20250607諸戸氏庭園の花菖蒲
今日の散歩帰りに諸戸氏庭園に立ち寄って、ハナショウブを見てきました。10時過ぎに入園、ほぼお客さんがいない時間帯にゆっくりと見て回ってこられました。諸戸氏庭園は、昨日も書きましたが、6月15日まで春の特別公開中です。月曜休園で、大人一人¥500。
この地には、室町時代に「江の奥殿」と呼ばれた矢部氏の屋敷がありました。貞享3(1686)年に山田彦左衛門が購入し、拡張整備しました。杜若池を中心に築庭し、「推敲亭」、「御成書院」、「藤茶屋」などを建てています。明治時代になると、諸戸清六の所有となり、西隣に新しく御殿(左の写真)を建て、庭園を拡張しました。御殿の玄関は当時の外務省の玄関を模し、広間は西本願寺の広間を模しているといわれています。庭園の池は「潮入りの池」と称され、海水の干満に応じて景観が変化します(右の写真)。
江戸時代に杜若池であったところが、現在は花菖蒲園になっています。菖蒲池を中心に回遊できるようになっていますが、高低差がかなりありますので、年寄りは足元に十分に注意する必要があります。
今日は、事前に「花菖蒲の撮影方法」をネットで読み、少しだけ勉強してから出かけましたが、その成果は出ているでしょうか??
早朝や午前中の撮影がお勧め、日陰や薄曇りの日は、花の色がより鮮やかに表現できまる、花の高さに合わせて低い位置から撮影すると、背景が大きくボケて、主役の花を引き立たせることができる、花を中央に置くのではなく、少しずらした構図が、よりおしゃれな写真に仕上がるなどなど。
こちらに諸戸氏庭園の配置図があります。菖蒲池は、庭園の中心にあり、この庭園でもっとも歴史的なところです。花菖蒲の水鏡にもトライしたのですが、今ひとつでした(右の写真)。
菖蒲池には、ほかの花も咲いています。左の写真は、カワラナデシコ。花弁の先が裂けて細かくなっていて、風にあおられると揺れて優雅です。右の写真は、コウホネ。水生植物で、スイレンに似た葉に黄色い花が咲きます。 コウホネは漢字で書くと「河骨」で、水底の泥の中を這う根茎が白っぽく、ゴツゴツしていてまるで骨のようだから、というのが由来だそうです。
庭園のあちこちにクチナシが咲いていました。あたりには、あの独特の香りが漂っています。ちなみに、散歩コースでは、柿安コミュニティパークにもクチナシが植えられていますが、そちらはまだ咲いていません。
ついでながら、庭園にある主な建物などについても。冒頭の写真は、主屋と大門。左の写真も、主屋を別のアングルから撮ったもの。重要文化財で、明治22(1889)年に完成。初代諸戸清六が、自らの居宅兼事務所として建設しました。東西に伸びる通り庭を境界に、南側は業務空間、北側は生活空間となっています。
これらは、生活空間の建物。左の写真の洋間と、右の写真の和室がつながっています。
大門(表門)。これも重要文化財で、明治37(1904)年頃、御殿を作ったときに作られています。薬医門形式となっています。
こちらは、玉突場(重要文化財)。大正末頃のもの。当初の色に復元されています。完成当時は、2台のビリヤード台が設置されていて、その振動を抑えるための基礎が床下まで伸びていたそうです。また、他の棟から独立して建つビリヤード専用建物は、現在確認できる限り岩崎邸撞球室(1894)と、ここ諸戸家の玉突場しか残存しないといいます。
御殿玄関、車廻し(重要文化財)は、明治28(1895)年の完成。御殿への玄関となる建物でで、正面に構える車寄せをはじめ、数棟で構成されています。当時の要人等の来客を非常に意識したしつらえとなっており、さまざまな政・財界人を招いています。記録に残るだけでも、大隈重信 、益田孝 、山縣有朋 、高橋箒庵 、野崎広太などが訪れたそうです。
裏から撮ってしまいましたが、推敲亭です(県指定文化財)。庭園内に設けられた三畳の草庵で、山田彦左衛門邸時代からの遺構である。『久波奈名所図会 (享和2(1802)年)』の「山田氏林泉図」には、杜若之池に面して開口の大きな推敵亭が描かれています。したがって、江戸時代の建物。
藤茶屋です。『久波奈名所図会』にも、「藤茶屋」とあり、山田彦左衛門のときから存続していた建物でしたが、戦災により焼失し、現在の建物は、その基礎の上に記憶を頼りに元の建物に似せて昭和43(1968)年に再建されたもの。江戸時代には、桑名藩主の御成もあったようです。
神祠(市文化財)。山田彦左衛門が、屋敷を創建した江戸時代からの神祠として伝わっており、『久波奈名所図会』にも「稲荷」と描かれています。この下の穴には、白いキツネが住んでいたといいます。明治の初め頃、初代諸戸清六が、山に迷ったときに白狐に道案内をされて人里にたどり着いたのですが、これは、伏見稲荷に仕える狐の御使だと知り、旧宅内に小さい稲荷の祠を建てました。その後、現屋敷地に移住する際に合祀し、明治31(1898)年頃に建て替えています。
御殿広間と池庭。広間(重要文化財)は、明治24(1891)年に上棟。田沼の上に盛土を施すとともに、柱筋に石垣を地下2m程下から積上げて、地盤改良を施して建てています。そのため、庭園と比べて、かなり床が高くなっています。2枚目の写真と同じ建物です。東西面(写真に写っている部分)は、ほぼ全面開口で、柱は極力少なくしてあります。景色を一体的によく見せる開放的な空間を意図したとみられます。池庭(3枚目の写真)は、出羽の本間邸や、近江八景を模したと伝えられています。
花菖蒲というタイトルにしたのに、建物などの話の方が長くなりましたが、ご容赦ください。次は、紅葉の季節に訪ねることにしましょう。
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