20250923勝手にハイキング「巡礼道を行く」(その2)……田中川を越え、中別保の八雲神社、松林寺、丹羽虎太郎顕彰碑、満願寺、西教寺、本昌寺、影重の八雲神社へ
9月23日に行ってきた、勝手にハイキング「巡礼道を行く」本編その2です。その1では、近鉄千里駅をスタートし、甕釜冠地蔵堂、信光寺、尾前神社、正法寺と歩いて、田中川を汐見橋で渡りました。汐見橋を渡ってすぐがスタートから2㎞。ここから1㎞ほどは立ち寄るところはありません。田中川に行き当たるまでは、細い、田舎道でしたが、汐見橋から先は、住宅地になっていて、道もよくなっています。
こちらが詳しいルートマップその2。スタートから3㎞のところで西にある八雲神社へ。八雲神社はたくさんあり、ここは中別保の八雲神社。その先で松林寺。豊津小学校の脇に豊川稲荷神社があります。4㎞を過ぎると、万願寺、西教寺と、影重の八雲神社。
巡礼道沿いに中別保の八雲神社の一の鳥居があります。ここの鳥居は、背が低くて、太い感じがします。神社はこの鳥居から200mあまり先のこんもりした森のところ。故老の言によると、「天正年間(1573~1592年)に、尾張方面から上野城主であった織田氏を慕って来た野島精次郎なる者が領主となって、牛頭天王を勧請したのが当社の創始である」といいます。織田信包が上野に城(伊勢上野城)を築いたのが元亀元(1570)年、その4年後に天正が始まることから考え合わせると、天正年間の創建は間違いないとされています。牛頭天王は、須佐之男命。勧請したもとは、津島神社と考えられます。
八雲神社から巡礼道に戻って少し行くと、大きな松が見えてきます。旧河芸町(現在は、津市に合併)の保存樹木第1号に指定されていた木です。
この松があるのが、松林寺。真宗大谷派。ここもネット検索では特に情報はヒットしません。
松林寺の先に大きな顕彰碑が建っていました。丹羽虎太郎顕彰碑です。丹羽虎太郎という人は、戦前の河芸の漁業組合長。当時、河芸漁港は、イワシや小女子(こうなご)の水揚げ量が全国トップだったこともあったといいます。イワシを獲るのに「巾着網漁」という、長い網で囲い込む漁法を用いていたのですが、無制限にすると魚をすべて獲ってしまいますから、各村の漁業組合長を集め、漁獲量の調整を行い、水産資源を残しつつ、漁を続ける方法を模索した方だそうです。ちなみに、誰の筆かを見て驚きました。「若槻禮次郎筆」とあったのです。若槻礼次郎といえば、大正15(1926)年、総理大臣になった政治家。あちこちを歩いて、昔の顕彰碑をたくさん見てきましたが、その多くが、高名な政治家や、著名な軍人に依頼して書いてあります。

津市立豊津小学校の東に豊川稲荷神社。ここの詳細は分かりませんが、鳥居脇に建っていた「豊川吒枳尼(だきに)真天分霊」と刻まれた石柱には、「昭和6(1931)年3月吉日」とありました。
スタートから4.2㎞ほどのところにお寺が2つ並んでいます。まずは、真宗高田派の光明山満願寺。ここもネットでは、これという情報は出て来ませんが、珍しかったのは、塀が煉瓦製ということ。煉瓦塀のお寺というのは、初めて見た気がします。
その南にあるのが、真宗大谷派の西教寺。ここも残念ながら特に情報は出て来ませんでした。このあと、大チョンボ(苦笑)。この2つのお寺の西にも八雲神社(一色の八雲神社)があるのですが、コースマップを作るとき、キョリ測のメニューに隠れていて見落としたのです(苦笑)。ただ、この一色の八雲神社は、6年前の近鉄ハイキングで訪ねていました(2019年2月11日:20190202近鉄ハイキング「名所・旧跡めぐり お江の里と海の幸」へ(その2)……伊勢上野城跡、光勝寺から八雲神社でお祓いを受ける)。そのときにはお祓いまで受けています。一色の八雲神社には、「ざるやぶり神事」が伝わっています。
この先、詳しいルートマップは、その3に入ります。4.5㎞あたり、里山学院のところに本昌寺。そこを西に入ったところに、影重の八雲神社があります。5.5㎞地点には、稲荷神社・山の神。
恭敬山本昌寺は、天台真盛宗のお寺。境内には、神社もあります。周囲を里山学院の施設が取り囲んでいます。
まずは、神社。両側に立つ石柱には「白毛大明神」「御追号影繁大明神」とあります。「大明神」とは、 神号の1つで、神名の下につけ、明神をさらに尊んでいう称です。「明神」は、神の尊称。神仏習合説による、仏教側からの神祇のいい方。向かって左にある石柱の右側には、「里山伊奈利大明神」とありますから、もとはお稲荷さんかと思えます。鳥居も朱塗りですし。向かって右の石柱の左側には「漁事万足海上安穏」とありますから、豊漁と、漁業の安全を祈る文言のように考えられます。
こちらが本昌寺の本堂と思われます。里山学院の法人情報を見ますと、里山学院の創設に天台真盛宗の寺院、僧侶が関わっているようです。その関係で本昌寺と里山学院が一体となったような配置になっているのでしょう。本昌寺については、詳しいことはネット検索では分かりません。
本昌寺から西に行ったところにも八雲神社。ここは、影重の八雲神社。ご祭神は、天穂日之命、天兒屋根命、建速須佐之男命。
この神社には、写真のような案内がありました。このあたりでは、「影重の名犬」という物語が伝わっています。「影重の名犬」とは、ここ河芸町影重(現在の三重県津市河芸町)で優れた猟犬を得たと伝えられる伝説で、その犬が後に義犬として語り継がれているのです。この一帯を治めていた長野氏の家臣で、鹿間という侍が、影重で犬を手に入れました。鹿間は、狩が好きで犬を連れてよく狩をしていたのですが、あるとき、夢のお告げで名犬を手に入れ、その犬を連れて山に入りました。この犬の働きで獲物を多く捕ったその帰り道、犬が激しく吠えたてて鹿間の行く手を阻みます。怒った鹿間が刀で犬の首を刎ねると、犬の首は宙を飛び、木の上から鹿間を狙っていた大蛇の喉に噛みついたといいます。名犬のおかげで命拾いをした鹿間は、その行いを悔いて、犬の首を埋めて地蔵堂を建てたとされており、それが、「影重の名犬」として伝わっているのです。神社では、この掲示にあるように、人、個人家族(犬)とともに参拝を促しています。
さらに歩き続け、スタートから約5.5㎞のところ、巡礼道の傍らに、小さな木製の常夜灯があります。ここの藪の奥に、稲荷神社と山の神が祀られています。といっても、祠は傾いてしまっており、世話が行き届いていない感じ。ここも詳しいことは分かりませんが、祠の左手にあった賽銭箱に個人名が書かれていましたので、個人で祀ったものなのかという気がします。このあたりは、津市白塚町。その2はここまで。
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