20220924笠寺ウォーキング(その2)……長楽寺、東海道、笠寺観音へ
9月24日の「笠寺ウォーキング」の本編その2です。その1では、ルートマップその1の途中、呼続公園にある「頼朝公旗掛松」まででした。長楽寺を経て、東海道を少し歩きます。その後、ルートマップその2に入り、笠寺観音、法性寺から笠寺公園に向かいます。公園には、見晴台考古資料館、そこに付属する住居跡観察舎、笠寺高射砲陣地跡、きんさん桜・ぎんさん桜と見ていきます。
呼続公園の東に稲荷山長楽寺(ちょうらくじ)。曹洞宗のお寺。寺伝では、弘仁12(821)年に弘法大師が巡礼に訪れた際に見た夢のお告げで、呼続の浜に七堂伽藍を創建、真言宗戸部道場寛蔵寺と命名して「鎮守清水叱枳眞天(だきにしんてん)」を安置したのが始まりといいます。「荼枳尼天」は、日本では稲荷信仰と混同されて習合し、稲荷権現、飯綱権現と同一視されています。その後、寺は一山十二坊を有する大寺になりましたが、文明の頃(1470年頃)に衰微してしまいます。 それを稲荷山2世の義山禅師が再興し、宗派も曹洞宗に改宗し、第1世の明谷禅師を中興の開祖として、寺名を現在の長楽寺と改めましました。ここも、2019年2月3日に訪れています。そのときの記事もご覧ください(2019年2月15日:20190203JRさわやかウォーキング「節分の尾張四観音・笠寺観音と旧東海道めぐり」へ(その1))。左の写真は、前回、見忘れたと思った本堂が、たぶんこれ。右の写真は、その「鎮守清水叱枳眞天」が祀られている稲荷社。「清水稲荷大明神」とあります。
長楽寺は、最近はペット供養で有名になっています。左の写真は、「信者修行堂」という建物ですが、ここがペットの葬儀、法要に使われているようでした。われわれが訪ねたときも、右の写真のように、あるご家族の愛犬の「八周忌」法要が執り行われていました。他にも、四十九日法要、百か日法要、二周忌法要など特別法要の案内が9つ掲げられていました。ペットが、家族同様に大切にされていることがよく分かります。
長楽寺には、戦国時代の織田領と今川領の境界線が残っています。前回来たときには、たぶんここだろうという谷の写真を載せましたが、今回は、きちんと表示があるところを確認してきました。本堂から清水稲荷大明神に行く途中にあります。この谷を基準に長楽寺側が旧織田領、その反対側が旧今川領です。
長楽寺についての余談。左の写真は、前回来たときにも会ったたワンちゃん。長楽寺の番犬かと思います。吠えられました(苦笑)。右は、清水稲荷大明神近くで放し飼いになっている鶏。名古屋コーチンではないかと思います。
長楽寺を出て東に向かうと、東海道に出ます。左の写真は、東海道の北の方角。これを行くと、先だって訪ねた熱田にある宮の渡し方面に行けます。東海道に出たところに、右の写真のような「東海道」の石碑。新しいのですが、これは「宿駅制度制定四百年記念碑」(平成13(2001)年)です。
さらにこの石碑のすぐそばに「名古屋十名所」と刻まれた石柱があります。名古屋十名所は、大正14(1925)年8月に新愛知新聞社(現・中日新聞社)が主催して募集し、上位10位に選ばれた名古屋市の名所です。①天理教々務支庁、②正木町闇の森、③笠寺観世音、④圓頓寺、⑤久屋町金刀比羅神社、⑥熱田神宮、⑦呼続町桜田勝景、⑧押切町榎権現、⑨名古屋城、⑩山田町元大将之社です。ちなみに、長楽寺にある清水稲荷大明神は、次点の11位(呼続町清水稲荷)。そのため、この石碑がここにあるのではないかと思われます。
ここからルートマップはその2の範囲になります。笠寺観音の西門まで東海道を歩いて行きます。途中、名鉄の踏切を渡りますが、その手前に秋葉社と笠寺町西之門公会堂が並んでいます。町名「西之門」は、笠寺観音西門に続く門前町から来ていると思われます。秋葉社の創建などは不明。
スタートから2㎞あまりで笠寺西門の交差点へ。10時半頃です。ここを渡るとすぐに笠寺観音の西門に至ります。
こちらが笠寺観音の西門です。3年前の節分の日にJRさわやかウォーキングで訪ねたときは、恵方でもなかったのに、この西門から大賑わいで、前に進めませんでした(2019年2月17日:20190203JRさわやかウォーキング「節分の尾張四観音・笠寺観音と旧東海道めぐり」へ(その2)……笠寺観音、名古屋市見晴台考古資料館、笠寺公園、きんさん桜・ぎんさん桜)。右は、そのときの写真。
笠寺観音です。前回来たときには、「いざ境内に入ると、前に進めない、身動きできない……。台風や事故で電車が止まったときの名古屋駅の構内のような感じ」などと書いていました。この日は、右の写真のように、「かんのんひろば」(毎月第4土曜日に開催)というイベントが開かれていました、空いていました。
正式な名称は、天林山笠覆寺(りゅうふくじ)。真言宗智山派。名古屋城を中心に恵方が巡る尾張四観音の一つ(他の三観音は、荒子観音、甚目寺観音、龍泉寺観音)。ご本尊は、十一面観音。聖武天皇の天平8(736)年、呼続の浜に流れついた流木に禅光上人が十一面観音像を刻んで安置し、小松寺と称したのが始めといわれます。その後1世紀以上を経て、堂宇は朽ち、観音像は雨露にさらされるがままになっていたのを旅の途中で通りかかった藤原兼平(875~935年)が、雨の日にこの観音像を笠で覆った娘を見初め、都へ連れ帰り玉照姫(たまてるひめ)と名付け、妻としました。この縁で兼平と姫により現在の場所に観音像を祀る寺が建立され、笠で覆う寺、即ち笠覆寺と名付けられたといいます。笠寺の通称・地名等もこの寺院名に由来するそうです。
笠寺観音にはいろいろのお堂、石碑などがあります(笠寺観音のWebサイトから、「山案内」→「山内紹介」を見ると、一覧があります)が、まずは仁王門(山門)。対になった仁王様が寺の入り口を守っています。左の写真は、仁王門に向かって左におられる仁王様。
こちらは、多宝塔。二重の塔で、阿弥陀如来を奉っていますが、如来像は外部に寄託されているそうです。その前に、「徳川家康公御幼少之砌 人質交換之地」という石柱があります。平成22(2010)年に建てられた新しいもの。天文16(1547)年、織田と今川の間にあった三河の松平氏が、今川方に援護を頼むため6歳の竹千代(後の徳川家康)を人質として差し出すのですが、護送中に竹千代は織田方の手に落ちます。その年、安祥城を陥落し織田信廣(信長の異母兄)を捕らえた今川方は、織田方に信廣と竹千代との人質交換を持ちかけ、ここ笠寺観音において両者の交換が成立したのだそうです(碑文による)。
鐘楼です。阿願上人の願によって鎌倉時代に作られた梵鐘で、尾張三名鐘のひとつです。建長3(1251)年の刻銘があるそうです。
多宝塔の裏手に芭蕉の「春雨塚」があります。「春雨塚」の石碑に向かって左にあるのがそれです。芭蕉の句「笠寺やもらぬ岩屋も春の雨」が刻まれていることから「春雨塚」と呼ばれています。これは、芭蕉が鳴海の下里知足に依頼されて書いた奉納句で、芭蕉80回忌にあたる安永2(1773)年に知足の孫の下郷蝶羅が、知足の60回忌、亀世33回忌を追善し、建立したものと考えられています。表面には、次のように刻まれています:
此御寺の縁起の人のかたるを聞侍りて 芭蕉翁
笠寺やもらぬ岩屋も春乃雨 桃青(芭蕉の別号)
たびねを起す花の鐘撞 知足
かさ寺や夕日こぼるる晴しぐれ 素堂
大悲のこの葉鰭となる池 蝶羽
芭蕉の句碑はもう1つあるのですが、事前の調べが不十分で見忘れました。左の写真にある薬師堂のそばに「星崎の闇を見よとや啼く千鳥 芭蕉翁」と刻まれた句碑があるはず。この薬師堂のところには、「宮本武蔵之碑」もあります。「新免武蔵守玄信之碑」と刻まれています。剣豪・宮本武蔵は、播磨国に生まれ、各地を回りながら修行を重ねたといわれますが、尾張城下、現在の南区に滞在したこともあるようで、南区笠寺にある東光院を宿坊にしていたと伝えられています。また、この碑は武蔵の弟子によって建立された顕彰碑とされます(こちら)。
笠寺観音の境内には、ほかにも六地蔵堂、行者堂などさまざまなお堂、笠寺稲荷、白山社などのお社がありますが、それらは割愛。仁王門の南に池があります。放生池とも亀池とも呼ばれているようです。かつては湧き水もあったそうですが、それも枯れ、池はかなり荒れ果てたそうで、再生プロジェクトが行われています(こちら)。外来種も増えたそうですが、それでもクサガメ、イシガメ、スッポンもいるといいます。産卵に適したエリアもあり、当日もボランティの方が活動しておられました。
その2はここまで。またもやルートマップの途中ですが、ご愛敬。その3では、法性寺から笠寺公園に向かいます。
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