お知らせ

  • データの移行について
    2005年10月26日のブログ開始当初から、2024年8月31日までの記事は、「猫の欠伸研究室(アーカイブ)」に移行しました(http://blog.livedoor.jp/taichimaru151/)。 このココログの「猫の欠伸研究室」には、2019年1月以降の記事を残し、2018年12月以前の記事は削除しました(2019年1月1日から2024年8月31日までの記事は、両方にあります)。

レンズを通した自然観察

  • この「レンズを通した自然観察」ということばは、恩師のお一人が、私の趣味を形容しておっしゃったものです。2023年2月7日のブログに書きましたが、実はときどき思い出していることばです。お世話になった先生方はたくさんいらっしゃいますが、この恩師は、就職のことから学位論文の執筆、審査に至るまで本当にお世話になった先生です。「写真の撮り方を指南してもらいたい」ともおっしゃったのですが、これはお世辞と理解しています。私はほぼ隠居状態となって10年以上になりますが、今、改めてこのことばをかみしめています。この先生には結婚式の際に「理論と臨床をつなぐ仕事をするように」ということばをいただきました。体調を崩してそれには十分に応えられませんでしたので、せめてこの「レンズを通した自然観察」については、極めるとまでは行かないにしても、もう少し精進したいと考えています。

ブログ名の由来

  • ブログ名の「猫の欠伸研究室」は、中日新聞の夕刊に連載されている「紙つぶて」というコラム(平成22(2010)年1月13日)に、元新党さきがけ代表の武村正義さんが書いていらっしゃった「人生は猫の欠伸である」というコラムによります。武村さんは、“チベットで鳥葬を取り仕切る僧侶が、「人の生涯は猫の欠伸のようなもの」と語った”と書いていらっしゃいます。「猫の欠伸のようなもの研究室」としたかったのですが、ちょっと間延びしますので、「猫の欠伸研究室」とした次第です。「研究室」とつけたのは、過去、大学に勤めていたことがあるということやら、知らないこと、分からないことがあると何でも調べずにはいられない性分であること、屁理屈、講釈が大好きであることからであります。しかし、「人生の研究をしている」のではありません。「大所高所」からのご高説を開陳できるほどの力量はないが故、「小所低所」からの戯れ言をつぶやくのが精一杯(苦笑)。身の程に合わせ、勝手なことを書き綴っていますので、御用とお急ぎでない皆様には、今後ともご交誼のほど、お願いいたします。是非ともコメントを頂戴し、少しでも世間を広げたいと熱望しております。

モットー

  • 座右の銘というほど立派なものはありませんが、過去に体調を崩し、療養生活を送った経験から、私なりのモットーをつくっています。その一つは、「淡々と飽きもせず……」です。自分では、「……」と余韻を残しているところが気に入っています。こだわりすぎや、やり過ぎはよくありません。若い頃はムキになってやったこともありますが、今はこのように「淡々と飽きもせず……」が自分に合っていると思っています。もう一つは「晴耕雨読」ならぬ「晴歩雨読」です。マンション暮らし故、耕すところはありません。代わりに歩いています。そして、最近(令和3(2021)年に入った頃から)追加したのが、「散歩生活、ときどき仕事」。NHKのテレビ番組に「晴れ、ときどきファーム!」というものがあります。これのもじり。浅学非才の身ですので、ご交誼の上、いろいろとご教示をお願いします。

文化・芸術

2024年9月13日 (金)

「標本」展@三重県総合博物館へ

240913090441197c  今日も暑くなっています。津のアメダスでは、最高気温は、33.2℃。家内の実家での一人暮らしが続いていますが、退屈しのぎその3として、今日は、三重県総合博物館で開催されている「標本」展に行ってきました。昨日の記事で、どのように行くか迷っていると書きましたが、結局、実家からバスで久居駅へ。近鉄に乗り換え、津まで。津駅からはバスということになりました。たいしたことはありませんがそれなりに理由があります(後述)。往きは8時前のバスに乗り、久居駅には8時25分頃到着。¥580。久居駅8時31分発の急行で津駅には8時40分着。¥300。津駅西口9時13分発の総合文化センター行きのバスで、9時17分着。博物館は、この総合文化センターの敷地内にあります。帰りは、逆ルートで、実家には12時20分頃帰宅。歩いたのは、少なくて3.1㎞ほど。

0913miem  開催の趣旨は、次の通り。これは見逃す手はないと思っていたのですが、結局、見に行けたのは、会期末間際になりました。

開館10周年の夏は、わくわくするような昆虫・化石・岩石や鉱物・動物・植物など、当館のたくさんの自然史標本を大公開します!
博物館がたくさんの標本を集めるのはなぜ?どうやって集めるの?標本から何がわかるの?そんな疑問にもお答えします。当館の前身である三重県立博物館時代から集め、保存してきた「標本」の数々とそのすばらしさ、また展示を見るだけではない、博物館の真の姿を紹介します。

240913092338323c 240913092429080c  こちらが展示室の入り口。企画展示は、いつもこの展示室で行われます。右の写真は、入り口を入ったところの様子。手前に埋まっているのは、「ヒパクロサウルス」という化石の標本。アメリカで発掘されています。すべて撮影可能でしたので、100数十枚も写真を撮ってきてしまいました(すべてスマホ写真)。

240913094836646c  240913094635149c チョウの標本はとくにきれいでした。左の写真は、モルフォチョウの仲間のもの。右は、さまざまなチョウの標本を集めたもの。

240913093411865c  恐竜の標本は、大きくて目を引かれます。こちらは、トリケラトプス。

240913093129390c 240913093201391c  趣味の野鳥の標本も気になります。左の写真には、キジなどさまざまな標本が並んでいる様子が写っています。右は、その中からコゲラをクローズアップしたもの。このほか、植物、岩石、卵、種子、動物など多種多様な標本や、標本のつくり方などが展示されていて、とても興味深く見て回ってきました。展覧会は、9月16日までです。

240913101354297c  今回も図録を入手してきました。博物館も好きですが、図録を見るのも(集めるのも?)好きです。今回のものは、¥1,000。展示内容に沿って、あつめる、のこす、しらべる、つたえるという内容構成。

240913092254778c 240913104016915c  以下、余談。三重県総合博物館へ行くと、必ず会ってきます。オオサンショウウオのさんちゃん。三重県総合博物館唯一の生きた標本。ミュージアム・ショップ奥の水槽にいます。ほとんど動かないのですが、今日はお子さんを二人連れたお母さんが見ていたら、「動いた!」とおっしゃっていました。残念ながら、私は動くのを見たことはありません。右の写真は、展示室前にあるミエゾウの骨格標本。気に入っていて、行くたびに写真を撮ってしまいます。

Screenshot_20240913162549c  久居駅経由で行った理由その1。以前、エキタグというスマホアプリを紹介しました(2024年3月17日:20240317近鉄ハイキング酒蔵みてある記「銘酒『伊勢旭』旭酒造をたずねて」へ(一回完結))。最近は出かけていませんでしたので、デジタルスタンプが増えていませんでした。久居駅にも設置されているのを確認しましたので、久しぶりにゲットしようということで、往きに電車に乗る前に確認してきました。これでようやく8個目。

240913111656137c  理由その2。これは、以前に見ているのですが(2018年12月23日:20181223近鉄ハイキング「酒蔵みてある記 酒蔵めぐり油正『初日』と桃園三地蔵」へ……予告編、年内のウォーキング/ハイキング納め)、久居駅東口に、こういう銅像があります。忠犬ハチ公といえば、渋谷駅前なのですが、久居駅にもその銅像があるのです。これは「上野英三郎博士とハチ公」という銅像。飼い主の上野英三郎博士が、現在の津市久居元町(一志郡本村)に生まれたという縁で、ここに平成24(2012)年10月銅像が建てられたのです。久しぶりに見ようと思って、こちらは帰りに立ち寄ってきました。

240913100635332c  オマケ。ほぼ1時間で展示を見終わったのですが、10時台に津駅に行くバスは、10時46分の1本のみ。30分ほど時間がありましたので、図録を買うついでに「さんちゃんクッキー」が目に入りましたので、2個入り¥150を買って、休憩スペースで勝手におやつタイム(微笑)。

2024年5月26日 (日)

悲報 田町の商店の巣からツバメのヒナが姿を消し、三崎通のお宅のツバメの巣は一部崩落……午後からは桑名市博物館で初夏の企画展「絵図と地図のセカイ」を鑑賞

Dsc05082c_20240526151901  熱帯低気圧が、台風1号になったそうです。明日、明後日と前線が近づいて、大雨も予想されていますから、注意しなければなりません。何よりも散歩に行けないと、またウロウロしそうです(苦笑)。今朝は、7時半から散歩へ。住吉神社、九華公園、貝塚公園、内堀南公園、外堀、吉津屋町、京町、南魚町、田町、三崎通、桑名七里の渡し公園と2時間ほど。午後からは、桑名市博物館へ。あわせて7.3㎞。

Dsc04765c_20240526151901 Dsc04841c  散歩は2時間と書きましたが、散歩友達も、鳥もいなかったためです。左の写真は、スズメのヒナ。九華公園にて。途中も、九華公園でも見たのは、スズメ、ドバト、ムクドリくらい。それも少数。昨日と大違いです。九華公園の神戸櫓跡の巣のカワウの幼鳥は、元気。3羽孵ったはずが、1羽のみが残っています。かなり大きくなりましたが、未だに「エサ、ちょうだい」という鳴き声が響き渡って、現在、九華公園でもっとも有名な存在になっています。

Dsc04717c_20240526151901 Dsc04746c_20240526151901  九華公園の花菖蒲園では、花菖蒲はパラパラと咲いています。残念ながら、今年はとても鑑賞をお勧めすることはできないというのが、正直なところ。

Dscn6245c  貝塚公園、内堀南公園でもスズメ、ムクドリがいたくらい。ツバメの巣も巡回してきましたが、悲劇が起きていました。京町の商店の巣は、朝の散歩で通ったときには親は不在でしたが、博物館の孵りに見たら、ちゃんといました。コンデジ写真ですので、写真の出来はイマイチ。

Dsc04966c_20240526151901 Dscn6249c  京町のマンションの巣作り現場。左の写真は、朝の散歩の時のもの。右は、博物館帰りの時のもの。順調に進んでいるようです。マンションの住人の方も、出入りするときに気にして、覗いていく方があります。

Dsc05048c  Dsc05061c_20240526151901 田町の商店の巣を見に行って、ビックリ。5羽のヒナがいたのに、1羽もいなくなっていました。何かアクシデントがあったに違いありません。さらに、三崎通のお宅のツバメの巣も、壊れていて、ツバメはいません。4ヶ所でツバメのヒナが育つかと楽しみにしていたのに、一気に半減してしまいました。自然界の厳しさの一端を垣間見た気がします。

Dsc05074c_20240526151901  桑名七里の渡し公園では、カワラヒワ。水浴びをしていたのですが、そのシーンは撮れず。

Dsc04913c Dsc04932c_20240526151901  一昨日、いつものコースを歩いたときには気づかなかったのですが、あちこちでユリが咲いていました。ちょっと検索したのですが、ユリの名前はよく分かりません(微苦笑)。

Dsc05008c  こちらは、田町で見たもの。これは、たぶんテッポウユリ

240526135445749c  ところで、初めに書きましたように、午後から桑名市博物館へ行ってきました。昨日から「初夏の企画展『絵図と地図のセカイ』」が開催されているからです(7月7日まで)。今は、空間情報を平面に表現したものは、一般に「地図」と呼ばれていますが、それが用いられるようになったのは、明治時代からであり、それ以前は主に「絵図」という用語が用いられていたそうです。この展覧会では、館蔵品から、さまざまな絵図や、地図が出展されています。1時間ほどかけて見てきました。また、同時に開催されている特集陳列「木澤忠兵衛と石取祭車」・「刀剣セレクションⅠ」もなかなかおもしろい内容でした。

240526144032453c  こちらは、恒例の撮影可能な展示品。「脇指 銘 村正」。村正については、今さら説明の必要はありませんが、桑名の刀工。説明には、「ぶつ切りのたなご腹」「肌の様子が白けることや、薄い重ね、ふくらの枯れた切先等、村正の刀に見られる特徴には美濃伝の影響をうかがわせるものが多い」「身幅広く薄い重ねの刀身に焼かれた、変化に富んだ尖り互の目の波紋が見どころ」とあります。

Dsc05039c  明日、明後日の天気予報は、いずれも雨時々曇。火曜日の方が、よく降りそうです。水曜日は、江戸橋での非常勤の授業ですが、今のところは晴れの予報。来週末は、そろそろ諸戸氏庭園の花菖蒲が見頃を迎えそうですから、また撮影に行って来ようと思っています。それに、そろそろまた、どこかにウォーキング/ハイキングにも行きたいところです。6月1日には明星駅で「参宮街道から王朝絵巻『斎王群行』へ」が、また、6月2日には井田川駅でJRさわやかウォーキング「東海道亀山宿と約12,000株の花しょうぶを訪ねて」があります。どちらも過去に参加したことがあるところですが、斎王群行や、斎宮近くにある野花菖蒲の群生地はもう一度行ってみたい気がします(2019年6月2日:20190602近鉄ハイキング「斎王まつり 日本遺産斎宮散策と王朝絵巻『斎王群行』」へ(予告編))。亀山公園の花菖蒲も見事でした(2019年6月9日:20190609JRさわやかウォーキング「~TOICAエリア拡大記念~ ~紀勢線全通60周年記念~ 亀山藩城下町と花しょうぶまつりを訪ねて」へ(予告編)……雨にも負けず(苦笑))。これも再見の価値があります。

2024年2月25日 (日)

20240225「昭和のくらし 昭和の一隅展」へ@四日市市立博物館

 朝から雨になっていますが、さほど強く降ることはなさそうでした。いつもなら「雨読の日」なのですが、急に思い立って、出かけてきました。行き先は、四日市市立博物館。1月2日から3月3日まで「昭和のくらし 昭和の一隅展」が開かれているのです。この「昭和のくらし」展は、毎年、1月から3月の恒例展覧会。このところ必ず見に行っています。今日の天気予報では「弱い雨」でしたので、それなら行ってくるかと思い立ったのです。

240225093020674c 240225100214637c  近鉄桑名駅を8時59分に出る塩浜行き普通に乗車。近鉄四日市駅には9時23分着。¥360。博物館まで歩いていくと、開館時刻の9時半に着けるという見込みで、その見込み通り開館と同時に入館。 初めのうちは、ほぼ独占状態で見られました。¥500。

240225093653298c  今回の目玉は、太田隆司さんのペーパーアートが多数展示されていることです。いわゆる「ペーバークラフト」とはまったく異なり、紙を微妙に重ねて「絵が描いてある」という感じの作品です。二次元の「絵」でもなく、360度から見える完全な立体でもありません。17センチの奥行きの中に独特の世界が展開されています。これは、百聞は一見にしかずの世界。興味をお持ちになったら、ご覧になることをお勧めします(撮影可、SNSで公開可となっています)。こちらは、「春 アクシデント」という作品。

240225093758014c  どの作品もとても興味深いのですが、2つを取り上げます。左の作品、白黒カラーのスポーツカーが見えます。「秋 上小出オート」というタイトル。若い頃、私はトヨタのAE86トレノに乗っていたのですが、これはたぶん86レビン。1,600ccの直列4気筒DOHCエンジンで、130馬力を叩き出し実によく走りました。

240225094134257c  Ddb3e864_20240225130901 もう1つは、四日市にちなんだシーンということで、末広橋梁。市内の千歳運河にかかる跳開式可動橋です。作品のタイトルは、「昭和の文化遺産-四日市末広橋梁-」。何度も現地に行ったことがあります。右の写真は、去年の3月11日に撮ったもの(2023年3月11日:20230311勝手にハイキング「四日市旧港から四日市市立博物館へ……『昭和のくらし 昭和のおもちゃ』展で昔を懐かしむ」(一回完結))。

240225094614521c  「昭和のくらし」の方は、例年と同じようなものが出ています。こちらでは、昭和30年代の家庭の光景が再現されています。私の子どもの頃の自宅の雰囲気もそっくり。

240225094356756c  真空管ラジオ。5球スーパーというもの。わが家にあったものは、ナショナル(現在のPanasonic)製でしたが、外観はこれによく似ていました。

240225094650197c 240225094643619c  かつてはどこのお宅も、電話といえばこれでした。いわゆる「黒電話」。いまでは、博物館に展示され、その使い方も掲示で説明されています。今日は載せませんが、平成の時代に流行った「二つ折り携帯電話」もすでに展示されています。

240225094703296c  英文タイプライターです。大学に入った年に安い、ブラザーか、オリベッティか忘れましたが、英文タイプライターを買って、それに附属していた教則本に沿ってしばらくタッチタイピングの練習を行い、そのスキルを身につけられました。これは、就職してから現在に至るまでパソコンを使うのにとても役に立っています。

240225095725933c  タイプライターといえば、昭和54(1979)年に就職してから、学会発表の資料やグラフをつくるのに、和文タイプライターを使ったこともありました。「キーによる盤面操作で活字箱から任意の活字を取り出す」というメカニズムが採用されていますが、英文であればアルファベットは26文字ですが、日本語では、ひらがな・カタカナ・漢字と膨大な数の活字が必要になります。ごくまれに活字が納められているところをひっくり返してしまい、元に戻すのに膨大な時間と労力を注いだこともありました。

240225095509244c_20240226043601  今回、展示のところどころに「あなたの昭和度は?」という展示というか、掲示というかが出ていました。こちらは初級編。「アベック」という言葉、今でも使ってしまいます。英語の筆記体が書けるのは当然と思っています(今は習わないようです)。「当たり前だ」といえば、あのクラッカーです。風船ガム、練習しましたねぇ。冷凍ミカン、駅の売店で売っていました。「巨人・大鵬・卵焼き」世代です。この展示、中級編、上級編、名人編、師範編と5段階に分かれています。

240225100715532c 240225100728036c  ここからは以前のブログでも紹介したことがありますが、四日市市立博物館にある時空街道の展示。これらは、江戸時代に荷物を運んだ馬の様子。馬といってもサラブレッドではなく、日本在来馬。足には、蹄鉄ではなく、馬用の草鞋を履いています。馬用の草鞋が気に入っているのです。

240225100512520c  もう1つ。焼き蛤の店。江戸時代のものを再現しています。「その手は桑名の焼き蛤」といいますが、朝日町の小向や、四日市の富田あたりでも焼き蛤が売られていました。小向、富田は江戸時代は、桑名藩領でした。

240225100930470c  本屋に立ち寄って新書を2冊買い、四日市近鉄百貨店の食品売り場を覗いて、近鉄四日市駅発10時51分の名古屋行き急行で帰宅。桑名駅には、11時3分の到着。¥360。

2024年1月13日 (土)

ハクセキレイ&アオサギデー……桑名市博物館で「松平定信と源氏物語」展も見てくる

Dsc07332c_20240113142701  予報では晴れ、午後一時雨となっていましたが、ほぼ曇りで、昼前後は晴れ間もあったものの、午後からはときどき小雨模様という寒い日になっています。今日も7時半から散歩へ。寒いのでさすがに歩く人は少なめ。住吉神社、九華公園、貝塚公園、内堀公園から桑名市博物館へ。その後京町、南魚町、寺町と6.7㎞。

Dsc06713c_20240113142801 Dsc06730c  鳥も相変わらず少なく、七里の渡し跡まで行ってようやくヒドリガモが6ペア。揖斐川は静かでした。いたのは、カンムリカイツブリ2羽。ユリカモメも数羽飛んでいました。柿安コミュニティパークの堀には、キンクロハジロが2羽。

Dsc06779c_20240113142701 Dsc06845c_20240113142701  九華公園について、相撲場東の堀にコガモのペアが1組。今日も、鎮国守国神社の社務所裏の木にアオサギがいます。葉っぱが落ちてよく見えるのですが、枝が被ってしまい、結局遠くから撮る羽目に。

Dsc06872c_20240113142701  九華橋のところにハクセキレイ。九華橋あたりには、ハクセキレイがよくやって来ます。

Dsc06912c Dsc07080c  奥平屋敷跡でいつものように小1時間、鳥待ちをしたのですが、今日はヒヨドリもムクドリもドバトもほとんど来ません。寒いのも影響していると思いますが、センダンの実が食べ尽くされてしまいましたので、ヒヨドリ、ムクドリは来ないのでしょう。ここに来たのは、シジュウカラ2羽とハクセキレイ2羽。シジュウカラの写真は上手く撮れず。

Dsc07123c  アオサギは、辰巳櫓跡にある松の木にもいます。昨日と同じパターン。こちらのアオサギさん、何故かは分かりませんが、いったん飛び立って、公園の南側の方を回ってここに戻ってきました。

Dsc07222c_20240113142701 Dsc07202c_20240113142701  ユリカモメは、23羽。堀にかかる橋の上に立つと、エサをくれ!とばかりにすごい勢いで飛んできます。カモは、ホシハジロのオス(右の写真)が1羽、キンクロハジロが15羽、ハシビロガモが16羽。キンクロハジロが激減し、ヒドリガモが今日は来ていませんでした。

Dsc07284c_20240113142701  九華公園の外周遊歩道の南でもハクセキレイ。今日は、ハクセキレイ&アオサギデーです。

Dsc07314c Sadanobutogenjic  こちら、桑名市博物館。今日から2月25日まで新春企画展「松平定信と源氏物語」が開かれています。松平定信が書き写した《細写 源氏物語》や帆山花乃舎が描いた源氏物語図屏風などが紹介されています。定信は、源氏物語を何度も繰り返して写しています。それも「細写」といって、とても細かく写しています。写本のサイズもとても小さいのです。こちらに中日新聞に掲載された記事があり、細写の写本の写真もあります。右の画像は、桑名市博物館のサイトからお借りしました。

230113sadanobu1c 230113sadanobu2c  これらが出品リスト。2階展示室では、特集陳列「<山>と<月>の日本画」および「刀剣セレクションⅢ―桑博ドラゴンズ―」が同時に開催されています。「<山>と<月>の日本画」では、七里の渡し跡の西にあった旅館山月が所蔵していた日本画が7点、展示されています。旅館山月で、山と月なのですが、展示されている絵ももちろん、冨士山図や、月夜新緑図などタイトル通り。「刀剣セレクションⅢー桑博ドラゴンズ」では、龍がデザインされた刀や鍔、小柄など11点が見られます。

Dsc07324c  いつものように、1点だけ撮影可の出品作があります。大抵は刀剣。今回は、「脇指 無銘」ですが、15~16世紀、村正の作と伝わるものだそうです。しかし、検討の余地ありとなっていました。余談ながら、平成27(2015)年に開催された「大定信展」の図録が、今回の展覧会期間中限定で半額(¥500)で売られていましたので、ゲットしてきました。

Dsc06743c  寒いというか、冷たい1日となっています。朝も多度山の方の雲は、雪雲ではないかと思えるものでした。明日は、朝は冷えるという予報です(氷点下の予想)が、近鉄ハイキング「高田本山専修寺「お七夜」と新春の寺内町散策」に出かけたいと思っています。去年の1月14日は、義母の百か日法要を執り行い、その帰りにお七夜に行っています(2023年1月14日:専修寺のお七夜へ……義母の百か日法要を済ませ)。

2023年11月26日 (日)

紅葉とカワセミ、ユリカモメのバトルそしてジョウビタキのメスと「三題噺」

Dsc00489c  今日の最低気温は、3.5℃。たぶん今シーズンもっとも低かったと思います。日中は14.9℃まで上がり、風も弱いのでさほど寒くは感じません。昨日のウォーキングの疲れはないと思っていたのですが、長めの昼寝をしてしまいました(苦笑)。やはりそろそろ「いい年をしている」のだと実感せざるを得ないのかも知れません。午前に所用がありましたので、7時15分から「時間制限法」で散歩へ。住吉神社、九華公園、内堀公園、京町、寺町と回って8時35分に帰宅。9時過ぎに用事を済ませ、9時半前から再び徒歩でメディアライブと柿安シティホールまで。合計6.5㎞。

Dsc00505c_20231126152601 Dsc00553c_20231126152601  拙宅マンションを出たところでカワセミの鳴き声。北側の水路を探したら、いました。水路から諸戸氏庭園の紅葉の下のフェンスにあがったのが、左の写真。右は、その後しばらくして水路沿いに降りてきたとこと。もう少し明るいとよかったのに。

Dsc00654c Dsc00613c  七里の渡し跡のところでオオバン1羽を見たのですが、暗くてほぼ真っ黒に写ってしまいましたので、割愛。九華公園に着いて、鎮国守国神社の裏のビワの木でゴイサギが1羽、お休み中。手前の堀には、コサギが1羽。エサを探しているようでした。

Dsc00681c_20231126152601 Dsc00748c_20231126152601  九華橋の近くの樹上には、アオサギ。九華公園でアオサギをはじめ、サギたちを見たのは、久しぶりです。カモは今日は、合計70羽。キンクロハジロが51羽、ハシビロガモが17羽、ヒドリガモは1ペア。

Dsc00802c Dsc00861c  奥平屋敷跡では、立教小学校の方からシジュウカラ数羽と、コゲラ1羽がやって来ました。どちらもよく動き、なかなか手強い。

Dsc00991c_20231126152601 Dsc01006c  ユリカモメは、33羽。左の写真は、野球場南の堀沿いにある柵の上に並んだところ。お尻写真も、今シーズン初めて撮れましたが、何羽も並んだところはこれから。

Dsc01216c_20231126152601 Dsc01243c_20231126152601  こちら、2羽のユリカモメが何やらもめていました。場所は、野球場の南の吉之丸堀。連写していましたので、パソコンで見てどうなっていたか、分かった次第。

Dsc01264c  相手にどのように攻撃するかというと、どうも嘴で、「噛みつく」訳ではありませんが(歯がありませんから)、相手の体の部分を強くくわえ込んで、引っ張っているように見えました。また、足で相手を蹴飛ばしているのか? と思えるシーンも写っています(これは今ひとつはっきりしていませんので、割愛しています)。またチャンスがあったら狙ってみることにします。

Dsc01527c_20231126152701  帰り道、住吉入江でジョウビタキのメスが出て来ました。寺町交差点から北のあたりですが、この辺ではこれからジョウビタキをときどき見かけます。

231126093715815c 231126093757988c  桑名メディアライブでは、「桑名市民芸術文化祭」の「美術部門展」をまずは見てきました。知人が写真を出展しているのです。絵画、工芸、陶芸、彫刻なども一通り見てきました。山本翠松さんの「イジイジ塗り桑名盆(紅白かぶら絵)」が出ていましたが、さすがにプロの手によるものは違います。伊勢型紙の手法で景色がつくってあるものや、陶芸、彫刻に渡しの興味を引くものがありました。中央図書館にも行って、「昭和の写真でめぐる桑名」(第18回昭和の記憶収集資料展)を見てきました。

231126095711900c 231126095740364c  さらに柿安シティホールでは、「桑名市民芸術文化祭」の「社会文化部門展」として、「桑名市街 領知替え200年」と「石取祭車 最新の研究から」という2つの展示が行われており、こちらも一通り拝見してきました。

Dsc01492c_20231126155201  ところで今週末は、もう12月になります。水曜日は、いつものように非常勤の講義。ほかに図書返却や、来年度のシラバスの〆切がありましたが、これらはすでに完了。年寄りになると、〆切よりも早くに提出してしまうようです(微苦笑)。

2023年10月31日 (火)

ムシクイにカワセミでバードウォッチングの吉日……桑名市博物館で特別企画展「武門の遺産(レガシー)」を見てくる

Dsc05784c  相変わらずの好天で、散歩日和が続いています。日中は、23.1℃と暖かくなりました。今朝も7時20分から散歩へ。住吉神社、九華公園から桑名市博物館へ。予定通り特別企画展「武門の遺産(レガシー)」を見たのち、京町、寺町と歩いて、7.0㎞。今日は、九華公園でジョウビタキ、シジュウカラ、カワラヒワ、ムシクイがよく出て、調子に乗って2,000枚近くも写真を撮ってきてしまいました。

Dsc03877c_20231031162101 Dsc05767c  散歩に出てすぐ、諸戸氏庭園からコゲラの鳴き声がよく聞こえてきました。あの高木のてっぺんにいました。ここにはモズやジョウビタキも来ます。どういう風になっているかは、右の写真をご覧ください。本邸(主屋)に向かって少し右奥に見えているのが、この高木です。

Dsc03901c  桑名七里の渡し公園では、今日もハクセキレイが1羽。諸戸氏庭園や、ここ七里の渡し公園では、ヒヨドリがたくさんいます。スズメやドバトは最近、このあたりではあまり見ません。

Dsc03966c_20231031162101  九華公園に着いて、扇橋の西のソメイヨシノの木にジョウビタキのオス。鳴き声でどこにいるか、よく分かります。

Dsc04711c_20231031162001  奥平屋敷跡では、ムシクイ。たぶんセンダイムシクイだと思いますが、これは夏鳥。見られたのは嬉しいのですが、こんな10月末にここにいてよいのかと心配になります。よく動くので散々苦労したのですが、これくらいの写真しか撮れませんでした。

Dsc04242c Dsc04243c  膨大な数を撮った写真の中で、こんなところが写っていました(苦笑)。まさにご笑覧ください。クリックして拡大した上で、お尻のあたりをよくよくご覧ください。そうです、ウ○チをする瞬間が連写で写っていたのです。狙ったわけではありません。たまたま。

Dsc04244c  こちらは、ウ○チがお尻から離れ、落下していく途中。

Dsc04124c Dsc04908c_20231031162001  ほかに奥平屋敷跡にやって来たのは、ジョウビタキのメスとオス、1羽ずつ。メスは、奥平屋敷跡を回っているようです。オスは、扇橋のところで見たものと同じ個体かも知れません。

Dsc04054c Dsc04092c_20231031162101  そのほか、メジロやカワラヒワ、シジュウカラも来ていました。メジロとカワラヒワは、木の高いところにいて、姿をなかなか確認できませんでした。

Dsc04512c Dsc04939c_20231031162001  シジュウカラは2羽が一緒に来て、移動しながらエサを探しているようでした。こちらもよく動き回り、じっとはしてくれません。このあと、二の丸跡でもメジロ、また、朝日丸跡でもジョウビタキのオスを見られました。

Dsc05650cDsc05250c_20231031162001 奥平屋敷跡でムシクイ、ジョウビタキ、シジュウカラ、メジロ、カワラヒワとたくさん出て来て、時間がたつのをとても速く感じました。「これで、あとはカワセミがいたらいうことはないな」と思いつつ、鎮国守国神社を回って、相撲場のところへ来たら、ジャーン! なんと、カワセミがいるではありませんか。今日は、バードウォッチングの吉日です。何度かダイビングしたのですが、そこは上手くは撮れず。途中、ヒヨドリが乱入して、カワセミも何度か逃げたのですが、最後に右の写真のように、カワセミにはちょっと大きめの魚をゲットしたところも見られました。このあと、鎮国守国神社の社務所裏に入ってしまい、これを食べたかどうかは確認できませんでした。ボラの子どもではないかと思います。

Dsc05177c_20231031162001 Dsc04024c  カモは、今日は合計55羽。ホシハジロは、今日はいませんでした。キンクロハジロが48羽。ハシビロガモは8羽。

Dsc05663c_20231031162001 Dsc05691c  ヒドリガモはオス、メス1羽ずつ。さらに、九華公園の外周遊歩道の南でも、ジョウビタキのオス。奥平屋敷跡などで見たのと同じ個体かも知れません。

231031101454739c  9時40分過ぎに桑名市博物館へ。初めに書きましたように特別企画展「武門の遺産(レガシー)」を見て来ました。11月26日(日)まで開催中です。

Bumon  昨日の記事にも書きましたが、文政6(1823)年、忍(おし/埼玉県行田市)藩主阿部正権が白河へ、白河(福島県白河市)藩主松平定永が桑名へ、桑名(三重県桑名市)藩主松平忠堯が忍へ国替えとなる「三方領知替」が行われました。この展覧会は、3市友好都市締結のきっかけとなった「三方領知替」から200年、また友好都市締結25周年となる節目の年を記念して開催されています。3つの大名家と德川将軍家の関係を示す書状や、三方領知替に関わる古文書、大名家伝来の美術工芸品、江戸時代の各藩の様子がうかがえる資料などを展示されています。ポスターの写真は、桑名市博物館のサイトからお借りしました。こちらに出品リストがあります(pdf、640kb)。私は、3つの城の絵図や、阿部家に伝わる陣羽織、具足などを興味を持って見てきました。

Dsc05743c_20231031162001  こちらは、毎回、1点のみある写真撮影可の展示品。「古萬古 オランダ写手焙」。萬古焼の創始者・沼波弄山の作。手焙りは、手をあぶるのに使う小型の火鉢。麒麟、鳥など抽象的な瑞獣、瑞鳥文、蔓草文が描かれ、異国情緒が感じられます。

2023年10月25日 (水)

今日の寄り道は三重県総合博物館で「鳥のひみつ調べ隊 みて、きいて、ふれて」展へ

231025120614590c  水曜日ですから、江戸橋での講義日です。今日で5回目、全体の1/3となりました。出席率は、90%弱と、3回目と同じく最高を記録。これまで休んでいて今日から出席したという「超強者」もあります。15回中、10回以上の出席がないと成績評価を受ける資格がなくなります(つまり、失格して期末試験を受けられません)。今日から来たということは、まさに「後がない」状況です。今後の奮起を期待します。

231025102314788c  今日までは「発達からみた人間関係」というジャンルの話。具体的には今日は「⻘年期の⼈間関係の悩みとその克服」というテーマで、学生諸君にも切実というか、身近な話題でしたので、出席票の反応もかなりよいものがあります。というのも、学籍番号・氏名しか書いていないというものが、ゼロだったのです。いつもこうであって欲しいと思いますが……。

231025121550265c 231025121743060c  さて、いつもなら授業終了後は、志登茂川に立ち寄って、鳥がいないかを見てくるのですが、今日の寄り道はこちら。非常勤先まで、実家に行く家内に迎えに来てもらって、三重県総合博物館(ミエム)へ。「鳥のひみつ調べ隊 みて、きいて、ふれて」を見てきました。ようやく念願が叶いました(微笑)。前売り券を買っておきましたので、¥800のところを¥640で入館。12月10日まで開催されています。

231025121903225c  企画展示室に入ってすぐのところ。今回の展覧会では、「このブースは撮影可」というところが多かったので、写真をたくさん撮ってきました。様々な側面から鳥のひみつをひも解いていく内容です。鳥の祖先、鳥ならではの飛ぶための工夫などの形態的からの考察、芸術作品で見る鳥の歴史や食文化の紹介なども。鳥に関する貴重な剥製や骨などの展示資料は、293点も出展されています。実際に触れられる標本や、鳥の声が聞けるブースまであります。

231025122039801c  この写真では大きさがわかりにくいのですが、これは世界最大と言われている「ジャイアントモア」。なんと足先から頭まで3mもあり、体重も250㎏あったものもいるといいます。最大のものは、3.6mにもなったそうです。ただし、おとなしい性質で、人間にたやすく乱獲されてしまい、すでに絶滅しているそうです。空を飛ばない鳥です。

231025122943630c 231025122648663c  こちらは、私の好きなアオサギ。骨格標本も展示されていて、マジマジと見てきました。これで、明日以降、アオサギを見る目も変わるかも知れません。

231025122508789c  キジの体に生える羽を抜いて並べた展示もあります。一羽のキジが、ものすごい総量の羽をまとっていることが一目瞭然。ただし、これで全部ではありません。これは、首・背中から尾・胸・翼の部分だけといいます。実際に見ると、圧倒されます。

231025125438397c  さて、三重県総合博物館に行くと、必ず会ってくるのが、さんちゃんオオサンショウウオです。三重県総合博物館唯一の生きた標本なのです。じっとしていましたが、たぶん元気です。

 231025125422514c そして、ミュージアムショップでお土産をゲット。図録(¥1,000)、「しろっちとなかまたちフレークシール(¥550)」に銘菓「関の戸(¥648)」です。フレークシールは、写真やイラストに沿ってひとつずつカットされた小さなシール。しろっちは、三重県の鳥であるシロチドリから来たキャラクター。関の戸は、東海道関宿にある深川屋さんのお菓子。実は、これも大好きなのです。

231025130048704c  博物館からバスで津駅まで。バスは、某大学の学生さんで大賑わい。それはよいのですが、入り口付近まで人がいて、乗ろうと思っても奥に詰めてくれないのです。運転士さんがアナウンスしてくれてようやく少しだけ奥に行ってくれましたが、前回来たときも同じでした(2023年5月24日:江戸橋で授業のあと、三重県総合博物館で「親鸞と高田本山 専修寺国宝からひろがる世界」を見る)。もうちょっと進んで他の客に対しても気を遣ってくれないかなと思います。どこの学生さんかは敢えて書きませんが、お分かりになる方にはお分かりいただけるでしょう。ちなみに、私が教えているところの学生ではありません。

231025133621235c  津駅に着いてから昼食。津チャムにある「信州そば処そじ坊」へ。ここ、お気に入りの店。13時半過ぎです。今日は、「ぶっかけ蕎麦3種盛り」をチョイス。税込みで¥960。トッピングは、大エビ天ぷら、おろし、なめこ。これ、失礼ながら、チェーン店の蕎麦とは思えないほど、おいしい蕎麦でした。

2023年10月15日 (日)

午後から「つながる琳派スピリット 神坂雪佳展」へ

Dsc05963c_20231015172501  雨は朝5時過ぎにはほぼ上がったのですが、その後も8時頃まで小雨模様でした。散歩に出られたのは、8時20分ころ。住吉神社、九華公園、貝塚公園、内堀南公園、吉津屋町、京町、寺町と歩いてきました。9時半頃からはよく晴れて来ました。冒頭の写真は、帰宅したときのもの。午後の外出も含め、今日歩いたのは、6.9㎞。最高気温は、25.1℃。

Dsc05432c_20231015172501  歩いている間は、ほぼ曇天でしたので、鳥はあまりいませんでした。川口水門の下流側(七里の渡し跡のところ)にアオサギ。ときどき、こういうところにいます。水面からは高さがありますから、エサをとるには適していないので、何をしているのかよく分かりません。

Dsc05496c_20231015172501 Dsc05514c  九華公園に着いて、九華橋のところにアオサギ。橋の近くの樹上です。よくここにいます。旧アヒル小屋のところには、カワウが3羽。このほか、神戸櫓跡の松の木には、10羽のカワウ。ほかに、野球場の照明灯にいたり、堀でエサをとっていたりします。秋以降、九華公園ではカワウが増えてきます。

Dsc05566c_20231015172501 Dsc05646c_20231015172501  奥平屋敷跡にはムクドリがいたくらい。二の丸跡や朝日丸跡でも同様。カモは、一昨日と同じく、キンクロハジロが1羽とハシビロガモが4羽。

Dsc05907c Dsc05960c_20231015172501  貝塚公園でモズ。ほかにはシジュウカラ、カワラヒワ、さらにコサメビタキらしき鳥もいたものの確認できず。内堀南公園のところでハクセキレイが電線にやってきました。

231015155110397c 231015155142262c  さて、午後からは、パラミタミュージアムへ。10月11日の記事に書きましたように(2023年10月11日 :志登茂川にはカモはまだ)、江戸橋で、同じ時間に美学の講義を担当している非常勤講師の先生(日本美術史、とくに琳派がご専門)に「つながる琳派スピリット神坂雪佳展」の招待券をいただいたので、早速出かけた次第。今日は、娘が付き合ってくれ、往復ともに娘の運転。

231015144222107c  神坂雪佳(かみさかせっか:1866―1942)は、明治から昭和にかけて活躍した工芸図案家。京都の士族の生まれ。当初は四条派の絵を学んでいたのですが、その後、各種工芸意匠図案および工芸製作の組織を研究し、かたわら光琳派の画風を学びました。その工芸図案は、洋の東西を超えた表現の、明快、適切な図案で、わが国近代工芸に曙を与え、方向を示したと評されています。琳派は、江戸初期の本阿弥光悦俵屋宗達にはじまり、江戸中期の光琳やその弟・尾形乾山、江戸後期の酒井抱一らに受け継がれました。琳派は、装飾性豊かな作風で、絵画や工芸といった領域を越え、さまざまな意匠を生み出し、近代以降も多くの分野にわたって影響を与え続けています。展示内容は、雪佳が手本とした琳派の美の潮流を本阿弥光悦や尾形光琳らの名品に始まり、古典と近代的発想を融合させ、美術と意匠の二つの分野を自在に往来した神坂雪佳の多彩な世界を見られます。私が気に入ったのは、金魚玉図、狗児(百々世草より)、雪庵菓子皿など。「狗児」は、左の写真にありますように、この展覧会のチラシにも使われています。ちなみに娘は、予備知識なしに行ったのですが、雪佳という名前から女性を連想していたようです。大変興味深く拝見してきました。琳派の流れもよく分かります。

Dsc05908c_20231015172501  ところで、今週はいくつか用事があります。明日は終日市役所の会議。水曜に江戸橋での授業、金曜は美濃街道ウォーキングオプショナルツアーの行基寺ウォーキングを予定。土曜日は、マンション管理組合の理事会にオブザーバーで参加。キンモクセイが咲いてきました。内堀にあるお宅にて。

2023年10月11日 (水)

志登茂川にはカモはまだ

231011102753060c  朝は肌寒く感じました。今日は、江戸橋での非常勤の講義でしたが、今シーズン初めてジャケットを着て出かけました。講義が終わって帰ってくる頃には、日向では暑いくらいになっていました。桑名では最高気温は26.2℃。良い天気で散歩日和でした(微苦笑)。3回目の講義で、出席者は30名。1回目から漸増傾向。明日・12日までが履修登録の確認・訂正期間ですので、まだ確定した名簿は届きません。Google Classroomに登録しているのに、1回も出席がない学生も複数います。履修を取りやめた可能性もありますが、1、2回目を欠席して、今日から登場した学生もありますから、なんともよく分かりません。今日初めて出席した学生がいるというのは、ほかの科目でもあるようでした。来週には、きちんとした名簿が来るでしょうから、それを待つしかありません。

Dscn6018c Dscn6020c  帰りには、後期の講義日恒例の志登茂川寄り道をしてきました。往きの通勤電車から、ある川にカルガモ以外と思われるかカモの姿が見えたので、ひょっとしたら志登茂川にも来ているかと期待したのです。これら2枚は、おぼろタオルの工場脇から堤防に上がって見た上流方向。アオサギ、ダイサギのほかには、カルガモが見えたのみ。

Dscn6025c  こちらは下流方向。こちらにもアオサギ、ダイサギ、カルガモがいただけ。残念ながら、江戸橋付近の志登茂川には、まだ渡ってきてはいないようです。

231011121712486c  江戸橋駅を12時19分に発車する名古屋行き急行で帰宅。昼食を摂って、出欠をチェックしたところまで。Q&Aはこれからです。出席票になにも書かない学生はほとんどなく、A5サイズの用紙(10行あります)を埋めてくれています。以前は、出欠をチェックした勢いでQ&A作成に進んでいたのですが、最近は、けっこう疲れる感じで、一息も二息もおかないとQ&Aチェックに進まなくなっています。70歳で定年というのもよく分かる気がします。

Kamisakasekka  ところで、同じ時間に美学の講義を担当している非常勤講師の先生がいらっしゃいます。後期の授業を担当するようになった5年前から、非常勤講師控え室でお目にかかると、お話しをさせていただいています。日本美術史がご専門。先週、「パラミタミュージアムつながる琳派スピリット神坂雪佳展があります。ご興味がおありでしたら、招待券を差し上げます」ということで、お願いしていました。神坂雪佳(かみさかせっか:1866―1942)は、明治から昭和にかけて活躍した工芸図案家。京都の士族の生まれ。当初は四条派の絵を学んでいたのですが、その後、各種工芸意匠図案および工芸製作の組織を研究し、かたわら光琳派の画風を学びました。その工芸図案は、洋の東西を超えた表現の、明快、適切な図案で、わが国近代工芸に曙を与え、方向を示したと評されています。ぜひ見に行こうと思っています。今日はさらに、名古屋の松坂屋美術館で開催されている「コレクター福富太郎の眼 昭和のキャバレー王が愛した絵画」展も教えていただきました。われわれの世代ですと、キャバレー王福富太郎は、テレビで見たことがある人が多いのではないかと思いますが、絵画のコレクターでもあったそうです。美人画に見るべきものが多いそうです。

2023年9月23日 (土)

今シーズン初のモズ……コサメビタキも愛想よし

Dsc04108c_20230923143801 Dsc03353c_20230923143901  一気に秋らしくなりました。今朝の最低気温は、22.5℃。さすがに涼しく感じます。日中は32.0℃になっていますが、この間までのように暑いとはあまり感じないで済みます。プチ遠征をしようと思っていたのですが、珍しく朝寝坊。それ故、7時から、いつものコースへ。ただし、逆回りで寺町、京町、吉津屋町、外堀、内堀南公園、貝塚公園、九華公園、住吉神社と6.3㎞。いったん戻ってから、三洋堂書店桑名店と桑名市博物館へ。寺町では、今日がお彼岸の中日ですから、また御坊さんへお参り。

Dsc03382c_20230923143901  九華公園まで、これという鳥には会いませんでした。今日は、逆回りですので、立教小学校の体育館のところから入りました。外周遊歩道には鳥はおらず、「失敗したか!? やはりプチ遠征に行った方がよかったか」と思ったのですが、ここまで来ていては、今さらどうしようもありません。吉之丸堀をハシビロガモのオスが泳いでいました。最近、早い時間帯はあちこち泳ぎ回っています。

Dsc03678c_20230923143801  奥平屋敷跡では、今日はコサメビタキ・デーでした。実によく姿を見せてくれたのです。2羽いるという情報もあります。散歩友達のYさんが、二の丸跡で、2羽同時に見たそうです。

Dsc03540c Dsc03608c  さらにシジュウカラ。奥平屋敷跡に来たのは1羽のみでしたが、管理事務所近くでは数羽を見ました。奥平屋敷跡では、以前、コゲラが営巣しかけた穴が気になったのか、しばらく覗いたり、調べていました。シジュウカラは、コゲラの使った巣穴に営巣することもあります。

Dsc03896c_20230923143801 Dsc03941c_20230923143801  奥平屋敷跡には、ヒヨドリや、カワラヒワもやって来ています。写真は撮れませんでしたが、メジロも数羽が来ていました。だんだんと野鳥が戻りつつあることが実感できました。

Dsc03971c Dsc04031c_20230923143801  さて、次へ行こうと思ったら、南東の方からダイサギが飛んでくるのが見えました。ダイサギは、いったん鎮国守国神社の社務所裏の堀に降りたのですが、また北の方へ飛んで行ってしまいました。が、このあと行った柿安コミュニティパーク西の堀にいました。

Dsc04056c  ここでダイサギを撮影していたら、頭上からモズの鳴き声が聞こえてきました。なかなか見つけられなかったのですが、三之丸公園の南を通っている電線にいるのが見えました。ちょっと遠くて、証拠写真ではありますが、今シーズン、初モズです。去年は、9月27日に初めて見ています(2022年9月27日:やっとモズがやって来ました)ので、今年はやや早め。

Dsc04098c  住吉神社から揖斐長良川の中州を見たら、いつものところに今日はアオサギが3羽。いい感じです。もっと増えてほしいと思っています。

230923104849446c 230923111106028c  ところで、初めに書きましたように、帰宅してから三洋堂書店桑名店と桑名市博物館へ。三洋堂ではパソコン雑誌1冊、文庫本1冊を買ってきました。アピタ桑名店の新光堂書店が閉店してしまい、不便です。桑名市博物館では、10月15日まで秋期企画展「絵の心はさらなり —額装で見る絵画―」が開催されています。絵を見るのに額装について知ると更に絵を見直せます、という意味を込めた展示です。額に入れて飾られる絵画や書などを「額装」、床の間などに飾られて巻いてしまっておける書画を「軸装」と言いますが、「装」という文字には「よそおう」「かざる」の意味があり、これは、書画が描かれている「本紙」を飾るという意図があるということです。日本画も洋画もフレームごと楽しめるのだそうです。お客さんは少なく、ゆっくりと見てこられました。

230923110744677c  こちらは、毎回の展覧会で1枚のみある、写真撮影可のもの。「短刀 銘 村正」です。刃長20.3cm、反り0cm。村正についてはもはや説明の要はありませんが、15~16世紀にかけ数代、桑名で活躍した刀工です。この短刀には、「平造、庵棟。ふくら枯れた鋭い姿に、茎は魚のお腹に似ているたなご腹。地鉄はやや荒れた柾目肌で白けが見受けられる。刃文は互の目乱れ」という説明がついていました。

Dsc03395c  これから夜は、マンションの管理組合の理事会にオブザーバーで参加する予定。前理事長として、今期理事会に引き継いだ課題はほぼすべて解決していただきましたので、気がかなり楽になりました。これからの最大の課題は、長期修繕。数年後に予定していますが、何をどれだけ修繕するのかが重要なポイントです。建築資材などもかなり高騰していますし、人材も不足しているそうですから、見通しはよくありません。修繕積立金も、先を見込んで値上げする方向で検討されています。難しい時代です。ヒガンバナは、鎮国守国神社の境内にて。

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  • 小塩真司: 「性格が悪い」とはどういうことか ――ダークサイドの心理学 (ちくま新書)

    小塩真司: 「性格が悪い」とはどういうことか ――ダークサイドの心理学 (ちくま新書)
    タイトルに惹かれて読みました。ただし、初めにお断りしておきますが、図表こそないものの、心理学の専門書といっても良いくらいの、分厚い記述になっていますので、馴染みのない方にとっては読みやすいものではありません。「性格が悪い」ことについて、最近研究が進んできた「ダークな性格」を中心にまとめられています。ダークな性格とは、マキャベリアニズム、サイコパシー、ナルシシズム、サディズムの4つの特性です。これらの特性とリーダーシップ、社会的成功との関連、身近な人間関係中でのダークな性格、ダークな人物の内面、ダークな性格の遺伝、ダークさとは何かについて、文献を引用しつつ論じられています。その上で、性格の良し悪しは、その内容ではなく、どのような結果に結びつくかで判断されるというのが、著者の結論でした。 (★★★★)

  • 和田 秀樹: 老いるが勝ち! (文春新書)

    和田 秀樹: 老いるが勝ち! (文春新書)
    和田秀樹さんは、もともと高齢者専門の精神科医です。浴風会病院というところで35年間勤務され、6,000人以上の高齢者の方を診てこられました。その臨床経験から、高齢者については、理屈通りに行かないと思うことがたくさんあるといっておられます。タバコをたくさん吸っていても100歳まで生きる人もいれば、検査データはすべて正常なのにガンで亡くなる人もいるのだそうです。医者にいわれて血圧その他に注意していたのに、脳卒中を起こす人もいます。和田さんはこの本で80歳を過ぎたら我慢せず、好きな物を食べ、行きたいように生きることを勧めています。また、医療に関わらない方が長生きできる共書いています。不摂生を勧めておられるわけではありませんが、常識にとらわれず、自由に生きた方が楽しみも見つかってよいのではないかと思います。養老孟司先生流にいえば「なるようになる」のですから。 (★★★★★)

  • 彬子女王: 赤と青のガウン オックスフォード留学記 (PHP文庫)

    彬子女王: 赤と青のガウン オックスフォード留学記 (PHP文庫)
    彬子女王殿下の英国留学記です。彬子女王は、ヒゲの寛仁親王のご長女。殿下は、女性皇族として初めての博士号をオックスフォード大学で取得されました。この留学記は、ネットで話題になっていましたので、ぜひとも読んでみたいと思っていました。今上天皇の「テムズとともに」も読んだことがありますが、皇族の皆様は、どなたも誠実で朗らかで、それでいてユーモア溢れるお人柄をお持ちのようですが、殿下も同様でいらっしゃり、それがよく感じられる文章で楽しく拝読し、爽やかな読後感を持ちました。 (★★★★★)

  • 石井光太: ルポ スマホ育児が子どもを壊す

    石井光太: ルポ スマホ育児が子どもを壊す
    タイトルに惹かれて買ったのですが、帯にあるように「衝撃の現場報告」でした。この本に書かれているエピソードのうち、いくつかはこれまでにもマスコミ報道などで接していましたが、これだけのことがらが一度に示されると圧倒されます。現代の子どもたちは、まさに私たちが知っている(知っていた)子どもではなくなっているといえるようです。たとえば、「2歳児のネット利用率は58.8%」「子守歌はアプリで聞く赤ちゃん」「ヘッドガードの制服化」「教室の『アツ』に怯える小学生」「褒められ中毒はエスカレートする」などなど。スマホが登場して16年でその影響は大ですが、子どもたちの特徴に影響しているのはスマホだけではなく、現代社会や、大人達のありようも大きく影響しているといえます。「『将来の夢は交通整理のバイト』と言う女子高生」などはその例でしょう。私が教えている学生も、「『アツ』がすごい」ということがあり、いったい何だ?と思っていましたが、よく分かりました。すでに若い先生方は、デジタル・ネイティブ世代になっていますし、この本に登場する若者達が社会に出て、その中核を担うのも遠い将来のことではありません。これらの若者は、高い情報処理能力を持ち、周囲に適応する力もあり、コンプライアンス能力も高いのですが、それらを認めた上で、彼らが自立した大人になるために何が必要か見極め、それを提供することが必要とされるのでしょう。その意味では、大人の世代にも彼らを適切に理解し、必要な支援を提供する責任があります。 (★★★★)

  • 養老 孟司, 中川 恵一: 養老先生、再び病院へ行く

    養老 孟司, 中川 恵一: 養老先生、再び病院へ行く
    『養老先生、病院へ行く』の続編です。医療とは距離をとっておられる養老先生が、再診のため1年3ヶ月ぶりに東大病院に行かれました。大病から復活された今だからこそ語ることができる老い、医療、健康、死との付き合い方について、養老先生ご自身と、教え子にして主治医の中川恵一先生がお書きになっています。養老先生のスタイルをそのまままねすることは、凡人には不可能であり、よろしくはありません。しかし、健康についての考え方や、死についてのとらえ方などはとても参考になります。私が啓蒙されたことがらは、「健康法は人の数だけ存在する」「養老先生は抜け道の天才」「不連続な体調の変化に気をつける」「具合が悪いときは一週間様子を見ると医者に行くべきかどうか分かる」「お酒はもはや百薬の長ではないが飲む飲まないは自分で決めてよい」などでした。 (★★★★★)

  • 宮口幸治: 歪んだ幸せを求める人たち―ケーキの切れない非行少年たち3―(新潮新書)

    宮口幸治: 歪んだ幸せを求める人たち―ケーキの切れない非行少年たち3―(新潮新書)
    「ケーキの切れない非行少年たち」シリーズの3冊目です。本の帯には「『幸せを求めて不幸を招く人』の戦慄ロジック」とあります。「みんな幸せになりたい」という動機は万人がもつものでしょう。しかし、幸せの形は人それぞれですし、幸せになりたいと強く願うものの、かえって生きづらさや苦悩を抱える人たちもたくさんいます。著者は、人は幸せになりたいが故に、結果的に他人が不幸になることでもやってしまうといいます。さらに、幸せになりたいのだけれど、そのやり方がよくない」と考える、結果的に他人を不幸にする人たちを理解できるともいいます。著者が長年関わってきた非行少年達にもそれは共通するそうです。歪んだ幸せを求める人たちの背景にある要因として、著者は、怒りの歪み、嫉妬の歪み、自己愛の歪み、所有欲の歪み、判断の歪みの5つの歪みを取り上げ、事例も含めて考察しています。これを読むと、こうした5つの歪みは、ごく普通の人びとも多少とももっているものといえます。最終章では、自分と他者の「ストーリー」という概念を用いて、歪んだ幸せを求める事についてどう向き合えばよいか、提案されています。 (★★★★)

  • 森永 卓郎: 書いてはいけない

    森永 卓郎: 書いてはいけない
    他の本を買いに行った時、書店で平積みになっていましたので、思わず買ってしまいました。メディアのタブーに触れつつ、現在の日本が凋落している要因を3つ指摘しています。サブタイトルは、「日本経済墜落の真相」となっています。3つは、ジャニーズの性加害、財務省のカルト的財政緊縮主義、日本航空123便の墜落事件。この3つについては、関係者は皆知っているものの、触れてはいけない、本当のことをいってはいけないタブーになっているといいます。メディアで触れたら、瞬時にメディアには2度と出られなくなるそうです。ジャニーズ問題は、BBCの報道のためにオープンになってしまいましたが、著者の森永さんは、ご自身が病を得られたこともあって、現状を打破するためにこの本を書かれました。財務省による必要以上の財政緊縮政策と、日航123便の事故のお陰で日本がアメリカに対してどんどん主権を失っていったことが、日本経済の衰退の主たる要因と主張しています。たぶんそれは本当だろうなというのが、私の読後感。 (★★★★)

  • 立木 康介: フロイト『夢判断』 2024年4月 (NHKテキスト)

    立木 康介: フロイト『夢判断』 2024年4月 (NHKテキスト)
    何を今さら勉強しているのか? と思われるかも知れませんが、ちょっと前に流行った言葉でいえば、リスキリングに相当するかも知れません。学生時代に読みましたが、しっかり理解したかといえば、アヤシいのです。学生時代からは50年近い月日が経っていますので、その後の研究成果も含め、新しいことがあるだろうと思ったのです。100分de名著というNHK Eテレの番組のテキストです。講師の立木先生は、パリ第8大学で精神分析の博士号を取得され、京大人文科学研究所の教授。精神分析は「昨日までとは違う自分を手に入れるために行う」とおっしゃっていました。この番組でもっとも印象に残ったのは、あの有名な「エディプス・コンプレックス」よりも、今日、重要なフロイトが提案した概念は、「両性性」であるということでした。これは、いかなる個人も与えられた解剖学的性にしばられないセクシュアリティの自由を持つことをうたうものです。この視点に立てば、同性愛も、トランスジェンダーもいわば当たり前の存在であるということになります。これらを踏まえると120年間に書かれた「夢判断」の内容は、きわめて今日的な意義を持ってくると再認識する必要があります。 (★★★★★)

  • 諸富 祥彦: NHK「100分de名著」ブックス フランクル 夜と霧

    諸富 祥彦: NHK「100分de名著」ブックス フランクル 夜と霧
    フランクルのこの本は、改めて紹介するまでもないほど、有名な本です。私も学生時代、霜山徳爾先生の翻訳で読みましたが、ことばでは書き尽くせないほどの衝撃を受けたことを、いまでもよく覚えています。第二次世界大戦中にナチスの強制収容所に収監された経験をもとに、精神医学者・フランクルが、人生の目的を明確にし、その実現に向けて没頭する心理療法を紹介する本です。原題を直訳すると「それでも人生に然りと言う:ある心理学者、強制収容所を体験する」となります。実存心理学の名著であり、極限の環境におかれたとしても、何かが、あるいは、誰かがあなたを待っているということを主張しています。絶望して終わるのではなく、人生が何をわれわれに期待しているのかが問題であり、私たちはそれを学ぶことが重要だとしています。何度か読み直すことによって、人生への理解が深まる気がします。 (★★★★★)

  • 松田 忠徳, 増田 晋作: 枕草子の日本三名泉 榊原温泉

    松田 忠徳, 増田 晋作: 枕草子の日本三名泉 榊原温泉
    榊原温泉は、全国的に有名とはいえないかも知れませんが、名湯です。それは、枕草子に「湯は七栗の湯 有馬の湯 玉造の湯」にある、七栗の湯が榊原温泉と考えられるからです。最近、日本三名泉といえば、有馬温泉/兵庫県、草津温泉/群馬県、下呂温泉/岐阜県とされますが、枕草子に取り上げられたのはそれよりも古く、「元祖日本三名泉」といえます。榊原温泉の湯は、肌がきれいになる「美人の湯」というだけでなく、抗酸化作用もある健康の湯でもあります。この本は、日本一の温泉教授・松田先生と、地元を知り尽くした増田さんの共著で、「何もない」といわれていた榊原温泉の魅力を語り尽くしています。ちなみに、私にとっては家内の実家を知る上で格好のガイドブックです。 (★★★★)

  • 文藝春秋: 定年後に読む不滅の名著200選 (文春新書)

    文藝春秋: 定年後に読む不滅の名著200選 (文春新書)
    この本の帯には「これが定年後の知の道しるべ!」とありますが、私自身はさほど大上段に構えたつもりで読んではいません。どのような本が選ばれているかにももちろん興味はあったのですが、それらがどのように紹介されているかといった方面に興味があって読みました。本を紹介している方々はいろいろな分野で功なり、名を挙げた方ばかり。それらの方がどんな本を読み、どのように唱歌していらっしゃるかが知りたかったのです。ちょっと邪道な読み方ではありましたが、しっかりと楽しめました。 (★★★★)

  • 石田泰弘(編著): 街道今昔 佐屋路をゆく (東海の街道2) (爽BOOKS 東海の街道 2)

    石田泰弘(編著): 街道今昔 佐屋路をゆく (東海の街道2) (爽BOOKS 東海の街道 2)
    さほど本格的に取り組んでいるわけではありませんが、昔の街道を歩くのは好きです。この本のテーマである佐屋路(佐屋街道)も歩きたいと思って調べています。佐屋路は、東海道佐屋廻りとも呼ばれたように、東海道の迂回路でした。江戸時代に東海道宮宿と桑名宿の間を、陸路万場宿、佐屋宿の陸路を経て、佐屋から桑名宿への水路三里の渡しによって結んでいた街道です。実際に歩いて書かれたと考えられますが、旅人目線で書かれたウォーキングガイドです。津島街道、高須道も取り上げられています。部分的には歩いたところがありますが、佐屋路はいずれ、歩いてみたいと思い、計画中ですので、とても参考になりました。実際に歩かなくとも、歴史読み物としても楽しめます。 (★★★★★)

  • 柳瀬博一: カワセミ都市トーキョー 【電子限定カラー版】 (平凡社新書1049)

    柳瀬博一: カワセミ都市トーキョー 【電子限定カラー版】 (平凡社新書1049)
    東京都心にたくさんのカワセミが棲んでいるというのは、最近割とよく知られるようになっています。清流の鳥というイメージがあるかも知れませんが、東京の「野生」環境をうまく利用して繁殖もしています。そのカワセミが暮らす街は東京屈指の高級住宅街ばかりだそうです。すなわちカワセミも、人間も好む環境は同じというのです。カワセミが暮らす街は、人間にとってもよい街ということです。カワセミの存在に気付いたことから、「小流域源流」をキーワードに「新しい野生」と「古い野生」の繋がりを論じています。カワセミの生態も詳しく観察されていますので、私も今までよく知らなかったことが多々書かれていて、興味深く読みました。 (★★★★)

  • 内田 樹: コモンの再生 (文春文庫)

    内田 樹: コモンの再生 (文春文庫)
    私は、内田樹先生の評論が好きで割とよく読みます。「コモン(common)」とは、形容詞としては「共通の、共同の、公共の、ふつうの、ありふれた」という意味ですし、名詞としては「町や村の共有地、公有地、囲いのない草地や荒れ地」を意味します。昔は、ヨーロッパでも日本でも村落共同体はそういう「共有地」を持っていました。コモンを管理するには「みんなが、いつでも、いつまでも使えるように」という気配りが必要になるのですが、近代になって怒った「囲い込み」によって「コモンの私有化」が起こり、村落共同体が消え、集団的に維持されていた儀礼、祭祀、伝統芸能、生活文化が消えてしまったのです。著者は、このコモンを再生することが市民の原子化、砂粒化、血縁、地域共同体の瓦解、相互扶助システムの不在という索漠たる現状を何とかするために必要と考えています。ちなみに、マルクスとエンゲルスによるコミュニズムは、著者によれば「共同体主義」と訳した方がよく、彼らは「コモンの再生」が必要と提言したといいます。「共産主義」と訳されてしまったがため、なんだかよく分からないことになっているのです。「共有主義」あるいは「共同体主義」と意訳してくれていたら、もろもろが変わっていたかも知れないという話には、膝を打ちました。 (★★★★★)

  • 本田 秀夫: 知的障害と発達障害の子どもたち (SB新書)

    本田 秀夫: 知的障害と発達障害の子どもたち (SB新書)
    児童精神科医の本田先生の最新刊です。今回は知的障害が取り上げられています。これまでの本田先生の御著書では、発達障害が主に取り上げられてきたのですが、実は知的障害を持つ子どもたちも一定数存在していますし、発達障害と知的障害を合わせ持つ子どもたちもいます。その意味で、発達に困難のある子どもたちのことをきちんと理解して、適切な支援をする上では、両者を視野に入れることが重要です。著者は、知的障害の支援では、「早く」と「ゆっくり」がキーワードになると書いておられます。これは私もそうだと思います。可能な限り早期から支援を受けた方がよく、一方で、発達のスピードに合わせて「ゆっくり」としたペースで支援をすることが大切になります。発達障害の子どもたちにも「本児のペースに遭わせた支援が必要」とおっしゃる方がありますが、発達障害の子どもたちの理解/支援の上でのキーワードは「アンバランス」です。この本は、発達が気になるお子さんをお持ちの保護者の方、特別支援教育に携わる教員の方々にとって、基本的なテキストといえます。 (★★★★★)

  • BIRDER編集部: お手本でわかる!野鳥撮影術 (BIRDER SPECIAL)

    BIRDER編集部: お手本でわかる!野鳥撮影術 (BIRDER SPECIAL)
    バードウォッチングや野鳥撮影を趣味にしています。とはいえ珍鳥を追うのではなく、主に自宅近くを散歩しながら、いわば「定点観測」のように野鳥を見ています。自分の写真の撮り方を振り返ると、図鑑的に撮ることがほとんどです。なぜそうなのかを考えてみると、研究者の端くれであったことが関わっている気がします。つまり、写真を撮ることを、観察した記録やデータと見ているからではないかということに思い当たりました。野鳥撮影の「幅を広げたい」と思っていたら、この本が出版されました。ざっと目を通したところ、「色とりどりの花と鳥」「木の実レストラン」「やわらかい表情を追う」などさまざまなテーマで鳥とその周辺を撮る方法が載っています。これを参考に、自分の野鳥写真の世界を広げられたらいいなと思える本です。 (★★★★★)

  • 磯田 道史: 磯田道史と日本史を語ろう (文春新書)

    磯田 道史: 磯田道史と日本史を語ろう (文春新書)
    磯田道史さんが、さまざまな分野の達人と歴史についての論賛をしたのをまとめた本です。論纂とは、①人の徳行や業績などを論じたたえること、②史伝の終わりに著者が書き記した史実に対する論評のこと。異分野の専門家同士が議論をすることによって生まれるものは、別次元となり、大変興味深いものとなります。この本がその論より証拠。養老孟司さんとの論賛からは「脳化社会は江戸時代から始まった」という話が出て来ています。忠、孝、身分などは、シンボリズムであり、それらは見たり、触れたりできません。また、関東大震災に遭遇したことは、被害に対する鈍感さをもたらし、それが太平洋戦争につながったという指摘には、なるほどそういう面も確かにありそうだと思わされました。その他、歴史や人間について、実にさまざまな、新しい見方が示され、大変おもしろく読み終えました。 (★★★★★)

  • 保阪 正康: 近代日本の地下水脈 I 哲学なき軍事国家の悲劇 (文春新書 1440)

    保阪 正康: 近代日本の地下水脈 I 哲学なき軍事国家の悲劇 (文春新書 1440)
    本の帯に「『水脈史観』で日本の失敗を読み解く」とあります。「水脈史観」という概念には初めて接しましたが、「攘夷のエネルギーは、いまも日本社会の根底に流れている」という見方です。明治維新後、日本がとりえた国家像は、欧米型帝国主義国家、道義的帝国主義国家、自由民権国家、米国型連邦制国家、攘夷を貫く小日本国家の5つであったが、哲学なきまま欧米型帝国主義国家の道を突き進み、軍事中心の国家作りを推し進めたことが、戦前の日本の失敗の原因であったというのが著者の主張です。それは確かにそうだと思いますが、私には、ほんのサブタイトルにある「哲学なき国家」ということが、現代日本の様々な問題の背景にあるような気がしてなりません。 (★★★★)

  • 佐伯 泰英: 陰流苗木(かげりゅうなえき)~芋洗河岸(1)~ (光文社文庫)

    佐伯 泰英: 陰流苗木(かげりゅうなえき)~芋洗河岸(1)~ (光文社文庫)
    今回も特別に時代小説を取り上げます。この2つ前の本に佐伯泰英さんの「恋か隠居か 新・酔いどれ小籐次(二十六)」を取り上げ、これは佐伯さんの300冊目の「文庫書き下ろし小説」だと書きました。今回のこの本は、301冊目です。しかも、80歳を越えて、さらに新しいシリーズを始められたのです。美濃を食い詰めた浪人・小此木善治郎が、職なし、金なし、住むあてなしながら、剣の達人にしてとぼけた侍であるものの、なんとも頼りになる存在で、親切な住人や大家によって受け入れられた長屋の秘密と謎の渦に巻き込まれるという設定。これまたおもしろそうなシリーズです。毎月刊行で、全3巻の予定とか。第2巻が待ち遠しい内容です。 (★★★★★)

  • 養老孟司, 鵜飼哲夫: なるようになる。 僕はこんなふうに生きてきた(中央公論新社)

    養老孟司, 鵜飼哲夫: なるようになる。 僕はこんなふうに生きてきた(中央公論新社)
    養老先生の新刊が出たというので早速入手し、ほぼ一気に読み終えました。「はじめての自伝!」といううたい文句で、帯には「虫と猫と、バカの壁。考え続けた86年」ともあります。養老先生は、かなりしつこい性格でいらっしゃるようで、疑問に思ったことは「まぁいいか」などと思わず、考え続けてこられたそうです。その結果が、これまでのユニークな著作に結実しています。それはさておき、考え続けた結果、「なるようになる。」というのが、養老先生の現時点での結論だそうです。「なるようにしかならない」ではなく、「なるようになる。」のです。物事は、はっきりとした目的意識があって進むのではないので、「なるようになる。」なのです。忘れてしまったような些事がその後の人生を動かしてきたかもしれないともあります。なるほどと、この本を読み、養老先生の来し方をいささか知ると、納得できます。というか、納得した気になっているだけかも知れませんが…… (★★★★★)

  • 佐伯 泰英: 恋か隠居か 新・酔いどれ小籐次(二十六) (文春文庫)

    佐伯 泰英: 恋か隠居か 新・酔いどれ小籐次(二十六) (文春文庫)
    佐伯泰英さんは、この本で「文庫書き下ろし小説」というジャンルで300冊刊行を達成されました。佐伯さんの時代小説はすべて読んでいます。まさにストーリー・テラーといえる作家で、実に読み応えのある時代小説をたくさん書いておられます。このシリーズは、いったん完結となったかと思ったのですが、この「恋か隠居か」で復活しました(と理解しています)。隠居を考える小籐次ですが、小籐次親子に挑戦状が届くところから始まる物語。今回も楽しめました。 (★★★★★)

  • 安藤優一郎: 15の街道からよむ日本史 (日経ビジネス人文庫)

    安藤優一郎: 15の街道からよむ日本史 (日経ビジネス人文庫)
    街道歩きを少ししています。三重県内では、東海道のほとんど、伊勢参宮街道、美濃街道・養老街道などを歩きました。もっとあちこちの街道を歩きたいと思っていますが、そのときにこの本が出版されましたので、早速入手して読みました。芭蕉の奥州街道、伊勢参宮街道のお伊勢参り、武士の旅日記などの章をとくに興味深く読みました。主要な街道を取り上げることで読みやすい歴史物語となっています。 (★★★★)

  • 大芦治: 心理学をつくった実験30 (ちくま新書)

    大芦治: 心理学をつくった実験30 (ちくま新書)
    「誰もが一度は耳にしたことがある有名実験の背景・内容・影響を紹介、新たな心理学像を呈示する」と帯にあります。心理学全般に関心を持つ社会人を読者に想定しているといいますが、私には心理学史のテキストとして、あるいは、入門段階の心理学を学んだ方がさらに学習を深める際に読む本としてもよいかも知れません。 私自身も、心理学の教科書を執筆したことが何度かありますが、そこに引用する理論や実験については、いわゆる「孫引き」をしてしまったこともよくありました。この本の著者は、可能な限り原典にあたって執筆していらっしゃり、その意味では参考になったところが多々あります。 ところで、著者は心理学の未来にあまり明るい展望を持てないようです。臨床心理士、公認心理師の資格が人気を集め、心理学部などもたくさん設けられました。私自身の勝手な個人的意見を書けば、資格ができると、レベルは下がると思っています。根拠はありません。個人的な印象によるものです。私は実験心理学でトレーニングを受け、臨床心理の分野に進みました。心理学の基本は実験心理学と個人差測定心理学にあると思っています。学部段階からいきなり臨床心理学プロパーに進むのは、相当よろしくないと思います。臨床実践にあたってはその基礎となる確かな、科学的な学問(知見、理論なども含む)が必要です。また、仮説演繹法などのものの見方もきちんと身に付ける必要があります。これらは実験心理学と個人差測定心理学から養われると思っています。 この本は、基礎的知識がない方がいきなり読むのは難しいでしょうが、科学的心理学を学びたいと思う方にはよい参考書となります。 (★★★★)

  • 磯田 道史: 家康の誤算 「神君の仕組み」の創造と崩壊 (PHP新書)

    磯田 道史: 家康の誤算 「神君の仕組み」の創造と崩壊 (PHP新書)
    磯田先生の書く本はどれもとても面白く読めます。といっても、私が読むのは研究書ではなく、新書だからなのかも知れません。この本は、家康がなぜ幕藩体制を創ることができたのか、江戸時代、誰が神君の仕組みを崩わしたのか、幕末、かくして神君の仕組みは崩壊した、神君の仕組みを破壊した人々が創った近代日本とは、家康から考える日本人というものという5つの章からなっています。家康は天下を取ったあとこの国を支配するのに巧妙な仕掛けをつくり、平和な時代が続いたのですが、誤算が生じて、徳川政権が変質し、崩壊に至ったと著者は考え、そのプロセスを俯瞰しています。いろいろな時点で「神君の仕組み」を骨抜きにする人物や政策が表れたといいます。組織が弱体化する姿を見ておくと、自分たちの劣化を防ぐ力が養われると磯田先生は述べています。徳川時代が現在にあたえている影響も多く、その分析も興味深く読めます。 (★★★★★)

  • 多井 学: 大学教授こそこそ日記

    多井 学: 大学教授こそこそ日記
    文庫本を買いに本屋に行ったら、平積みしてあるのを見つけて思わず買ってしまいました。私もその昔、ご同業だったことがあったからです。帯に「いくらでも手抜きのできる仕事」とありますが、私の経験でもそういう人もそれなりにいました。ちなみに私自身は、こき使われたと思っています。さらに「現役教授が打ち明けるちっとも優雅じゃない生活」とも書かれていますが、これはまさに私の体験と同じ。本に書かれていることがらも、ことごとく納得できます。私は、「そうそう!」といいながら読み終えました。大学教授で儲けている人はごく一部などなど。まぁ大学教授の仕事や生活に興味をお持ちの方は、さほど多くはいらっしゃらないとは思いますが、お暇な方にはどうぞ。 (★★★★)

  • 宮口 幸治: 境界知能の子どもたち 「IQ70以上85未満」の生きづらさ (SB新書)

    宮口 幸治: 境界知能の子どもたち 「IQ70以上85未満」の生きづらさ (SB新書)
    「境界知能」という言葉は、専門家はよく知っていると思いますが、一般のご父兄や、小中学校の先生方にはあまりなじみがないかも知れません。IQという指標でいえば、多くの場合70以上85未満の子どもたちがこれに該当する可能性があります。一見したところでは普通の子どもたちと変わりはなく、なかなか気づかれません。しかし、理論的には約14%の子どもたちが含まれますから、本の帯にあるように「日本人の7人に1人」となります。平均と知的障害のはざまにあり、気づかれにくいものの、授業について行けなかったり、友だちと上手くつきあえなかったり、感情のコントロールが苦手であったりして、当事者の子どもたちは苦戦し、辛い思いをしています。発達障害はよく知られるようになりましたが、境界知能の子どもたちにもしっかり目を向け、必要な支援を提供することは喫緊の課題といえます。この本では、境界知能とはどのような状態なのか、教科学習の前に認知機能を向上することの重要性、子どもの可能性をいかに伸ばしたら良いかについて具体的に、分かりやすく解説されています。 (★★★★)

  • 関裕二: スサノヲの正体(新潮新書)

    関裕二: スサノヲの正体(新潮新書)
    タイトルに惹かれて手に入れたものの、序章の記述が私にとっては退屈でしばらく放っておいたり、読み直そうと思ってくじけたりしていました。しかし、そこを乗り越えるとこの本はとても面白くなり、ほとんど一気読みしました。スサノヲ(素戔嗚尊)の正体を探るプロセスでアマテラス(天照大神)の謎も明らかにされて行き、それもとても興味深いものがあるのです。アマテラスは皇祖神とされますが、実在の初代王と言われる崇神天皇はアマテラスを伊勢に追いやっています。また、伊勢神宮を整備した持統天皇だけは伊勢に参ったものの、それ以降明治になるまで、1,000年以上も歴代天皇は伊勢神宮を訪れていません。明治天皇が東京に遷御したあと武蔵国の鎮守勅祭の社に定めたのは、スサノヲの祀られる氷川神社(現さいたま市)です。明治天皇は氷川神社を訪れた翌年に、伊勢神宮を訪れています。そもそも伊勢にいる神はアマテラスなのかという疑問にも立ち向かっている、古代史や神に関心がある方にはお勧め。 (★★★★★)

  • 安藤 優一郎: 大名屋敷「謎」の生活 (PHP文庫)

    安藤 優一郎: 大名屋敷「謎」の生活 (PHP文庫)
    時代小説をよく読みます。捕物帖、市井の人たちの生活、侍の物語、大名の話などいろいろとあります。庶民の生活については、これまでもいろいろな本でかなり知っていますが、大名の生活については分からないところの方が多いと思っていました。タイトルに惹かれて買ったのですが、大名やその家族の生活が詳しく書かれているのではなく、勤番侍の生活、大名屋敷の庭園、御用達商人や豪農、幕末の動乱と大名屋敷などの話が中心でした。それはそれで知らなかったことが多々あり、興味深く読みました。 (★★★)

  • 服部環ほか: 指導と評価2023年10月号(図書文化社)
    「指導と評価」は、日本教育評価研究会の機関誌であるとともに、日本で数少ない教育評価に関する月刊誌です。この号では、教育・心理検査の意義と活用という特集が組まれています。「教育・心理検査の意義」に始まり、WISC-Ⅴ、KABC-Ⅱなどの個別検査の使い方、解釈の仕方、指導への活かし方がそれぞれの専門の先生によってわかりやすく解説されています。特別支援教育の現場でも、きちんとした心理アセスメント所見に基づいた支援を展開することが望ましいのですが、現場の先生方には敷居が高いようです。ご関心がおありの方には、どのように使えるか、どのように考えたらよいかについて基本的なことがらを理解するのに適しています。出版社のWebサイトからバックナンバーとして購入できます。 (★★★★)
  • 石田 光史, 樋口 広芳(ナツメ社): ぱっと見わけ観察を楽しむ 野鳥図鑑

    石田 光史, 樋口 広芳(ナツメ社): ぱっと見わけ観察を楽しむ 野鳥図鑑
    野鳥図鑑はすでに何冊も持っていますが、この野鳥図鑑は、2015年の刊行で、なぜ今までこの存在に気づかなかったと反省するほど便利そうなもの。掲載されているのは324種ですが、それぞれの特徴や、見わけのポイントがパッとわかるようになっています。その鳥の生活型や生息地、食性や羽色、形態などのほか、雌雄、夏羽冬羽、幼鳥などで特徴が異なる場合は、それらについても説明されています。観察したい行動から、おもしろい生態、探し方までもが載っていますし、鳥の鳴き声が聴けるQRコードも付いています。私自身、野鳥の特定がけっこうアヤシいので、しっかり活用しましょう。 (★★★★★)

  • 千枝大志(風媒社): 街道今昔 三重の街道をゆく (爽BOOKS)

    千枝大志(風媒社): 街道今昔 三重の街道をゆく (爽BOOKS)
    「東海の街道」シリーズの第4巻です。「街道歩きのお供に最適の1冊」といううたい文句。内容は、三重の主な街道、近世三重の城郭図・城下図を読み解く、お伊勢参り小咄、伊勢をめぐる〈参詣〉をデジタル化するの4章構成で、まさに三重の街道歩きの参考書としてよいと思います。私自身も県内の東海道、伊勢街道、美濃街道、濃州街道はほとんど歩き、ほかの街道も部分的に歩いていますし、城もここに載っているところはかなり訪ねています。デジタル化も、ブログに写真・記事を載せていますから、出来不出来はともかく、私も取り組んでいます。県内の街道はさらに歩こうと思っていますし、デジタル化にももっと取り組みたいと考えていますので、十分活用できるでしょう。 (★★★★★)

  • 唐沢孝一: 都会の鳥の生態学 カラス、ツバメ、スズメ、水鳥、猛禽の栄枯盛衰 (中公新書)

    唐沢孝一: 都会の鳥の生態学 カラス、ツバメ、スズメ、水鳥、猛禽の栄枯盛衰 (中公新書)
    都市にもたくさんの野鳥がいることを知る人は少ないかも知れません。私がいつも散歩している地方都市の公園では、これまで10年あまりで70種類近くの野鳥を観察しています。都会は自然の少ない人工的な環境にあふれていますが、野鳥たちはもともとの生態を活かしつつこれらにしたたかに適応してい生きています。この本では、カラス、ツバメ、スズメ、水鳥、猛禽を取り上げ、その都会における生態や、活動の変化、人間と鳥との関係とその変化などについて多くの実例や、調査結果をもとに、豊富な写真を使って楽しく読めるようにまとめられています。 (★★★★★)

  • 堤未果: 堤未果のショック・ドクトリン 政府のやりたい放題から身を守る方法 (幻冬舎新書)

    堤未果: 堤未果のショック・ドクトリン 政府のやりたい放題から身を守る方法 (幻冬舎新書)
    「ショックドクトリン」とは、テロや大災害など、恐怖でこくみんが思考停止している最中に、為政者や巨大資本がどさくさ紛れに過激な政策を推し進める悪魔の手法のことです。アメリカでの3.11以来、日本でも大地震やコロナ禍の裏で知らない間に個人情報や資産が奪われようとしているというのがこの本のテーマ。パンデミックで製薬企業は空前の利益を得、マイナンバーカード普及の先には政府のよからぬ思惑があるなどよくよく注意し、自分の生命・財産を守らないといけないというのが著者の主張。「今だけ、自分だけ、お金だけ」という強欲資本主義に負けないようにするには、ちょっとした違和感を大事にし、お金の流れがその裏にないか、また、それで大もうけして回転ドアをくぐって逃げる輩がいないかをチェックすることです。また、政府が何か、大急ぎで導入しようとしたり、既存の制度を急拡大しようとするときは、要注意だそうです。 (★★★★)

  •  奥山景布子: 葵の残葉 (文春文庫)

    奥山景布子: 葵の残葉 (文春文庫)
    いわゆる「高須四兄弟」である徳川慶勝、松平容保、松平定敬、徳川茂栄は、幕末維新の激動期に、結局のところ官軍と幕府とに分かれて戦う運命になったのですが、この四兄弟を取り上げて埋もれた歴史を活写した小説。私自身は、桑名藩主であった松平定敬が取り上げられているので興味を持って手に取った次第。幕末維新は、次々に色々な出来事が起きて、さまざまな人たちの思惑も複雑に入り組んでいるので、小説にするのは難しいと思っていたのですが、隠れた主人公ともいえる高須四兄弟の視点からとても躍動感のある読み物になっています。また、この時期の歴史をより一層深く理解できたという感想も持っています。 (★★★★)

  • 國分功一郎: 暇と退屈の倫理学(新潮文庫)

    國分功一郎: 暇と退屈の倫理学(新潮文庫)
    ほぼ隠居状態ですから、暇と退屈には困りません(微笑)。それ故にこの本を手に取ったといっても、誤りではありません。著者がいうには、「暇」とは何か、人間はいつから「退屈」しているのだろうかといったなかなか答えにたどりつけない問いに立ち向かうとき、哲学が役に立つというのが著者のスタンス。哲学書なのに、読みやすいのです。スピノザ、ルソー、ニーチェ、ハイデッガーなど、その昔学生時代に取り組んで挫折した哲学者たちの論考を参照しつつ、現代の消費社会における気晴らしと退屈について鋭い指摘がされ、まさに蒙を啓かれます。 (★★★★)