20230121美濃街道ウォーキング「多度から石津」(その2)……柚井遺跡、難儀した「ブッシュ・ウォーキング」を経て八幡神社、御鍬神社から願超寺へ
1月21日に出かけた美濃街道ウォーキング「多度から石津」の本編その2です。その1では、多度駅をスタートし、空念寺と宇賀神社を回ってきました。その2では、NTN多度製作所の先にある柚井遺跡を眺めた後、「ブッシュ・ウォーキング」を経て、県境を越え、岐阜県海津市へ。海津市南濃町松山あたりで八幡神社、御鍬神社さらに願超寺と回ります。
スタートから2.2㎞ほど、NTN多度製作所の南で美濃街道は左折します。その先に、柚井(ゆい)遺跡。昭和3(1928)年、耕地整理の際、木簡が出土しています。日本で最初に見つかった木簡です(くわな史跡めぐり)。ほかに、「萬」「福」などの吉祥句を書いた墨書土器も多く、近隣の多度神社及び多度山と関係する祭祀品一括と考えられています。木簡の材質は杉材と思われ、上端と下端に切り込みをもつ典型的な付札木簡で、「櫻樹郷守部春□□□籾一斛」の墨書があるそうです。この向こうの堤防に伊勢国と美濃国の国境を示す石柱があるそうです。「くわな史跡めぐり」によれば、伊勢国側の堤防の中央部に15㎝ほど突き出た石柱があるといいます。江戸時代に堤防の高さをめぐる争いがあり、伊勢国側の堤防の高さを制限する定杭とされます。場所が、わかりにくそうでしたのでパスしてしまいました。
柚井遺跡の先にある三叉路で、美濃街道は向かって左の道をたどります。当初、勘違いをして向かって右が美濃街道と思い込んだのですが、前日にGoogleマップを見ていて、勘違いに気づいた次第。左の道に入ってすぐのあたりには、紅梅がたくさん咲いていたりして、いいところだななどと話していました。
家畜の飼育でも行っていたと思われるところの片隅に、小さな地蔵堂。背後には、飼料を保管していたと思われる大きな容器が残っています。
ここまではよかったのですが、この先でとんでもない事態が待ち受けていました(爆)。勝手に同級生K氏を登場させましたが、「ブッシュ・ウォーキング」でした。200mあまりでしたが、最近はほとんど人が通っていないような印象。右はここを通り抜けたあと、振り返ってみた写真。トゲのあるつる性の植物も多くて、まさに難儀しました。
そういえば、Googleのストリート・ビューを見たとき、こんな画像が載っていました。左の画像は、2021年12月とあり、しばらく前だから大丈夫かと思ってしまったのです(これ、「正常性バイアス」の一種だったかも知れません)。右の画像は、その先のあたり。ただし、こちらは2013年1月の画像でした。2021年にはこの先、ストリート・ビューの撮影ができなかったということなのでしょう。丁寧に確認しておけばよかった。
ブッシュを乗り越え、スタートから3㎞を過ぎると、三重・岐阜県境を越えます。この先、標高数mくらいから40mほどを登る、かなりキツい坂みちになります。その途中に八幡神社。ご祭神は、応神天皇。創立は不詳であるものの、300年以上前と考えられています。1時間半ほど歩いてきましたので、ここで20分ほど小休止。境内には、五穀神社と、山神神社があります。ちなみにこの八幡神社あたりで、標高は36m(キョリ測による)。
八幡神社のすぐ裏手で美濃街道は右折し、もう少し登っていきます。この写真のあたりが、この日の最高地点。標高45mほどのところ。東側(向かって右)は、なだらかな斜面になっていて、眺望がよく利きました。西側(向かって左)は、養老の山並み。多度山の北側になります。
東を眺めた写真。かなりズームアップしてとっていますが、左の写真の中央には、木曽御嶽山が見えます。右は、名古屋方面。名駅前の高層ビル群などがよく見えています。
同じあたりから広角21mmで撮ると、こんな景色が見えます。揖斐川、長良川から濃尾平野が一望できるのです。
さらに進み、スタートから4㎞を過ぎたところに御鍬神社。鳥居は、神社から東に下ったところにあります。元は、松山村下組の氏神だったのですが、ここのすぐ北にある諏訪神社が創立されたときに創立されたといいます。
社頭には、この写真のような由来が書かれた案内板がありました(下記の引用の通り)。神亀元(724)年、聖武天皇が養老に行幸されたとき、天皇の御後にが安産なさったことに由来するといいます。この神亀元年に聖武天皇は、元正天皇から譲られて即位し、天平感宝元(749)年、娘の阿倍内親王(のちの孝謙天皇)に譲位するまで26年間在位。聖武天皇は、天平12(740)年10月に伊勢へ行幸。11月に美濃国多度山の美泉をご覧になり、不破郡の宮処寺・曳常泉・美濃国府・不破関を巡幸されたといいますが、神亀元年に美濃国に行幸されたかどうか、私が調べた限りでは不明。ちなみに、元正天皇は、霊亀3(717)年9月、近江国を経て美濃国当耆郡(多芸郡)にいたり、多度山の美泉を見、駕に随う国司らに物を与え、不破・当耆・方県・務義諸郡の百姓に減税などの恩恵を施した。同年11月には詔勅を出し、この多度山の美泉について、病が癒えるなどの効験が大きく、これは大瑞であると述べ、養老への改元を布告しています。
さらに、下記の引用中、「御後」ということばがあります。これもよく分かりません。「後(あと)」を調べると、コトバンクに「後妻。のちぞい」という意味が載っています(精選版 日本国語大辞典)。聖武天皇は藤原不比等の娘光明子を妃としたこと、また、県犬養広刀自を夫人としたことが「朝日歴史人名辞典」に載っていますが、よく分かりません。聖武天皇が神亀元年に養老に巡行されたかなどについて詳しい方がいらっしゃれば、ぜひともご教示くださるようお願いいたします。
奈良朝時代(紀元724年)神亀元年第45代聖武天皇が、養老の霊泉へ行幸の途路、天皇の御後がこの地に於いて安産なされた。
(旧暦8月12日)このとき湯をいやために御後が鍬にて泉を掘られ召し上がられたるところ、神秘的に母乳が豊となり慈後の、お肥立ちも健やかなるを拝し付近住人、その鍬を拝領し御霊として、御鍬神社を興し信仰を高めた、その御神徳は、古くより五穀豊穣家内安全の、乳神様として、その霊験灼かなることが知られ遠近をとわず母乳不足の婦人が参詣されるようになり、以来氏子と崇敬し居る社なり、ほかに同境内に八幡神社、及び山の神社も併せてお祭りされ、春夏秋冬を通して、郷土一帯の山川を治め賜ふ御社として鎮座されてゐる。
御鍬神社から東へ下ったところに松壽山願超寺。真宗大谷派のお寺。ここもいろいろとネットで調べたものの、詳しいことは分かりませんでした。
このお寺にも見事なロウバイが咲いていました。この日歩いたコースのあちこちでロウバイが咲いていました。この寒い時期、花が少ないので、ロウバイの花は目を楽しませてくれます。
願超寺付近で見た民家の石積み。さほど大きくない石を丁寧に積んであります。コンクリートやモルタルなどはほとんど使ってありませんので、かなり昔のものと思われます。ここまで、傾斜地に建つお宅や、ミカン畑など、こうした石積みがあちこちで見られました。願超寺から東に進み、山除川沿いを歩いて行きますが、それは、その3にてということで、その2はここまで。
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