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2022年2月22日 (火)

日本版WISC-Ⅴが刊行されました

 明日、特別支援教育支援員養成講座で「心理検査でわかること 検査結果の支援への活かし方」という話をしますが、それに関連して。日本版WISC-Ⅴが、この2月10日、日本文化科学社から刊行されました。

 知能検査は、定期的に改訂される必要性があります。検査問題の難易度は経年的に変化しますし、検査問題の社会・文化的妥当性も変化します。採点基準も修正が必要になりますし、時代とともに正しい知識も、問うべき知識も変化し得ます。さらに「フリン効果」として知られていますように、時間の経過とともに検査得点が上昇する現象も指摘されています(ただし、近年は“上昇しない”という報告も多くなっています)。

 また、知能検査の役割も変化してきています。20世紀の間は、知的障害や学習障害の判定道具という位置づけでしたが、21世紀に入ってからは、問題の原因と対策を明らかにする道具へと変化して来ています。問題の原因と対策を明らかにするためには、理論とエビデンスに基づく必要があります。2000 年以降、アメリカで刊行された知能検査はすべてCHC理論に準拠して作成され、解釈されるようになりました。しかしながら、WISC-IV では、「流動性推理能力(Gf)」と「視覚処理(Gv)」が分離されておらず、CHC 理論への準拠が不完全でした。

 WISC-Ⅴでは、この点が改善されています。WISC-Ⅳでの「指標」は WISC-Ⅴでは「主要指標」(Primary Index)に変更され、WISC-IV の「知覚推理」指標は「視空間」指標(Visual Spatial Index)と「流動性推理」指標(Fluid Reasoning Index)に分離されています。主要指標は1つ増えて5つになりました:言語理解、視空間、流動性推理、ワーキングメモリー、処理速度。主要指標算出に必要な下位検査は1つの主要指標について各2つ、検査全体で10となっています。ただし、全検査IQ(FSIQ)算出に必要な下位検査は、3つ減って7つとなっています。

 この他の大きな変化は、補助指標と、関連指標が導入されたことです。5つの補助指標(Ancillary Index)と、3つの関連指標(Complementary Index)が導入されています。補助指標と関連指標は、理論を重視した指標です。補助指標は、量的推理指標、聴覚ワーキングメモリー指標、非言語性能力指標、一般知的能力指標、認知熟達度指標からなっています。関連指標は、呼称速度指標、シンボル変換指標、貯蔵と検索指標があります。これらによって学習障害や、それにも含まれますが、発達性読み書き障害に対応しやすい検査になっています。そのため、下位検査の入れ替えが行われています。下位検査は、全部で16となっています。主要下位検査(10)と二次下位検査(6)の2つのカテゴリーに別れ、対象者の問題に応じて、必要な指標を選択して検査を実施することになります。

 ということは、子どもたちの抱える問題について、理論的、臨床的にきちんと捉え、どういう検査が必要かを考える能力が、これまで以上に要求されるということになります。また、知能検査は、理論的、統計的根拠がかなり求められるようになってきていますから、解釈をしたり、支援計画を立てたりする上でも、これらは外せないことになります。まだまだ研鑽が必要です(微笑)。

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