お知らせ

  • データの移行について
    2005年10月26日のブログ開始当初から、2024年9月30日までの記事は、「猫の欠伸研究室(アーカイブ)」に移行しました(http://blog.livedoor.jp/taichimaru151/)。 このココログの「猫の欠伸研究室」には、2019年1月以降の記事を残し、2018年12月以前の記事は削除しました(2019年1月1日から2024年9月30日までの記事は、両方にあります)。

レンズを通した自然観察

  • この「レンズを通した自然観察」ということばは、恩師のお一人が、私の趣味を形容しておっしゃったものです。2023年2月7日のブログに書きましたが、実はときどき思い出していることばです。お世話になった先生方はたくさんいらっしゃいますが、この恩師は、就職のことから学位論文の執筆、審査に至るまで本当にお世話になった先生です。「写真の撮り方を指南してもらいたい」ともおっしゃったのですが、これはお世辞と理解しています。私はほぼ隠居状態となって10年以上になりますが、今、改めてこのことばをかみしめています。この先生には結婚式の際に「理論と臨床をつなぐ仕事をするように」ということばをいただきました。体調を崩してそれには十分に応えられませんでしたので、せめてこの「レンズを通した自然観察」については、極めるとまでは行かないにしても、もう少し精進したいと考えています。

ブログ名の由来

  • ブログ名の「猫の欠伸研究室」は、中日新聞の夕刊に連載されている「紙つぶて」というコラム(平成22(2010)年1月13日)に、元新党さきがけ代表の武村正義さんが書いていらっしゃった「人生は猫の欠伸である」というコラムによります。武村さんは、“チベットで鳥葬を取り仕切る僧侶が、「人の生涯は猫の欠伸のようなもの」と語った”と書いていらっしゃいます。「猫の欠伸のようなもの研究室」としたかったのですが、ちょっと間延びしますので、「猫の欠伸研究室」とした次第です。「研究室」とつけたのは、過去、大学に勤めていたことがあるということやら、知らないこと、分からないことがあると何でも調べずにはいられない性分であること、屁理屈、講釈が大好きであることからであります。しかし、「人生の研究をしている」のではありません。「大所高所」からのご高説を開陳できるほどの力量はないが故、「小所低所」からの戯れ言をつぶやくのが精一杯(苦笑)。身の程に合わせ、勝手なことを書き綴っていますので、御用とお急ぎでない皆様には、今後ともご交誼のほど、お願いいたします。是非ともコメントを頂戴し、少しでも世間を広げたいと熱望しております。

モットー

  • 座右の銘というほど立派なものはありませんが、過去に体調を崩し、療養生活を送った経験から、私なりのモットーをつくっています。その一つは、「淡々と飽きもせず……」です。自分では、「……」と余韻を残しているところが気に入っています。こだわりすぎや、やり過ぎはよくありません。若い頃はムキになってやったこともありますが、今はこのように「淡々と飽きもせず……」が自分に合っていると思っています。もう一つは「晴耕雨読」ならぬ「晴歩雨読」です。マンション暮らし故、耕すところはありません。代わりに歩いています。そして、最近(令和3(2021)年に入った頃から)追加したのが、「散歩生活、ときどき仕事」。NHKのテレビ番組に「晴れ、ときどきファーム!」というものがあります。これのもじり。浅学非才の身ですので、ご交誼の上、いろいろとご教示をお願いします。

学問・資格

2023年12月11日 (月)

九華公園で久しぶりにカワセミ

Dsc02551c  夜には雨となるようですが、晴れのち曇りでした。気温は、今日も18℃を超え、暖かいというか、散歩してくると多少汗ばむくらいでした。7時半から、住吉神社、九華公園、貝塚公園、内堀公園、紺屋町、新築公園、常盤町、老松公園、寺町商店街と3時間コース。午後の歯科検診も含め、歩いたのは7.4㎞。

Dsc01509c  今シーズン初めて住吉水門の内側の住吉入江にカモがやって来ました。ヒドリガモのオスが1羽。護岸についた藻を食べていました。

Dsc01578c_20231211163101 Dsc01594c_20231211163101  その住吉水門の揖斐川の方には、アオサギさん。ただしまともに逆光の位置。露出補正をしないと左の写真のようにシルエットになりました。プラス2の補正で右のような写真。いろいろと試していますので、ご容赦を。しかし、シルエットであっても、アオサギというのは分かるものです。

Dsc01623c  揖斐川は静かで、あちこちにカンムリカイツブリの姿が見えました。10羽弱。カンムリカイツブリが見られると、何となく嬉しくなります。ほかにはキンクロハジロが数羽。

Dsc01651c  七里の渡し跡では、コガモのメスが4羽。休んでいたり、エサを探していたり。ここは川口水門の内側ですが、その水門の外の揖斐川には、オオバンの姿が2羽、見えました。しかし、ちょっと遠くて、暗かったので写真は見られたものではありません。

Dsc01759c_20231211163101 Dsc01767c_20231211163101  柿安コミュニティパークにはユリカモメが数羽飛来。ここにあるクスノキの実をついばみに来たり、電柱などで休んだりしています。右の写真では、先に電柱にいた個体が、あとからやって来たユリカモメに追い払われるところ。「先取り優先ルール」は成り立たないようで、見ていると、先にいた個体があとから来た個体にその場所を譲るようになっています。

Dsc01836c_20231211163101  九華公園に到着した途端にカワセミの鳴き声。ラッキーです。久しぶり。相撲場の近くにオスのカワセミがいました。

Dsc02076c_20231211163101  九華公園では今日もカラスが多く、ほかの鳥たちはあまり見られません。奥平屋敷跡では小1時間いたのですが、シジュウカラ数羽、カワラヒワ2羽、オスのジョウビタキ1羽を見たくらい。今日は、ヒヨドリ、ドバト、ムクドリもあまり来ませんでした。

Dsc02449c  アオサギさんは、今日も辰巳櫓跡の松の木の中にいました。最近はここにいることが多く、九華橋近くの木にはあまり行きません。

Dsc02500c_20231211163101 Dsc02486c  ユリカモメは、35羽。二の丸堀にユリカモメたちが降りているとき、数を数えようと堀端に立つとエサをもらえるかと思ってたくさんが殺到してくることがあります。かなり貪欲。

Dsc01943c_20231211163101 Dsc01975c_20231211163101  カモは、今日は合計65羽。キンクロハジロが44羽、ハシビロガモが21羽(ハシビロさんは、重複して数えたかも知れません)。ヒドリガモの姿はありませんでした。

Dsc02536c_20231211164701 Dsc02538c  ハシビロガモは、二の丸橋の南の袂にあるソメイヨシノの枝が水面に垂れたところでよく休んでいます。今日は、嘴を開いているところを見つけ、パチリ。右の写真を拡大してご覧いただくと、嘴にあるブラシのようなところがお分かりいただけます。ハシビロガモは、水面に嘴をつけて水ごと食物を吸い込み、この部分で食物だけを濾し取り水だけを吐き出して食餌を行います。

Dsc02495c  鎮国守国神社のドウダンツツジは、ようやく全体が紅葉してきました。深紅となり、見事です。今日は歯科検診でした。歯周病チェックとクリーニングをしてもらってきたのですが、「ブリッジを入れた下の歯の一部が少し動きます」と、恐ろしいことをいわれました(苦笑)。何度か書きましたが、「歯が抜けてだんだんジジイになる」というのは友人&主治医の名言ですが、まさにその道をまっしぐらかも。

Dsc02459c_20231211163101  ところで、今日、財団法人日本臨床心理士資格認定協会から資格更新の連絡が郵送されてきました。あれこれ考えたのですが、資格更新はしないこととしています。「老兵は死なず、単に消え去るのみ」(Old soldiers never die, they simply fade away)という心境なのです。このことばの出典は兵隊歌『Old Soldiers Never Die』のようで、イギリスやアメリカ合衆国の軍人によって19世紀頃から歌われたほか、ダグラス・マッカーサーが退任演説の際に引用したことでよく知られています(こちら)。 「戦争を戦い抜いた兵士も、時間と共に忘れ去られていく」、「兵士は老いながらも生き続けることはできるが、彼らが生きていることと彼らの成し遂げたものは忘れ去られていく」、転じて「役割を終えたものは表舞台を去る」といった意味に解釈されます。格好をつけているつもりはありませんが、いつまでもメンツにこだわって、他人様に思わぬご迷惑をおかけする前に身を引いた方が良いだろうと思うが故です。

2023年8月26日 (土)

「選択と集中」の誤り……大学の研究費のお話し

 毎日新聞に『画期的な研究成果は「選択と集中」より… 国の研究費18万件分析』という記事が載りました。私もかつて、大学の教員の端くれで、研究にも携わっていましたが、大学の研究者なら、おおかたは同意するだろうと思います。これは、筑波大学の大庭良介准教授と弘前大学の日比野愛子教授のチームが発表した研究です。記事の興味ある部分を引用します。ちなみに筑波大学によるプレスリリースはこちらにあります。論文は、PLoS ONEというオンラインジャーナルに掲載されています。

 高額な研究費を少人数に集中して投じるより、少額でも多くの研究者に配分する方が、国全体として画期的な成果を効率良く出せるとの分析結果を、筑波大などの研究チームが発表した。1991年以降、国が支給した科学研究費助成事業(科研費)の投資効果を調べた。研究予算は、国が進める「選択と集中」路線よりも「広く浅く」配分する方が効果的としている。

 その結果、少額(500万円以下)の研究費を多くの研究者に配る方が、より高額な研究費を少人数に配るより、投資総額に対する論文の数が多くなる傾向がみられたという。また、ノーベル賞級の成果や新たな研究分野に発展するキーワード数でも「広く浅く」の方が勝っていた。

 研究者の側から見ると、1人当たりの受け取る研究費が高額であるほど、多くの成果を得られる傾向がみられた。ただし、5000万円以上になると、論文数などは頭打ちしていた。

 私は、現場で13年ほど働いたのち、公立大学短大部の教員となり、改組により公立大学学部教員、さらに法人化により公立大学法人の大学の教員という経歴をたどりました。法人化するまで、研究費はランクに応じて定額が支給されていましたが、法人化後、それは激減し(1/3以下というか、1/4に近いくらいの額に)、科学研究費などを申請するように強く指導されました。しかし、大学全体で見ると、ある年の採択率は20%も行きません。私も毎年申請していましたが、1度も採択されませんでした。申請に当たってはかなりの分量の書類を書かなければなりませんでしたし、その書式が毎年微妙に変更されるという、意地悪というかいじめのような印象もありました。

 とある国立大学の教員でいらした先生は、ブログに次のように書いておられますが、私もこれに賛成します。簡単にいうと、部分的にマネたために、全体としては(アカデミックな世界や、社会全体という意味)うまく機能しない結果に陥って、衰退しているのだと思います。我が国では、大学院進学者が減り、また、博士号取得者も減っているそうですが、それもある意味当然。博士号を取っても、世の中ではいいことはあまりありません。

 日本では大学専任教員には誰でも一定の研究費を支給する「悪平等」の制度のほうがうまく機能するし、すぐれた論文を増やす効果があると述べた。つまり、「国立大学独法化」以前の制度は日本に合っていたのに、むりにアメリカ的な「申請しないと研究費が出ない」制度を真似たために「大学改革」は大失敗に終わったということだ。

 さらにもう1つ最近知った面白いことは(と書くとお叱りを受けますが)、毎日新聞には『【クローズアップ】「研究負担軽減」国調査に悲鳴 大学教員ら「分量多い」』という記事も載っています。日本の研究力強化に向け、政府がこの夏、全国の大学教員らを対象にアンケートを進めているといいます。研究環境改善のため、研究以外の雑務が日々どの程度負担になっているかを問う内容なのですが、アンケートのあまりの分量の多さ(Excelのシート14枚に、130を越える質問項目があるとか)に「逆に負担が増えた」と研究者側から悲鳴が上がっているそうです。書類仕事が増え、それに忙殺されているのに、まさに「本末転倒」の事態。笑い話のようではありますが、笑っていられません。文科省のお役人さんたち、大丈夫でしょうか? 政治家も、「今だけ、金だけ、自分だけ」などと揶揄されますが、利権や自分のことばかり考えていないでことの本質をよく見ていい加減に気づかないと、取り返しのつかない事態に陥ると考えられます。

 あまり昔、関わっていたことでぼやくのもどうかと思いますので、ここら辺で退散し、以後は慎みます。

2023年7月 8日 (土)

今日もスズメとカラスくらい……レポート採点は一通り完了

Dsc00846c_20230708181401  桑名では雨はほとんど降っていませんが、警報級の雨が降っているところがあります。被害が出ないことを願っています。今日もいつものように朝7時半から散歩へ。蒸し暑い中、住吉神社、九華公園、貝塚公園、内堀南公園、外堀、京町、南魚町、田町、三崎通と5.7㎞。汗をかいて少々疲れました。

Dsc00870c_20230708181401 Dsc00889c  スズメかカラスしかいません(苦笑)。これらはいずれも七里の渡し跡にて。ただし、他の公園でもほぼ同じ。

Dsc00911c_20230708181401 Dsc00931c  九華公園の奥平屋敷跡では、若いカワウさん。最近ここのステージ裏にときどきいます。さらに、珍しくヒヨドリもやって来ました。今年は、春先からヒヨドリをほとんど見なくなっています。

Dsc00939c_20230708181401 Dsc01039c_20230708181401  ハシビロガモのオスはどこにいるのか分からなかったのですが、朝日丸跡の北側にいました。ここは案外盲点。このあと回った他の公園でも鳥はほとんどいません。いたとしてもスズメくらい。京町のお宅の巣には、ツバメが来て、交代したところ。卵があると思います。期待しましょう。

291647795_581097646970638_12803628740595  昨日、桑名七里の渡し公園で行われていたイベントはこれでした(こちら)。そういえば「一番搾り」と書かれた提灯がぶら下がっていました。もうちょっと大々的に宣伝してほしいなぁという気がします。

Dsc01092c  ところで、レポートの採点は難儀しましたが、夕方までに一通り終えました。評点の高いレポートは、一度読んだだけで内容が良く理解でき、頭にスッと入ってきます。これは、①清書する前に内容の整理、順序、内容同士の関連性についてよく考えてあり、また、②主語、述語、目的語などをきちんと意識して書いてあるためです。一方、評点の低いレポートに共通する点は、何回か読み直しても内容が分かりにくかったり、バラバラの内容が並列してあったりします。おそらく上記の①②がきちんとなされていないのです。満点をつけたレポートもけっこうありますが、点数が満点の半分にもならないレポートもけっこうあります。考える習慣があるかないか、どのように考えるかといったトレーニングがなされているかなどが大きく影響している気がします。

2023年7月 6日 (木)

ついにやって来ました猛暑日

0706amedas Dsc09402c_20230706153001  アメダスのデータでは、14時29分に35.7℃を記録しています。ついにというか、とうとうというか、猛暑日がやって来ました。朝から暑く、散歩に出た8時15分頃には、ほとんど誰も歩いていないような状況でした。右は、8時20分頃の住吉神社前の様子。ここからいつものように、九華公園、貝塚公園、内堀南公園、外堀、京町、寺町、御坊さんと5.9㎞を歩いてきました10時頃には帰宅という、私にしては短い時間での散歩でしたが、暑くて鳥も、散歩友達もいないのです。

Dsc09431c Dsc09466c_20230706153001   今日もっともたくさん見たのは、スズメ。左の写真のスズメは、船津屋さんの裏あたりの揖斐川の堤防にて。右の写真のスズメのヒナは、九華公園の北門近くにて。九華公園までに見たのもスズメと、わずかな数のムクドリのみ。

Dsc09472c  九華公園の相撲場の近くでは、ドバトが枯れ草をくわえていました。今から巣作りなのでしょうか? ドバトは、4~5月が多いものの、通年繁殖し、年3回以上繁殖するといいますから(こちら)、これから巣を作る可能性も十分ありそうです。暑いのに、ご苦労さんといいたくなります。

Dsc09511c  奥平屋敷跡そのほかでも、野鳥はほとんどいません。九華公園でスズメ意外によく見たのは、カラス。左の写真のハシブトガラスは、神戸櫓跡近くで。九華公園には、このところ、カラスファミリーが3組くらいいます。

Dsc09543c  ハシビロガモのオスは、暑さにも負けず、元気にしています。野球場の南の堀で盛んに身繕いをしていました。他の公園でも、鳥はほとんどいません。朝8時にはすでに26.4℃もありましたから、さもありなんです。

Dsc09569c_20230706153001  ところで、昨日の授業のQ&Aは、昨晩と、今朝早くそして散歩から帰ってと作業を行い、午前中には一通りできあがりました。今回は、先週の演習のレポートも見ますから、その講評も含めてつくります。週末にかけてそれらの作業も行って、週明け一番に助手の先生に送る予定。

Dsc09629c  演習のレポートは、午後から一通り目を通しました。レベルは、さまざま。添削するとしたら、ほとんど手を入れないで済むような、分かりやすくよくまとまったものから、「全面的書き直し」を求めたいものまで。これは、毎年そうです。あまり裏話を書くとよくありませんが、実は、先週、演習の終わりにレポートの書式を配ったら、その途端にレポート用紙に書き始めた強者も複数いたのです。他の授業で、授業中にレポートを書くものがあるようですから、その影響もあるのかも知れませんが、説明も聞かずにレポートを書く等というのは、私の感覚では信じられません。

Dsc09645c_20230706153001  よく書けているレポートは、事前に書くべき内容を整理し、書く順序や内容同士の関連性についてよく考えてあり、また、主語、述語、目的語などをきちんと意識して書いてあります。書き直しを指示したいレポートは、まずは内容が貧弱。項目が羅列してあるだけで、考えたという形跡があまり窺えないのです。他に目立つのは、1文ごとに改行してあるものがけっこうあります。これはSNSの文章の影響かなと思うのですが、本当にそうかどうかはわかりません。一方、今年度のレポートで全体的によいのは、話し言葉で書かれていないこと、誤字・脱字が極めて少ないことです。今晩か、明日にでも精読しながら、点数をつけ、コメントを書くつもり。花の写真は、順にコムラサキ(外堀にて)、サルビア(京町にて)、ヒマワリの仲間(詳細は不明、小型の花が多数咲いています。北寺町にて)。

0706temperture 【追記】 全国の今日の最高気温ランキングを見たら(15時20分現在の速報値)、桑名は全国6位の暑さでした。ジジイ故、午後からはエアコンのお世話になっております。

2022年9月 2日 (金)

20220902勝手にハイキング「壬申の乱から1350年記念 霞ヶ浦~大矢知ウォーキング」(予告編)

Img_0938c_20220902194101  前回(2022年7月17日:20220717堀川・宮の渡し跡・熱田神宮ウォーキング)から1ヶ月半ぶりに勝手にハイキングに行ってきました。今日の行き先は、四日市市内。タイトルのように、今年(2022年)は、壬申の乱(672年)から1350年です。桑名市博物館でも「壬申の乱と桑名」という展覧会がありましたし(2022年7月24日:九華公園のアオサギは2羽……博物館で「壬申の乱と桑名」を観る)、今日の行き先の1つであるくるべ古代歴史館でも記念展示が行われています。ということで、「壬申の乱から1350年記念 霞ヶ浦~大矢知ウォーキング」と銘打って出かけてきました。台風11号と秋雨前線の影響を心配したのですが、午前中は上天気。桑名では最高気温32.8℃。今日のところは、「予告編」。冒頭の写真は、くるべ古代歴史館。今回も、同級生K氏とのウォーキング。

Img_0681c_20220902194001Kasumigaura0  近鉄桑名駅を8時30分に発車する塩浜行き普通電車に乗車。霞ヶ浦駅には8時43分に到着。¥260。8時50分頃にスタート。右は、今日実際に歩いた全体のコースマップ。霞ヶ浦駅をスタートして、志氐神社、明円寺、大膳寺跡、浄恩寺、南北伊賀留我神社、荒木十兵衛頌徳之碑、天武天皇迹太川遙拝所跡、久留倍官衙遺跡・くるべ古代歴史館、長倉神社、照恩寺、大矢知興譲小学校(忍藩陣屋跡)、亀屋佐吉などを回って、三岐鉄道三岐線大矢知駅まで。現地で実際に歩いたのでは、7.5㎞でした。

Img_0711c_20220902194001 Img_0753c_20220902194001  志氐(しで)神社。前から訪ねたかったところです。東海道を歩いたとき、一の鳥居と、ここの神社に関わる「妋石(みよといし)(夫婦石)」は見ています(2021年5月8日:20210508「東海道・伊勢街道歩いて伊勢詣りツアー」第3回「富田~四日市」(予告編))。垂仁天皇の御代にご鎮座。志氐の名は、天武天皇が壬申の乱を避けて吉野から桑名への途次、迹太川(とほがわ)のほとりで伊勢の神宮を望拝されたときの御幣に由来するという説があります。また、ここには志氐神社古墳もありましたし、戦艦陸奥の破片なども奉納されています。

Img_0757c_20220902194001 Img_0780c  志氐神社を出たところ、北側に真宗本願寺派の放光山明円寺。事前に何も調べず、ノーマークでした。創建は、永正12(1515)年だそうです。続いて、南いかるが町のマンションの駐車場脇に「大膳寺跡」の石柱が立っています。斑鳩山大膳寺は、伝承によると、天延2(974)年、覚鎮によって開基された天台宗の寺院。延徳年間(1489~1490年)、蓮如上人の教化によって第16代円爾が寺を出て、真宗に改宗し、斑鳩山浄恩寺を起こしました。大膳寺は織田信長の兵火により焼失。

Img_0794c_20220902194101  続いて、その斑鳩山浄恩寺。ここは4年前にも、近鉄ハイキングで訪ねています(2018年9月15日:20180915近鉄ハイキング「四日市の古代ロマンを想う 歴史探訪! くるべ古代歴史館を訪ねる」へ(予告編))。現在の本堂は、明治28(1895)年の建築。境内には聖徳太子堂もあります。

Img_0881cImg_0815c_20220902194101 浄恩寺からほど近いところに、南北の伊賀留我神社2社があります。鵤(いかるが)村は、もとは一つの村でしたが、寛永年間(1624~1645年)に南北2村に分れました。北鵤村は、桑名藩領で、北の伊賀留我神社は(左の写真)、齋宮(いつきのみや)大明神とか、北鵤村伊賀留我神社と称しました。一方、分村した南鵤村(こちらは、忍藩支配所)にも、新たに伊賀留我神社を祀り(右の写真)、ここに新旧二社が併立となりました。

Img_0900c_20220902194101  北伊賀留我神社のすぐ近くに荒木十兵衛頌徳之碑があります。荒木十兵衛は、桑名藩領朝明郡北鵤村の庄屋で、羽津用水を築造した人物です。この地は七つのため池があるものの、水利に恵まれずたびたび干害に見舞われました。十兵衛は村を干害から救うために、困難な利害を調整し、朝明郡平津村(現平津町)の朝明川から取水工事を行い、宝永3(1706)年全長6㎞に及ぶ羽津用水を完成させました。この用水のおかげで北鵤、羽津、茂福等の村々の水田に水を潤すことができ、作物も豊かに実るようになったといいます。

Img_0925c_20220902194101  そのすぐ近くに、今日のメインの目的地の1つである「天武天皇迹太川御遙拝所跡」。私は、たぶん3回目くらい。県指定史跡。壬申の乱(672年)の際、大海人皇子(のちの天武天皇)は、奈良の吉野を離れて伊賀に入り、鈴鹿から三重郡家に進み、さらに朝明郡の迹太川(とおがわ)のほとりで天照大神に戦勝祈願したといいます。御遥拝所跡の碑が立つこの地は、江戸時代の人がその場所であると考えたところだそうです。

Img_0962c_20220902194101 Img_0984c_20220902194101  スタートから5.5㎞、10時55分頃に久留倍官衙遺跡に到着。久留倍はこの辺りの地名。飛鳥時代(670年頃?)から奈良時代(8世紀前半頃)まで、朝明郡の役所が置かれていた跡と考えられています。正殿・脇殿・東門(八脚門)とそれを囲む塀からなる郡衙政庁が、東向きに建てられていたといい、郡の政治を行う中心的な建物群があったところです。くるべ古代歴史館で展示を見て、ボランティアガイドの方の説明を伺ってから、北勢バイパスをくぐって、建物が再現されたエリアへ。小高い丘の上にあり、東に向かって開けています。伊勢湾などが一望できたと思われます。

Img_0976c_20220902194101  遺跡の北側のエリアには八脚門、正殿が復元されています。4年前の時は、これらはまだ復元されていませんでした。左の写真は、八脚門。当時としては、非常に格式の高い門だったそうです。大海人皇子(天武天皇)がいらした「朝明郡家」はここであるという説があります。

Img_1018c_20220902194101 Img_1059c_20220902194101  久留倍官衙遺跡を見たあとは、長倉神社(左の写真)へ。延喜式内社ではあるものの、由緒は不明。拝殿の北側には大矢知砦跡があります。右の写真は、次に訪れた青木山照恩寺(真宗本願寺派)の山門。この門は、桑名城の城門の1つであったと伝わっています。

Img_1081c_20220902194101 Img_1093c_20220902194101  大矢知興譲小学校。敷地の東側に立派な松の木の並木があります。ここは、忍藩の陣屋があったところ。大矢知は江戸時代を通じて、ほとんどの時代、桑名藩領でしたが、文政6(1823)年、当時の桑名藩主・松平忠堯(ただたか)公が、武蔵国忍藩へ国替えとなったのです。しかし、忍藩では桑名に比べ石高が少なく、それを補うため、北勢四郡のうち72ヵ村(松寺、蒔田、西富田を除く)4万3,000石が忍藩領になりました。そのとき、ここ大矢知に陣屋が置かれ、忍藩が支配したのです。

Img_1122c_20220902194101 Dsc_6802c  これで訪ねるところはほとんどコンプリートしたのですが、今日、もっともメインの訪問先(微笑)が残っています。それがこちら。龜屋佐吉さん。暑い時期に大矢知に来るなら、何が何でも立ち寄って、氷を食べなくてはならないのです。私は3回目(2016年7月3日:コアジサシの営巣地で給餌シーン……なばなの里ではコチドリが抱卵、午後からは龜屋佐吉で氷(苦笑))、K氏は初体験。「白玉和三盆金時みるく」(¥870)をいただいてきました。初めて行ったときには30分待ちでしたが、今日は待ち時間ゼロ。9月になると空くそうです。汗だくになって歩いてきましたので、冷たい氷、美味しくいただき、しっかり涼しくなりました。

Img_1135c  三岐鉄道三岐線大矢知駅。12時半頃に到着。龜屋佐吉さんに30分近く滞在していました。それ故、今日歩いていたのは、3時間10分ほど。ここまで7.5㎞。12時49分の近鉄富田行き普通に乗車。近鉄富田には、12時54分着。12時56分に名古屋行き急行がありましたから、それに乗って桑名駅には13時3分着。¥450。

Img_1193c_20220902194201 Dsc_0284c  桑名駅のコンコースにある伊勢ノ国食堂しちりで、ランチ。今日は、「天ぷら中華そば」(¥850)。最近ランチでは、麺類と丼物がメインとなっています。昔の「支那そば」という感じ。鰹出汁が効いた醤油味の
和風スープで若干、甘みがあるものの、あっさりとした味わいでした。

Img_1196c_20220902194201  今日の歩数。18,686歩。現地で歩いたのは、7.5㎞。桑名駅往復が、2.7㎞(帰りにアピタ桑名店に寄って、文庫本を買ってきました)。歩いた距離の合計は、10.2㎞。スマホのアプリでは14㎞ほど歩いたことになっていますが、さすがにそれはないでしょう。本編は、また明後日くらい以降から。

2022年8月27日 (土)

九華公園で1年半ぶりくらいにヤマガラ……オンライン研修会にも参加しました

Dsc03884c  朝のうちは晴れていましたが、10時過ぎからは曇天。雨は降らないで済みそうな感じです。今日は、10時から三重K-ABCアセスメント研究会のオンライン研修会が予定されていましたので、いつもより少し早く、7時15分から散歩開始。長島町、長良川河口堰方面へ行きたいとも考えたのですが、時間制限がありますので、それは断念。住吉神社、九華公園、貝塚公園、内堀公園、京町、寺町と回って、5.5㎞。8時50分頃には帰宅。冒頭の写真は、住吉神社。

Dsc03932c_20220827152201  住吉神社を出て揖斐川右岸の堤防歩いていたら、上流の方からアオサギさんが飛んできて、住吉水門あたり(七里の渡し跡の目の前にある水門)に降りました。若いアオサギさんが、水門の上流側にたたずんでいました。このあたりにはホオジロがよくいるのですが、今日はいません。

Dsc03955c Dsc03961c  いつもは住吉水門のところまでは来ないので、たまには違ったアングルの写真を。左の写真は、七里の渡し跡を住吉水門の方から撮ったもの。たいてい私は、写真に写っている伊勢一の鳥居の手前を通過していくのです。七里の渡し跡は、残念ながら堤防改修によって、住吉水門の内側になってしまっています。右の写真は、幡龍櫓。上流方向から撮っています。これまで載せていた写真は、下流側から撮っています。櫓の1階の破風のところにいるのは幡龍。「蟠龍(ばんりゅう)」とは、天に昇る前のうずくまった状態の龍のこと。この「蟠龍」をかたどった瓦が置かれたので、蟠龍櫓と呼ばれ、七里の渡しに入ってくる船の監視などの役割を果たしていたといいます。

Dsc03993c Dsc04170c  続いて、柿安コミュニティパークのところを歩いていたら、シジュウカラの鳴き声が複数聞こえてきました。ソメイヨシノの並木に数羽の群れ。なかなか撮りにくかったのですが、なんとか撮れた写真。幼鳥が多かったのですが、親鳥も混じっていました。

Dsc04393c  九華公園には、今日はアオサギはいなかったのですが、二の丸跡でヤマガラの声が聞こえてきました。耳を疑ったのですが、よく探したところ、この1枚だけが撮れました。よく撮れた写真ではないのですが、まさに証拠写真(苦笑)。九華公園でヤマガラを見たのは、去年2月以来と思います(2021年2月23日:ヒバリのペアとホオジロのオスが登場)。いやぁ、ホントによかった。

Dsc04378c Dsc04443c  九華公園では他に、ハシボソガラス。セミをくわえていました。カルガモのアーちゃんは、今日も野球場の南の堀の石の上でマッタリ中。

Dsc04477c_20220827152201 Dsc04466c  このあとは、めぼしい鳥はいませんでした。貝塚公園の西のお宅で、アサガオ。京町公園で一休みなどして、帰宅の途へ。右の写真のサルスベリは、陽和幼稚園にて。

Dsc04450c Dsc04462c 帰宅後、シャワーを浴びて、身を清め(笑)、10時から三重K-ABCアセスメント研究会のオンライン研修会に参加。三重K-ABCアセスメント研究会は、コロナ禍で久しぶりの開催。今日は、山梨大学准教授の永田真吾先生による「子供の認知特性を活かしたGIGAスクール時代のICT活用」 というお話を伺いました。コロナになって以来、小中学校でもオンライン教育が活発になっていますが、通常学級だけでなく、特別支援学級などでもICTを活用した教育指導が充実してきています。パソコンは普段からよく使っていますが、教育支援におけるICT活用についての私の知識・スキルをアップデートしたいと考え、参加。ただ、三重K-ABCアセスメント研究会では、スーパーヴァイザーを仰せつかっていますので、立場上、最後にコメントを求められました(微苦笑)。当初、主催者の先生からは「助言を」などとんでもないことをいわれていたのですが、感想で勘弁していただきました。左の写真はゼラニウム、右の写真は、九華公園の二の丸堀。

Dsc_6780c Dsc_6782c  アサガオの余談。今日は2輪。ずっと2鉢のうち、一方でしか咲かないとぼやき続けていましたが、今朝よく見たら、もう一方の「茂君」にも、つぼみらしきものが見えてきていました。いっそのこと、引っこ抜いて、ネギでも植えようかと話していたのですが、慌てて抜いてしまわないでよかった(爆)。

Dsc04485c  今日も、ナガシマスパーランドでは「長島温泉花火大競演」があると思ったら、残念ながら中止。リベンジを図ろうと思っていたのに拍子抜け。今のところ明日は、開催予定ですから、明日に持ち越しです。写真は、内堀交番の近くで実ってきたカリンと思います。

2022年8月14日 (日)

三重K-ABCアセスメント研究会第30回研究会のお知らせ

 三重K-ABCアセスメント研究会から第30回研究会のお知らせをいただきました。三重K-ABCアセスメント研究会は、コロナ禍のためしばらく活動を休止していましたが、このたび、下記の要領でオンライン研修会を開催します。ご関心がおありの方は、ぜひご参加いただきたくご案内申し上げます。

  1. 期 日:令和4年8月27日(土)10:00~12:00
  2. 内 容:講演「子供の認知特性を活かしたGIGAスクール時代のICT活用」
        講師: 山梨大学教育学域教育系准教授 永田真吾先生
  3. 対 象:小・中学校、高等学校、特別支援学校、大学等に勤務する教員、医療、福祉で心理アセスメントに関わる方
  4. 参加費:無料
    ※本会初めてのオンライン形式での開催です。今後のオンライン配信のテストも兼ねていますので無料となっています。
  5. 定員:50名
  6. 申し込み方法:必要事項(①お名前、②ご所属 ③職種 ④連絡先住所 ⑤連絡先電話番号、⑥E-mailアドレス)をご記入のうえ、E-Mailで令和4年8月23日(金)までに下記アドレス宛にお送り下さい。8月23~25日の間に返信メールが届くことになっています。
  7. 申し込み・問い合わせ:mie.kabc.goto at gmail.com(後藤勝弘先生)*「at」は「@」マークに変えて送信してください。
  8. 三重K-ABCアセスメント研究会事務局:〒514-0821 三重県津市垂水2622-1 津市立南が丘中学校内

 案内文書(pdf 75kb)は、こちらからダウンロードできます:ダウンロード - 20220827miekabc2330.pdf

 このブログ記事は、紹介のためのものです。正式な内容は、案内文書をご確認ください。また、お問い合わせ、参加お申し込みは三重K-ABCアセスメント研究会へ直接お願いいたします。

 

2022年5月26日 (木)

お知らせ

 裏稼業である「桑名発達臨床研究室」に関するお知らせです。

 NPO法人子ども支援室カシオペアとディスレクシア協会名古屋が主催する「2022年秋期特別支援教育支援員(学習支援員)養成講座」におきまして、10月9日に「心理検査でわかること・検査結果の支援への活かし方」について講義を行う予定でしたが、事情により、私は出講しないことになりましたので、ご了承ください。詳細につきましては、主催者にご確認ください。

 なお、将来的にも両者が主催される講座等に関わることはありませんので、ここにお知らせいたします。

2022年5月24日 (火)

予定通り、名古屋で講師

Dsc_6466c  昨日ほどではありませんが、それでも27.4℃と暑くなりました。午前中、予定通り、名古屋で、勉強会の講師を務めてきました。お世話をしてくださった方々の接遇の良さや、聞いてくださった皆様の熱心さに助けられ、大変楽しくお話しをすることができ、感謝しています。ついつい調子に乗ってしゃべりすぎ(苦笑)、質疑応答の時間が短くなってしまい、ご迷惑をおかけしました。

Dsc_6463c Dsc_6469c  さて、出かけた先は、冒頭や、この2枚目の写真附近。名古屋駅から久しぶりに地下鉄桜通線に乗って、現役時代に通勤していた駅の1つ手前まで。昔のことを少し思い出したりしながら、電車に乗っていました。ただ、桜通線では、どこの駅にもホームドアが設置されているなど、大袈裟に書けば、「隔世の感」も(苦笑)。年を取りました。

Dsc_6471c  12時20分頃、すべてのことを終え、そのまま帰宅の途へ。「用事が済んだらサッサと帰る」というマイナーなモットーもあるのです。帰りに名古屋駅から乗った急行電車は、ご覧のように、「神宮ゲートウェイ斎宮」のペイントが施されているもの。「斎宮×近鉄 壇蜜斎王トレイン」として、令和3(2021)年12月から今年の7月初旬まで運行されています。アフターコロナにおける斎宮・明和町への観光誘客を目指すプロジェクトの一環で、斎宮・斎王をイメージしたデザイン。斎王役には、タレントの壇蜜さんが起用されているのですが、そのイラストがあるところではありませんでした。

Dsc_6473c Dsc_6475c  桑名駅に着いたのが、13時20分過ぎでしたし、いささかお疲れでしたので、駅にある伊勢ノ国食堂 しちりで昼を済ませていくことに。最近、ランチメニューには麺類が充実しています。本日のおすすめから「ひやしてんぷらおろしうどん」をチョイス。税込みで¥1,070。麺には腰があり、天ぷらも揚げたてが載っており、美味しくいただいてきました。ということで散歩はなし。明日は、いつものように、江戸橋での非常勤の6回目。明日も天気がよくて、気温は上がりそうです。

2022年5月17日 (火)

東海地区K-ABC研究会オンライン研修会(6月19日開催予定)のお知らせ

 東海地区K-ABC研究会では下記のようにオンライン研修会を開催します。ご関心がおありの方は、是非ご参加ください。詳細は、東海地区K-ABC研究会のサイトでご確認ください

  1. 日時:令和4(2022)年6月19日(日)
     13時00分 Zoomミーテイングルーム オープン
     13時30分 開始
     14時50分 終了
  2. 研修内容①:「心理検査のフィードバック~検査を受けるクライエントの視点から」(和光大学・熊上崇先生)
    ※日本K-ABCアセスメント学会の会員専用ページからしかアクセスできない「オンラインレクチャー動画」を事務局でホストをし、ライブストリーミング配信を行います。
    研修内容②:事例紹介「高校生の書き障害の事例」
    ※「字がうまく書けない」という困難さを抱えた高校生の事例です。
  3. 参加費、定員、申込締切
    配信はZoomで行います。参加費は無料です。定員は100名(定員になり次第〆切、申込サイトは自動で閉鎖されます)。申込〆切は、2022年6月15日(水)です。
  4. 参加申込方法、詳細の確認方法
    東海地区K-ABC研究会のHPの『研究会のご案内・参加お申込』よりお申込ください。詳細もそちらでご確認下さい。

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  • 関裕二: アマテラスの正体(新潮新書)

    関裕二: アマテラスの正体(新潮新書)
    著者の前著『スサノヲの正体』も、興味深く読みました。斬新な着眼点と発想で、思いもかけない結論に至っています。読み物としてはとてもおもしろいという点で、☆を5つとしました。ネタバレになりますから、詳しいことを書くのは控えておきますが、著者は、伊勢神宮に祀られているのは、いわゆる「天照大神」ではなく、別の霊威の強い(祟る)、二柱の神だとしています。祟るが故に、伊勢に放逐されたのだと主張するのです。ただ、著者の肩書きは、歴史作家にして、武蔵野学院大学日本総合研究所スペシャルアカデミックフェローであり、仏教美術に関心をもち、奈良に通ううち、独学で日本古代史を研究したということですから、現在の歴史学や考古学が明らかにした内容と整合性がとれている主張なのかどうかは、私には判断はできかねます。それ故、「読み物としてはおもしろい」と評価しています。 (★★★★★)

  • 小塩真司: 「性格が悪い」とはどういうことか ――ダークサイドの心理学 (ちくま新書)

    小塩真司: 「性格が悪い」とはどういうことか ――ダークサイドの心理学 (ちくま新書)
    タイトルに惹かれて読みました。ただし、初めにお断りしておきますが、図表こそないものの、心理学の専門書といっても良いくらいの、分厚い記述になっていますので、馴染みのない方にとっては読みやすいものではありません。「性格が悪い」ことについて、最近研究が進んできた「ダークな性格」を中心にまとめられています。ダークな性格とは、マキャベリアニズム、サイコパシー、ナルシシズム、サディズムの4つの特性です。これらの特性とリーダーシップ、社会的成功との関連、身近な人間関係中でのダークな性格、ダークな人物の内面、ダークな性格の遺伝、ダークさとは何かについて、文献を引用しつつ論じられています。その上で、性格の良し悪しは、その内容ではなく、どのような結果に結びつくかで判断されるというのが、著者の結論でした。 (★★★★)

  • 和田 秀樹: 老いるが勝ち! (文春新書)

    和田 秀樹: 老いるが勝ち! (文春新書)
    和田秀樹さんは、もともと高齢者専門の精神科医です。浴風会病院というところで35年間勤務され、6,000人以上の高齢者の方を診てこられました。その臨床経験から、高齢者については、理屈通りに行かないと思うことがたくさんあるといっておられます。タバコをたくさん吸っていても100歳まで生きる人もいれば、検査データはすべて正常なのにガンで亡くなる人もいるのだそうです。医者にいわれて血圧その他に注意していたのに、脳卒中を起こす人もいます。和田さんはこの本で80歳を過ぎたら我慢せず、好きな物を食べ、行きたいように生きることを勧めています。また、医療に関わらない方が長生きできる共書いています。不摂生を勧めておられるわけではありませんが、常識にとらわれず、自由に生きた方が楽しみも見つかってよいのではないかと思います。養老孟司先生流にいえば「なるようになる」のですから。 (★★★★★)

  • 彬子女王: 赤と青のガウン オックスフォード留学記 (PHP文庫)

    彬子女王: 赤と青のガウン オックスフォード留学記 (PHP文庫)
    彬子女王殿下の英国留学記です。彬子女王は、ヒゲの寛仁親王のご長女。殿下は、女性皇族として初めての博士号をオックスフォード大学で取得されました。この留学記は、ネットで話題になっていましたので、ぜひとも読んでみたいと思っていました。今上天皇の「テムズとともに」も読んだことがありますが、皇族の皆様は、どなたも誠実で朗らかで、それでいてユーモア溢れるお人柄をお持ちのようですが、殿下も同様でいらっしゃり、それがよく感じられる文章で楽しく拝読し、爽やかな読後感を持ちました。 (★★★★★)

  • 石井光太: ルポ スマホ育児が子どもを壊す

    石井光太: ルポ スマホ育児が子どもを壊す
    タイトルに惹かれて買ったのですが、帯にあるように「衝撃の現場報告」でした。この本に書かれているエピソードのうち、いくつかはこれまでにもマスコミ報道などで接していましたが、これだけのことがらが一度に示されると圧倒されます。現代の子どもたちは、まさに私たちが知っている(知っていた)子どもではなくなっているといえるようです。たとえば、「2歳児のネット利用率は58.8%」「子守歌はアプリで聞く赤ちゃん」「ヘッドガードの制服化」「教室の『アツ』に怯える小学生」「褒められ中毒はエスカレートする」などなど。スマホが登場して16年でその影響は大ですが、子どもたちの特徴に影響しているのはスマホだけではなく、現代社会や、大人達のありようも大きく影響しているといえます。「『将来の夢は交通整理のバイト』と言う女子高生」などはその例でしょう。私が教えている学生も、「『アツ』がすごい」ということがあり、いったい何だ?と思っていましたが、よく分かりました。すでに若い先生方は、デジタル・ネイティブ世代になっていますし、この本に登場する若者達が社会に出て、その中核を担うのも遠い将来のことではありません。これらの若者は、高い情報処理能力を持ち、周囲に適応する力もあり、コンプライアンス能力も高いのですが、それらを認めた上で、彼らが自立した大人になるために何が必要か見極め、それを提供することが必要とされるのでしょう。その意味では、大人の世代にも彼らを適切に理解し、必要な支援を提供する責任があります。 (★★★★)

  • 養老 孟司, 中川 恵一: 養老先生、再び病院へ行く

    養老 孟司, 中川 恵一: 養老先生、再び病院へ行く
    『養老先生、病院へ行く』の続編です。医療とは距離をとっておられる養老先生が、再診のため1年3ヶ月ぶりに東大病院に行かれました。大病から復活された今だからこそ語ることができる老い、医療、健康、死との付き合い方について、養老先生ご自身と、教え子にして主治医の中川恵一先生がお書きになっています。養老先生のスタイルをそのまままねすることは、凡人には不可能であり、よろしくはありません。しかし、健康についての考え方や、死についてのとらえ方などはとても参考になります。私が啓蒙されたことがらは、「健康法は人の数だけ存在する」「養老先生は抜け道の天才」「不連続な体調の変化に気をつける」「具合が悪いときは一週間様子を見ると医者に行くべきかどうか分かる」「お酒はもはや百薬の長ではないが飲む飲まないは自分で決めてよい」などでした。 (★★★★★)

  • 宮口幸治: 歪んだ幸せを求める人たち―ケーキの切れない非行少年たち3―(新潮新書)

    宮口幸治: 歪んだ幸せを求める人たち―ケーキの切れない非行少年たち3―(新潮新書)
    「ケーキの切れない非行少年たち」シリーズの3冊目です。本の帯には「『幸せを求めて不幸を招く人』の戦慄ロジック」とあります。「みんな幸せになりたい」という動機は万人がもつものでしょう。しかし、幸せの形は人それぞれですし、幸せになりたいと強く願うものの、かえって生きづらさや苦悩を抱える人たちもたくさんいます。著者は、人は幸せになりたいが故に、結果的に他人が不幸になることでもやってしまうといいます。さらに、幸せになりたいのだけれど、そのやり方がよくない」と考える、結果的に他人を不幸にする人たちを理解できるともいいます。著者が長年関わってきた非行少年達にもそれは共通するそうです。歪んだ幸せを求める人たちの背景にある要因として、著者は、怒りの歪み、嫉妬の歪み、自己愛の歪み、所有欲の歪み、判断の歪みの5つの歪みを取り上げ、事例も含めて考察しています。これを読むと、こうした5つの歪みは、ごく普通の人びとも多少とももっているものといえます。最終章では、自分と他者の「ストーリー」という概念を用いて、歪んだ幸せを求める事についてどう向き合えばよいか、提案されています。 (★★★★)

  • 森永 卓郎: 書いてはいけない

    森永 卓郎: 書いてはいけない
    他の本を買いに行った時、書店で平積みになっていましたので、思わず買ってしまいました。メディアのタブーに触れつつ、現在の日本が凋落している要因を3つ指摘しています。サブタイトルは、「日本経済墜落の真相」となっています。3つは、ジャニーズの性加害、財務省のカルト的財政緊縮主義、日本航空123便の墜落事件。この3つについては、関係者は皆知っているものの、触れてはいけない、本当のことをいってはいけないタブーになっているといいます。メディアで触れたら、瞬時にメディアには2度と出られなくなるそうです。ジャニーズ問題は、BBCの報道のためにオープンになってしまいましたが、著者の森永さんは、ご自身が病を得られたこともあって、現状を打破するためにこの本を書かれました。財務省による必要以上の財政緊縮政策と、日航123便の事故のお陰で日本がアメリカに対してどんどん主権を失っていったことが、日本経済の衰退の主たる要因と主張しています。たぶんそれは本当だろうなというのが、私の読後感。 (★★★★)

  • 立木 康介: フロイト『夢判断』 2024年4月 (NHKテキスト)

    立木 康介: フロイト『夢判断』 2024年4月 (NHKテキスト)
    何を今さら勉強しているのか? と思われるかも知れませんが、ちょっと前に流行った言葉でいえば、リスキリングに相当するかも知れません。学生時代に読みましたが、しっかり理解したかといえば、アヤシいのです。学生時代からは50年近い月日が経っていますので、その後の研究成果も含め、新しいことがあるだろうと思ったのです。100分de名著というNHK Eテレの番組のテキストです。講師の立木先生は、パリ第8大学で精神分析の博士号を取得され、京大人文科学研究所の教授。精神分析は「昨日までとは違う自分を手に入れるために行う」とおっしゃっていました。この番組でもっとも印象に残ったのは、あの有名な「エディプス・コンプレックス」よりも、今日、重要なフロイトが提案した概念は、「両性性」であるということでした。これは、いかなる個人も与えられた解剖学的性にしばられないセクシュアリティの自由を持つことをうたうものです。この視点に立てば、同性愛も、トランスジェンダーもいわば当たり前の存在であるということになります。これらを踏まえると120年間に書かれた「夢判断」の内容は、きわめて今日的な意義を持ってくると再認識する必要があります。 (★★★★★)

  • 諸富 祥彦: NHK「100分de名著」ブックス フランクル 夜と霧

    諸富 祥彦: NHK「100分de名著」ブックス フランクル 夜と霧
    フランクルのこの本は、改めて紹介するまでもないほど、有名な本です。私も学生時代、霜山徳爾先生の翻訳で読みましたが、ことばでは書き尽くせないほどの衝撃を受けたことを、いまでもよく覚えています。第二次世界大戦中にナチスの強制収容所に収監された経験をもとに、精神医学者・フランクルが、人生の目的を明確にし、その実現に向けて没頭する心理療法を紹介する本です。原題を直訳すると「それでも人生に然りと言う:ある心理学者、強制収容所を体験する」となります。実存心理学の名著であり、極限の環境におかれたとしても、何かが、あるいは、誰かがあなたを待っているということを主張しています。絶望して終わるのではなく、人生が何をわれわれに期待しているのかが問題であり、私たちはそれを学ぶことが重要だとしています。何度か読み直すことによって、人生への理解が深まる気がします。 (★★★★★)

  • 松田 忠徳, 増田 晋作: 枕草子の日本三名泉 榊原温泉

    松田 忠徳, 増田 晋作: 枕草子の日本三名泉 榊原温泉
    榊原温泉は、全国的に有名とはいえないかも知れませんが、名湯です。それは、枕草子に「湯は七栗の湯 有馬の湯 玉造の湯」にある、七栗の湯が榊原温泉と考えられるからです。最近、日本三名泉といえば、有馬温泉/兵庫県、草津温泉/群馬県、下呂温泉/岐阜県とされますが、枕草子に取り上げられたのはそれよりも古く、「元祖日本三名泉」といえます。榊原温泉の湯は、肌がきれいになる「美人の湯」というだけでなく、抗酸化作用もある健康の湯でもあります。この本は、日本一の温泉教授・松田先生と、地元を知り尽くした増田さんの共著で、「何もない」といわれていた榊原温泉の魅力を語り尽くしています。ちなみに、私にとっては家内の実家を知る上で格好のガイドブックです。 (★★★★)

  • 文藝春秋: 定年後に読む不滅の名著200選 (文春新書)

    文藝春秋: 定年後に読む不滅の名著200選 (文春新書)
    この本の帯には「これが定年後の知の道しるべ!」とありますが、私自身はさほど大上段に構えたつもりで読んではいません。どのような本が選ばれているかにももちろん興味はあったのですが、それらがどのように紹介されているかといった方面に興味があって読みました。本を紹介している方々はいろいろな分野で功なり、名を挙げた方ばかり。それらの方がどんな本を読み、どのように唱歌していらっしゃるかが知りたかったのです。ちょっと邪道な読み方ではありましたが、しっかりと楽しめました。 (★★★★)

  • 石田泰弘(編著): 街道今昔 佐屋路をゆく (東海の街道2) (爽BOOKS 東海の街道 2)

    石田泰弘(編著): 街道今昔 佐屋路をゆく (東海の街道2) (爽BOOKS 東海の街道 2)
    さほど本格的に取り組んでいるわけではありませんが、昔の街道を歩くのは好きです。この本のテーマである佐屋路(佐屋街道)も歩きたいと思って調べています。佐屋路は、東海道佐屋廻りとも呼ばれたように、東海道の迂回路でした。江戸時代に東海道宮宿と桑名宿の間を、陸路万場宿、佐屋宿の陸路を経て、佐屋から桑名宿への水路三里の渡しによって結んでいた街道です。実際に歩いて書かれたと考えられますが、旅人目線で書かれたウォーキングガイドです。津島街道、高須道も取り上げられています。部分的には歩いたところがありますが、佐屋路はいずれ、歩いてみたいと思い、計画中ですので、とても参考になりました。実際に歩かなくとも、歴史読み物としても楽しめます。 (★★★★★)

  • 柳瀬博一: カワセミ都市トーキョー 【電子限定カラー版】 (平凡社新書1049)

    柳瀬博一: カワセミ都市トーキョー 【電子限定カラー版】 (平凡社新書1049)
    東京都心にたくさんのカワセミが棲んでいるというのは、最近割とよく知られるようになっています。清流の鳥というイメージがあるかも知れませんが、東京の「野生」環境をうまく利用して繁殖もしています。そのカワセミが暮らす街は東京屈指の高級住宅街ばかりだそうです。すなわちカワセミも、人間も好む環境は同じというのです。カワセミが暮らす街は、人間にとってもよい街ということです。カワセミの存在に気付いたことから、「小流域源流」をキーワードに「新しい野生」と「古い野生」の繋がりを論じています。カワセミの生態も詳しく観察されていますので、私も今までよく知らなかったことが多々書かれていて、興味深く読みました。 (★★★★)

  • 内田 樹: コモンの再生 (文春文庫)

    内田 樹: コモンの再生 (文春文庫)
    私は、内田樹先生の評論が好きで割とよく読みます。「コモン(common)」とは、形容詞としては「共通の、共同の、公共の、ふつうの、ありふれた」という意味ですし、名詞としては「町や村の共有地、公有地、囲いのない草地や荒れ地」を意味します。昔は、ヨーロッパでも日本でも村落共同体はそういう「共有地」を持っていました。コモンを管理するには「みんなが、いつでも、いつまでも使えるように」という気配りが必要になるのですが、近代になって怒った「囲い込み」によって「コモンの私有化」が起こり、村落共同体が消え、集団的に維持されていた儀礼、祭祀、伝統芸能、生活文化が消えてしまったのです。著者は、このコモンを再生することが市民の原子化、砂粒化、血縁、地域共同体の瓦解、相互扶助システムの不在という索漠たる現状を何とかするために必要と考えています。ちなみに、マルクスとエンゲルスによるコミュニズムは、著者によれば「共同体主義」と訳した方がよく、彼らは「コモンの再生」が必要と提言したといいます。「共産主義」と訳されてしまったがため、なんだかよく分からないことになっているのです。「共有主義」あるいは「共同体主義」と意訳してくれていたら、もろもろが変わっていたかも知れないという話には、膝を打ちました。 (★★★★★)

  • 本田 秀夫: 知的障害と発達障害の子どもたち (SB新書)

    本田 秀夫: 知的障害と発達障害の子どもたち (SB新書)
    児童精神科医の本田先生の最新刊です。今回は知的障害が取り上げられています。これまでの本田先生の御著書では、発達障害が主に取り上げられてきたのですが、実は知的障害を持つ子どもたちも一定数存在していますし、発達障害と知的障害を合わせ持つ子どもたちもいます。その意味で、発達に困難のある子どもたちのことをきちんと理解して、適切な支援をする上では、両者を視野に入れることが重要です。著者は、知的障害の支援では、「早く」と「ゆっくり」がキーワードになると書いておられます。これは私もそうだと思います。可能な限り早期から支援を受けた方がよく、一方で、発達のスピードに合わせて「ゆっくり」としたペースで支援をすることが大切になります。発達障害の子どもたちにも「本児のペースに遭わせた支援が必要」とおっしゃる方がありますが、発達障害の子どもたちの理解/支援の上でのキーワードは「アンバランス」です。この本は、発達が気になるお子さんをお持ちの保護者の方、特別支援教育に携わる教員の方々にとって、基本的なテキストといえます。 (★★★★★)

  • BIRDER編集部: お手本でわかる!野鳥撮影術 (BIRDER SPECIAL)

    BIRDER編集部: お手本でわかる!野鳥撮影術 (BIRDER SPECIAL)
    バードウォッチングや野鳥撮影を趣味にしています。とはいえ珍鳥を追うのではなく、主に自宅近くを散歩しながら、いわば「定点観測」のように野鳥を見ています。自分の写真の撮り方を振り返ると、図鑑的に撮ることがほとんどです。なぜそうなのかを考えてみると、研究者の端くれであったことが関わっている気がします。つまり、写真を撮ることを、観察した記録やデータと見ているからではないかということに思い当たりました。野鳥撮影の「幅を広げたい」と思っていたら、この本が出版されました。ざっと目を通したところ、「色とりどりの花と鳥」「木の実レストラン」「やわらかい表情を追う」などさまざまなテーマで鳥とその周辺を撮る方法が載っています。これを参考に、自分の野鳥写真の世界を広げられたらいいなと思える本です。 (★★★★★)

  • 磯田 道史: 磯田道史と日本史を語ろう (文春新書)

    磯田 道史: 磯田道史と日本史を語ろう (文春新書)
    磯田道史さんが、さまざまな分野の達人と歴史についての論賛をしたのをまとめた本です。論纂とは、①人の徳行や業績などを論じたたえること、②史伝の終わりに著者が書き記した史実に対する論評のこと。異分野の専門家同士が議論をすることによって生まれるものは、別次元となり、大変興味深いものとなります。この本がその論より証拠。養老孟司さんとの論賛からは「脳化社会は江戸時代から始まった」という話が出て来ています。忠、孝、身分などは、シンボリズムであり、それらは見たり、触れたりできません。また、関東大震災に遭遇したことは、被害に対する鈍感さをもたらし、それが太平洋戦争につながったという指摘には、なるほどそういう面も確かにありそうだと思わされました。その他、歴史や人間について、実にさまざまな、新しい見方が示され、大変おもしろく読み終えました。 (★★★★★)

  • 保阪 正康: 近代日本の地下水脈 I 哲学なき軍事国家の悲劇 (文春新書 1440)

    保阪 正康: 近代日本の地下水脈 I 哲学なき軍事国家の悲劇 (文春新書 1440)
    本の帯に「『水脈史観』で日本の失敗を読み解く」とあります。「水脈史観」という概念には初めて接しましたが、「攘夷のエネルギーは、いまも日本社会の根底に流れている」という見方です。明治維新後、日本がとりえた国家像は、欧米型帝国主義国家、道義的帝国主義国家、自由民権国家、米国型連邦制国家、攘夷を貫く小日本国家の5つであったが、哲学なきまま欧米型帝国主義国家の道を突き進み、軍事中心の国家作りを推し進めたことが、戦前の日本の失敗の原因であったというのが著者の主張です。それは確かにそうだと思いますが、私には、ほんのサブタイトルにある「哲学なき国家」ということが、現代日本の様々な問題の背景にあるような気がしてなりません。 (★★★★)

  • 佐伯 泰英: 陰流苗木(かげりゅうなえき)~芋洗河岸(1)~ (光文社文庫)

    佐伯 泰英: 陰流苗木(かげりゅうなえき)~芋洗河岸(1)~ (光文社文庫)
    今回も特別に時代小説を取り上げます。この2つ前の本に佐伯泰英さんの「恋か隠居か 新・酔いどれ小籐次(二十六)」を取り上げ、これは佐伯さんの300冊目の「文庫書き下ろし小説」だと書きました。今回のこの本は、301冊目です。しかも、80歳を越えて、さらに新しいシリーズを始められたのです。美濃を食い詰めた浪人・小此木善治郎が、職なし、金なし、住むあてなしながら、剣の達人にしてとぼけた侍であるものの、なんとも頼りになる存在で、親切な住人や大家によって受け入れられた長屋の秘密と謎の渦に巻き込まれるという設定。これまたおもしろそうなシリーズです。毎月刊行で、全3巻の予定とか。第2巻が待ち遠しい内容です。 (★★★★★)

  • 養老孟司, 鵜飼哲夫: なるようになる。 僕はこんなふうに生きてきた(中央公論新社)

    養老孟司, 鵜飼哲夫: なるようになる。 僕はこんなふうに生きてきた(中央公論新社)
    養老先生の新刊が出たというので早速入手し、ほぼ一気に読み終えました。「はじめての自伝!」といううたい文句で、帯には「虫と猫と、バカの壁。考え続けた86年」ともあります。養老先生は、かなりしつこい性格でいらっしゃるようで、疑問に思ったことは「まぁいいか」などと思わず、考え続けてこられたそうです。その結果が、これまでのユニークな著作に結実しています。それはさておき、考え続けた結果、「なるようになる。」というのが、養老先生の現時点での結論だそうです。「なるようにしかならない」ではなく、「なるようになる。」のです。物事は、はっきりとした目的意識があって進むのではないので、「なるようになる。」なのです。忘れてしまったような些事がその後の人生を動かしてきたかもしれないともあります。なるほどと、この本を読み、養老先生の来し方をいささか知ると、納得できます。というか、納得した気になっているだけかも知れませんが…… (★★★★★)

  • 佐伯 泰英: 恋か隠居か 新・酔いどれ小籐次(二十六) (文春文庫)

    佐伯 泰英: 恋か隠居か 新・酔いどれ小籐次(二十六) (文春文庫)
    佐伯泰英さんは、この本で「文庫書き下ろし小説」というジャンルで300冊刊行を達成されました。佐伯さんの時代小説はすべて読んでいます。まさにストーリー・テラーといえる作家で、実に読み応えのある時代小説をたくさん書いておられます。このシリーズは、いったん完結となったかと思ったのですが、この「恋か隠居か」で復活しました(と理解しています)。隠居を考える小籐次ですが、小籐次親子に挑戦状が届くところから始まる物語。今回も楽しめました。 (★★★★★)

  • 安藤優一郎: 15の街道からよむ日本史 (日経ビジネス人文庫)

    安藤優一郎: 15の街道からよむ日本史 (日経ビジネス人文庫)
    街道歩きを少ししています。三重県内では、東海道のほとんど、伊勢参宮街道、美濃街道・養老街道などを歩きました。もっとあちこちの街道を歩きたいと思っていますが、そのときにこの本が出版されましたので、早速入手して読みました。芭蕉の奥州街道、伊勢参宮街道のお伊勢参り、武士の旅日記などの章をとくに興味深く読みました。主要な街道を取り上げることで読みやすい歴史物語となっています。 (★★★★)

  • 大芦治: 心理学をつくった実験30 (ちくま新書)

    大芦治: 心理学をつくった実験30 (ちくま新書)
    「誰もが一度は耳にしたことがある有名実験の背景・内容・影響を紹介、新たな心理学像を呈示する」と帯にあります。心理学全般に関心を持つ社会人を読者に想定しているといいますが、私には心理学史のテキストとして、あるいは、入門段階の心理学を学んだ方がさらに学習を深める際に読む本としてもよいかも知れません。 私自身も、心理学の教科書を執筆したことが何度かありますが、そこに引用する理論や実験については、いわゆる「孫引き」をしてしまったこともよくありました。この本の著者は、可能な限り原典にあたって執筆していらっしゃり、その意味では参考になったところが多々あります。 ところで、著者は心理学の未来にあまり明るい展望を持てないようです。臨床心理士、公認心理師の資格が人気を集め、心理学部などもたくさん設けられました。私自身の勝手な個人的意見を書けば、資格ができると、レベルは下がると思っています。根拠はありません。個人的な印象によるものです。私は実験心理学でトレーニングを受け、臨床心理の分野に進みました。心理学の基本は実験心理学と個人差測定心理学にあると思っています。学部段階からいきなり臨床心理学プロパーに進むのは、相当よろしくないと思います。臨床実践にあたってはその基礎となる確かな、科学的な学問(知見、理論なども含む)が必要です。また、仮説演繹法などのものの見方もきちんと身に付ける必要があります。これらは実験心理学と個人差測定心理学から養われると思っています。 この本は、基礎的知識がない方がいきなり読むのは難しいでしょうが、科学的心理学を学びたいと思う方にはよい参考書となります。 (★★★★)

  • 磯田 道史: 家康の誤算 「神君の仕組み」の創造と崩壊 (PHP新書)

    磯田 道史: 家康の誤算 「神君の仕組み」の創造と崩壊 (PHP新書)
    磯田先生の書く本はどれもとても面白く読めます。といっても、私が読むのは研究書ではなく、新書だからなのかも知れません。この本は、家康がなぜ幕藩体制を創ることができたのか、江戸時代、誰が神君の仕組みを崩わしたのか、幕末、かくして神君の仕組みは崩壊した、神君の仕組みを破壊した人々が創った近代日本とは、家康から考える日本人というものという5つの章からなっています。家康は天下を取ったあとこの国を支配するのに巧妙な仕掛けをつくり、平和な時代が続いたのですが、誤算が生じて、徳川政権が変質し、崩壊に至ったと著者は考え、そのプロセスを俯瞰しています。いろいろな時点で「神君の仕組み」を骨抜きにする人物や政策が表れたといいます。組織が弱体化する姿を見ておくと、自分たちの劣化を防ぐ力が養われると磯田先生は述べています。徳川時代が現在にあたえている影響も多く、その分析も興味深く読めます。 (★★★★★)

  • 多井 学: 大学教授こそこそ日記

    多井 学: 大学教授こそこそ日記
    文庫本を買いに本屋に行ったら、平積みしてあるのを見つけて思わず買ってしまいました。私もその昔、ご同業だったことがあったからです。帯に「いくらでも手抜きのできる仕事」とありますが、私の経験でもそういう人もそれなりにいました。ちなみに私自身は、こき使われたと思っています。さらに「現役教授が打ち明けるちっとも優雅じゃない生活」とも書かれていますが、これはまさに私の体験と同じ。本に書かれていることがらも、ことごとく納得できます。私は、「そうそう!」といいながら読み終えました。大学教授で儲けている人はごく一部などなど。まぁ大学教授の仕事や生活に興味をお持ちの方は、さほど多くはいらっしゃらないとは思いますが、お暇な方にはどうぞ。 (★★★★)

  • 宮口 幸治: 境界知能の子どもたち 「IQ70以上85未満」の生きづらさ (SB新書)

    宮口 幸治: 境界知能の子どもたち 「IQ70以上85未満」の生きづらさ (SB新書)
    「境界知能」という言葉は、専門家はよく知っていると思いますが、一般のご父兄や、小中学校の先生方にはあまりなじみがないかも知れません。IQという指標でいえば、多くの場合70以上85未満の子どもたちがこれに該当する可能性があります。一見したところでは普通の子どもたちと変わりはなく、なかなか気づかれません。しかし、理論的には約14%の子どもたちが含まれますから、本の帯にあるように「日本人の7人に1人」となります。平均と知的障害のはざまにあり、気づかれにくいものの、授業について行けなかったり、友だちと上手くつきあえなかったり、感情のコントロールが苦手であったりして、当事者の子どもたちは苦戦し、辛い思いをしています。発達障害はよく知られるようになりましたが、境界知能の子どもたちにもしっかり目を向け、必要な支援を提供することは喫緊の課題といえます。この本では、境界知能とはどのような状態なのか、教科学習の前に認知機能を向上することの重要性、子どもの可能性をいかに伸ばしたら良いかについて具体的に、分かりやすく解説されています。 (★★★★)

  • 関裕二: スサノヲの正体(新潮新書)

    関裕二: スサノヲの正体(新潮新書)
    タイトルに惹かれて手に入れたものの、序章の記述が私にとっては退屈でしばらく放っておいたり、読み直そうと思ってくじけたりしていました。しかし、そこを乗り越えるとこの本はとても面白くなり、ほとんど一気読みしました。スサノヲ(素戔嗚尊)の正体を探るプロセスでアマテラス(天照大神)の謎も明らかにされて行き、それもとても興味深いものがあるのです。アマテラスは皇祖神とされますが、実在の初代王と言われる崇神天皇はアマテラスを伊勢に追いやっています。また、伊勢神宮を整備した持統天皇だけは伊勢に参ったものの、それ以降明治になるまで、1,000年以上も歴代天皇は伊勢神宮を訪れていません。明治天皇が東京に遷御したあと武蔵国の鎮守勅祭の社に定めたのは、スサノヲの祀られる氷川神社(現さいたま市)です。明治天皇は氷川神社を訪れた翌年に、伊勢神宮を訪れています。そもそも伊勢にいる神はアマテラスなのかという疑問にも立ち向かっている、古代史や神に関心がある方にはお勧め。 (★★★★★)

  • 安藤 優一郎: 大名屋敷「謎」の生活 (PHP文庫)

    安藤 優一郎: 大名屋敷「謎」の生活 (PHP文庫)
    時代小説をよく読みます。捕物帖、市井の人たちの生活、侍の物語、大名の話などいろいろとあります。庶民の生活については、これまでもいろいろな本でかなり知っていますが、大名の生活については分からないところの方が多いと思っていました。タイトルに惹かれて買ったのですが、大名やその家族の生活が詳しく書かれているのではなく、勤番侍の生活、大名屋敷の庭園、御用達商人や豪農、幕末の動乱と大名屋敷などの話が中心でした。それはそれで知らなかったことが多々あり、興味深く読みました。 (★★★)

  • 服部環ほか: 指導と評価2023年10月号(図書文化社)
    「指導と評価」は、日本教育評価研究会の機関誌であるとともに、日本で数少ない教育評価に関する月刊誌です。この号では、教育・心理検査の意義と活用という特集が組まれています。「教育・心理検査の意義」に始まり、WISC-Ⅴ、KABC-Ⅱなどの個別検査の使い方、解釈の仕方、指導への活かし方がそれぞれの専門の先生によってわかりやすく解説されています。特別支援教育の現場でも、きちんとした心理アセスメント所見に基づいた支援を展開することが望ましいのですが、現場の先生方には敷居が高いようです。ご関心がおありの方には、どのように使えるか、どのように考えたらよいかについて基本的なことがらを理解するのに適しています。出版社のWebサイトからバックナンバーとして購入できます。 (★★★★)
  • 石田 光史, 樋口 広芳(ナツメ社): ぱっと見わけ観察を楽しむ 野鳥図鑑

    石田 光史, 樋口 広芳(ナツメ社): ぱっと見わけ観察を楽しむ 野鳥図鑑
    野鳥図鑑はすでに何冊も持っていますが、この野鳥図鑑は、2015年の刊行で、なぜ今までこの存在に気づかなかったと反省するほど便利そうなもの。掲載されているのは324種ですが、それぞれの特徴や、見わけのポイントがパッとわかるようになっています。その鳥の生活型や生息地、食性や羽色、形態などのほか、雌雄、夏羽冬羽、幼鳥などで特徴が異なる場合は、それらについても説明されています。観察したい行動から、おもしろい生態、探し方までもが載っていますし、鳥の鳴き声が聴けるQRコードも付いています。私自身、野鳥の特定がけっこうアヤシいので、しっかり活用しましょう。 (★★★★★)

  • 千枝大志(風媒社): 街道今昔 三重の街道をゆく (爽BOOKS)

    千枝大志(風媒社): 街道今昔 三重の街道をゆく (爽BOOKS)
    「東海の街道」シリーズの第4巻です。「街道歩きのお供に最適の1冊」といううたい文句。内容は、三重の主な街道、近世三重の城郭図・城下図を読み解く、お伊勢参り小咄、伊勢をめぐる〈参詣〉をデジタル化するの4章構成で、まさに三重の街道歩きの参考書としてよいと思います。私自身も県内の東海道、伊勢街道、美濃街道、濃州街道はほとんど歩き、ほかの街道も部分的に歩いていますし、城もここに載っているところはかなり訪ねています。デジタル化も、ブログに写真・記事を載せていますから、出来不出来はともかく、私も取り組んでいます。県内の街道はさらに歩こうと思っていますし、デジタル化にももっと取り組みたいと考えていますので、十分活用できるでしょう。 (★★★★★)

  • 唐沢孝一: 都会の鳥の生態学 カラス、ツバメ、スズメ、水鳥、猛禽の栄枯盛衰 (中公新書)

    唐沢孝一: 都会の鳥の生態学 カラス、ツバメ、スズメ、水鳥、猛禽の栄枯盛衰 (中公新書)
    都市にもたくさんの野鳥がいることを知る人は少ないかも知れません。私がいつも散歩している地方都市の公園では、これまで10年あまりで70種類近くの野鳥を観察しています。都会は自然の少ない人工的な環境にあふれていますが、野鳥たちはもともとの生態を活かしつつこれらにしたたかに適応してい生きています。この本では、カラス、ツバメ、スズメ、水鳥、猛禽を取り上げ、その都会における生態や、活動の変化、人間と鳥との関係とその変化などについて多くの実例や、調査結果をもとに、豊富な写真を使って楽しく読めるようにまとめられています。 (★★★★★)

  • 堤未果: 堤未果のショック・ドクトリン 政府のやりたい放題から身を守る方法 (幻冬舎新書)

    堤未果: 堤未果のショック・ドクトリン 政府のやりたい放題から身を守る方法 (幻冬舎新書)
    「ショックドクトリン」とは、テロや大災害など、恐怖でこくみんが思考停止している最中に、為政者や巨大資本がどさくさ紛れに過激な政策を推し進める悪魔の手法のことです。アメリカでの3.11以来、日本でも大地震やコロナ禍の裏で知らない間に個人情報や資産が奪われようとしているというのがこの本のテーマ。パンデミックで製薬企業は空前の利益を得、マイナンバーカード普及の先には政府のよからぬ思惑があるなどよくよく注意し、自分の生命・財産を守らないといけないというのが著者の主張。「今だけ、自分だけ、お金だけ」という強欲資本主義に負けないようにするには、ちょっとした違和感を大事にし、お金の流れがその裏にないか、また、それで大もうけして回転ドアをくぐって逃げる輩がいないかをチェックすることです。また、政府が何か、大急ぎで導入しようとしたり、既存の制度を急拡大しようとするときは、要注意だそうです。 (★★★★)

  •  奥山景布子: 葵の残葉 (文春文庫)

    奥山景布子: 葵の残葉 (文春文庫)
    いわゆる「高須四兄弟」である徳川慶勝、松平容保、松平定敬、徳川茂栄は、幕末維新の激動期に、結局のところ官軍と幕府とに分かれて戦う運命になったのですが、この四兄弟を取り上げて埋もれた歴史を活写した小説。私自身は、桑名藩主であった松平定敬が取り上げられているので興味を持って手に取った次第。幕末維新は、次々に色々な出来事が起きて、さまざまな人たちの思惑も複雑に入り組んでいるので、小説にするのは難しいと思っていたのですが、隠れた主人公ともいえる高須四兄弟の視点からとても躍動感のある読み物になっています。また、この時期の歴史をより一層深く理解できたという感想も持っています。 (★★★★)