お知らせ

  • データの移行について
    2005年10月26日のブログ開始当初から、2023年11月30日までの記事は、「猫の欠伸研究室(アーカイブ)」に移行しました(http://blog.livedoor.jp/taichimaru151/)。 このココログの「猫の欠伸研究室」には、2018年1月以降の記事を残し、2017年12月以前の記事は削除しました(2018年1月1日から2023年11月30日までの記事は、両方にあります)。

レンズを通した自然観察

  • この「レンズを通した自然観察」ということばは、恩師のお一人が、私の趣味を形容しておっしゃったものです。2023年2月7日のブログに書きましたが、実はときどき思い出していることばです。お世話になった先生方はたくさんいらっしゃいますが、この恩師は、就職のことから学位論文の執筆、審査に至るまで本当にお世話になった先生です。「写真の撮り方を指南してもらいたい」ともおっしゃったのですが、これはお世辞と理解しています。私はほぼ隠居状態となって10年以上になりますが、今、改めてこのことばをかみしめています。この先生には結婚式の際に「理論と臨床をつなぐ仕事をするように」ということばをいただきました。体調を崩してそれには十分に応えられませんでしたので、せめてこの「レンズを通した自然観察」については、極めるとまでは行かないにしても、もう少し精進したいと考えています。

ブログ名の由来

  • ブログ名の「猫の欠伸研究室」は、中日新聞の夕刊に連載されている「紙つぶて」というコラム(平成22(2010)年1月13日)に、元新党さきがけ代表の武村正義さんが書いていらっしゃった「人生は猫の欠伸である」というコラムによります。武村さんは、“チベットで鳥葬を取り仕切る僧侶が、「人の生涯は猫の欠伸のようなもの」と語った”と書いていらっしゃいます。「猫の欠伸のようなもの研究室」としたかったのですが、ちょっと間延びしますので、「猫の欠伸研究室」とした次第です。「研究室」とつけたのは、過去、大学に勤めていたことがあるということやら、知らないこと、分からないことがあると何でも調べずにはいられない性分であること、屁理屈、講釈が大好きであることからであります。しかし、「人生の研究をしている」のではありません。「大所高所」からのご高説を開陳できるほどの力量はないが故、「小所低所」からの戯れ言をつぶやくのが精一杯(苦笑)。身の程に合わせ、勝手なことを書き綴っていますので、御用とお急ぎでない皆様には、今後ともご交誼のほど、お願いいたします。是非ともコメントを頂戴し、少しでも世間を広げたいと熱望しております。

モットー

  • 座右の銘というほど立派なものはありませんが、過去に体調を崩し、療養生活を送った経験から、私なりのモットーをつくっています。その一つは、「淡々と飽きもせず……」です。自分では、「……」と余韻を残しているところが気に入っています。こだわりすぎや、やり過ぎはよくありません。若い頃はムキになってやったこともありますが、今はこのように「淡々と飽きもせず……」が自分に合っていると思っています。もう一つは「晴耕雨読」ならぬ「晴歩雨読」です。マンション暮らし故、耕すところはありません。代わりに歩いています。そして、最近(令和3(2021)年に入った頃から)追加したのが、「散歩生活、ときどき仕事」。NHKのテレビ番組に「晴れ、ときどきファーム!」というものがあります。これのもじり。浅学非才の身ですので、ご交誼の上、いろいろとご教示をお願いします。

文化・芸術

2023年11月26日 (日)

紅葉とカワセミ、ユリカモメのバトルそしてジョウビタキのメスと「三題噺」

Dsc00489c  今日の最低気温は、3.5℃。たぶん今シーズンもっとも低かったと思います。日中は14.9℃まで上がり、風も弱いのでさほど寒くは感じません。昨日のウォーキングの疲れはないと思っていたのですが、長めの昼寝をしてしまいました(苦笑)。やはりそろそろ「いい年をしている」のだと実感せざるを得ないのかも知れません。午前に所用がありましたので、7時15分から「時間制限法」で散歩へ。住吉神社、九華公園、内堀公園、京町、寺町と回って8時35分に帰宅。9時過ぎに用事を済ませ、9時半前から再び徒歩でメディアライブと柿安シティホールまで。合計6.5㎞。

Dsc00505c_20231126152601 Dsc00553c_20231126152601  拙宅マンションを出たところでカワセミの鳴き声。北側の水路を探したら、いました。水路から諸戸氏庭園の紅葉の下のフェンスにあがったのが、左の写真。右は、その後しばらくして水路沿いに降りてきたとこと。もう少し明るいとよかったのに。

Dsc00654c Dsc00613c  七里の渡し跡のところでオオバン1羽を見たのですが、暗くてほぼ真っ黒に写ってしまいましたので、割愛。九華公園に着いて、鎮国守国神社の裏のビワの木でゴイサギが1羽、お休み中。手前の堀には、コサギが1羽。エサを探しているようでした。

Dsc00681c_20231126152601 Dsc00748c_20231126152601  九華橋の近くの樹上には、アオサギ。九華公園でアオサギをはじめ、サギたちを見たのは、久しぶりです。カモは今日は、合計70羽。キンクロハジロが51羽、ハシビロガモが17羽、ヒドリガモは1ペア。

Dsc00802c Dsc00861c  奥平屋敷跡では、立教小学校の方からシジュウカラ数羽と、コゲラ1羽がやって来ました。どちらもよく動き、なかなか手強い。

Dsc00991c_20231126152601 Dsc01006c  ユリカモメは、33羽。左の写真は、野球場南の堀沿いにある柵の上に並んだところ。お尻写真も、今シーズン初めて撮れましたが、何羽も並んだところはこれから。

Dsc01216c_20231126152601 Dsc01243c_20231126152601  こちら、2羽のユリカモメが何やらもめていました。場所は、野球場の南の吉之丸堀。連写していましたので、パソコンで見てどうなっていたか、分かった次第。

Dsc01264c  相手にどのように攻撃するかというと、どうも嘴で、「噛みつく」訳ではありませんが(歯がありませんから)、相手の体の部分を強くくわえ込んで、引っ張っているように見えました。また、足で相手を蹴飛ばしているのか? と思えるシーンも写っています(これは今ひとつはっきりしていませんので、割愛しています)。またチャンスがあったら狙ってみることにします。

Dsc01527c_20231126152701  帰り道、住吉入江でジョウビタキのメスが出て来ました。寺町交差点から北のあたりですが、この辺ではこれからジョウビタキをときどき見かけます。

231126093715815c 231126093757988c  桑名メディアライブでは、「桑名市民芸術文化祭」の「美術部門展」をまずは見てきました。知人が写真を出展しているのです。絵画、工芸、陶芸、彫刻なども一通り見てきました。山本翠松さんの「イジイジ塗り桑名盆(紅白かぶら絵)」が出ていましたが、さすがにプロの手によるものは違います。伊勢型紙の手法で景色がつくってあるものや、陶芸、彫刻に渡しの興味を引くものがありました。中央図書館にも行って、「昭和の写真でめぐる桑名」(第18回昭和の記憶収集資料展)を見てきました。

231126095711900c 231126095740364c  さらに柿安シティホールでは、「桑名市民芸術文化祭」の「社会文化部門展」として、「桑名市街 領知替え200年」と「石取祭車 最新の研究から」という2つの展示が行われており、こちらも一通り拝見してきました。

Dsc01492c_20231126155201  ところで今週末は、もう12月になります。水曜日は、いつものように非常勤の講義。ほかに図書返却や、来年度のシラバスの〆切がありましたが、これらはすでに完了。年寄りになると、〆切よりも早くに提出してしまうようです(微苦笑)。

2023年10月31日 (火)

ムシクイにカワセミでバードウォッチングの吉日……桑名市博物館で特別企画展「武門の遺産(レガシー)」を見てくる

Dsc05784c  相変わらずの好天で、散歩日和が続いています。日中は、23.1℃と暖かくなりました。今朝も7時20分から散歩へ。住吉神社、九華公園から桑名市博物館へ。予定通り特別企画展「武門の遺産(レガシー)」を見たのち、京町、寺町と歩いて、7.0㎞。今日は、九華公園でジョウビタキ、シジュウカラ、カワラヒワ、ムシクイがよく出て、調子に乗って2,000枚近くも写真を撮ってきてしまいました。

Dsc03877c_20231031162101 Dsc05767c  散歩に出てすぐ、諸戸氏庭園からコゲラの鳴き声がよく聞こえてきました。あの高木のてっぺんにいました。ここにはモズやジョウビタキも来ます。どういう風になっているかは、右の写真をご覧ください。本邸(主屋)に向かって少し右奥に見えているのが、この高木です。

Dsc03901c  桑名七里の渡し公園では、今日もハクセキレイが1羽。諸戸氏庭園や、ここ七里の渡し公園では、ヒヨドリがたくさんいます。スズメやドバトは最近、このあたりではあまり見ません。

Dsc03966c_20231031162101  九華公園に着いて、扇橋の西のソメイヨシノの木にジョウビタキのオス。鳴き声でどこにいるか、よく分かります。

Dsc04711c_20231031162001  奥平屋敷跡では、ムシクイ。たぶんセンダイムシクイだと思いますが、これは夏鳥。見られたのは嬉しいのですが、こんな10月末にここにいてよいのかと心配になります。よく動くので散々苦労したのですが、これくらいの写真しか撮れませんでした。

Dsc04242c Dsc04243c  膨大な数を撮った写真の中で、こんなところが写っていました(苦笑)。まさにご笑覧ください。クリックして拡大した上で、お尻のあたりをよくよくご覧ください。そうです、ウ○チをする瞬間が連写で写っていたのです。狙ったわけではありません。たまたま。

Dsc04244c  こちらは、ウ○チがお尻から離れ、落下していく途中。

Dsc04124c Dsc04908c_20231031162001  ほかに奥平屋敷跡にやって来たのは、ジョウビタキのメスとオス、1羽ずつ。メスは、奥平屋敷跡を回っているようです。オスは、扇橋のところで見たものと同じ個体かも知れません。

Dsc04054c Dsc04092c_20231031162101  そのほか、メジロやカワラヒワ、シジュウカラも来ていました。メジロとカワラヒワは、木の高いところにいて、姿をなかなか確認できませんでした。

Dsc04512c Dsc04939c_20231031162001  シジュウカラは2羽が一緒に来て、移動しながらエサを探しているようでした。こちらもよく動き回り、じっとはしてくれません。このあと、二の丸跡でもメジロ、また、朝日丸跡でもジョウビタキのオスを見られました。

Dsc05650cDsc05250c_20231031162001 奥平屋敷跡でムシクイ、ジョウビタキ、シジュウカラ、メジロ、カワラヒワとたくさん出て来て、時間がたつのをとても速く感じました。「これで、あとはカワセミがいたらいうことはないな」と思いつつ、鎮国守国神社を回って、相撲場のところへ来たら、ジャーン! なんと、カワセミがいるではありませんか。今日は、バードウォッチングの吉日です。何度かダイビングしたのですが、そこは上手くは撮れず。途中、ヒヨドリが乱入して、カワセミも何度か逃げたのですが、最後に右の写真のように、カワセミにはちょっと大きめの魚をゲットしたところも見られました。このあと、鎮国守国神社の社務所裏に入ってしまい、これを食べたかどうかは確認できませんでした。ボラの子どもではないかと思います。

Dsc05177c_20231031162001 Dsc04024c  カモは、今日は合計55羽。ホシハジロは、今日はいませんでした。キンクロハジロが48羽。ハシビロガモは8羽。

Dsc05663c_20231031162001 Dsc05691c  ヒドリガモはオス、メス1羽ずつ。さらに、九華公園の外周遊歩道の南でも、ジョウビタキのオス。奥平屋敷跡などで見たのと同じ個体かも知れません。

231031101454739c  9時40分過ぎに桑名市博物館へ。初めに書きましたように特別企画展「武門の遺産(レガシー)」を見て来ました。11月26日(日)まで開催中です。

Bumon  昨日の記事にも書きましたが、文政6(1823)年、忍(おし/埼玉県行田市)藩主阿部正権が白河へ、白河(福島県白河市)藩主松平定永が桑名へ、桑名(三重県桑名市)藩主松平忠堯が忍へ国替えとなる「三方領知替」が行われました。この展覧会は、3市友好都市締結のきっかけとなった「三方領知替」から200年、また友好都市締結25周年となる節目の年を記念して開催されています。3つの大名家と德川将軍家の関係を示す書状や、三方領知替に関わる古文書、大名家伝来の美術工芸品、江戸時代の各藩の様子がうかがえる資料などを展示されています。ポスターの写真は、桑名市博物館のサイトからお借りしました。こちらに出品リストがあります(pdf、640kb)。私は、3つの城の絵図や、阿部家に伝わる陣羽織、具足などを興味を持って見てきました。

Dsc05743c_20231031162001  こちらは、毎回、1点のみある写真撮影可の展示品。「古萬古 オランダ写手焙」。萬古焼の創始者・沼波弄山の作。手焙りは、手をあぶるのに使う小型の火鉢。麒麟、鳥など抽象的な瑞獣、瑞鳥文、蔓草文が描かれ、異国情緒が感じられます。

2023年10月25日 (水)

今日の寄り道は三重県総合博物館で「鳥のひみつ調べ隊 みて、きいて、ふれて」展へ

231025120614590c  水曜日ですから、江戸橋での講義日です。今日で5回目、全体の1/3となりました。出席率は、90%弱と、3回目と同じく最高を記録。これまで休んでいて今日から出席したという「超強者」もあります。15回中、10回以上の出席がないと成績評価を受ける資格がなくなります(つまり、失格して期末試験を受けられません)。今日から来たということは、まさに「後がない」状況です。今後の奮起を期待します。

231025102314788c  今日までは「発達からみた人間関係」というジャンルの話。具体的には今日は「⻘年期の⼈間関係の悩みとその克服」というテーマで、学生諸君にも切実というか、身近な話題でしたので、出席票の反応もかなりよいものがあります。というのも、学籍番号・氏名しか書いていないというものが、ゼロだったのです。いつもこうであって欲しいと思いますが……。

231025121550265c 231025121743060c  さて、いつもなら授業終了後は、志登茂川に立ち寄って、鳥がいないかを見てくるのですが、今日の寄り道はこちら。非常勤先まで、実家に行く家内に迎えに来てもらって、三重県総合博物館(ミエム)へ。「鳥のひみつ調べ隊 みて、きいて、ふれて」を見てきました。ようやく念願が叶いました(微笑)。前売り券を買っておきましたので、¥800のところを¥640で入館。12月10日まで開催されています。

231025121903225c  企画展示室に入ってすぐのところ。今回の展覧会では、「このブースは撮影可」というところが多かったので、写真をたくさん撮ってきました。様々な側面から鳥のひみつをひも解いていく内容です。鳥の祖先、鳥ならではの飛ぶための工夫などの形態的からの考察、芸術作品で見る鳥の歴史や食文化の紹介なども。鳥に関する貴重な剥製や骨などの展示資料は、293点も出展されています。実際に触れられる標本や、鳥の声が聞けるブースまであります。

231025122039801c  この写真では大きさがわかりにくいのですが、これは世界最大と言われている「ジャイアントモア」。なんと足先から頭まで3mもあり、体重も250㎏あったものもいるといいます。最大のものは、3.6mにもなったそうです。ただし、おとなしい性質で、人間にたやすく乱獲されてしまい、すでに絶滅しているそうです。空を飛ばない鳥です。

231025122943630c 231025122648663c  こちらは、私の好きなアオサギ。骨格標本も展示されていて、マジマジと見てきました。これで、明日以降、アオサギを見る目も変わるかも知れません。

231025122508789c  キジの体に生える羽を抜いて並べた展示もあります。一羽のキジが、ものすごい総量の羽をまとっていることが一目瞭然。ただし、これで全部ではありません。これは、首・背中から尾・胸・翼の部分だけといいます。実際に見ると、圧倒されます。

231025125438397c  さて、三重県総合博物館に行くと、必ず会ってくるのが、さんちゃんオオサンショウウオです。三重県総合博物館唯一の生きた標本なのです。じっとしていましたが、たぶん元気です。

 231025125422514c そして、ミュージアムショップでお土産をゲット。図録(¥1,000)、「しろっちとなかまたちフレークシール(¥550)」に銘菓「関の戸(¥648)」です。フレークシールは、写真やイラストに沿ってひとつずつカットされた小さなシール。しろっちは、三重県の鳥であるシロチドリから来たキャラクター。関の戸は、東海道関宿にある深川屋さんのお菓子。実は、これも大好きなのです。

231025130048704c  博物館からバスで津駅まで。バスは、某大学の学生さんで大賑わい。それはよいのですが、入り口付近まで人がいて、乗ろうと思っても奥に詰めてくれないのです。運転士さんがアナウンスしてくれてようやく少しだけ奥に行ってくれましたが、前回来たときも同じでした(2023年5月24日:江戸橋で授業のあと、三重県総合博物館で「親鸞と高田本山 専修寺国宝からひろがる世界」を見る)。もうちょっと進んで他の客に対しても気を遣ってくれないかなと思います。どこの学生さんかは敢えて書きませんが、お分かりになる方にはお分かりいただけるでしょう。ちなみに、私が教えているところの学生ではありません。

231025133621235c  津駅に着いてから昼食。津チャムにある「信州そば処そじ坊」へ。ここ、お気に入りの店。13時半過ぎです。今日は、「ぶっかけ蕎麦3種盛り」をチョイス。税込みで¥960。トッピングは、大エビ天ぷら、おろし、なめこ。これ、失礼ながら、チェーン店の蕎麦とは思えないほど、おいしい蕎麦でした。

2023年10月15日 (日)

午後から「つながる琳派スピリット 神坂雪佳展」へ

Dsc05963c_20231015172501  雨は朝5時過ぎにはほぼ上がったのですが、その後も8時頃まで小雨模様でした。散歩に出られたのは、8時20分ころ。住吉神社、九華公園、貝塚公園、内堀南公園、吉津屋町、京町、寺町と歩いてきました。9時半頃からはよく晴れて来ました。冒頭の写真は、帰宅したときのもの。午後の外出も含め、今日歩いたのは、6.9㎞。最高気温は、25.1℃。

Dsc05432c_20231015172501  歩いている間は、ほぼ曇天でしたので、鳥はあまりいませんでした。川口水門の下流側(七里の渡し跡のところ)にアオサギ。ときどき、こういうところにいます。水面からは高さがありますから、エサをとるには適していないので、何をしているのかよく分かりません。

Dsc05496c_20231015172501 Dsc05514c  九華公園に着いて、九華橋のところにアオサギ。橋の近くの樹上です。よくここにいます。旧アヒル小屋のところには、カワウが3羽。このほか、神戸櫓跡の松の木には、10羽のカワウ。ほかに、野球場の照明灯にいたり、堀でエサをとっていたりします。秋以降、九華公園ではカワウが増えてきます。

Dsc05566c_20231015172501 Dsc05646c_20231015172501  奥平屋敷跡にはムクドリがいたくらい。二の丸跡や朝日丸跡でも同様。カモは、一昨日と同じく、キンクロハジロが1羽とハシビロガモが4羽。

Dsc05907c Dsc05960c_20231015172501  貝塚公園でモズ。ほかにはシジュウカラ、カワラヒワ、さらにコサメビタキらしき鳥もいたものの確認できず。内堀南公園のところでハクセキレイが電線にやってきました。

231015155110397c 231015155142262c  さて、午後からは、パラミタミュージアムへ。10月11日の記事に書きましたように(2023年10月11日 :志登茂川にはカモはまだ)、江戸橋で、同じ時間に美学の講義を担当している非常勤講師の先生(日本美術史、とくに琳派がご専門)に「つながる琳派スピリット神坂雪佳展」の招待券をいただいたので、早速出かけた次第。今日は、娘が付き合ってくれ、往復ともに娘の運転。

231015144222107c  神坂雪佳(かみさかせっか:1866―1942)は、明治から昭和にかけて活躍した工芸図案家。京都の士族の生まれ。当初は四条派の絵を学んでいたのですが、その後、各種工芸意匠図案および工芸製作の組織を研究し、かたわら光琳派の画風を学びました。その工芸図案は、洋の東西を超えた表現の、明快、適切な図案で、わが国近代工芸に曙を与え、方向を示したと評されています。琳派は、江戸初期の本阿弥光悦俵屋宗達にはじまり、江戸中期の光琳やその弟・尾形乾山、江戸後期の酒井抱一らに受け継がれました。琳派は、装飾性豊かな作風で、絵画や工芸といった領域を越え、さまざまな意匠を生み出し、近代以降も多くの分野にわたって影響を与え続けています。展示内容は、雪佳が手本とした琳派の美の潮流を本阿弥光悦や尾形光琳らの名品に始まり、古典と近代的発想を融合させ、美術と意匠の二つの分野を自在に往来した神坂雪佳の多彩な世界を見られます。私が気に入ったのは、金魚玉図、狗児(百々世草より)、雪庵菓子皿など。「狗児」は、左の写真にありますように、この展覧会のチラシにも使われています。ちなみに娘は、予備知識なしに行ったのですが、雪佳という名前から女性を連想していたようです。大変興味深く拝見してきました。琳派の流れもよく分かります。

Dsc05908c_20231015172501  ところで、今週はいくつか用事があります。明日は終日市役所の会議。水曜に江戸橋での授業、金曜は美濃街道ウォーキングオプショナルツアーの行基寺ウォーキングを予定。土曜日は、マンション管理組合の理事会にオブザーバーで参加。キンモクセイが咲いてきました。内堀にあるお宅にて。

2023年10月11日 (水)

志登茂川にはカモはまだ

231011102753060c  朝は肌寒く感じました。今日は、江戸橋での非常勤の講義でしたが、今シーズン初めてジャケットを着て出かけました。講義が終わって帰ってくる頃には、日向では暑いくらいになっていました。桑名では最高気温は26.2℃。良い天気で散歩日和でした(微苦笑)。3回目の講義で、出席者は30名。1回目から漸増傾向。明日・12日までが履修登録の確認・訂正期間ですので、まだ確定した名簿は届きません。Google Classroomに登録しているのに、1回も出席がない学生も複数います。履修を取りやめた可能性もありますが、1、2回目を欠席して、今日から登場した学生もありますから、なんともよく分かりません。今日初めて出席した学生がいるというのは、ほかの科目でもあるようでした。来週には、きちんとした名簿が来るでしょうから、それを待つしかありません。

Dscn6018c Dscn6020c  帰りには、後期の講義日恒例の志登茂川寄り道をしてきました。往きの通勤電車から、ある川にカルガモ以外と思われるかカモの姿が見えたので、ひょっとしたら志登茂川にも来ているかと期待したのです。これら2枚は、おぼろタオルの工場脇から堤防に上がって見た上流方向。アオサギ、ダイサギのほかには、カルガモが見えたのみ。

Dscn6025c  こちらは下流方向。こちらにもアオサギ、ダイサギ、カルガモがいただけ。残念ながら、江戸橋付近の志登茂川には、まだ渡ってきてはいないようです。

231011121712486c  江戸橋駅を12時19分に発車する名古屋行き急行で帰宅。昼食を摂って、出欠をチェックしたところまで。Q&Aはこれからです。出席票になにも書かない学生はほとんどなく、A5サイズの用紙(10行あります)を埋めてくれています。以前は、出欠をチェックした勢いでQ&A作成に進んでいたのですが、最近は、けっこう疲れる感じで、一息も二息もおかないとQ&Aチェックに進まなくなっています。70歳で定年というのもよく分かる気がします。

Kamisakasekka  ところで、同じ時間に美学の講義を担当している非常勤講師の先生がいらっしゃいます。後期の授業を担当するようになった5年前から、非常勤講師控え室でお目にかかると、お話しをさせていただいています。日本美術史がご専門。先週、「パラミタミュージアムつながる琳派スピリット神坂雪佳展があります。ご興味がおありでしたら、招待券を差し上げます」ということで、お願いしていました。神坂雪佳(かみさかせっか:1866―1942)は、明治から昭和にかけて活躍した工芸図案家。京都の士族の生まれ。当初は四条派の絵を学んでいたのですが、その後、各種工芸意匠図案および工芸製作の組織を研究し、かたわら光琳派の画風を学びました。その工芸図案は、洋の東西を超えた表現の、明快、適切な図案で、わが国近代工芸に曙を与え、方向を示したと評されています。ぜひ見に行こうと思っています。今日はさらに、名古屋の松坂屋美術館で開催されている「コレクター福富太郎の眼 昭和のキャバレー王が愛した絵画」展も教えていただきました。われわれの世代ですと、キャバレー王福富太郎は、テレビで見たことがある人が多いのではないかと思いますが、絵画のコレクターでもあったそうです。美人画に見るべきものが多いそうです。

2023年9月23日 (土)

今シーズン初のモズ……コサメビタキも愛想よし

Dsc04108c_20230923143801 Dsc03353c_20230923143901  一気に秋らしくなりました。今朝の最低気温は、22.5℃。さすがに涼しく感じます。日中は32.0℃になっていますが、この間までのように暑いとはあまり感じないで済みます。プチ遠征をしようと思っていたのですが、珍しく朝寝坊。それ故、7時から、いつものコースへ。ただし、逆回りで寺町、京町、吉津屋町、外堀、内堀南公園、貝塚公園、九華公園、住吉神社と6.3㎞。いったん戻ってから、三洋堂書店桑名店と桑名市博物館へ。寺町では、今日がお彼岸の中日ですから、また御坊さんへお参り。

Dsc03382c_20230923143901  九華公園まで、これという鳥には会いませんでした。今日は、逆回りですので、立教小学校の体育館のところから入りました。外周遊歩道には鳥はおらず、「失敗したか!? やはりプチ遠征に行った方がよかったか」と思ったのですが、ここまで来ていては、今さらどうしようもありません。吉之丸堀をハシビロガモのオスが泳いでいました。最近、早い時間帯はあちこち泳ぎ回っています。

Dsc03678c_20230923143801  奥平屋敷跡では、今日はコサメビタキ・デーでした。実によく姿を見せてくれたのです。2羽いるという情報もあります。散歩友達のYさんが、二の丸跡で、2羽同時に見たそうです。

Dsc03540c Dsc03608c  さらにシジュウカラ。奥平屋敷跡に来たのは1羽のみでしたが、管理事務所近くでは数羽を見ました。奥平屋敷跡では、以前、コゲラが営巣しかけた穴が気になったのか、しばらく覗いたり、調べていました。シジュウカラは、コゲラの使った巣穴に営巣することもあります。

Dsc03896c_20230923143801 Dsc03941c_20230923143801  奥平屋敷跡には、ヒヨドリや、カワラヒワもやって来ています。写真は撮れませんでしたが、メジロも数羽が来ていました。だんだんと野鳥が戻りつつあることが実感できました。

Dsc03971c Dsc04031c_20230923143801  さて、次へ行こうと思ったら、南東の方からダイサギが飛んでくるのが見えました。ダイサギは、いったん鎮国守国神社の社務所裏の堀に降りたのですが、また北の方へ飛んで行ってしまいました。が、このあと行った柿安コミュニティパーク西の堀にいました。

Dsc04056c  ここでダイサギを撮影していたら、頭上からモズの鳴き声が聞こえてきました。なかなか見つけられなかったのですが、三之丸公園の南を通っている電線にいるのが見えました。ちょっと遠くて、証拠写真ではありますが、今シーズン、初モズです。去年は、9月27日に初めて見ています(2022年9月27日:やっとモズがやって来ました)ので、今年はやや早め。

Dsc04098c  住吉神社から揖斐長良川の中州を見たら、いつものところに今日はアオサギが3羽。いい感じです。もっと増えてほしいと思っています。

230923104849446c 230923111106028c  ところで、初めに書きましたように、帰宅してから三洋堂書店桑名店と桑名市博物館へ。三洋堂ではパソコン雑誌1冊、文庫本1冊を買ってきました。アピタ桑名店の新光堂書店が閉店してしまい、不便です。桑名市博物館では、10月15日まで秋期企画展「絵の心はさらなり —額装で見る絵画―」が開催されています。絵を見るのに額装について知ると更に絵を見直せます、という意味を込めた展示です。額に入れて飾られる絵画や書などを「額装」、床の間などに飾られて巻いてしまっておける書画を「軸装」と言いますが、「装」という文字には「よそおう」「かざる」の意味があり、これは、書画が描かれている「本紙」を飾るという意図があるということです。日本画も洋画もフレームごと楽しめるのだそうです。お客さんは少なく、ゆっくりと見てこられました。

230923110744677c  こちらは、毎回の展覧会で1枚のみある、写真撮影可のもの。「短刀 銘 村正」です。刃長20.3cm、反り0cm。村正についてはもはや説明の要はありませんが、15~16世紀にかけ数代、桑名で活躍した刀工です。この短刀には、「平造、庵棟。ふくら枯れた鋭い姿に、茎は魚のお腹に似ているたなご腹。地鉄はやや荒れた柾目肌で白けが見受けられる。刃文は互の目乱れ」という説明がついていました。

Dsc03395c  これから夜は、マンションの管理組合の理事会にオブザーバーで参加する予定。前理事長として、今期理事会に引き継いだ課題はほぼすべて解決していただきましたので、気がかなり楽になりました。これからの最大の課題は、長期修繕。数年後に予定していますが、何をどれだけ修繕するのかが重要なポイントです。建築資材などもかなり高騰していますし、人材も不足しているそうですから、見通しはよくありません。修繕積立金も、先を見込んで値上げする方向で検討されています。難しい時代です。ヒガンバナは、鎮国守国神社の境内にて。

2023年9月 3日 (日)

今日も九華公園でカワセミ……午後からはパラミタミュージアムで「江戸の遊び絵づくし」展

Dsc04015c_20230903172801  今日は暑いなと思ったら、35.7℃と猛暑日でした。9月になってからの猛暑日は、勘弁して欲しいところ。午前中は6時50分から散歩。寺町、京町、吉津屋町、外堀、内堀南公園、貝塚公園、九華公園、住吉神社と回ってきました。午後は、娘の友達が来るというので、外出を要請されました(微苦笑)。そのお陰で菰野のパラミタミュージアムへ行って、「江戸の遊び絵づくし」という展覧会を見て来られました。1日のトータルで歩いた距離は、7.0㎞。

Dsc03695c_20230903181301 Dsc03727c  野鳥は相変わらず。内堀南公園を過ぎるまでに見たのは、ハシボソガラスとスズメ。カラスをよく見るような気がしますが、これはたぶんほかの野鳥が少ないことも関係していると思います。ハシボソガラスは寺町商店街の荷捌き広場にて。スズメは、外堀あたりで。

Dsc03778c  内堀南公園の東でハクセキレイ。若者のように見えます。しばらく前にこのあたりでよく見たハクセキレイ・ファミリーのうちの1羽のように思います。貝塚公園では、チョウは見たものの、野鳥はほとんどいません。

Dsc03807c_20230903172901  九華公園には7時25分頃到着。逆回りルートで歩くと、南側の二ノ丸橋のところから公園に入ります。二ノ丸橋には、ハシボソガラスとドバト。九華公園では今日もカラスが目立ちました。

Dsc03844c_20230903172901  カラスばかりで今日もダメかと思いながら、公園の外周の遊歩道を歩いて行くと、東側に来たところで、「チッツー!」「チー!」とカワセミが飛ぶときに発する鳴き声が聞こえてきたのです。「これは!」と期待して、ゆっくりあたりを確認しながら進むと、野球場の南の堀にあるしだれ桜の木の枝にカワセミ嬢がいました。ここで何度もダイビング。その後、西の方へと飛び去ったのですが、奥平屋敷跡に行ったら、またその南側でも目撃。今日は、何度もカワセミを見られました。こうなると、明日にもちょっと期待してしまいます(苦笑)。

Dsc03876c_20230903172801 Dsc03917c  カワセミのいたあたりにはハクセキレイも来ました。若者のように見えます。ハシビロガモのオスも、同じあたりで休んでいました。

Dsc03966c_20230903172801  そのほかに今日、九華公園で写真が撮れたのは、アオサギさん。最近は、いつも九華橋の近くにある木の上にやって来ます。ほかに九華公園で見たのは、カワラヒワ、ムクドリ。鳴き声を聞いたのは、シジュウカラとコゲラ。

230903153852143c 230903140943983c  午後からは、初めに書きましたが、菰野にあるパラミタミュージアムで「江戸の遊び絵づくし」展を見てきました。浮世絵の中から、だまし絵としても親しまれる「寄せ絵」をはじめ、「有卦(うけ)絵」「判じ絵」「文字絵」「影絵」など、現代人にも通じる江戸庶民の洒落とユーモアあふれる《遊び絵》の世界が紹介されています。8月4日から開催されていますが、夏休み中は賑わっているかと思って、9月になったら出かけるつもりでした。しかし、今日もよく賑わっていました。

230903162901762c  迷ったのですが、結局、図録も買ってきました。迷ったのは、¥2,200という価格。しかし、普通の本とは違ってあとから本屋さんで購入するというのは、難しくなるからです。

230903151056775c  パラミタミュージアムに行ったのは3年ぶりでした。前回行ったのは3年半あまり前(2020年2月5日:ミュージアム・ツアーin菰野&四日市【頑張れ受験生! サクラサクきっぷの撮影スポット@大羽根園駅について付記しました(2/6)】)。このときは、「黄金期の浮世絵 歌麿とその時代展」を見てきました。久しぶりでしたので、パラミタガーデンも見てきました。樹齢200年のケヤキがメインで、ほかに鈴鹿山脈原生の山野草を中心に200種ほどの草花があります。

Dsc03700c  今週は、明日月曜の午後、くわな市民大学郷土史学科の講義があります。第4回目。今週の予定はこれだけ。非常勤先からの授業評価に対するコメントは、今日送りましたので、一応完了。後期の準備は、90%ほど完了(主観的には)。また、一通り見直したいとは思っています。

2023年8月19日 (土)

桑名市博物館で桑名盆、刀剣、算盤の展覧会を見てくる

Dsc07903c_20230819152001  今日は、三重県には熱中症警戒アラートが発令されています。桑名では、最高気温は35.0℃ちょうど。猛暑日。お盆も過ぎましたから、そろそろ暑さは勘弁してもらいたいところです。長良川河口堰などに行こうかと思っていたのですが、やや寝坊した結果、朝の段取りがスムーズに行かなくなり、結局、いつものコースへ。7時過ぎから住吉神社、九華公園、貝塚公園、内堀南公園、外堀、内堀公園、京町、寺町と6.2㎞。その後、クルマで出直して、桑名市博物館へ。

Dsc08136c_20230819152001 今日もまた、野鳥も散歩友達もあまりいませんでしたが、九華公園には2日連続でアオサギさんが登場。アオサギは、私の大好きな鳥の1つです。アオサギが見られたのですから、私としては、まあ良し。

Dsc08125c_20230819152001 Dsc08155c_20230819152001  カワウさんも、越夏中のハシビロガモのオスも元気そうです。これも、私的にはまあ良し。もう少し涼しくなったら、いろいろと鳥たちが戻ってきてくれるでしょう。

Dsc08083c_20230819152001 Dsc08028c  奥平屋敷跡では、ハクセキレイが1羽。歩き方がちょっとヘンだなと思ったら、左足の指先が欠けているようでした。吉之丸堀の上を通る電線には、ツバメが1羽。最近、九華公園あたりではツバメを見ることが減っています。

Dsc08166c Dsc08202c  スズメ、九華公園の外周遊歩道で撮りました。内堀南公園の近くでハクセキレイ。いつぞやよく見たファミリーのメンバーのような気がします。

230819102638624c 230819105513533c  さて、桑名市博物館では、8月27日まで2階展示室で学習支援展示「かぶら盆?それだけじゃない 桑名盆」と、「刀剣セレクションⅡ―メイクデビュー桑名―」が開催されています(こちら)。中学生以上は、一人¥150。「桑名盆」は、江戸時代より続いている桑名の漆塗りの伝統工芸品です。桑名藩主・松平定永の父 松平定信が、桑名盆にかぶらの絵を描かせて幕府へ献上したことから、かぶらの絵が描かれるようになりました。そのころから、桑名盆は「かぶら盆」とも呼ばれるようになっています。今回は、桑名盆の、かぶらだけではない、草花や鳥などが描かれたものが出展されています。出品リストは、ここにあります。よだんですが、蕪の「丸」は家庭円満を、また「根ひげ」は子孫繁栄をあらわすともいわれます。

230819103807527c  同時開催の「刀剣セレクションⅡ―メイクデビュー桑名―」では、相州伝の綱廣や、伊勢国桑名で鍛刀した廣房など、収蔵品の中から新たに展示デビューする刀剣6振と、村正の短刀1振が紹介されています。「廣房」は、今も桑名市鍜冶町で「廣房打刃物店」として続いています。写真は、今回撮影可能であった「短刀 銘 村正」です。博物館へはスマホしか持って生きませんでしたので、スマホ写真。刃文がきちんと撮れなかったのは残念。

230819105519572c 230819103940771c  さらに、1階の展示室では、16日から明日まで「ABACUS 算盤展2023」が行われています(入場無料)。桑名珠算学園と、そろばん同好会の主催。一昨日の中日新聞朝刊に記事が載っていて、この展覧会を知りました(こちら)。そろばん教室を主宰しながら、世界のそろばんを収集してきた桑名市三ツ矢橋の曽我和三郎さん(95)のコレクションです。133桁の計算ができる長いものや珠が真珠のそろばんなど150丁が出展されています。

230819104015424c 230819105015403c  左の写真の中央上にあるものが、133桁の計算ができる「長桁算盤」。向かって右手前にあるのは「欅のそろばん」。縦56センチ、横82センチ、重量18.6㎏という大きなもの。右の写真のそろばんは、「宇宙に行った算盤」。2008年に宇宙飛行士・星出彰彦さんがスペースシャトル・ディスカバリー号で宇宙に持っていたもののレプリカ。

230819104535803c  この写真は、「そろばん電卓」。シャープが昭和56(1981)年に発売した「Soro-cal」というもの。説明には、「当時は電卓が正しいか不安な人が多く、算盤で検算して確かめていた」とあります。私は、目にした記憶はありますが、自分で実際に使ったことはありません。なかなか興味深い展覧会でした。

368803236_621719900086607_24165459204967  【追記(8/19夜)】 明日、寺町商店街で「寺町クラフトビールフェア」が開催されます。行きたいなぁと思っているのですがねぇ……。長島ビール園ビールも気になりますが、後藤酒造の樽酒も飲みたいですねぇ。青雲の樽酒、美味しいんですよ(2018年4月7日:風雨をついて、灯街道・桑名宿イベントへ……「青雲 樽酒」をゲット(笑))。

2023年7月 4日 (火)

クマゼミを初確認……博物館で「生誕200年 帆山花乃舎」展を見る

Dsc09067c_20230704153701  今日の最高気温は、昨日と同じく34.2℃となっています。九華公園で堀に囲まれている奥平屋敷跡や二の丸跡にいると、朝8時過ぎは涼しい風が吹いてくるのですが、30分ほど経つと水も温まってくるのか、生ぬるい風になります。日陰でもけっこう暑く感じます。今日もクマゼミがよく鳴いていました。わが家周辺ではまだ鳴いていませんが、九華公園や貝塚公園はすでに賑やかです。いつも通り、7時半から散歩へ。住吉神社、九華公園、貝塚公園、内堀公園から桑名市博物館へ。その後、京町、和菓子の花乃屋さんに立ち寄って田町、寺町から帰宅。6.2㎞。冒頭の写真は、九華公園で見つけたクマゼミ。

Dsc08755c  今日も朝7時ですでに25℃以上。鳥は一段と少なく、九華公園までに見かけたのは少数のスズメのみ。梅雨も明けていませんが、いよいよ散歩ではなく、本格的な修行シーズンといえます。

Dsc08781c Dsc08879c  九華公園の奥平屋敷跡。スズメ、ムクドリ、ドバトがチラッと顔見せをした程度。カワラヒワはけっこうやって来ました。降りてきてエサ探しをしたりしています。「もう何も来ないか」と思った頃になってシジュウカラの幼鳥が登場。なかなか撮らせてくれませんでしたが、何とか。

Dsc09004c_20230704153801 Dsc09013c  野球場の南の堀には、ハシビロガモのオスと、カワウが並んでいました。カワウは2羽。

Dsc09205c_20230704153701 Dsc09234c_20230704153701  貝塚公園でもスズメとシジュウカラの幼鳥。右の写真のスズメは、内堀公園にて。

Dsc09325c_20230704153701  話しの順序は少しちがいますが、京町のお宅のツバメの巣。ここに到着したときには留守だったのですが、すぐに戻ってきました。

Dsc09267c Dsc09255c_20230704153701  さて、桑名市博物館では、初夏の企画展「生誕200年 帆山花乃舎」を見てきました。今週の日曜まで開催中。帆山 花乃舎(ほやま はなのや/1823~1894年)は桑名の真宗高田派・䑳崇寺(りんそうじ)の住職を務めた人物で、僧侶でありながら絵を得意とした画僧です。花乃舎は、浮田一蕙(1795~1859年)や渡辺清(1778~1861年)ら復古大和絵派の絵師に師事し、幕末から明治にかけて画人としてその才能を開花させていきました。実は、昨日の市民大学郷土史学科の講義で、講師の大塚先生が「照源寺蔵の勅修圓光大師御絵伝が出ているからぜひ見てください」とおっしゃったのです。これは法然上人の生涯を説いた伝記絵で、「伝帆山花乃舎」となっていますが、素晴らしいものでした。出品リストはこちらにあります。なお、恒例の【特集陳列】では、「二人だけの世界―神内生一郎の肖像画―」と、「刀剣セレクションI―刀鍛冶の郷・桑名の刀工―」が開かれています。

Dsc09282c  こちらも恒例、毎回1点だけ撮影可能な展示があります。「脇指 銘 桑名住國吉」です。國吉は桑名の刀工と考えられています。桑名市博物館が所蔵する國吉は、この一振りだけだそうです。

Dsc09352c  Dsc09359c_20230704153701 そして、今回の「生誕200年 帆山花乃舎」展では、特別なサービスがあります。博物館から北に150mあまり行ったところに「花乃舎」があります。明治初年に権大納言久我通富卿より「花乃舎」の号を授けられた和菓子の老舗。展覧会入館券の半券を持参すると、当日一人一回限りで都饅頭を1個プレゼントしていただけるのです。

Dsc09365c  こちらがそれ。博物館の入館料は¥150。都饅頭は、1個¥162。お金のことをあれこれいうのは、ちょっとどうかという気がしますが、おトクです(微笑)。

2023年5月24日 (水)

江戸橋で授業のあと、三重県総合博物館で「親鸞と高田本山 専修寺国宝からひろがる世界」を見る

Dsc_7132c  水曜日で、江戸橋方面での非常勤の授業です。今日で6回目でしたが、なぜか出席率が一気に低下。前回まで90%台をキープしていたのに、今日は70%あまり。私が学生の頃や、現役の教員だった頃にはこういう現象はなかったように思うのですが、ここ2~3年、たまによく分からないまま欠席が多いときがあります。エアポケットに落ちたように休みたくなる学生がいて、それが重なるということなのかと思っていますが、実際、どうなのかはよく分かりません。

Dscn5958c Dscn5964c  出勤のとき、グラウンドにヒバリがいました。1時間近く経って、授業を始めてしばらくした頃には、揚げ雲雀が聞こえてきました(微笑)。まさに「バードウォッチングができる学校」なのです。昨日、一昨日とグラウンドでは草刈りが行われたそうですが、営巣している/しようとしているのではないかと思っています。非常勤講師控え室の前にあるコシアカツバメの巣は、手直ししたあとはあるのですが、コシアカツバメが来ているところはまだ見ていません。これからやって来て営巣するのか、出勤したときにきちんと確認します。以前は、校舎2階の入り口あたりにも営巣していたのですが、今年は確認できていません。

Dsc_7141c Shinran  ところで、三重県総合博物館で開催中の「親鸞と高田本山 専修寺国宝からひろがる世界」を見に行こうと思っていると何度も書きましたが、ようやく、三度目の正直にして、今日、実現しました(笑)。大人は¥800。6月18日まで。高田本山専修寺所蔵の国宝 西方指南抄・国宝 三帖和讃、重要文化財の親鸞聖人消息・専修寺聖教を中心に、日本の文化史・思想史上重要な位置を占める親鸞が紹介されています。私が特に見たかったのは、親鸞上人のご真筆。これらの宝物を伝える高田本山の歴史も、重要文化財専修寺文書を中心に紹介されています。平日でしたが、多くの方が拝観しておられました。

Dsc_7149c  三重県総合博物館や、以前には三重県立美術館で親鸞上人や高田本山専修寺に関わる展覧会は折に触れて開かれています。いまを去ること30数年前、私が結婚して間もない頃には、三重県立美術館で「高田本山専修寺展-歴史と美術」という展覧会が開かれ、亡くなったオヤジを連れて行ったことがありました(平成3(1991)年のことでした)。仏教に興味があり、わが家の宗派である真宗大谷派や、親鸞上人について独学していたオヤジがとても喜んだことを憶えています。とくに親鸞上人の真筆を見られたことをです。展覧会を見たあと、専修寺にもお参りしました。ヘンな記憶なのですが、そこで私たち夫婦とオヤジとで「スイカアイス」を食べたことを、なぜか鮮明に記憶しています。人間の記憶とは面白いものです。

Dsc_7147c Dsc_7153c  三重県総合博物館には13時過ぎから小1時間滞在。これは、個人的にお約束となっているのですが、ミエゾウの骨格標本と、博物館唯一の生きている展示物であるオオサンショウウオのさんちゃんを見てきました。さんちゃん、今日は割とよく動いていました。ミュージアムショップで図録を購入してきましたので、また時間があるときにゆっくりと眺め、読もうと思っています。

Screenshot_20230524145642c Dsc_7137c  三重県総合博物館に行くに当たって、授業のあとですと疲れて挫折しますので(苦笑)、実家に行く家内に来てもらって車に乗せていってもらいました。授業は正午に終わりますので、博物館に行く前に腹ごしらえ。家内が調べ、江戸橋近くにあるウレタノ・カフェへ。12時15分頃着きましたので、ちょうどお昼時で小1時間待ちました。今日のランチである「ひじきと鶏そぼろのサラダ風混ぜご飯とスープランチ」をいただきました。女性が多いお店でしたので、量が足らないかと思ったのですが、けっこうたくさんあり、オッサンも満腹。もちろんとても美味しくて、楽しめました。これで¥715ですから、ちょっと信じられないくらい。

Dsc_7139c  さらにオーナーシェフが、「長く待ってもらいましたから」ということで、コーヒーをつけてくださいました。私たちは、ちょうど昼時でしたから、1時間くらい待つ覚悟をしていましたので、これには大恐縮。ウレタノさん、雰囲気もよく、料理も美味しく、また、シェフの接遇もよく、とても満足しました。お勧めです。

Dscn5962c  という次第で、今日は授業だけでなく、ランチ、博物館見学といろいろあり、帰宅は16時半過ぎ。いつもより3時間ほど遅くなりました。そのため、まだ出欠チェックも終えていません。今日使ったファイルはGoogleクラスルームにアップロードしていますが、これから/明日、Q&A作成に大車輪となります。

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  • 宮口 幸治: 境界知能の子どもたち 「IQ70以上85未満」の生きづらさ (SB新書)

    宮口 幸治: 境界知能の子どもたち 「IQ70以上85未満」の生きづらさ (SB新書)
    「境界知能」という言葉は、専門家はよく知っていると思いますが、一般のご父兄や、小中学校の先生方にはあまりなじみがないかも知れません。IQという指標でいえば、多くの場合70以上85未満の子どもたちがこれに該当する可能性があります。一見したところでは普通の子どもたちと変わりはなく、なかなか気づかれません。しかし、理論的には約14%の子どもたちが含まれますから、本の帯にあるように「日本人の7人に1人」となります。平均と知的障害のはざまにあり、気づかれにくいものの、授業について行けなかったり、友だちと上手くつきあえなかったり、感情のコントロールが苦手であったりして、当事者の子どもたちは苦戦し、辛い思いをしています。発達障害はよく知られるようになりましたが、境界知能の子どもたちにもしっかり目を向け、必要な支援を提供することは喫緊の課題といえます。この本では、境界知能とはどのような状態なのか、教科学習の前に認知機能を向上することの重要性、子どもの可能性をいかに伸ばしたら良いかについて具体的に、分かりやすく解説されています。 (★★★★)

  • 関裕二: スサノヲの正体(新潮新書)

    関裕二: スサノヲの正体(新潮新書)
    タイトルに惹かれて手に入れたものの、序章の記述が私にとっては退屈でしばらく放っておいたり、読み直そうと思ってくじけたりしていました。しかし、そこを乗り越えるとこの本はとても面白くなり、ほとんど一気読みしました。スサノヲ(素戔嗚尊)の正体を探るプロセスでアマテラス(天照大神)の謎も明らかにされて行き、それもとても興味深いものがあるのです。アマテラスは皇祖神とされますが、実在の初代王と言われる崇神天皇はアマテラスを伊勢に追いやっています。また、伊勢神宮を整備した持統天皇だけは伊勢に参ったものの、それ以降明治になるまで、1,000年以上も歴代天皇は伊勢神宮を訪れていません。明治天皇が東京に遷御したあと武蔵国の鎮守勅祭の社に定めたのは、スサノヲの祀られる氷川神社(現さいたま市)です。明治天皇は氷川神社を訪れた翌年に、伊勢神宮を訪れています。そもそも伊勢にいる神はアマテラスなのかという疑問にも立ち向かっている、古代史や神に関心がある方にはお勧め。 (★★★★★)

  • 安藤 優一郎: 大名屋敷「謎」の生活 (PHP文庫)

    安藤 優一郎: 大名屋敷「謎」の生活 (PHP文庫)
    時代小説をよく読みます。捕物帖、市井の人たちの生活、侍の物語、大名の話などいろいろとあります。庶民の生活については、これまでもいろいろな本でかなり知っていますが、大名の生活については分からないところの方が多いと思っていました。タイトルに惹かれて買ったのですが、大名やその家族の生活が詳しく書かれているのではなく、勤番侍の生活、大名屋敷の庭園、御用達商人や豪農、幕末の動乱と大名屋敷などの話が中心でした。それはそれで知らなかったことが多々あり、興味深く読みました。 (★★★)

  • 服部環ほか: 指導と評価2023年10月号(図書文化社)
    「指導と評価」は、日本教育評価研究会の機関誌であるとともに、日本で数少ない教育評価に関する月刊誌です。この号では、教育・心理検査の意義と活用という特集が組まれています。「教育・心理検査の意義」に始まり、WISC-Ⅴ、KABC-Ⅱなどの個別検査の使い方、解釈の仕方、指導への活かし方がそれぞれの専門の先生によってわかりやすく解説されています。特別支援教育の現場でも、きちんとした心理アセスメント所見に基づいた支援を展開することが望ましいのですが、現場の先生方には敷居が高いようです。ご関心がおありの方には、どのように使えるか、どのように考えたらよいかについて基本的なことがらを理解するのに適しています。出版社のWebサイトからバックナンバーとして購入できます。 (★★★★)
  • 石田 光史, 樋口 広芳(ナツメ社): ぱっと見わけ観察を楽しむ 野鳥図鑑

    石田 光史, 樋口 広芳(ナツメ社): ぱっと見わけ観察を楽しむ 野鳥図鑑
    野鳥図鑑はすでに何冊も持っていますが、この野鳥図鑑は、2015年の刊行で、なぜ今までこの存在に気づかなかったと反省するほど便利そうなもの。掲載されているのは324種ですが、それぞれの特徴や、見わけのポイントがパッとわかるようになっています。その鳥の生活型や生息地、食性や羽色、形態などのほか、雌雄、夏羽冬羽、幼鳥などで特徴が異なる場合は、それらについても説明されています。観察したい行動から、おもしろい生態、探し方までもが載っていますし、鳥の鳴き声が聴けるQRコードも付いています。私自身、野鳥の特定がけっこうアヤシいので、しっかり活用しましょう。 (★★★★★)

  • 千枝大志(風媒社): 街道今昔 三重の街道をゆく (爽BOOKS)

    千枝大志(風媒社): 街道今昔 三重の街道をゆく (爽BOOKS)
    「東海の街道」シリーズの第4巻です。「街道歩きのお供に最適の1冊」といううたい文句。内容は、三重の主な街道、近世三重の城郭図・城下図を読み解く、お伊勢参り小咄、伊勢をめぐる〈参詣〉をデジタル化するの4章構成で、まさに三重の街道歩きの参考書としてよいと思います。私自身も県内の東海道、伊勢街道、美濃街道、濃州街道はほとんど歩き、ほかの街道も部分的に歩いていますし、城もここに載っているところはかなり訪ねています。デジタル化も、ブログに写真・記事を載せていますから、出来不出来はともかく、私も取り組んでいます。県内の街道はさらに歩こうと思っていますし、デジタル化にももっと取り組みたいと考えていますので、十分活用できるでしょう。 (★★★★★)

  • 唐沢孝一: 都会の鳥の生態学 カラス、ツバメ、スズメ、水鳥、猛禽の栄枯盛衰 (中公新書)

    唐沢孝一: 都会の鳥の生態学 カラス、ツバメ、スズメ、水鳥、猛禽の栄枯盛衰 (中公新書)
    都市にもたくさんの野鳥がいることを知る人は少ないかも知れません。私がいつも散歩している地方都市の公園では、これまで10年あまりで70種類近くの野鳥を観察しています。都会は自然の少ない人工的な環境にあふれていますが、野鳥たちはもともとの生態を活かしつつこれらにしたたかに適応してい生きています。この本では、カラス、ツバメ、スズメ、水鳥、猛禽を取り上げ、その都会における生態や、活動の変化、人間と鳥との関係とその変化などについて多くの実例や、調査結果をもとに、豊富な写真を使って楽しく読めるようにまとめられています。 (★★★★★)

  • 堤未果: 堤未果のショック・ドクトリン 政府のやりたい放題から身を守る方法 (幻冬舎新書)

    堤未果: 堤未果のショック・ドクトリン 政府のやりたい放題から身を守る方法 (幻冬舎新書)
    「ショックドクトリン」とは、テロや大災害など、恐怖でこくみんが思考停止している最中に、為政者や巨大資本がどさくさ紛れに過激な政策を推し進める悪魔の手法のことです。アメリカでの3.11以来、日本でも大地震やコロナ禍の裏で知らない間に個人情報や資産が奪われようとしているというのがこの本のテーマ。パンデミックで製薬企業は空前の利益を得、マイナンバーカード普及の先には政府のよからぬ思惑があるなどよくよく注意し、自分の生命・財産を守らないといけないというのが著者の主張。「今だけ、自分だけ、お金だけ」という強欲資本主義に負けないようにするには、ちょっとした違和感を大事にし、お金の流れがその裏にないか、また、それで大もうけして回転ドアをくぐって逃げる輩がいないかをチェックすることです。また、政府が何か、大急ぎで導入しようとしたり、既存の制度を急拡大しようとするときは、要注意だそうです。 (★★★★)

  •  奥山景布子: 葵の残葉 (文春文庫)

    奥山景布子: 葵の残葉 (文春文庫)
    いわゆる「高須四兄弟」である徳川慶勝、松平容保、松平定敬、徳川茂栄は、幕末維新の激動期に、結局のところ官軍と幕府とに分かれて戦う運命になったのですが、この四兄弟を取り上げて埋もれた歴史を活写した小説。私自身は、桑名藩主であった松平定敬が取り上げられているので興味を持って手に取った次第。幕末維新は、次々に色々な出来事が起きて、さまざまな人たちの思惑も複雑に入り組んでいるので、小説にするのは難しいと思っていたのですが、隠れた主人公ともいえる高須四兄弟の視点からとても躍動感のある読み物になっています。また、この時期の歴史をより一層深く理解できたという感想も持っています。 (★★★★)

  • 國分功一郎: 暇と退屈の倫理学(新潮文庫)

    國分功一郎: 暇と退屈の倫理学(新潮文庫)
    ほぼ隠居状態ですから、暇と退屈には困りません(微笑)。それ故にこの本を手に取ったといっても、誤りではありません。著者がいうには、「暇」とは何か、人間はいつから「退屈」しているのだろうかといったなかなか答えにたどりつけない問いに立ち向かうとき、哲学が役に立つというのが著者のスタンス。哲学書なのに、読みやすいのです。スピノザ、ルソー、ニーチェ、ハイデッガーなど、その昔学生時代に取り組んで挫折した哲学者たちの論考を参照しつつ、現代の消費社会における気晴らしと退屈について鋭い指摘がされ、まさに蒙を啓かれます。 (★★★★)

  • 逸見功: 統計ソフト「R」超入門〈最新版〉 統計学とデータ処理の基礎が一度に身につく! (ブルーバックス)

    逸見功: 統計ソフト「R」超入門〈最新版〉 統計学とデータ処理の基礎が一度に身につく! (ブルーバックス)
    今さら、なぜこういう統計ソフトの本を読むのか? と訝られると思うのですが、その昔、現役の頃には統計パッケージソフトIBM SPSSを使ってデータを分析して論文を書いていました。ただ、SPSSを始め、統計パッケージソフトは、値段がバカ高いのです。退職する前からこのRというフリーの統計処理ソフトが出て来て、ずっと興味を持っていました。先日、文庫本を買おうと思って本屋に行ったらこの本を見つけてしまいました(微笑)。今さらこれを使ってバリバリやる訳ではありません。むしろボケ防止かも知れませんが、昔のデータはそのままパソコンにありますから、これを使って、昔はやらなかった分析をしてみようと思っています。何か成果が出るかどうかは極めてアヤシいのですが、まぁゆるりといろいろやってみることにします。 (★★★★)

  • 林(高木)朗子, 加藤忠史, 林(高木)朗子, 加藤忠史: 「心の病」の脳科学 なぜ生じるのか、どうすれば治るのか (ブルーバックス)

    林(高木)朗子, 加藤忠史, 林(高木)朗子, 加藤忠史: 「心の病」の脳科学 なぜ生じるのか、どうすれば治るのか (ブルーバックス)
    たまにはこういう本も読まないと、認知機能が退化するかもしれないと思って(微苦笑)。というよりも、もともと神経心理学に興味がありましたので、本屋の店頭で見つけ、これは面白そうだと思って購入しました。うつ、自閉スペクトラム障害、ADHD、統合失調症、双極性障害など、現代人を悩ませる心の病について、脳にどのような変化が起きているか、最新の知見がまとめられています。最前線の研究者たちがわかりやすく説明しているのですが、知識ゼロで読むのはかなりキツいかも知れません。私は現役をリタイアして10年以上になりますが、その間にこれほど研究が進んだのかというのが正直な感想。心の病の原因は、1つとは限りません。心の病は「症候群」と見た方がよいと考えます。私自身が関わる自閉スペクトラム障害、ADHDなどの発達障害でもそうです。脳機能と心の病との関連について最新の知見を知りたい方にはおすすめ。 (★★★★)

  • 磯田 道史: 徳川家康 弱者の戦略 (文春新書)

    磯田 道史: 徳川家康 弱者の戦略 (文春新書)
    本の帯に「大河より面白い!」とありますが、本当にそうでした。午前中の散歩のついでに買ってきて、夕食までに一気に読み終えてしまいました。もったいない気がするくらい。松平元康がいかにして徳川家康になったか、さらに徳川将軍家がいかに続くよう礎を築いたかが、よく分かりますし、戦国時代から徳川幕府創世記までの歴史を見る目が養われる本です。それというのも、著者の磯田さんが古文書の権威で、一次史料を読みこなすだけでなく、場合によっては価値が怪しい資料まで傍証に用いて(怪しい資料でも使い道があるというのも良く分かりました)、ご自身の頭で考えた結果を実に分かりやすく解いてくれてあります。徳川家康の弱者の戦略のキーワードは、「武威」と「信頼」ということです。また、情報の取得、解読にも意を尽くしたことがよく分かります。混迷を深める世界情勢を読み解いて、我が国が進む方向を考える上でも役に立つ一冊。 (★★★★★)

  • 井手 正和: 発達障害の人には世界がどう見えるのか (SB新書)

    井手 正和: 発達障害の人には世界がどう見えるのか (SB新書)
    発達障害、とくに自閉スペクトラム症(ASD)の方では、感覚過敏や感覚鈍磨をよく伴います。「照明で目がチカチカする」「皆が話している教室では。音が鳴り響き絶えられない」「ケガをしてるのに、痛みを感じない」などさまざまな状況を呈します。著者は実験心理学や、認知神経科学を専門とし、ASDの方に見られる感覚過敏、感覚鈍磨は、脳機能の特性から来ていることを明らかにしてきています。ASDなど発達障害のあるご本人はもちろん、親御さん、教師など関わりを持つ方々は、このことをよく理解して支援にあたることがとても重要です。ASDを始めとして発達障害について、「わがまま」「自分勝手」「やる気がない」などと捉えてしまうと、支援どころか、理解もできなくなります。脳の働きによってさまざまなことが生じてきているという視点が必要不可欠です。この本は、感覚過敏・感覚鈍磨を手がかりにそういう視点について理解を深められます。 (★★★★)

  • 日本放送協会,NHK出版: NHK 100分 de 名著 中井久夫スペシャル 2022年 12月 [雑誌] (NHKテキスト)

    日本放送協会,NHK出版: NHK 100分 de 名著 中井久夫スペシャル 2022年 12月 [雑誌] (NHKテキスト)
    2022年12月のNHKのEテレ「100分de名著 中井久夫スペシャル」のテキストです。今頃(2023年2月)これをリストアップしているのはどうかという気もしますが、録っておいたビデオをみたのが最近なのです。中井久夫さんは、2022年8月にお亡くりになりましたが、日本を代表する精神科医のお一人であり、翻訳家、文筆家としても一流でした。現役の頃、中井さんの本はたくさん読みました。臨床心理学の分野でも「風景構成法」を導入した方として知られています。Eテレの講師である齋藤環さんは、中井さんを評して「義と歓待と箴言知の人」と書いておられますが、まさにそういう気がします。『最終講義』『分裂病と人類』『治療文化論』『「昭和」を送る』『戦争と平和 ある観察』が紹介されています。現在もウクライナで戦争が続いていますが、中井は「戦争は過程、平和は状態」とし、戦争は物語として語りやすく、とにかくかっこよくて美しい、それが問題だといいます。一方、平和は分かりにくく、見えにくいため、心に訴える力が弱いとします。「状態を維持する努力はみえにくい」のですが、戦争と平和に限りません。普段通りの日常生活を維持していくのも同じような気がします。戦争を経験していない人間が指導者層の多くを占めるようになると戦争に対する心理的抵抗が低くなるともいいます。「戦争には自己収束性がない」とも中井さんはいっています。われわれはやっかいな時代に生きていると痛感します。中井さんの本を多くの方が読むと、時代も変わるかも知れません。 (★★★★★)

  • 桑名三郎: 七里の渡しを渡った人達(久波奈工房)
    桑名と名古屋の宮を結んだ東海道唯一の海路「七里の渡し」をテーマにした歴史本です。船頭が旅人を案内しながら、七里の渡しを渡った歴史上の24人を紹介する内容。やさしい話し言葉で紹介されており、読みやすい本です。徳川家光、松尾芭蕉、明治天皇などが取り上げられています。著者は、桑名で歴史案内人をしながら、街の歴史を研究している、街道好きの方です。本は、桑名市内の書店とメルカリで¥1,200で販売。 (★★★★)
  • 磯田 道史: 日本史を暴く-戦国の怪物から幕末の闇まで (中公新書 2729)

    磯田 道史: 日本史を暴く-戦国の怪物から幕末の闇まで (中公新書 2729)
    磯田さんの本は面白い。というのも、話のもとには古文書があるからだと思う。その古文書も磯田さん自身が、古書店などで発掘してきたものがほとんどで、それ故、内容もオリジナリティが高くなる。この本は、戦国時代から幕末あたりを中心にさまざまな古文書の内容をもとに、例えば忍者の悲惨な死に方、江戸でカブトムシが不人気だった背景、赤穂浪士が吉良の首で行った奇妙な儀式などなど、興味深いエピソードを浮かび上がらせている。面白いので一気読みしてしまった。 (★★★★★)

  •  佐藤信(編): 新版 図説歴史散歩事典(山川出版社)

    佐藤信(編): 新版 図説歴史散歩事典(山川出版社)
    史跡や、寺社、町並み、城、美術工芸品等の見方がやさしく解説されている本です。「事典」となっていますが、いわゆる辞書とは違って、普通の本のスタイルです。索引が充実していますので、事典としても十分に使えます。最初の版をもっていますが、40年ぶりに改訂され、写真、図版も多く、歴史散歩の最強の味方です。 (★★★★★)

  • 日下部理絵: 60歳からのマンション学 (講談社+α新書)

    日下部理絵: 60歳からのマンション学 (講談社+α新書)
    今年1年、何の因果か(などと書くとお叱りを受けること必至ですが)、住んでいるマンションの管理組合の理事長を仰せつかっています。今年は、エレベーターリニューアル工事が最大のイベントで、それは無事に済んだのですが、前理事長から8年後に迫った第3回大規模修繕に向けて、修繕積立金が不足する見込みと申し送られました。確かにかなりの金額が不足しそうで、頭を悩ませていました。マンションに住みながら、そもそも基本的な知識が不足しており、管理会社のフロントマンの方の協力を得ながらシミュレーションなどをしていました。ネットであれこれ調べてはいたものの、それで得られる知識は体系的なものではありませんでした。この本は、事例を元にマンション管理について必要な知識が得られるように書かれており、まだすべて読み終えてはいないものの、とても役に立っています。任期残り2ヶ月半となって付け焼き刃ではあるものの、次の理事会に具体的に課題を申し送ることができるよう勉強中(笑)。 (★★★★)

  • 宮口 幸治: ドキュメント小説 ケーキの切れない非行少年たちのカルテ (新潮新書)

    宮口 幸治: ドキュメント小説 ケーキの切れない非行少年たちのカルテ (新潮新書)
    「ケーキの切れない非行少年たち」や「どうしても頑張れない人たち」の著者である宮口幸治さんの新刊です。前2著の内容をよりよく理解できるよう、「ドキュメント小説」として書かれたものです。主人公は、精神科医の六麦克彦。医局から派遣されて要鹿乃原少年院に勤務して5年。彼がそこで目にしたのは、少年院に堕ちてきた加害者ながら、あらゆる意味で恵まれず、本来ならば保護されてしかるべき「被害者」と言わざるを得ない少年たちでした。この内容は、前の2冊のように普通の新書では書き尽くせるものではなく、物語の形を借りざるを得なかったのでしょう。ただし、普通の小説として読むのには少し苦労するかも知れません。特別支援教育が普及して、知的障害や、発達障害のある子どもへの教育や支援は、以前に比べれば改善されてはいますが、最近は、家族の養護能力が十分でなかったり、親など家族自身に支援が必要なケースもたくさんあります。こうした中には、この本で取り上げられたような結末に至ることがあっても不思議ではないという気がします。極端な事例が集められていると思われるかも知れませんが、社会全体として真剣に取り組むべき課題が突きつけられています。 (★★★★)

  • 本田秀夫: 学校の中の発達障害 「多数派」「標準」「友達」に合わせられない子どもたち (SB新書)

    本田秀夫: 学校の中の発達障害 「多数派」「標準」「友達」に合わせられない子どもたち (SB新書)
    本田秀夫先生によるこのSB新書の4冊目のシリーズ。今回は、発達障害のあるお子さんの学校選び、学級選び、友達関係、学習や学力の悩み、不登校など、発達障害のあるお子さんの学校生活全般にわたって、どのような考え方に基づいてサポートしたら良いかについてまとめられています。それぞれ、親と先生とが、どのように取り組むことが基本となるか、解説されています。対策よりも予防的な工夫をコミュニケーション(要求ではなく)に基づいて行う、「学校の標準」を緩める、登校や成績を気にしすぎず、社会に出るための土台作りを考える、発達の特性には寛容になる、学びを大切にするが学力にこだわりすぎない、親と先生とが気づきを伝え合い相談、調整する、子どものモチベーションを重視するなど、具体的に書かれていて、分かりやすくなっています。発達障害のあるお子さんが小中学校で充実した学習が進められるための基本的な考え方やヒントが詰まっていますので、親御さんにも、先生方にもお勧めできます。 (★★★★★)

  • 佐々木秀斗: 小学生博士の神社図鑑 ぼくの近くにはどんな神さまがいるの?

    佐々木秀斗: 小学生博士の神社図鑑 ぼくの近くにはどんな神さまがいるの?
    サンドウィッチマン&芦田愛菜ちゃんMCの「博士ちゃん」に「三国志博士ちゃん」、「日本の神様博士ちゃん」として2回出演した佐々木秀斗君の自由研究を本にしたもの。何故これをここに取り上げたかというと、私のブログに載せた立坂神社の緑色の鳥居について、写真を提供して欲しという依頼が出版社からあったのです。私が提供した写真は、本書の162ページに「提供:猫の欠伸研究室」として載っています。ざっと読みましたが、大人でも、古事記や神社についてよく知らない方が、最初に手に取って基本的なことがらを知るには、わかりやすくて良い本だと思います。 (★★★★★)

  • 森 博嗣: 読書の価値 (NHK出版新書)

    森 博嗣: 読書の価値 (NHK出版新書)
    ネットで見つけ、新刊かと思って購入したのですが、4年前の本でした(微苦笑)。 若い頃に森博嗣さんの小説をすべて読んでいました。いつの頃からか、小説は読まず、森さんのエッセイだけを読むようになっています。「読書の極意を教える」と帯にはあります。もちろんそれについて書かれているのですが、私にはある種の知的生産の技術について著者の方法を開示していると読めます。「何でも検索できる時代にも、本を読む意味がある」というのは、よく首肯できます。また、「教養とは保留できる能力をいう」というのも確かにそうだと思います。自分の問題として抱続けられ、また、考え続けられるのは、容易ではありませんから。 (★★★★★)

  • 井川香四郎: 別子太平記 : 愛媛新居浜別子銅山物語 (文芸書)

    井川香四郎: 別子太平記 : 愛媛新居浜別子銅山物語 (文芸書)
    愛媛県新居浜市にあった別子銅山は、元禄3(1690)年、伝説の切上り長兵衛によって発見されてから、昭和48(1973)年の閉山まで、283年間にわたり、累計65万トンの銅を産出しました。これは、世界の銅の産出量の1/6にも達するといいます。巨大財閥住友の礎となっただけでなく、日本の貿易や近代化にも大きく貢献したのがこの別子銅山です。江戸時代には貨幣改鋳にも深く関わった世界屈指の鉱山を舞台に、そこに関わった人達を鮮やかに描いた、本当の意味での大河小説です。徳間時代小説文庫で読みました。  (★★★★)

  • 養老孟司, 池田清彦: 年寄りは本気だ―はみ出し日本論―(新潮選書)

    養老孟司, 池田清彦: 年寄りは本気だ―はみ出し日本論―(新潮選書)
    養老孟司先生と池田清彦先生の対談であれば、外れはありません。サブタイトルのように、「はみ出し日本論」ではありません。ど真ん中の日本論といってもよい本で、楽しみながら読めます。しかし、それは、自分のアタマできちんと考えているからこそ論じられる内容だと思います。常識や、マスコミで報道されることがらだけをフォローしていては、こういう風に考えることはできません。きちんとした理論、知識、データに基づかなければなりません。さらには、物事を捉える大きな枠組み、私の世代にとっては「パラダイム」といえるものが必要。それも、確固たるパラダイムが必要です。私にとってそれはある種の理想なのですが、なかなか難しい。しかし、まぁ、年寄りになったからこそ見えるものや、年寄りなりの知恵も働くようになるということもありますから、養老・池田の「怖いものなし」コンビを1つの目安として、言うべきこともいえるようになりたいものです。 (★★★★★)

  • 土井 善晴: 一汁一菜でよいと至るまで (新潮新書)

    土井 善晴: 一汁一菜でよいと至るまで (新潮新書)
    先に同じく土井善晴さんの「一汁一菜でよいという提案」を挙げましたが、入手したのはこちらが先。「一汁一菜でよい」というスタイルに至るまでの土井さんの修行、出会い、発見、迷いなどなどが書かれています。「家庭料理に失敗なんて、ない」、「すべては人を幸せにする料理に繋がる」というのが基本。具だくさんの味噌汁はおかずの1つになる。余裕があれば、食べたいものや、食べさせたいものをその都度調べてつくればよい。一汁一菜を入り口にして、一つ一つおかずをつくってみて、10種類ほどでもできるようになれば、それで幸せに一生やっていける。といった話があり、へぇーと感心させられました。これだけで健康に健やかに自足できるとも述べられています。一汁一菜なら、私にもできる、でしょうか?? (★★★★★)

  • 土井善晴: 一汁一菜でよいという提案(新潮文庫)

    土井善晴: 一汁一菜でよいという提案(新潮文庫)
    著者の土井善晴先生は、私と同世代。そして、私の世代にとってはあの土井勝さんの息子というイメージが強くあります。テレビなどにもよく出ておられ、なかなか面白い視点でものを見る人だなと思っていました。この本は,出版された当時(2016年秋)から知っていたのですが、手に取ったのはごく最近。文庫本を探していたのですがなかなか遭遇しなかったのです。「一汁一菜でよい」というのは、ご飯と具だくさんの味噌汁があればよいということです。家庭料理についての提案なのですが、実は、この本はもっと奥深いことを述べています。一言で言えば、日本文化や日本人の哲学について述べる中で、食や生活、生き方などについても論じられています。解説を書いておられる養老孟司先生は、それを「自足の思想」と表現していらっしゃいます。優しい、わかりやすい本ですが、実は奥が深い。著者の端正さもよく表れています (★★★★★)

  • 奥山 景布子: 流転の中将

    奥山 景布子: 流転の中将
    幕末の桑名藩主・松平定敬を描いた歴史小説。定敬は、実の兄で会津藩主である容保とともに徳川家のために尽くそうとしたものの、最後の将軍・徳川慶喜に振り回され、裏切られてしまいます。定敬は、それでも抗おうとしたのですが、国元の家臣たちはいち早く恭順を決め、藩主の座も追われてしまいます。朝敵といわれ、越後、箱館から上海まで流浪した定敬の波乱に満ちた人生と、秘めたる思いが生き生きと書かれています。定敬については、歴史講座で学んだり、本で読んだりしてきましたが、小説家の手にかかるとこのように立体的に、活き活きと動き出すものなのだと実感します。 (★★★★★)

  • サトウタツヤ: 臨床心理学小史 (ちくま新書)

    サトウタツヤ: 臨床心理学小史 (ちくま新書)
    たまには専門のアカデミックな本も取り上げます(微笑)。本屋でみつけ、購入。この本は、同じ著者が東大出版会から昨年刊行した「臨床心理学史」で果たせなかったことを果たそうと構想されたもの。果たせなかったのは、日本の臨床心理学史に触れることと、コンパクトな歴史記述だそうです。東大出版会の本は、読んでみたい気もしますが、¥7,000もしますし、内容もハードそうです。こうして臨床心理学の歴史を俯瞰してみますと、やはり実験心理学を抜きにしては臨床心理学も語れないといえます。私個人の考えでも、臨床心理学を学び、実践するには、実験心理学を学び、実験・調査などの方法で研究をした経験が必須です。臨床心理士、公認心理師の資格に関わり、心理学を志す人は多く、また、大学でも臨床心理学部や臨床心理学科もあります。しかし、私は、自分自身の経験からもやはり、実験心理学などの基礎心理学を抜きにして、臨床心理学は成り立たないと考えますし、学生も実験心理学を含めた基礎心理学を、少なくとも学部段階ではきちんと修得した方がよいと思います。本書を読んで、その考えはいっそう強くなりました。 (★★★★★)

  • 昭文社 旅行ガイドブック 編集部: 三重のトリセツ

    昭文社 旅行ガイドブック 編集部: 三重のトリセツ
    本屋に別の本を買いに行って見つけ、即買い(微苦笑)。私の好むタイプの本です。三重県の地形や地質、歴史、文化、産業などを、地図を読み解きながら紹介するマップエンターテインメント本。地図も歴史も文化も好きなのです。地図で読み解く三重の大地、三重を駆ける充実の交通網、三重の歴史を深読み!の3部構成。2017年11月にたまたまみつけたJRさわやかウォーキング「~四日市市制120周年記念~ 家族みんなで楽しめる四日市旧港街歩き」に行って以来、JRさわやか、近鉄ハイキング、勝手にハイキングで県内や近郊のあちこちに電車で行って電車で帰るハイキング/ウォーキングをしています。それによって訪ねたあちこちのことが改めてまとめられていて、とても楽しめます。各県のバージョンが出ているようです (★★★★★)

  • 磯田道史: 歴史とは靴である (講談社文庫)

    磯田道史: 歴史とは靴である (講談社文庫)
    歴史家・磯田道史さんが、鎌倉女学院高校で行った特別授業の記録と、ビリギャルの小林さやかさんなどとの対談を収めてあります。基本的には、「歴史の見方」についての本なのですが、それに留まりません。ものの見方、考え方を説いた内容です。むしろ、ものの見方、考え方を学びたい方にお勧めしたいと思うくらいです。ちなみに、タイトルは、「歴史は好きか嫌いかの嗜好品ではなく、安全に世の中を歩くためのむしろ実用品である」という意味です。これは、歴史の見方について、あまりよく理解されていないポイントと思います。講義録ですから、読みやすく、しかも大変おもしろい本です。 (★★★★★)

  • 久住 祐一郎: 江戸藩邸へようこそ 三河吉田藩「江戸日記」 (インターナショナル新書)

    久住 祐一郎: 江戸藩邸へようこそ 三河吉田藩「江戸日記」 (インターナショナル新書)
    この著者の前著「三河吉田藩・お国入り道中記」で読んだ、三河吉田藩(豊橋)の参勤交代の話も大変おもしろく読めましたし、江戸時代の藩邸の様子、殿様や家臣の仕事、暮らしなどに興味があったので、読んでみました。三河吉田藩に残る「江戸日記」などの古文書から、江戸の大名屋敷がどのようなところであったか、江戸で働く武士の状況、江戸の藩邸で起きた事件のいろいろ、藩邸の奥向きの様子、さらには、明治維新後の藩邸から子爵邸への変化について、リアルな武士の暮らしのもろもろがまとまっていて、とても興味深く読めました。三河吉田藩は、現在の愛知県豊橋市にあり、松平伊豆守家が長く藩主を務めています。松平伊豆守家は、「知恵伊豆」の異名を持つ松平伊豆守信綱を初代とし、忍藩、川越藩、古河藩、吉田藩、浜松藩と国替えを繰り返した後、寛延2(1749)年から明治維新まで三河吉田を治めています。 (★★★★)

  • 安藤 優一郎: 江戸の旅行の裏事情 大名・将軍・庶民 それぞれのお楽しみ (朝日新書)

    安藤 優一郎: 江戸の旅行の裏事情 大名・将軍・庶民 それぞれのお楽しみ (朝日新書)
    サブタイトルに「大名・将軍・庶民 それぞれのお楽しみ」とあり、さらに、オビには「300年前は えっ!? 今よりもっと愉快な旅行天国」ともあります。ただし、旅行を心から楽しめたのは、庶民に限られていたようです。参詣者を増やしたい各地の寺社、温泉、宿泊業者が積極的に営業したからです。一方、武士や大名は、トラブルメーカーだったといいます。公用で旅行したり、参勤交代したりなのですが、宿泊料のダンピング、備品の破壊などなどトラブルをまき散らしながらの旅であったり、権威を笠に着たりで、あまり歓迎されなかったようです。江戸時代の旅のエピソード満載で、楽しめる本です。 (★★★★)

  • 藤田 和弘, 熊谷 恵子, 熊上 崇, 星井 純子, 熊上 藤子: 心理検査のフィードバック

    藤田 和弘, 熊谷 恵子, 熊上 崇, 星井 純子, 熊上 藤子: 心理検査のフィードバック
    この本は、WISC-ⅣやKABC-Ⅱなどの知能検査の結果(アセスメント情報)を「子どもの自立と社会参加」により役立つものにしていくには、どのように伝えたらよいか(フィードバック)についてまとめられています。過去には、保護者、学校の担任、子どもたち自身に知能検査の結果を伝えることはされていませんでした。しかし、現在では、苦戦している子どもたちが、自分のことを理解し、自分なりにも工夫して、学習や生活スキルを向上させ、将来の自立と社会参加につなげるために、知能検査の結果(アセスメント情報)を子どもたち自身にも伝えるようになってきています。私も、相談では、お子さんに直接、フィードバックを行い、子どもたち自身が自己理解を深め、意欲的、積極的に取り組めるようにしています。この本は、子どもと支援をつなぐ、支援者をつなぐという視点から、心理検査のフィードバックについて基礎から応用、事例を含んでその全体像を把握できる、優れたものとなっています。 (★★★★★)

  • 新潮文庫: 文豪ナビ 藤沢周平 (新潮文庫)

    新潮文庫: 文豪ナビ 藤沢周平 (新潮文庫)
    藤沢周平の作品案内、小説に見られる名言集、映像化された作品の出演者や、関係者による評伝などによって藤沢周平の作品についてすべてとはいいませんが、かなりが分かります。私は、藤沢周平の小説が好きで、たぶんほとんど読んだと思います。ただそれは、15~6年以上前のことで、リストアップもしていませんから、すべて読んだかどうかについては、不確か。こういう本を読むと、もう一度読もうかという気になります。この本では、娘の遠藤展子さんの「父にとっての家族」がもっとも興味深く読めました。また、藤沢周平の言葉で私が気に入っているのは、「普通が一番」です。ほかにも、「挨拶は基本」「いつも謙虚に、感謝の気持ちを忘れない」「謝るときは素直に非を認めて潔く謝る」「派手なことは嫌い、目立つことはしない」「自慢はしない」という言葉が、遠藤さんが父から言われて心に深く残っていることばだそうです。 (★★★★)