20220423東海道ウォーク「井田川~亀山」(その3)……亀山城址にて多門櫓、明治天皇行在所旧蹟、亀山演武場などを見て、亀山駅にゴール(完)
4月23日の東海道ウォーク「井田川~亀山」の本編その3です。その2では、能褒野神社二の鳥居・露心庵跡から姫垣外苑まで来ました。ここからは、いよいよ亀山城址に進みます。
姫垣外苑通のすぐ西に亀山西小学校があります。門や塀が、いかにも城内にあるという造りでした。
亀山城跡。スタートからほぼ6㎞。11時50分に到着。丹波国にあった明智光秀の亀山城(亀岡城とも)と区別するために、伊勢亀山城といわれることもあります。文永2(1265)年に関実忠によって若山(現在の三重県亀山市若山町)に築城され(冒頭2枚目のマップで、亀山古城趾としたところ)、その後、現在の位置に移されました。江戸時代は東海道の要衝としてたびたび城主が変わり、石川氏の時代に幕末を迎えています。江戸時代初頭には丹波亀山城の天守を解体するよう命じられた堀尾忠晴の間違いによって、天守を取り壊されたという話が伝わっていますが、真偽のほどは定かではないようです。正保年間(1644~1648年)、本多俊次が城主の時に天守跡に現在の多門櫓が建てられました。
その多門櫓、確か休日は内部が公開されているはずで、もう一度是非みたいと思っていました(2019年6月9日:20190609JRさわやかウォーキング「~TOICAエリア拡大記念~ ~紀勢線全通60周年記念~ 亀山藩城下町と花しょうぶまつりを訪ねて」へ(予告編)……雨にも負けず(苦笑))。平屋建、白壁の塗込で屋根は入母屋造り、東西北の三方に破風があり、平時は武器庫として利用されていました。県内に唯一現存する城郭建造物として、昭和28(1953)年に県史跡に指定されています。高石垣の上にそびえる多門櫓は、見事です。
その姿は、城跡から出て、池の側の方まで降りていくと眺めることができます。桜の季節であれば、きっと趣があることでしょう。
多門櫓のところから、石垣を見下ろすと、かなり高いことがよく実感できます。
多門櫓から降りた、すぐ西には、与助井戸があります。これは、亀山城本丸で使われていたイドといいます。城を築く前にあった与助という鍛冶屋の家の井戸であったと伝えられ、そのため、与助井戸と呼ばれていました。現在は、埋められています。木の枠は、井戸のあった場所を示しています。場外への抜け穴があったという話もありますが、確認はされていないそうです。
多門櫓の西下には、「史跡明治天皇亀山行在所遺構」があります。明治天皇は、明治13(1880)年、三重県下巡幸の時、7月10日東町藤屋(伊藤市次郎宅)を行在所とされ、10、11日の両日、名古屋・大阪両鎮台対抗演習を統覧されました。これは、この折、玉座とされた奥8畳間など行在所の一部が移築保存されたものです。建物はまず井尻町に移された後、昭和10(1935)年、亀山小学校(現・亀山西小学校)地内に移築され、同14(1939)年三重県史跡に指定されました。同26(1951)年、市文化財となり、32(1957)年、ここ亀山城多門櫓石垣北側に再度移築されたのです。
その西には、亀山演武場が復元されており、亀山藩御流儀心形刀流武芸形(おんりゅうしんぎょうとうりゅうぶげいがた)(県文化財)が伝承されています。演武場は、約50坪の道場。心形刀流は、亀山藩武芸指南役山崎雪柳軒(やまざきせつりゅうけん;文政11(1828)~明治15(1882)年)が免許皆伝を得て、元治元(1864)年、亀山に演武場を開設し、柳生新陰流に代わって御流儀となりました。ちなみに、心形刀流は、心の修養を第一義とし、技の錬磨を第二義としているといいます。すなわち、技は形であり、心によって使うものであるとします。心が正しければ技も正しく、心の修養が足らないと技は乱れると考えられています。この技が刀の上に具現されるため、流名に示すように心形刀流となるそうです。こちらに心形刀流のパンフレットがあります。
この亀山演武場の門として、「大久保神官家の棟門」が用いられています。大久保家は、江戸時代に南崎権現社の神官を務めていました。大久保家は、寛永9(1632)年に西町権現、東町八幡宮、西町三社権現を、また、13ヶ村42社の神官をかねていたともいいます。この門は、しばらく亀山小学校の裏門として使われた後、昭和30(1955)年に亀山神社境内に再び移築され、現在に至っています。
亀山神社です。延享元(1744)年、備中松山から石川総慶が亀山城に入城した際、城内に小祠を設けたことに始まり、それ以来、亀山城内の旧館跡に鎮座して真澂(ますみ)神社として崇敬されて来たといいます。明治4(1871)年に城北の若山の地に遷座した後、同9(1876)年に再び本丸跡に遷座しています。明治40(1907)年から41(1908)年にかけて西町鎮座の郷社亀山皇太神社、阿野田村鎮座の式内社真木尾神社などを合祀し、社殿を現在の地である西丸に新築して奉遷し、社号を亀山神社と改めました。主祭神は、源義家、源義時、石川義純、石川家成。亀山神社について、詳しくは、2019年6月17日の記事をご覧ください(20190609JRさわやかウォーキング「~TOICAエリア拡大記念~ ~紀勢線全通60周年記念~ 亀山藩城下町と花しょうぶまつりを訪ねて」へ(その3)……雨の中、亀山古城跡、花しょうぶまつり、亀山城多門櫓から亀山神社へ)。
このあと、花菖蒲園の方をちょっと覗いて、亀山城をあとにしましたが、その前に、ますみ児童公園に保存されているC58蒸気機関車を見てきました。359号機です。子どもたちが小さい頃、家内の実家に行く途中に立ち寄って見たことがあります。きれいに手入れされています。75年前につくられたもので、昭和45(1970)年まで現役でした。
亀山城址をあとにして、池の側の畔を歩いて行くと、「石井兄弟敵討遺跡石碑」があります。元禄14(1701)年5月9日早朝に、石井源蔵(33歳)・半蔵(30足)兄弟が、28年目にして父の敵・赤堀水之助を、ここ亀山城石坂門外で討ち取ったことを記念して、昭和7(1932)年に亀山保勝会によって建立されたものです。本懐を遂げた石井兄弟は、旧主の青山忠重に帰参を許されています。当時「元禄曽我兄弟」と称され、歌舞伎、講談、絵本、浮世絵などに取り上げられ、赤穂浪士の討ち入りと並び賞賛されました。
池の側の向かい側に田中病院があり、その前に「池の側松並木」。亀山石坂門から池の側(外堀)に沿って植えられた松並木で、市天然記念物に指定されています。今は、写真に見える大きな松が1本だけで、その向こうに若木が植えられていました。
池の側松並木の南で、東海道に行き当たります。次回は、ここから関宿を目指す予定。小公園になっていて、そこが、西町問屋場跡。右の写真あたりに宿役人若林家の屋敷、問屋場が並んでいたと考えられています。右の写真は、関宿方面を撮ったもの。
これで今日の目的地はコンプリート。JR関西線亀山駅に向かい、12時40分に到着。取り敢えずは、7.4㎞を歩いてきました。亀山駅前では、現在、再開発が進んでいます。リニアが通ることを見越してです。マンションも建設されています。
名古屋行きの電車の時刻を確認して、昼食を摂ろうと思って、駅前を見渡したものの、コンビニもありません(苦笑)。駅前から県道565号線方面に行ったものの、食事ができそうなところは近くには見当たらず。駅前に引き返してきて、よく見たら、和菓子屋である瑞宝軒にカフェとありました。「食事はできますか?」と聞いたら、「大丈夫ですよ」との返答。ランチがあったので、それをチョイス。コーヒー付きで¥1,100。サワラのフライとハンバーグ。ご飯は七分づきのもの。なかなか美味しくいただけました。あとで調べたら、この瑞宝軒さんは、江戸時代後期、東海道沿いに角屋として開業した、歴史のある和菓子屋さんでした。
亀山駅に戻って、確か売店があったので、関の銘菓・関の戸を土産にしようと思ったら、売店は閉まっていました。残念。亀山を13時24分に出る名古屋行き快速に乗車。桑名駅には、14時6分着。¥680。けっこうよく歩いた感じでしたが、歩数は、18,459歩でした。自宅から桑名駅往復が、2.4㎞ほどですから、この日のトータルの歩行距離は、10.2㎞。次回は、亀山から関宿まで歩く予定。その先は、東海道と関西線が離れてしまうので、電車で行って歩くのが困難。県境まで東海道を歩くのは、難しそう。
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