レンズを通した自然観察

  • この「レンズを通した自然観察」ということばは、恩師のお一人が、私の趣味を形容しておっしゃったものです。2023年2月7日のブログに書きましたが、実はときどき思い出していることばです。お世話になった先生方はたくさんいらっしゃいますが、この恩師は、就職のことから学位論文の執筆、審査に至るまで本当にお世話になった先生です。「写真の撮り方を指南してもらいたい」ともおっしゃったのですが、これはお世辞と理解しています。私はほぼ隠居状態となって10年以上になりますが、今、改めてこのことばをかみしめています。この先生には結婚式の際に「理論と臨床をつなぐ仕事をするように」ということばをいただきました。体調を崩してそれには十分に応えられませんでしたので、せめてこの「レンズを通した自然観察」については、極めるとまでは行かないにしても、もう少し精進したいと考えています。

ブログ名の由来

  • ブログ名の「猫の欠伸研究室」は、中日新聞の夕刊に連載されている「紙つぶて」というコラム(平成22(2010)年1月13日)に、元新党さきがけ代表の武村正義さんが書いていらっしゃった「人生は猫の欠伸である」というコラムによります。武村さんは、“チベットで鳥葬を取り仕切る僧侶が、「人の生涯は猫の欠伸のようなもの」と語った”と書いていらっしゃいます。「猫の欠伸のようなもの研究室」としたかったのですが、ちょっと間延びしますので、「猫の欠伸研究室」とした次第です。「研究室」とつけたのは、過去、大学に勤めていたことがあるということやら、知らないこと、分からないことがあると何でも調べずにはいられない性分であること、屁理屈、講釈が大好きであることからであります。しかし、「人生の研究をしている」のではありません。「大所高所」からのご高説を開陳できるほどの力量はないが故、「小所低所」からの戯れ言をつぶやくのが精一杯(苦笑)。身の程に合わせ、勝手なことを書き綴っていますので、御用とお急ぎでない皆様には、今後ともご交誼のほど、お願いいたします。是非ともコメントを頂戴し、少しでも世間を広げたいと熱望しております。

モットー

  • 座右の銘というほど立派なものはありませんが、過去に体調を崩し、療養生活を送った経験から、私なりのモットーをつくっています。その一つは、「淡々と飽きもせず……」です。自分では、「……」と余韻を残しているところが気に入っています。こだわりすぎや、やり過ぎはよくありません。若い頃はムキになってやったこともありますが、今はこのように「淡々と飽きもせず……」が自分に合っていると思っています。もう一つは「晴耕雨読」ならぬ「晴歩雨読」です。マンション暮らし故、耕すところはありません。代わりに歩いています。そして、最近(令和3(2021)年に入った頃から)追加したのが、「散歩生活、ときどき仕事」。NHKのテレビ番組に「晴れ、ときどきファーム!」というものがあります。これのもじり。浅学非才の身ですので、ご交誼の上、いろいろとご教示をお願いします。

季節

2025年3月12日 (水)

腰痛はまだ治ったとはいえないかも……九華公園でカワセミ、イソシギにガングロになりかけたユリカモメ

Dsc02836c_20250312153001  昼過ぎからは霧雨が降り続いていますが、午前中はほぼ曇り。しかし、気温は14.9℃まで上がり、もうダウンジャケットは不要。腰痛もかなり軽くなってきましたので、お試しでほぼいつものコースで散歩してきました。7時半から住吉神社、九華公園、貝塚公園、内堀南公園、外堀、入江葭町、吉津屋町、京町、寺町と5.9㎞。腰の痛みがひどくなるということはありませんが、何となくドーンとした感じは強くなりました。まだ、無理は禁物のようです。しかし、久しぶりに歩いて、気分はスッキリ。

Dsc00439c_20250312153401 Dsc00586c_20250312153401  住吉入江には、住吉キンクロウズが戻ってきていました。1ペアと、オスが2羽。1ペアは、玉重橋のところ。オス2羽は、住吉ポンプ場の東。

Dsc00483c_20250312153401 Dsc00550c_20250312153401  ほかには、オオバンが1羽と、カンムリカイツブリが1羽。住吉神社の上空でヒバリがさえずっていたのですが、姿は見つけられず。いわゆる「揚げ雲雀」でしょう。このあたりで繁殖するのかも知れません。

Dsc00636c_20250312153401 Dsc00736c_20250312154101  七里の渡跡には、オオバンが1羽と、ヒドリガモが6羽。ヒドリガモは、上陸して草を食べています。

Dsc00706c_20250312154101 Dsc00759c_20250312154101  蟠龍櫓のところには、イソヒヨドリのメス。たぶんこのあたりによくいるイソヒヨドリのメス。蟠龍櫓の東の揖斐川の高水敷には、ヒドリガモが20~30羽くらい集まっていました。春によく見る光景で、帰っていく前にここに集合しているのではないかと思っています。

Dsc00788c_20250312153401 Dsc02542c_20250312153001  九華公園の堀は、散歩&鳥見友達のYさんに聞いていたとおり、水が抜かれていました。バキュームカーが来て、堀の一部で泥を吸い上げる作業が行われていました。

Dsc00864c_20250312153401  鎮国守国神社の社務所裏の堀では、Dsc01038cカルガモが2羽。雌雄のようで、求愛行動のように、両方がシンクロしながら首を伸縮させていました。九華橋のところでは、カワセミ。以前よく見たオスではなく、メス。メスのカワセミは久しぶりに見ました。

Dsc00819c_20250312153401  公園西の堀には、コサギが1羽。以前も、堀の水を抜いたときには、コサギやダイサギがエサを求めてやって来ていました。

Dsc01335c_20250312154901 Dsc01091c  奥平屋敷跡では、ビンズイ1羽と、ジョウビタキのオスが1羽。ほかには、ドバトやカワラヒワ、ハシボソガラス。

Dsc01686c_20250312153301  二の丸跡の北側のところでもコサギ。コサギは、今日は合計2羽が来ていました。

Dsc02002c_20250312153201 Dsc02085c_20250312153201  鎮国守国神社の境内で、ウメジロウ。今日も天守台跡のところで見られました。何枚も撮ったのですが、なかなかこれはというものはありませんし、キリがありません。

Dsc02273c Dsc02291c_20250312153101  鎮国守国神社を通って、再び社務所裏の堀に来たら、カルガモが2ペア。どちらかが上に載せたペアと思いますが、判別はできません。しかし、右の写真のペアは、互いにそっぽを向いているようで、おもしろい。

Dsc02402c_20250312153101  何か動くものを見つけ、よく見たらイソシギ。羽毛が1本立っていますので、以前にも九華公園や、住吉入江で見た個体。

Dsc01180c Dsc01651c_20250312153301  堀の水が抜かれていますので、カモたちは多くはありません。数えられた範囲で、キンクロハジロが9羽、ハシビロガモが9羽、ヒドリガモが1ペア、ホシハジロのオスが1羽(左の写真)、コガモが1ペア(右の写真)。ほかにオオバンが2羽。

 ユリカモメは57羽。Dsc01451c Dsc01488c_20250312153301あのUYユリカモメは見当たりませんでした。ユリカモメの中に、ガングロになりかけている個体が1羽。夏羽にかなりモデルチェンジしてきています。

Dsc02581c_20250312153001 Dsc02754c_20250312153001  その後は、内堀南公園でジョウビタキのメス。寺町交差点の北でイソヒヨドリのメス。

Dsc02776c_20250312153001 Dsc02799c_20250312153001  住吉入江に戻ってきたら、キンクロハジロのペア。朝、出がけに見たペアであろうと思います。カンムリカイツブリも、同様に、朝、見た個体でしょう。オオバンも1羽いました。

Dsc02500c_20250312153001  鎮国守国神社では、豊後梅が満開近くになって来ています。豊後梅は、大分県が原産の梅とアンズの交雑種です。

Dsc02594c Dsc02637c_20250312153001  寺町商店街にある河津桜。並木の南北の端にある木でよく咲いてきています。今週末が河津桜まつりですが、その頃には見頃を迎えるものと思います。

Dsc02665c_20250312153001  という次第で、先週金曜以来(2025年3月 7日:ミモザが咲き始めました)、ほぼフルコースの散歩でした。初めに書きましたように、帰宅後、腰のあたりが何となくドーンと重い感じがいていますので、まだ治癒とはいえなさそうです。

2025年1月 1日 (水)

明けましておめでとうございます

Img_7510c_20241231144901  皆様、明けましておめでとうございます。旧年中は大変お世話になりまして、ありがとうございました。本年もどうぞよろしくお願いいたします。昨年は、能登の震災で年が明け、9月には奥能登で豪雨がありました。一方で、ドジャースの大谷選手の大活躍もあり、激動の1年だったかと思います。それはさておき、私自身は、今年3月で満70歳となります。若い頃には想像もしませんでしたが、今年も「淡々と飽きもせず……」「晴歩雨読」「散歩生活ごくたまに仕事」のモットーでコツコツとやっていこうと思っております。モットーの3つめは、「散歩生活ときどき仕事」から、改めました。江戸橋での非常勤講師が定年を迎えるためです。ちなみに、市役所関係の仕事は、来年度も続けさせていただくことにしました。

Img_7559c_20241231144901 Img_7540c_20241231145001  写真は、津市にある辰水神社のジャンボ干支「巳」です。高さ3.2m、幅3mの白いヘビが、黄金に輝く小判を抱えた姿となっています。地元有志の方々の「ふるさと愛好会」が、地域興しのため毎年制作し、今年で40回目のジャンボ干支です。ヘビは、神の使いで、金運が上がるとか。このジャンボ干支は、「開運潜門」となっており、3月末まで飾られているそうです。ちなみに、裏側へ回ると、ハートマークのワンポイントが入っています。

2024年12月25日 (水)

久しぶりにイソヒヨドリのオスに遭遇

Dsc07286c_20241225142001  昨晩の放射冷却で今朝は、0.8℃と冷えましたが、日中は風もなく、気温も10.6℃まで上がり、穏やかな日になっています。今日は、2ヶ月に1度の定例散髪日。8時からいつものS理容院さんで散髪をしてもらい、そのまま9時から散歩へ。春日さん(桑名宗社)、九華公園、貝塚公園、内堀南公園、外堀、内堀公園、京町、寺町と5.8㎞。春日さんから中橋に行こうとしたのですが、工事中で近づけず。

Dsc07605c_20241225142001  今日のハイライトは、こちら。イソヒヨドリのオス。寺町交差点近くのお宅の庭にいるのを見つけました。最近ずっと、イソヒヨドリのメスは見ていたのですが、オスはずいぶん久しぶり。

Dsc07325c_20241225142001 Dsc07414c_20241225142601  さて、9時過ぎから歩いても、野鳥たちはお休みタイムに入っているようで、あまりいません。ただでさえ、このところ、小型の野鳥は少ないので、今日、九華公園で見たのは、ハクセキレイと、ジョウビタキのオス、それぞれ1羽。ヒヨドリやムクドリ以外には、何もいないかと思っていましたから、まあよし。

Dsc07512c_20241225142001  そうそう、九華公園の外周遊歩道の南では、メジロの混群に出会いました。ちょっとふっくらしているように見えます。

Dsc07296c_20241225142001 Dsc07357c_20241225142001  カモは少なく、しかもお休み中の個体が多数派。キンクロハジロは18羽、ハシビロガモが7羽、ヒドリガモは1ペア+オスが1羽。左の写真のキンクロハジロは、休んでいるのですが、この体勢は、保温のためだそうです。

Dsc07474c  ユリカモメも8羽とかなり少なめ。ほかの公園でもヒヨドリくらいしかおらず、散歩はいつもより短い時間で終了。

Dsc07291c_20241225142001 Dsc07294c_20241225142001  春日さんに行ったのは、そろそろ門松が登場しているだろうと思ったからです。毎年、桑名建築組合の方が奉納されます。さすがにプロの手によるもの。見事、立派。

Dsc07277c_20241225142001  ところで、今朝は西の空も晴れて、鈴鹿山脈もよく見えていました。写真は、その中心である御在所岳(標高1,212m)。頂上部分だけの写真にしましたが、桑名駅前に建ったマンションの間から、かろうじて見えているのです。頂上に見える丸いものは、雨雲レーダー。御在所ロープウェイ日本一の「白い鉄塔」も写っているのですが、周りが白いので、目立ちません。

Dsc07280c_20241225142001  藤原岳も、白くなっています。今日は水曜ですが、江戸橋の非常勤の授業は、休み。金曜日の授業が振り替え実施されています。昨日、非常勤先からリマインダー・メールが届き、今日は安心して休みました(微苦笑)。

2024年12月15日 (日)

20241215コールドムーン

Dsc07998x Dsc07998c_20241215193101  今日12月15日は、満月です。12月の満月は、アメリカの農事暦では「コールドムーン(cold moom)」と呼ばれるそうです(こちら)。いかにもcoldという感じに見えますから、不思議。写真は、19時過ぎに非常階段の踊り場から撮ってきました。雲がかかったり、はずれたりという状況。ソニーDSCーRX10M4を使い、f/8、SS1/125秒、ISO感度250、オートホワイトバランス、600mmズームで撮影しています。三脚は使わず、手持ち撮影。左の写真はトリミングをしましたが、右は同じ写真で、ノートリミング。

Dsc08010c 241215045903131c  広角にして夜景モードで撮ったのがこちら。歪んで写っていますが、歪みの修整はしていません。右の写真は、今朝5時頃、新聞を取りに降りたとき、スマホで撮影。西の空です。肉眼ではまん丸のように見えました。

2024年12月 1日 (日)

ユリカモメの乱舞シーン……「ご近所イチョウ巡りツアー」は御坊さんの大イチョウで「完」

Dsc04676c_20241201140601  12月に入りました。いよいよ、本当に今年も残すところ、あと1ヶ月となりました。今日も好天に恵まれ、朝は寒かったものの、日中の最高気温は15.2℃。風は弱く、暖かい日になっています。今朝は、7時20分から散歩へ。いつもの散歩にプラスして、昨日の「ご近所イチョウ巡りツアー」の残り、御坊さんの大イチョウを見てきました。さらに、柿安シティホールで開催されている「桑名市民芸術文化祭」の「社会文化部門展」にも行って来ました。ということで、コースは、住吉神社、九華公園、内堀公園、職人町、新築公園、シティホール、常盤町、寺町、御坊さん(真宗大谷派桑名別院本統寺)と6.2㎞。

Dsc03421c Dsc03486c_20241201140301  揖斐川の住吉水門近くには、ヒドリガモが7羽ほど浮いているのが見えました。七里の渡跡には、今日は何もいませんでしたが、蟠龍櫓の近くでイソヒヨドリのメス。向こうも、私もすぐ近くに行くまで気づかず。柿安コミュニティパークの西にある堀には、コガモのオスが2羽。コガモのオスは、今シーズン初見。オオバンもいたのですが、コガモを撮っているうちに姿が見えなくなりました。

Dsc03797c_20241201140401 Dsc03821c  九華公園では今日も小型の野鳥は少なかったのですが、奥平屋敷跡ではいつものように、ハクセキレイが2羽。秋の初めにはほとんど来なかったのですが、最近は、毎日のように見られます。

Dsc03713c_20241201140301 Dsc04434c  本丸跡では、モズのオス。九華公園では、久しぶりにモズを見ました。さらに、九華公園の外周遊歩道の東で、ジョウビタキのメス。ただ、こんなスタイルで、ジョウビタキのイメージからはちょっとはずれるかも知れません。

Dsc03622c_20241201140301 Dsc03775c  カモは、キンクロハジロが30羽、ハシビロガモが24羽、ヒドリガモは2ペア。ホシハジロは、このところまったく来なくなりました。

Dsc03742c_20241201140301  カワウは相変わらずたくさん集まっています。神戸櫓跡の松の木に13羽、野球場の照明灯にも数羽。こちらは、旧アヒル小屋近くの杭の上にいたカワウ。

Dsc03855c_20241201140401  Dsc04094c_20241201140401 ユリカモメは、数えた限りでは、52羽。散歩&鳥見友達のOさんが、持ってこられたパン屑を巻いたら、ご覧のように大騒ぎになりました。

Dsc04118c_20241201140501 Dsc04122c_20241201140501  例の「下手な鉄砲も数打ちゃ当たる」方式で、連写しました。歩留まりはかなり低い数字ですが、それなりに見られる写真も写っていました(微笑)。

Dsc03672c_20241201140301  昨日見つけた、ケガをしたユリカモメ、今日は、吉之丸堀にかかる端にある東屋の上で安静中。昨日は、グラウンドにいましたし、今日も、このあと移動していましたので、飛べない状態ではありません。

Dsc04561c_20241201140501 Dsc04622c_20241201140501  内堀公園では、モズもいたのですが、写真を撮るのには失敗。代わりにジョウビタキのオスが出て来ましたし、ちょっと離れた電線には、カワラヒワ。11月中旬、ここにはジョウビタキのオスが2羽いたのですが、その後しらばくは姿を見ていませんでした。新築公園は、去年まではジョウビタキのオスをときどき見たのですが、今シーズンはまだ。

Dsc04639c_20241201140501 241201092405112c  柿安シティホール。冒頭に書きましたように、ここの展示室で桑名市民芸術文化祭社会文化部門展が、昨日、今日と開かれているのです。「日本文化探訪」「平成16年新桑名市誕生から20年」「彫刻師木澤忠兵衛と石取祭車」などの展示があり、また、今日は、「桑名の千羽鶴」と「創作連鶴」の体験ができるワークショップも行われていました。私は、展示を見たくて行って来たという次第。毎回、展示についてまとめた資料もいただけますので、それも楽しみでした。

Dsc04663c_20241201140601  昨日の「ご近所イチョウ巡りツアー」のやり残しが、こちら、御坊さん(真宗大谷派桑名別院本統寺)の大イチョウ。境内の同朋会館の南、墓地への入口にあります。これも、我が家のベランダから上の方がよく見えています。これにて、今年の「ご近所イチョウ巡りツアー」もめでたくコンプリート。

Dsc03648c_20241201140301  12月の最初の週である今週は、明日・月曜の午後、桑名市民大学郷土史学科の第7回の講座があります。最終回です。前回まで全て参加していますから、今年も修了証をいただけるのは確定しています。水曜は、江戸橋での非常勤の授業。こちらは、10回目となり、講義はこれで2/3に達します。

2024年11月29日 (金)

ユリカモメの飛翔シーン……ツグミを捉えました

Dsc00236c_20241129143301  ときどき、強い北西の季節風が吹いていますが、最高気温は、15.8℃まで上がっています。今朝も7時半から散歩へ。住吉神社、九華公園、貝塚公園、内堀公園、京町、寺町と6.3㎞。今日は、九華公園を2周しています。冒頭の写真は、散歩に出かけるときの北の空。日の出が、6時41分ですから、太陽はまださほど高く上っていません。

Dsc00268c  住吉水門の内側の住吉入江にもカモたちがやってくるようになりました。ヒドリガモのオスが6羽にメスが3羽。オオバンや、カンムリカイツブリ、キンクロハジロなどが来ることもよくありますので、これからの楽しみです。

Dsc00383c_20241129143001 Dsc00339c_20241129143001  揖斐川の上をユリカモメが飛ぶ様子も見られました。七里の渡跡にくると、ヒドリガモ、オオバン、コガモのメスとけっこうたくさんいました。ヒドリガモは5ペア。いずれも休んでいて、左のような写真しか撮れません。オオバンは、3羽。

Dsc00397c_20241129143001  コガモのメスは1羽。しばらく前にも、ここにはコガモのメスが1羽、来ていました。オスはまだ見ていません。

Dsc00673c_20241129142901  九華公園の旧アヒル小屋近くではカワウが2羽。動きがけっこうシンクロしていて、楽しめます。カワウは、冬になるとたくさん集まってきます。神戸櫓跡の松の木や、野球場の照明灯の上が集合場所。多いと20~30羽くらいが来ています。神戸櫓跡の松の木は、カワウの糞で真っ白になっていきます。

Dsc01125c_20241129142901 Dsc01216c_20241129142901  奥平屋敷跡では、しばらくカワセミ・ショーが見られました。逆光の位置だったのはちょっと残念ですが、10数分も同じあたりにとどまっていてくれました。どちらの写真も、同じカワセミのものです。

Dsc01508c  奥平屋敷跡には、このほか、ハクセキレイも1羽。例の足の悪いハクセキレイです。

Dsc02037c_20241129142801  今日は、九華公園内のあちこちでカワラヒワをよく見ました。朝日丸跡では、20羽以上が集まっていました。カワラヒワは、秋に集団を作って、見合いをしてペアを見つけ、来春の繁殖をするそうです。

Dsc02084c Dsc02140c_20241129142801  朝日丸跡でモズを見たのですが、枝が多いところで、どうにも上手く撮れず、証拠写真。証拠写真といえば、九華橋近くの樹上にツグミが2羽ほど見えました。鳴き声は10日以上前から聞いていたのですが、写真が撮れたのは、今日が初めて。もう少し経つと、地上に降りてくると思います。

Dsc01941c_20241129142801 Dsc00510c_20241129144801  カモは今日は、キンクロハジロが35羽、ハシビロガモが18羽、ヒドリガモが2ペアでした。ホシハジロは今日も来ていません。昨日飛来したミコアイサも見られず。やはり九華公園には来てくれないのでしょう。

Dsc00655c_20241129145001  ユリカモメは60羽以上。そろそろ数取器を持って行かないと、数えられなくなってきています。

Dsc01838c_20241129142801 Dsc01025c_20241129142901  今日は、ユリカモメの飛翔シーンに挑戦。歩留まりはよくありません(苦笑)。

Dsc01911c_20241129142801  ユリカモメは、渡ってきて、11月中くらいは、九華公園ではエノキの実をついばんでいることがあります。この写真には、黒っぽい、小さな実をくわえているのが見えます。

Dsc00242c_20241129143301 Dsc00240c_20241129143301  散歩コースでの紅葉写真。左の写真は、玄関先から見下ろした諸戸氏庭園。かなり色づいています。イチョウの黄葉が気になって、毎日様子を見ています。朝早い時間の方がきれいです。

 Dsc00244c_20241129143301 こちらも諸戸氏庭園。大門よりも西側、水路に沿ったあたりの様子です。ここも朝早い時間がきれいです。

Dsc00254c_20241129143001 Dsc00636c_20241129142901  こちらは、桑名七里の渡し公園越しに見た六華苑の大イチョウ。右の写真は、鎮国守国神社の大イチョウ。何本かイチョウの木があります。木によって個体差がありますが、そろそろ見頃かという気がします。去年も、「ご近所イチョウ巡りツアー」に行っていますが(2023年11月30日:ご近所イチョウ巡りツアー)、ボチボチよいかも知れません。

2024年9月19日 (木)

20240918ハーベストムーン

Dsc05728c Dsc05703c_20240919040001  今年の中秋の名月は、9月17日でしたが、満月は9月18日。アメリカの農事暦では、ハーベストムーンというそうです。夕方は、雲が多くてうまく撮影できませんでした(右の写真は、18時40分頃)。左の写真は、9月19日の朝3時頃に撮ったもの。撮影条件は、中秋の名月のときと同じく、ソニーDSCーRX10M4を使い、f/8、SS1/125秒、ISO感度250、オートホワイトバランス、600mmズームで撮影しています。三脚は使わず、手持ち撮影。トリミングをしています。

Dsc05729c_20240919035301  こちらは、ノートリミングの写真。19日の朝3時頃に撮ったというのは、たいてい晩酌をして夜8時には寝てしまうのです。寝る前にも月を見たものの、やはり雲におおわれていました。

Dsc05727c_20240919035301 Dsc05726c_20240919035301  朝、自分で撮影しようと思って、カメラを確認したら、昨日(18日)の夜20時20分頃に撮った満月の写真がありました。家内と娘がなにやら話をしているような感じがしていたのですが、どうも娘が、私に変わって満月を撮っておいてくれたようです(微笑)。それがこちら。

2024年9月17日 (火)

20240917中秋の名月

Dsc05155c_20240917183701  今夜は中秋の名月です。ただし、今年の中秋の名月は、満月ではありません(こちら)。というのも、中秋の名月は、太陰太陽暦 の8月15日の夜に見える月のことを指し、満月とは異なるからです。満月は、明日です。中秋の名月をめでる習慣は、平安時代に中国から伝わったといわれています。日本では中秋の名月は農業の行事と結びつき、「芋名月」などと呼ばれることもあります。

Dsc05154c_20240917183701  今回も、ソニーDSCーRX10M4を使い、f/8、SS1/125秒、ISO感度250、オートホワイトバランス、600mmズームで撮影しています。三脚は使わず、手持ち撮影。撮影時刻は、18時半少し前。冒頭の写真は、この条件で撮って、トリミングをしています。左の写真も同じ条件で撮っていますが、こちらはノートリミング。

Dsc05161c_20240917183701 240917185047896c  こちらも、同じ条件で撮ったものですが、24mmで撮りました。よく見ていただくと、町の明かりが少し写っています。右の写真は、20分後にスマホで撮ったもの。

2024年4月20日 (土)

20240420諸戸氏庭園(その1)……庭園の花々

Dsc09406c_20240420182901  わが家のすぐお隣に諸戸氏庭園があります。江戸時代に豪商山田彦左衛門の隠居所として造られた庭園を明治に初代諸戸清六が買い取り、増築を行って現在に至る庭園です。今日・4月20日から春の一般公開が始まりました(6月16日まで)。故あって庭園内の写真をいろいろと撮らせていただくことになり、早速、今日、散歩の帰りに寄ってきました。10時半から12時過ぎまで1時間半あまり、旧知の歴史案内人Kさんがほかのお客さんを案内されるのに、無理矢理ついてまわって、あれこれ写真を撮ってきました。今日は、いろいろな花を中心に。

Dsc09089c_20240420183001  庭園内には、たくさんのドウダンツツジが植えられています。改めて調べてみて知りましたが、ドウダンツツジは、房総半島南部及び天城山以西の本州、四国、九州に分布しますが、三重県の朝熊山周辺はドウダンツツジの名所の1つだそうです。漢字では「満天星」という書き方があります(灯台躑躅とも書きます)。真っ白な花が株全体を覆う姿から星空を連想し、「満天星」と呼ばれるのです。ちなみに「灯台躑躅」の方は、枝分かれの様子が、結び灯台に似ているところから名づけられたものといわれているといいます。

Dsc09091c_20240420183001  1本だけ赤い花が咲く満天星があります(Kさんのご教示によります)。赤い花が咲くドウダンツツジには3種類あるようです(こちら)が、リンク先の写真と見比べると、ベニドウダンという種類かと思われます。

Dsc09118c_20240420183001 Dsc09154c_20240420183301  ツツジは、庭園全体ではまだ満開とはいえませんでしたが、木によってはよく咲いていました。左の写真は、推敲亭の方から藤茶屋の方向を撮ったもの。奥の中央あたりに藤茶屋の前のフジが見えています。別のところから撮ったものですが、同じあたりをクローズアップすると、右の写真のようになります。

Dsc09267c_20240420183301  ちなみに推敲亭の方を東側から見ると、このような景色です。手前の燈籠と推敲亭の間は、花菖蒲が植えられています。1ヶ月くらい先には、花菖蒲が見頃になるでしょう。

Dsc09210c_20240420183001 Dsc09202c こちらは主屋に向かって右手にある洋室のところ。ドウダンツツジを入れて撮ってみました。右の写真は、花ではありませんが、煉瓦蔵の内側におかれた鉢。メダカが入っています。

Dsc09252c_20240420185601 Dsc09241c_20240420183101  藤茶屋と、藤茶屋の前の藤棚。江戸時代、山田彦左衛門の隠居所であった頃には、桑名藩主の御成があり、ここでお茶でもてなしたといいます。もとの建物は、昭和20年に戦災により焼失したため、現在の建物はその基礎の上に記憶を頼りに元の建物に似せて昭和43(1968)年に再建されたものです。

Dsc09263c_20240420183101 Dsc09283c_20240420190501  菖蒲池の中には、コウホネもあります。咲き始めたばかりのようで、今日は3輪の花が見られました。菖蒲池の北には、蘇鉄山。

Dsc09396c_20240420191101  こちらは御殿玄関を背景にしたドウダンツツジ。庭園内にあるドウダンツツジの中には、樹齢が100年を超え、高さも3~4メートルになるかと思われるものもありました。ドウダンツツジは、通常は、高さ2メートルくらいだそうですから、それに比べるとかなり立派です。

Dsc09402c_20240420183201  主屋(本邸)では、今年からカフェが開店。「白ぎつねcafe」という名前で、時間指定制(45分制)、全8席、珈琲茶菓子付きで¥1,200。チケットは受付で購入できるそうです。主屋(本邸)は、私が桑名に引っ越して、現在のマンションに入居したときには、諸戸林業(諸戸ホールディングス?)の本社があって、ここで仕事をしておられたところのはずです。

Dsc09404c_20240420183201  ということで、今日のところは、庭園の花々についてまとめました。明日以降、建物その他や、トリビアについて書くつもりです。余談ですが、提灯に書かれているのは、カタカナで「モロト」。鬼瓦などにこの文字が刻まれていますが、一緒に回っていた方の中には、これをハングル文字と思い込んでいた方もおられました。

2024年3月10日 (日)

桑名市博物館の「春期企画展『刀剣アラカルト』」と光徳寺のヒカンザクラにメジロ……寺町で気象予報士の山田修作さんに遭遇

Dsc08326c_20240310165601 Dsc08332c_20240310165601  天気は良く、気温も昨日よりは高く、10.7℃になりました。風は弱くなるという予報でしたが、7.1m/sとけっこう吹いていました。朝7時半から散歩へ。住吉神社、九華公園、貝塚公園、内堀公園から桑名市博物館へ。さらに外堀から先日も行った光徳寺、旧東海道、鍛治町、吉津屋町、京町、寺町と7.6㎞も歩いてきました(微苦笑)。今朝は、藤原岳など鈴鹿の山並みは雪景色。

Dsc08570c  住吉入江には、ヒドリガモのオスが2羽にメスが1羽。例によってお休み中でしたから、写真は割愛。船津屋さんの裏手で久しぶりにホオジロ。オス。写真が撮りにくいところにいて、枝かぶり。近くにメジロもいました。

Dsc08726c_20240310165701  Dsc08751c_20240310170601 柿安コミュニティパークの堀には、今日もカンムリカイツブリ。コガモもオスが5羽にメスが8羽。昨日と同じ。

Dsc08787c  オオバンも2羽がいて、これまた最近ずっと同じ。カンムリカイツブリも、コガモも、オオバンも最近はここに常駐しているのか? と思えてきます。

Dsc08911c Dsc09155c_20240310165701  九華公園の奥平屋敷跡では、ツグミ。カワラヒワもかなりたくさんやって来ます。ほかには、ハクセキレイなども来ました。今日は天気は良かったのですが、小型野鳥は少なく、ジョウビタキも、コゲラも見られませんでした。

Dsc09226c Dsc09340c  ユリカモメは24羽ほど。ユリカモメは、英語では“black headed gull”といいますが、よく見ると頭部が夏羽の黒色に少しずつ変わってきています。さらに今日も、カイツブリが1羽。ときどき来ている若い個体と思います。

Dsc09029c_20240310165701 Dsc09040c_20240310165701  カモは、キンクロハジロがなんと84羽。今シーズン最多記録。ハシビロガモは12羽、ヒドリガモは2ペア、ホシハジロは1ペアとオス1羽。

Dsc09537c  貝塚公園では、ツグミ。2羽を確認しました。

Dsc09582c Dsc09590c_20240310165801  続いて桑名市博物館へ。昨日から春季企画展「刀剣アラカルト」が開催されていますので、早速見に行ったという次第。桑名といえば、「村正」ということになりますが、それ以外にもさまざまな刀剣などが展示され、その見どころが紹介されています。また、あわせて桑名市文化功労者である江川香竹先生の没後一周忌にあたり、2階展示室にて特集陳列「川のように 風のように ―江川香竹回顧展―」も開かれています。

Dsc09600c_20240310165801  毎回1点だけ撮影可能という展示があります。今回は、こちら。「脇差 銘 桑名住義朋斎三品廣房作/慶応二年四月 以多度斎火鍛之(わきざし めい くわなじゅうぎほうさいみしなひろふささく・けいおうにねんしがつ たどいみびをもってこれをきたう)」とあります。三品廣房は、19世紀半ば、桑名で活躍した刀工(現在、打刃物広房として営業しておられるお店の先祖)。多度大社の斎火(いみび)で鍛えたものということ。

Dsc09826c_20240310165901 Dsc09641c_20240310165901  さらに、光徳寺へ。先月29日にもここのヒカンザクラ(ただしくは、カンヒザクラですが、桑名市の観光サイトには「ヒカンザクラ」とあります)を見に行ったのですが(2024年2月29日:光徳寺のヒカンザクラ…ふれあい教室にも早咲きの桜がほぼ満開)、そろそろ見頃という話しを聞き、それならと足を延ばしました。いや、老木ではありますが、見応えがありました。

Dsc09694c_20240310165801 Dsc09807c_20240310165901  このヒカンザクラを今まで知らなかったのは、実にもったいない気がしました。ヒカンザクラは、2~3月、葉の出る前に、緋紅(ひこう)色の花が鐘状に半開して下向きに咲くといいますが、その通り。

Dsc09872c Dsc00024c  桜をあちこちから撮影していたら、ちょうどよいタイミングでメジロが登場してくれました。数羽がやって来て、賑やかでした。

Dsc09913c  こんなシーンも撮れました。メジロも役者です。

240310104219477c  ところで帰り道、今日もまた寺町商店街に立ち寄ったのですが、そこでこの方に遭遇。河津桜の前で花見団子を持ってポーズを取っているのは、メ~テレのドデスカ!と、ドデスカ!+で天気予報を担当している山田修作さん。番組のロケをしておられたようです。今週、放送があるかも知れません。

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  • 木村幹: 国立大学教授のお仕事 ――とある部局長のホンネ (ちくま新書)

    木村幹: 国立大学教授のお仕事 ――とある部局長のホンネ (ちくま新書)
    未だにこういう本を手にするということは、過去の仕事に未練があるのか、と思われそうです。確かに、健康問題がためとはいえ、定年のはるか前にリタイアせざるを得ませんでしたので、未練がまったくないとはいえません。部局長になったことはありませんでしたが、副学部長に相当する立場や、大学の評議員、セクハラマニュアル作成や、セクハラ実態調査を実施する責任者にはなりました。故に、1つの部局内だけではなく、全学的な立場での仕事も経験しました。ごく小さな研究会の会長をしたこともありますし、いくつかの学会で査読委員も依頼されたこともあります。自慢を書いているのではなく、この本の著者の経験と似たような経験もしてきたということです。世間でもたれている大学の教員のイメージは、著者が書いておられるように、実態に即したものというより、先入観がかなり先行したものと思います。現実には、多岐にわたり、大量の仕事、それも本来の業務である教育研究以外の仕事が占める比率が、年々高まっています。われわれが学生だった頃は、まさに古き良き時代でした。独法化されて以降は、教員受難時代といえるかも知れません。日本人は、大学に限らず、小中校ともに、教員に過剰に期待し、酷使していると私は考えています。専門性を尊重し、それが発揮できるような環境条件を整えてこそ、国も民も栄えるような気がします。大学の教員がどのような人達で、どのように働いているかを理解するには、好著と思います。 (★★★★)

  • デジタルカメラマガジン編集部: デジタルカメラマガジン 2025年5月号[雑誌]

    デジタルカメラマガジン編集部: デジタルカメラマガジン 2025年5月号[雑誌]
    ブロ友さんから教えていただきました。昔は、書店でよく立ち読みしていた雑誌です。2025年5月号の特集は、「野鳥撮影超入門ガイド」。内容はもちろん参考になることがたくさんありますが、載っている野鳥の写真がどれもきれいで、驚くくらい。これを眺めているだけでも楽しめるかも知れません。これで¥1,200なら、安い買い物といえるでしょう。 (★★★★★)

  • 日本放送協会,NHK出版: NHK 3か月でマスターする 江戸時代 2025年 1月~3月 [雑誌] (NHKテキスト)

    日本放送協会,NHK出版: NHK 3か月でマスターする 江戸時代 2025年 1月~3月 [雑誌] (NHKテキスト)
    NHKのEテレで放送された、同名の番組のテキストです。今年の大河ドラマ「べらぼう」の関連番組ともいえます。放送を見なくとも、このテキストを通読することによって、江戸時代の概要をおさらいし、さらに、学生時代に学んだ知識をアップデートすることができます。とくに私のように、学生時代から50年近く過ぎたものにとって、昔、教科書で学んだことが、今やまったく書き替えられていることもよくあります。図表、写真も多用されていて、とても分かりやすいものです。 (★★★★)

  • 田中 優子: 蔦屋重三郎 江戸を編集した男 (文春新書)

    田中 優子: 蔦屋重三郎 江戸を編集した男 (文春新書)
    今年の大河ドラマの主人公である蔦屋重三郎について書かれた本ですが、読み終えるのに難儀しました(苦笑)。蔦屋重三郎は、数多くの洒落本、黄表紙、狂歌を世に出し、歌麿、写楽を売り出した人物です。江戸最大のプロデューサーというか、編集者というか。大河ドラマの主人公になるくらいなら読んでみるかと思って、気楽に手に取ったものの、専門書ではないかと思えるような内容、記述で読むのに苦労しました。著者の田中優子さんは、法政大学総長も務めた日本近世文学、江戸文化の大家。 (★★★)

  • 岩波 明: 高学歴発達障害 エリートたちの転落と再生 (文春新書)

    岩波 明: 高学歴発達障害 エリートたちの転落と再生 (文春新書)
    高学歴、高機能の発達障害の方たちの人生は、かなり激しいアップダウンを示すことがよくあります。ダウンした、長いつらい時期を過ごさざるを得ない人達であっても、そこから這い上がり、復活して、成功をつかむことが可能な人達も多くいます。その一方で、長きにわたって低迷した状態から抜け出せない人や、失敗、挫折を何度もくり返してしまう人もいます。高学歴、高機能の人達は、理解がよく、必要な情報に容易にアクセスする能力を持っているのですが、この点がマイナスに作用することもあります。知識量が多くて混乱したり、自分の考えに固執して医師と対立関係になったりすることがあるからです。私自身は、発達障害のある人には、自覚と工夫が必要と考えていますが、この本を読み終えた現在も、その考えに大きな間違いはないと思っています。さらに、発達障害の特性があったとしても、広い意味での環境要因を整えることはとても重要です。専門家による専門的な援助はもちろん、学校、職場の環境調整、家族の適切なサポートなどがそれです。「工夫」をする際には、とくに力量のある専門家からの援助は不可欠です。ASDについては、中核的症状に対する、有効な薬剤がない現状では、心理教育や、認知行動療法、SSTが有用です。ADHDの諸症状には、有効な薬剤が複数ありますし、心理教育や、認知行動療法のアプローチも有用でしょう。苦手なことについてがんばろうとしないことや、自分の得意な事が上手く発揮できたり、活かせたりすることを考えることもとても大切です。この本は、当事者の方やご家族、関わりを持つ教師などの皆さんにとても参考になるでしょう。 (★★★★)

  • 外山滋比古: 人生の整理学 読まれる自分史を書く (イースト新書Q)

    外山滋比古: 人生の整理学 読まれる自分史を書く (イースト新書Q)
    著者は、私の出身高校が旧制中学であった時代の大先輩。『思考の整理学』ほか、多数のベストセラーを書いておられます。この本は、ほかの本を探しに書店に行ったときに見つけて、即買い。自分史を書こうとは思っていませんが、これまでの人生を振り返るのに、何か参考になるかも知れないと思って、買ってきました。「サクセスストーリーのほとんどが退屈」「言いたくてむずむずするところは抑える」「『私』をおさえて『間接話法」で書いてみる」「お手本の文章をみつけて、軟度も読む」「内田百閒『戦後日記』のようにさらっと書いてみる」などなど、首肯するところ多々ありました。 (★★★★)

  • 小松 正: なぜヒトは心を病むようになったのか? (文春新書)

    小松 正: なぜヒトは心を病むようになったのか? (文春新書)
    進化心理学とは、ヒトの心のはたらきを「自然淘汰による進化」という考え方によって統一的に説明しようとする分野です。私が現役の頃から発展してきた、新しい心理学の分野です。この本は、ヒトが陥る自己否定的な状態、他人に対する攻撃性、人間同士の対立や分断など、ネガティブな性質がなぜ進化の過程で残ったのかを考察しています。一言でいうと、それは生存や繁殖と深い関係があるというのです。進化心理学から捉えることで、これら、心のダークサイドがよりよく見えてきます。 (★★★★)

  • 林 望: 節約を楽しむ あえて今、現金主義の理由 (朝日新書)

    林 望: 節約を楽しむ あえて今、現金主義の理由 (朝日新書)
    林望こと、リンボウ先生の本は、昔々、よく読みました。「イギリスはおいしい」などのエッセイは楽しみました。この本のタイトルをネットで見たとき、まさかあのリンボウ先生だとは思ってもみませんでした。リンボウ先生と節約というのが結びつかなかったのです。しかし、読んでみると、まがいもなくあのリンボウ先生の文章でした。ただの節約術の本ではなく、高齢になったときのライフスタイル、生き方について、リンボウ先生の考え方が展開されていました。筋金入りのへそ曲がりにして、頑固者のリンボウ先生らしい生き方です。キーワードを拾っただけでも、その一端が分かります。「銀行は信用してはいけません」「(お金を)知らない人に預ける危険性を考える」「高齢者は見栄を張らない」「冠婚葬祭は義理を欠く」「自然の調整機能に任せる」などなど。私はリンボウ先生ほど変人でも頑固でもないと思っていますが(多少は変人で、融通が利かないという自覚はあります)、なるほどと思ったことは参考にして行きます。 (★★★★)

  • 関裕二: アマテラスの正体(新潮新書)

    関裕二: アマテラスの正体(新潮新書)
    著者の前著『スサノヲの正体』も、興味深く読みました。斬新な着眼点と発想で、思いもかけない結論に至っています。読み物としてはとてもおもしろいという点で、☆を5つとしました。ネタバレになりますから、詳しいことを書くのは控えておきますが、著者は、伊勢神宮に祀られているのは、いわゆる「天照大神」ではなく、別の霊威の強い(祟る)、二柱の神だとしています。祟るが故に、伊勢に放逐されたのだと主張するのです。ただ、著者の肩書きは、歴史作家にして、武蔵野学院大学日本総合研究所スペシャルアカデミックフェローであり、仏教美術に関心をもち、奈良に通ううち、独学で日本古代史を研究したということですから、現在の歴史学や考古学が明らかにした内容と整合性がとれている主張なのかどうかは、私には判断はできかねます。それ故、「読み物としてはおもしろい」と評価しています。 (★★★★★)

  • 小塩真司: 「性格が悪い」とはどういうことか ――ダークサイドの心理学 (ちくま新書)

    小塩真司: 「性格が悪い」とはどういうことか ――ダークサイドの心理学 (ちくま新書)
    タイトルに惹かれて読みました。ただし、初めにお断りしておきますが、図表こそないものの、心理学の専門書といっても良いくらいの、分厚い記述になっていますので、馴染みのない方にとっては読みやすいものではありません。「性格が悪い」ことについて、最近研究が進んできた「ダークな性格」を中心にまとめられています。ダークな性格とは、マキャベリアニズム、サイコパシー、ナルシシズム、サディズムの4つの特性です。これらの特性とリーダーシップ、社会的成功との関連、身近な人間関係中でのダークな性格、ダークな人物の内面、ダークな性格の遺伝、ダークさとは何かについて、文献を引用しつつ論じられています。その上で、性格の良し悪しは、その内容ではなく、どのような結果に結びつくかで判断されるというのが、著者の結論でした。 (★★★★)

  • 和田 秀樹: 老いるが勝ち! (文春新書)

    和田 秀樹: 老いるが勝ち! (文春新書)
    和田秀樹さんは、もともと高齢者専門の精神科医です。浴風会病院というところで35年間勤務され、6,000人以上の高齢者の方を診てこられました。その臨床経験から、高齢者については、理屈通りに行かないと思うことがたくさんあるといっておられます。タバコをたくさん吸っていても100歳まで生きる人もいれば、検査データはすべて正常なのにガンで亡くなる人もいるのだそうです。医者にいわれて血圧その他に注意していたのに、脳卒中を起こす人もいます。和田さんはこの本で80歳を過ぎたら我慢せず、好きな物を食べ、行きたいように生きることを勧めています。また、医療に関わらない方が長生きできる共書いています。不摂生を勧めておられるわけではありませんが、常識にとらわれず、自由に生きた方が楽しみも見つかってよいのではないかと思います。養老孟司先生流にいえば「なるようになる」のですから。 (★★★★★)

  • 彬子女王: 赤と青のガウン オックスフォード留学記 (PHP文庫)

    彬子女王: 赤と青のガウン オックスフォード留学記 (PHP文庫)
    彬子女王殿下の英国留学記です。彬子女王は、ヒゲの寛仁親王のご長女。殿下は、女性皇族として初めての博士号をオックスフォード大学で取得されました。この留学記は、ネットで話題になっていましたので、ぜひとも読んでみたいと思っていました。今上天皇の「テムズとともに」も読んだことがありますが、皇族の皆様は、どなたも誠実で朗らかで、それでいてユーモア溢れるお人柄をお持ちのようですが、殿下も同様でいらっしゃり、それがよく感じられる文章で楽しく拝読し、爽やかな読後感を持ちました。 (★★★★★)

  • 石井光太: ルポ スマホ育児が子どもを壊す

    石井光太: ルポ スマホ育児が子どもを壊す
    タイトルに惹かれて買ったのですが、帯にあるように「衝撃の現場報告」でした。この本に書かれているエピソードのうち、いくつかはこれまでにもマスコミ報道などで接していましたが、これだけのことがらが一度に示されると圧倒されます。現代の子どもたちは、まさに私たちが知っている(知っていた)子どもではなくなっているといえるようです。たとえば、「2歳児のネット利用率は58.8%」「子守歌はアプリで聞く赤ちゃん」「ヘッドガードの制服化」「教室の『アツ』に怯える小学生」「褒められ中毒はエスカレートする」などなど。スマホが登場して16年でその影響は大ですが、子どもたちの特徴に影響しているのはスマホだけではなく、現代社会や、大人達のありようも大きく影響しているといえます。「『将来の夢は交通整理のバイト』と言う女子高生」などはその例でしょう。私が教えている学生も、「『アツ』がすごい」ということがあり、いったい何だ?と思っていましたが、よく分かりました。すでに若い先生方は、デジタル・ネイティブ世代になっていますし、この本に登場する若者達が社会に出て、その中核を担うのも遠い将来のことではありません。これらの若者は、高い情報処理能力を持ち、周囲に適応する力もあり、コンプライアンス能力も高いのですが、それらを認めた上で、彼らが自立した大人になるために何が必要か見極め、それを提供することが必要とされるのでしょう。その意味では、大人の世代にも彼らを適切に理解し、必要な支援を提供する責任があります。 (★★★★)

  • 養老 孟司, 中川 恵一: 養老先生、再び病院へ行く

    養老 孟司, 中川 恵一: 養老先生、再び病院へ行く
    『養老先生、病院へ行く』の続編です。医療とは距離をとっておられる養老先生が、再診のため1年3ヶ月ぶりに東大病院に行かれました。大病から復活された今だからこそ語ることができる老い、医療、健康、死との付き合い方について、養老先生ご自身と、教え子にして主治医の中川恵一先生がお書きになっています。養老先生のスタイルをそのまままねすることは、凡人には不可能であり、よろしくはありません。しかし、健康についての考え方や、死についてのとらえ方などはとても参考になります。私が啓蒙されたことがらは、「健康法は人の数だけ存在する」「養老先生は抜け道の天才」「不連続な体調の変化に気をつける」「具合が悪いときは一週間様子を見ると医者に行くべきかどうか分かる」「お酒はもはや百薬の長ではないが飲む飲まないは自分で決めてよい」などでした。 (★★★★★)

  • 宮口幸治: 歪んだ幸せを求める人たち―ケーキの切れない非行少年たち3―(新潮新書)

    宮口幸治: 歪んだ幸せを求める人たち―ケーキの切れない非行少年たち3―(新潮新書)
    「ケーキの切れない非行少年たち」シリーズの3冊目です。本の帯には「『幸せを求めて不幸を招く人』の戦慄ロジック」とあります。「みんな幸せになりたい」という動機は万人がもつものでしょう。しかし、幸せの形は人それぞれですし、幸せになりたいと強く願うものの、かえって生きづらさや苦悩を抱える人たちもたくさんいます。著者は、人は幸せになりたいが故に、結果的に他人が不幸になることでもやってしまうといいます。さらに、幸せになりたいのだけれど、そのやり方がよくない」と考える、結果的に他人を不幸にする人たちを理解できるともいいます。著者が長年関わってきた非行少年達にもそれは共通するそうです。歪んだ幸せを求める人たちの背景にある要因として、著者は、怒りの歪み、嫉妬の歪み、自己愛の歪み、所有欲の歪み、判断の歪みの5つの歪みを取り上げ、事例も含めて考察しています。これを読むと、こうした5つの歪みは、ごく普通の人びとも多少とももっているものといえます。最終章では、自分と他者の「ストーリー」という概念を用いて、歪んだ幸せを求める事についてどう向き合えばよいか、提案されています。 (★★★★)

  • 森永 卓郎: 書いてはいけない

    森永 卓郎: 書いてはいけない
    他の本を買いに行った時、書店で平積みになっていましたので、思わず買ってしまいました。メディアのタブーに触れつつ、現在の日本が凋落している要因を3つ指摘しています。サブタイトルは、「日本経済墜落の真相」となっています。3つは、ジャニーズの性加害、財務省のカルト的財政緊縮主義、日本航空123便の墜落事件。この3つについては、関係者は皆知っているものの、触れてはいけない、本当のことをいってはいけないタブーになっているといいます。メディアで触れたら、瞬時にメディアには2度と出られなくなるそうです。ジャニーズ問題は、BBCの報道のためにオープンになってしまいましたが、著者の森永さんは、ご自身が病を得られたこともあって、現状を打破するためにこの本を書かれました。財務省による必要以上の財政緊縮政策と、日航123便の事故のお陰で日本がアメリカに対してどんどん主権を失っていったことが、日本経済の衰退の主たる要因と主張しています。たぶんそれは本当だろうなというのが、私の読後感。 (★★★★)

  • 立木 康介: フロイト『夢判断』 2024年4月 (NHKテキスト)

    立木 康介: フロイト『夢判断』 2024年4月 (NHKテキスト)
    何を今さら勉強しているのか? と思われるかも知れませんが、ちょっと前に流行った言葉でいえば、リスキリングに相当するかも知れません。学生時代に読みましたが、しっかり理解したかといえば、アヤシいのです。学生時代からは50年近い月日が経っていますので、その後の研究成果も含め、新しいことがあるだろうと思ったのです。100分de名著というNHK Eテレの番組のテキストです。講師の立木先生は、パリ第8大学で精神分析の博士号を取得され、京大人文科学研究所の教授。精神分析は「昨日までとは違う自分を手に入れるために行う」とおっしゃっていました。この番組でもっとも印象に残ったのは、あの有名な「エディプス・コンプレックス」よりも、今日、重要なフロイトが提案した概念は、「両性性」であるということでした。これは、いかなる個人も与えられた解剖学的性にしばられないセクシュアリティの自由を持つことをうたうものです。この視点に立てば、同性愛も、トランスジェンダーもいわば当たり前の存在であるということになります。これらを踏まえると120年間に書かれた「夢判断」の内容は、きわめて今日的な意義を持ってくると再認識する必要があります。 (★★★★★)

  • 諸富 祥彦: NHK「100分de名著」ブックス フランクル 夜と霧

    諸富 祥彦: NHK「100分de名著」ブックス フランクル 夜と霧
    フランクルのこの本は、改めて紹介するまでもないほど、有名な本です。私も学生時代、霜山徳爾先生の翻訳で読みましたが、ことばでは書き尽くせないほどの衝撃を受けたことを、いまでもよく覚えています。第二次世界大戦中にナチスの強制収容所に収監された経験をもとに、精神医学者・フランクルが、人生の目的を明確にし、その実現に向けて没頭する心理療法を紹介する本です。原題を直訳すると「それでも人生に然りと言う:ある心理学者、強制収容所を体験する」となります。実存心理学の名著であり、極限の環境におかれたとしても、何かが、あるいは、誰かがあなたを待っているということを主張しています。絶望して終わるのではなく、人生が何をわれわれに期待しているのかが問題であり、私たちはそれを学ぶことが重要だとしています。何度か読み直すことによって、人生への理解が深まる気がします。 (★★★★★)

  • 松田 忠徳, 増田 晋作: 枕草子の日本三名泉 榊原温泉

    松田 忠徳, 増田 晋作: 枕草子の日本三名泉 榊原温泉
    榊原温泉は、全国的に有名とはいえないかも知れませんが、名湯です。それは、枕草子に「湯は七栗の湯 有馬の湯 玉造の湯」にある、七栗の湯が榊原温泉と考えられるからです。最近、日本三名泉といえば、有馬温泉/兵庫県、草津温泉/群馬県、下呂温泉/岐阜県とされますが、枕草子に取り上げられたのはそれよりも古く、「元祖日本三名泉」といえます。榊原温泉の湯は、肌がきれいになる「美人の湯」というだけでなく、抗酸化作用もある健康の湯でもあります。この本は、日本一の温泉教授・松田先生と、地元を知り尽くした増田さんの共著で、「何もない」といわれていた榊原温泉の魅力を語り尽くしています。ちなみに、私にとっては家内の実家を知る上で格好のガイドブックです。 (★★★★)

  • 文藝春秋: 定年後に読む不滅の名著200選 (文春新書)

    文藝春秋: 定年後に読む不滅の名著200選 (文春新書)
    この本の帯には「これが定年後の知の道しるべ!」とありますが、私自身はさほど大上段に構えたつもりで読んではいません。どのような本が選ばれているかにももちろん興味はあったのですが、それらがどのように紹介されているかといった方面に興味があって読みました。本を紹介している方々はいろいろな分野で功なり、名を挙げた方ばかり。それらの方がどんな本を読み、どのように唱歌していらっしゃるかが知りたかったのです。ちょっと邪道な読み方ではありましたが、しっかりと楽しめました。 (★★★★)

  • 石田泰弘(編著): 街道今昔 佐屋路をゆく (東海の街道2) (爽BOOKS 東海の街道 2)

    石田泰弘(編著): 街道今昔 佐屋路をゆく (東海の街道2) (爽BOOKS 東海の街道 2)
    さほど本格的に取り組んでいるわけではありませんが、昔の街道を歩くのは好きです。この本のテーマである佐屋路(佐屋街道)も歩きたいと思って調べています。佐屋路は、東海道佐屋廻りとも呼ばれたように、東海道の迂回路でした。江戸時代に東海道宮宿と桑名宿の間を、陸路万場宿、佐屋宿の陸路を経て、佐屋から桑名宿への水路三里の渡しによって結んでいた街道です。実際に歩いて書かれたと考えられますが、旅人目線で書かれたウォーキングガイドです。津島街道、高須道も取り上げられています。部分的には歩いたところがありますが、佐屋路はいずれ、歩いてみたいと思い、計画中ですので、とても参考になりました。実際に歩かなくとも、歴史読み物としても楽しめます。 (★★★★★)

  • 柳瀬博一: カワセミ都市トーキョー 【電子限定カラー版】 (平凡社新書1049)

    柳瀬博一: カワセミ都市トーキョー 【電子限定カラー版】 (平凡社新書1049)
    東京都心にたくさんのカワセミが棲んでいるというのは、最近割とよく知られるようになっています。清流の鳥というイメージがあるかも知れませんが、東京の「野生」環境をうまく利用して繁殖もしています。そのカワセミが暮らす街は東京屈指の高級住宅街ばかりだそうです。すなわちカワセミも、人間も好む環境は同じというのです。カワセミが暮らす街は、人間にとってもよい街ということです。カワセミの存在に気付いたことから、「小流域源流」をキーワードに「新しい野生」と「古い野生」の繋がりを論じています。カワセミの生態も詳しく観察されていますので、私も今までよく知らなかったことが多々書かれていて、興味深く読みました。 (★★★★)

  • 内田 樹: コモンの再生 (文春文庫)

    内田 樹: コモンの再生 (文春文庫)
    私は、内田樹先生の評論が好きで割とよく読みます。「コモン(common)」とは、形容詞としては「共通の、共同の、公共の、ふつうの、ありふれた」という意味ですし、名詞としては「町や村の共有地、公有地、囲いのない草地や荒れ地」を意味します。昔は、ヨーロッパでも日本でも村落共同体はそういう「共有地」を持っていました。コモンを管理するには「みんなが、いつでも、いつまでも使えるように」という気配りが必要になるのですが、近代になって怒った「囲い込み」によって「コモンの私有化」が起こり、村落共同体が消え、集団的に維持されていた儀礼、祭祀、伝統芸能、生活文化が消えてしまったのです。著者は、このコモンを再生することが市民の原子化、砂粒化、血縁、地域共同体の瓦解、相互扶助システムの不在という索漠たる現状を何とかするために必要と考えています。ちなみに、マルクスとエンゲルスによるコミュニズムは、著者によれば「共同体主義」と訳した方がよく、彼らは「コモンの再生」が必要と提言したといいます。「共産主義」と訳されてしまったがため、なんだかよく分からないことになっているのです。「共有主義」あるいは「共同体主義」と意訳してくれていたら、もろもろが変わっていたかも知れないという話には、膝を打ちました。 (★★★★★)

  • 本田 秀夫: 知的障害と発達障害の子どもたち (SB新書)

    本田 秀夫: 知的障害と発達障害の子どもたち (SB新書)
    児童精神科医の本田先生の最新刊です。今回は知的障害が取り上げられています。これまでの本田先生の御著書では、発達障害が主に取り上げられてきたのですが、実は知的障害を持つ子どもたちも一定数存在していますし、発達障害と知的障害を合わせ持つ子どもたちもいます。その意味で、発達に困難のある子どもたちのことをきちんと理解して、適切な支援をする上では、両者を視野に入れることが重要です。著者は、知的障害の支援では、「早く」と「ゆっくり」がキーワードになると書いておられます。これは私もそうだと思います。可能な限り早期から支援を受けた方がよく、一方で、発達のスピードに合わせて「ゆっくり」としたペースで支援をすることが大切になります。発達障害の子どもたちにも「本児のペースに遭わせた支援が必要」とおっしゃる方がありますが、発達障害の子どもたちの理解/支援の上でのキーワードは「アンバランス」です。この本は、発達が気になるお子さんをお持ちの保護者の方、特別支援教育に携わる教員の方々にとって、基本的なテキストといえます。 (★★★★★)

  • BIRDER編集部: お手本でわかる!野鳥撮影術 (BIRDER SPECIAL)

    BIRDER編集部: お手本でわかる!野鳥撮影術 (BIRDER SPECIAL)
    バードウォッチングや野鳥撮影を趣味にしています。とはいえ珍鳥を追うのではなく、主に自宅近くを散歩しながら、いわば「定点観測」のように野鳥を見ています。自分の写真の撮り方を振り返ると、図鑑的に撮ることがほとんどです。なぜそうなのかを考えてみると、研究者の端くれであったことが関わっている気がします。つまり、写真を撮ることを、観察した記録やデータと見ているからではないかということに思い当たりました。野鳥撮影の「幅を広げたい」と思っていたら、この本が出版されました。ざっと目を通したところ、「色とりどりの花と鳥」「木の実レストラン」「やわらかい表情を追う」などさまざまなテーマで鳥とその周辺を撮る方法が載っています。これを参考に、自分の野鳥写真の世界を広げられたらいいなと思える本です。 (★★★★★)

  • 磯田 道史: 磯田道史と日本史を語ろう (文春新書)

    磯田 道史: 磯田道史と日本史を語ろう (文春新書)
    磯田道史さんが、さまざまな分野の達人と歴史についての論賛をしたのをまとめた本です。論纂とは、①人の徳行や業績などを論じたたえること、②史伝の終わりに著者が書き記した史実に対する論評のこと。異分野の専門家同士が議論をすることによって生まれるものは、別次元となり、大変興味深いものとなります。この本がその論より証拠。養老孟司さんとの論賛からは「脳化社会は江戸時代から始まった」という話が出て来ています。忠、孝、身分などは、シンボリズムであり、それらは見たり、触れたりできません。また、関東大震災に遭遇したことは、被害に対する鈍感さをもたらし、それが太平洋戦争につながったという指摘には、なるほどそういう面も確かにありそうだと思わされました。その他、歴史や人間について、実にさまざまな、新しい見方が示され、大変おもしろく読み終えました。 (★★★★★)

  • 保阪 正康: 近代日本の地下水脈 I 哲学なき軍事国家の悲劇 (文春新書 1440)

    保阪 正康: 近代日本の地下水脈 I 哲学なき軍事国家の悲劇 (文春新書 1440)
    本の帯に「『水脈史観』で日本の失敗を読み解く」とあります。「水脈史観」という概念には初めて接しましたが、「攘夷のエネルギーは、いまも日本社会の根底に流れている」という見方です。明治維新後、日本がとりえた国家像は、欧米型帝国主義国家、道義的帝国主義国家、自由民権国家、米国型連邦制国家、攘夷を貫く小日本国家の5つであったが、哲学なきまま欧米型帝国主義国家の道を突き進み、軍事中心の国家作りを推し進めたことが、戦前の日本の失敗の原因であったというのが著者の主張です。それは確かにそうだと思いますが、私には、ほんのサブタイトルにある「哲学なき国家」ということが、現代日本の様々な問題の背景にあるような気がしてなりません。 (★★★★)

  • 佐伯 泰英: 陰流苗木(かげりゅうなえき)~芋洗河岸(1)~ (光文社文庫)

    佐伯 泰英: 陰流苗木(かげりゅうなえき)~芋洗河岸(1)~ (光文社文庫)
    今回も特別に時代小説を取り上げます。この2つ前の本に佐伯泰英さんの「恋か隠居か 新・酔いどれ小籐次(二十六)」を取り上げ、これは佐伯さんの300冊目の「文庫書き下ろし小説」だと書きました。今回のこの本は、301冊目です。しかも、80歳を越えて、さらに新しいシリーズを始められたのです。美濃を食い詰めた浪人・小此木善治郎が、職なし、金なし、住むあてなしながら、剣の達人にしてとぼけた侍であるものの、なんとも頼りになる存在で、親切な住人や大家によって受け入れられた長屋の秘密と謎の渦に巻き込まれるという設定。これまたおもしろそうなシリーズです。毎月刊行で、全3巻の予定とか。第2巻が待ち遠しい内容です。 (★★★★★)

  • 養老孟司, 鵜飼哲夫: なるようになる。 僕はこんなふうに生きてきた(中央公論新社)

    養老孟司, 鵜飼哲夫: なるようになる。 僕はこんなふうに生きてきた(中央公論新社)
    養老先生の新刊が出たというので早速入手し、ほぼ一気に読み終えました。「はじめての自伝!」といううたい文句で、帯には「虫と猫と、バカの壁。考え続けた86年」ともあります。養老先生は、かなりしつこい性格でいらっしゃるようで、疑問に思ったことは「まぁいいか」などと思わず、考え続けてこられたそうです。その結果が、これまでのユニークな著作に結実しています。それはさておき、考え続けた結果、「なるようになる。」というのが、養老先生の現時点での結論だそうです。「なるようにしかならない」ではなく、「なるようになる。」のです。物事は、はっきりとした目的意識があって進むのではないので、「なるようになる。」なのです。忘れてしまったような些事がその後の人生を動かしてきたかもしれないともあります。なるほどと、この本を読み、養老先生の来し方をいささか知ると、納得できます。というか、納得した気になっているだけかも知れませんが…… (★★★★★)

  • 佐伯 泰英: 恋か隠居か 新・酔いどれ小籐次(二十六) (文春文庫)

    佐伯 泰英: 恋か隠居か 新・酔いどれ小籐次(二十六) (文春文庫)
    佐伯泰英さんは、この本で「文庫書き下ろし小説」というジャンルで300冊刊行を達成されました。佐伯さんの時代小説はすべて読んでいます。まさにストーリー・テラーといえる作家で、実に読み応えのある時代小説をたくさん書いておられます。このシリーズは、いったん完結となったかと思ったのですが、この「恋か隠居か」で復活しました(と理解しています)。隠居を考える小籐次ですが、小籐次親子に挑戦状が届くところから始まる物語。今回も楽しめました。 (★★★★★)

  • 安藤優一郎: 15の街道からよむ日本史 (日経ビジネス人文庫)

    安藤優一郎: 15の街道からよむ日本史 (日経ビジネス人文庫)
    街道歩きを少ししています。三重県内では、東海道のほとんど、伊勢参宮街道、美濃街道・養老街道などを歩きました。もっとあちこちの街道を歩きたいと思っていますが、そのときにこの本が出版されましたので、早速入手して読みました。芭蕉の奥州街道、伊勢参宮街道のお伊勢参り、武士の旅日記などの章をとくに興味深く読みました。主要な街道を取り上げることで読みやすい歴史物語となっています。 (★★★★)

  • 大芦治: 心理学をつくった実験30 (ちくま新書)

    大芦治: 心理学をつくった実験30 (ちくま新書)
    「誰もが一度は耳にしたことがある有名実験の背景・内容・影響を紹介、新たな心理学像を呈示する」と帯にあります。心理学全般に関心を持つ社会人を読者に想定しているといいますが、私には心理学史のテキストとして、あるいは、入門段階の心理学を学んだ方がさらに学習を深める際に読む本としてもよいかも知れません。 私自身も、心理学の教科書を執筆したことが何度かありますが、そこに引用する理論や実験については、いわゆる「孫引き」をしてしまったこともよくありました。この本の著者は、可能な限り原典にあたって執筆していらっしゃり、その意味では参考になったところが多々あります。 ところで、著者は心理学の未来にあまり明るい展望を持てないようです。臨床心理士、公認心理師の資格が人気を集め、心理学部などもたくさん設けられました。私自身の勝手な個人的意見を書けば、資格ができると、レベルは下がると思っています。根拠はありません。個人的な印象によるものです。私は実験心理学でトレーニングを受け、臨床心理の分野に進みました。心理学の基本は実験心理学と個人差測定心理学にあると思っています。学部段階からいきなり臨床心理学プロパーに進むのは、相当よろしくないと思います。臨床実践にあたってはその基礎となる確かな、科学的な学問(知見、理論なども含む)が必要です。また、仮説演繹法などのものの見方もきちんと身に付ける必要があります。これらは実験心理学と個人差測定心理学から養われると思っています。 この本は、基礎的知識がない方がいきなり読むのは難しいでしょうが、科学的心理学を学びたいと思う方にはよい参考書となります。 (★★★★)

  • 磯田 道史: 家康の誤算 「神君の仕組み」の創造と崩壊 (PHP新書)

    磯田 道史: 家康の誤算 「神君の仕組み」の創造と崩壊 (PHP新書)
    磯田先生の書く本はどれもとても面白く読めます。といっても、私が読むのは研究書ではなく、新書だからなのかも知れません。この本は、家康がなぜ幕藩体制を創ることができたのか、江戸時代、誰が神君の仕組みを崩わしたのか、幕末、かくして神君の仕組みは崩壊した、神君の仕組みを破壊した人々が創った近代日本とは、家康から考える日本人というものという5つの章からなっています。家康は天下を取ったあとこの国を支配するのに巧妙な仕掛けをつくり、平和な時代が続いたのですが、誤算が生じて、徳川政権が変質し、崩壊に至ったと著者は考え、そのプロセスを俯瞰しています。いろいろな時点で「神君の仕組み」を骨抜きにする人物や政策が表れたといいます。組織が弱体化する姿を見ておくと、自分たちの劣化を防ぐ力が養われると磯田先生は述べています。徳川時代が現在にあたえている影響も多く、その分析も興味深く読めます。 (★★★★★)

  • 多井 学: 大学教授こそこそ日記

    多井 学: 大学教授こそこそ日記
    文庫本を買いに本屋に行ったら、平積みしてあるのを見つけて思わず買ってしまいました。私もその昔、ご同業だったことがあったからです。帯に「いくらでも手抜きのできる仕事」とありますが、私の経験でもそういう人もそれなりにいました。ちなみに私自身は、こき使われたと思っています。さらに「現役教授が打ち明けるちっとも優雅じゃない生活」とも書かれていますが、これはまさに私の体験と同じ。本に書かれていることがらも、ことごとく納得できます。私は、「そうそう!」といいながら読み終えました。大学教授で儲けている人はごく一部などなど。まぁ大学教授の仕事や生活に興味をお持ちの方は、さほど多くはいらっしゃらないとは思いますが、お暇な方にはどうぞ。 (★★★★)

  • 宮口 幸治: 境界知能の子どもたち 「IQ70以上85未満」の生きづらさ (SB新書)

    宮口 幸治: 境界知能の子どもたち 「IQ70以上85未満」の生きづらさ (SB新書)
    「境界知能」という言葉は、専門家はよく知っていると思いますが、一般のご父兄や、小中学校の先生方にはあまりなじみがないかも知れません。IQという指標でいえば、多くの場合70以上85未満の子どもたちがこれに該当する可能性があります。一見したところでは普通の子どもたちと変わりはなく、なかなか気づかれません。しかし、理論的には約14%の子どもたちが含まれますから、本の帯にあるように「日本人の7人に1人」となります。平均と知的障害のはざまにあり、気づかれにくいものの、授業について行けなかったり、友だちと上手くつきあえなかったり、感情のコントロールが苦手であったりして、当事者の子どもたちは苦戦し、辛い思いをしています。発達障害はよく知られるようになりましたが、境界知能の子どもたちにもしっかり目を向け、必要な支援を提供することは喫緊の課題といえます。この本では、境界知能とはどのような状態なのか、教科学習の前に認知機能を向上することの重要性、子どもの可能性をいかに伸ばしたら良いかについて具体的に、分かりやすく解説されています。 (★★★★)