20220717堀川・宮の渡し跡・熱田神宮ウォーキング(その2)……尾頭橋他から断夫山古墳、白鳥古墳へ
7月17日に行ってきた「堀川・宮の渡し跡・熱田神宮ウォーキング」の本編その2です。その1では、名鉄名古屋本線・山王駅をスタートし、松重閘門から掘川沿いを歩いて下り、JR東海道線・中央線・名鉄名古屋本線の堀川橋梁まで来ました。堀川橋梁は、JR・名鉄の金山駅のすぐ北西にあります。ちょっと思い出話を書きますと、今を去ること40年以上前の学生時代、名鉄の駅は、金山橋駅でした。左の実際に歩いたルートマップその2で、金山町2丁目と波寄町の間辺りの線路の北側辺りに金山橋駅がありました。2面4線の地上駅で、ホームや駅舎も狭く、人があふれていた記憶があります。現在の金山総合駅が開業したのは、平成元(1989)年7月9日。それはともかく、JR・名鉄の堀川橋梁を過ぎてからも堀川沿いを南に下ります。尾頭橋、住吉橋と来て、妙安寺に立ち寄り、瓶屋橋、旗屋橋と進みます。
尾頭(おとう)橋。「尾頭」という地名は、ここが熱田台地の尾根筋と尾張平野の南部を結ぶ接点で、長い坂道が鵜の首のようであったため、「烏頭(うとう)の里」と呼ばれていたものが、中世初期に「尾頭」に変化したという説があるそうです(諸説あります。こちら)。尾頭橋は、佐屋街道の橋としてかけられました。佐屋街道は寛永11(1634)年、3代将軍徳川家光公が通られた際に本格的に整備された街道で、東海道・七里の渡しを避ける脇往還(いわばバイパス)です。大正期の尾頭橋には、八幡園と呼ばれる花街もあったそうですが、昭和20年代後半から衰退してしまいました。
八熊(やぐま)通が通っている住吉橋。八熊通は昔の勤務先近くに通じている通りです。住吉橋は、珍しい意匠だなと思ったら、昭和12(1937)年のもの。名古屋では珍しいラーメン橋台橋だそうです(ラーメンはドイツ語で、英語ではRigid frame bridgeだそうです)。三連アーチに見える外観はとても美しいと思います。このデザインは、関東大震災後の復興橋梁の標準形式としてよく採用されたといいます。親柱もなかなかよい感じです。
住吉橋を過ぎたところで、再び寄り道。妙安寺。臨済宗妙心寺派。もとは、現在の中川区富田町にあったのですが、寛文9(1669)年、織田九左右衛門正直が、政秀寺六世江天和尚を開山として、現在の地に移転してきています。熱田四観音の1つといわれる観音堂があり、また、当寺の後園から西南の眺望は、名古屋三景の1つに数えられたそうです。ただし、現在は、建物がたくさん立ってしまい、眺望は利きませんでした。ちなみに、「名古屋三景」は、「尾張名所図会」で「名古屋三景」として推奨されたといいます。その1つは、「不二見原(中区上前津周辺)」。富士山が見えたといい、葛飾北斎が、「富嶽三十六景」の「尾州不二見原」として描いています。2つめは、「大曽根の関貞寺(東区森下の北)」。美濃、近江、三河などの八カ国の山々が見えたといいます。3つめが、ここ「沢の観音の妙安寺(熱田区尾頭橋交差点南)」。境内から南西への眺望は絶景で、文人墨客が往来したそうです。境内には、芭蕉の時雨の句碑ほか、いくつかの句碑があるのですが、この日は境内には入れませんでした。
瓶屋橋です。こちらは、かなり新しい感じですが、ネット検索では情報はとくに出て来ません。堀川が開削されたころからあった「堀川七橋(ほりかわななはし)」は、上流から五条橋、中橋、伝馬橋、納屋橋、日置橋、古渡橋、尾頭橋でした。それより下流には橋はなく、今の白鳥橋や大瀬子橋あたりにあった渡し船を利用したといいます。
この日は、旗屋橋の写真を撮り忘れましたので、2019年1月11日のものを載せています。畑谷橋を渡って、堀川右岸に行くと、名古屋国際会議場があります。前の勤務先の時代、ここのセンチュリー・ホールで入学式や、卒業式が行われていましたので、ちょっと懐かしいところ。旗屋橋は、珍しい名前ですが、5世紀後半に呉から2人の織女がやってきて、そのうちの1人が熱田神宮に留まったことが起源とされていて、機屋あるいは幡屋から変化したと考えられています。
国際会議場には向かわず、直進して、熱田神宮公園へ。ここから、実際に歩いたルートマップはその3になります。熱田神宮公園で断夫山古墳を見て、近くにある白鳥古墳へ。
熱田神宮公園には、「熱田愛知時計120スタジアム」という野球場があります。私の年代では、熱田球場としてなじんでいます。この日は、ちょうど夏の甲子園の愛知県予選が行われていました。元高校球児のK氏は、興奮が抑えられない様子(微笑)。
それはともかく、断夫山(だんぷさん)古墳。東海地方最大の前方後円墳で、全長151m、前方部の幅116m、後円部の直径80m、後円部の高さ13mもあるという大きな古墳。とても全体像は見えません。そのため、球場側にミニチュアがつくられています。「古事記」「日本書紀」では、日本武尊が東征したとき、ここ尾張で豪族の娘・宮簀媛(ミヤズヒメ)と結婚の約束をかわしたのですが、東征の帰途、病気がもとで死に、白鳥となり飛去ったとあります。この白鳥となった日本武尊の墓が、後ほど訪ねる白鳥古墳であり、日本武尊への思いをいだいて死んだ宮簀媛の墓がこの断夫山古墳であると伝えられています。このことから夫を断つ山、断夫山古墳と名前がついたそうです。歴史的には、断夫山古墳は、6世紀の初め、尾張南部に勢力を持っていた尾張氏の首長の墓と考えられています。
こちらが白鳥古墳。断夫山古墳から南に200mあまりのところにあります。こちらは、現在の亀山市能褒野で亡くなった日本武尊が、死後、白い鳥となって飛び立ち、戻って来たところという話もあります。ちなみに、最初の勤務先の近くに加佐登(かさど)神社があり、その西に白鳥塚という古墳がありました。白鳥塚古墳は、日本武尊の墓であり、ここから白鳥になって飛び立ったという話が伝わっています。また、加佐登神社のご祭神は、日本武尊。さらに屁理屈。加佐登は、「笠殿」が転じたもので、日本武尊の笠を収めたところともいわれます。
白鳥橋を渡って、堀川の右岸に行きます。ここからは、川沿いの遊歩道をさらに下っていきますが、キリがよいので、その2はここまで。その3は、被爆堤防・空襲跡から宮の渡し跡へ。そして、円通寺、熱田神宮へお参りしてゴール。
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