20211211「東海道・伊勢街道歩いて伊勢参りツアー」第16回「明野からいよいよ伊勢神宮・外宮へ」(その1)……明野駅をスタートし、宮川を渡り、神領域へ
今年4月にスタートした「東海道・伊勢街道歩いて伊勢参りツアー」も、12月11日で第16回を迎え、「明野からいよいよ伊勢神宮・外宮へ」となりました。この回で、伊勢神宮の外宮にお参りできました。当日、予告編を書いて、緊張がやや低下したのと、相談会の準備に専念していて、本編の記事が遅れましたが、ボツボツと書いて行くことにします。
こちらが、第16回「明野からいよいよ伊勢神宮・外宮へ」のコース全体のマップ。明野駅を10時にスタートし、前回立ち寄ったへんばやの前を通って庚申堂・常夜燈、紀州藩高札場跡、板田の橋跡・鳥羽藩本陣跡・高札場跡、参宮人見付の石碑を見て、宮川の桜の渡し跡へ。宮川橋に回って、宮川を越え、いよいよ伊勢の神域へ入って行きます。宮川を越えると、伊勢に来たと実感します。伊勢の市街地に入って、茶屋の道標、筋向橋から、旧御師丸岡宗大夫邸の案内を見つけたので、予定外で立ちより。小西萬金丹の店を見て、伊勢神宮の外宮へ。ここまでで6.5㎞ほど、12時15分。正宮の他、土宮、風宮、多賀宮、御下井神社と回って、神楽殿で来年の暦をゲット。外宮参道にあるいそべや食堂で伊勢うどんの昼食。伊勢市駅に14時40分にゴール。神宮の中を結構歩きましたので、9.1㎞。
桑名駅を8時22分に出る伊勢中川行き急行に乗車。伊勢中川には9時23分着。ここで賢島行き普通電車に乗り換えて(9時28分発)、明野駅には9時56分に到着。¥1,160。明野駅をスタートしたのは、10時。好天で、しかも暖かくて歩きやすい日でした。
詳しいルートマップのその1。明野駅の南にある明野交差点からが伊勢街道。前回、「へんば餅を買おう」ということで、へんばやにはすでに立ち寄って来ています。さらに南下して、相合橋をわたって、新出交差点の先で庚申堂と常夜燈を見ます。
へんばやさん。へんば餅は大好物なのですが、さすがについこの間買ってきて食べましたので、この日はパス。へんばやさんの前、道を挟んだところにシイの大木があります。「椎の辻」と呼ばれたそうで、ここの椎の木に触れると祟りがあったといいます。今はそんなことはないとは思うものの、写真を撮っただけ(微笑)。
へんばやさんの南に、相合川にかかる相合橋があります。江戸時代には、土橋がかかっていたそうです。広々とした景色が広がっています。左手の方を見ると、伊勢の朝熊山も見えてきました。朝熊山は、我が家のベランダからも、天気が良いと良く見えます。遠くまで来たものです。
新出交差点を過ぎると左手に新出の庚申堂と常夜燈。スタートからほぼ1㎞。庚申堂は、安永年間(1772~1781年)の建立で、ここは新出村の南口。悪いものが入ってこないようにということであろうと思います。庚申堂の前に大木。同級生K氏が「○○の木だな。こんなに大きいのは見たことがない」といっていたのですが、何の木か、失念(苦笑)。ここからしばらくはひたすら歩くのですが、暖かくて、汗ばんできましたので、ここでジャケットを脱いだくらい。
早くも、実際に歩いたルートマップは、その2へ。外城田川まで1㎞弱の間は見るところは ありません。小俣小学校の前に旧小俣町の道路元標、その先は、紀州藩と鳥羽藩の領地が入り組んでいたということで(江戸時代の小俣村は、紀州藩領と鳥羽藩領に分かれていました)、両藩の高札場跡がありますし、浄土寺、鳥羽藩本陣跡、板田の橋跡、参宮人見付石碑から、いよいよ宮川の桜の渡し跡へ。宮川橋を渡ったところに、その桜の渡し跡の説明板があります。右の写真は、小俣町あたりの伊勢街道の様子。
外城田川。玉城町の方から流れてくる川ですが、普段は水量が乏しく、雨が降ると一気に水が増えたことから、「貧乏川」と呼ばれたそうです。なかなかおもしろいネーミング。橋は、惣之橋。小俣宿の江戸口にあったことから、江戸橋といわれたといいます。「江戸橋」という名前の橋は、あちこちにあるものです。ここで、ダイサギやアオサギがいるのが見えました。
小俣小学校の前に「小俣町道路元標」があるということだったのですが、事前にGoogleのストリートビューで予習したときには、見つけられませんでした。本当にあるのか不安でしたが、ありました(苦笑)。思っていたより小さかったので、ストリートビューでは見逃していたようです。
余談ですが、小俣小学校に二宮金次郎の像がありました。ずっと以前にも興味を持って、あちこち見て回ろうかと思ったことがありますが、この金次郎像は、やや小ぶりの印象。いろいろなバリエーションがあるようです。
小学校の先、スタートから2.2㎞あたりで伊勢街道は左折し、東に向かいます。そこは札の辻となっていて、 紀州藩高札場跡の石柱が立っています。以前来たときには、「どんぐり」という喫茶店があったのですが、更地になっていて、「売り地」の看板がありました(2019年11月27日:20191116近鉄ハイキング「お伊勢さん参りハイキング 昔も今もお伊勢参り~旅11日目~伊勢街道、旅人気分で斎宮から宮川の渡し・そして神領域へ」(その2)……そうめん坂道標、轉輪寺、徳浄上人千日祈願の塔、へんばや本店でへんば餅を味わい、宮川の手前へ)。事前によく調べて行かなかったのですが、この先に離宮院跡がありました(JR宮川駅の南)。延暦16(797)年、斎王が神宮へ赴く際の宿泊施設として、離宮が造営され、一時は斎宮となったそうです。承和6(839)年、焼失し多気に戻っています。土塁が残っていて、官舎神社があるそうです。ちょっと惜しいことをしたかも知れません。
このすぐ先で、伊勢街道は右折しますが、その北に浄土宗の照国山浄土寺があります。以前、近鉄ハイキングのときはパスしてしまいましたので、この日は立ち寄って来ました。由緒などは、不明ですが、ここには、県文化財の「紙本著色熊野観心十界曼荼羅」があります。中世から近世にかけて、「熊野比丘尼(くまのびくに)」が、熊野信仰を広めるための絵解きに用いた曼荼羅(まんだら)である。現在は軸装になっているそうでが、折り畳んだ痕跡があり、熊野比丘尼が携帯して持ち運ばれていたことがうかがえるといいます。縦143cm、横133.7cmで、裏面に文化12(1815)年に修理したことが墨書されているそうです。
こちらが本堂。山門などは新しくなっていましたが、本堂は歴史を感じさせる建物でした。伊勢街道は、浄土寺の前から南へ、さらに離宮前のバス停で左折していきます。
板田の橋跡の石碑。「板田の橋跡」碑の右面には、「名木 板田の薄紅葉跡」とありますが、今は、橋も紅葉もありません(リンク先に、昭和11(1936)年の絵はがきの画像がありました。紅葉の大木が写っています)。本当は、この手前に鳥羽藩本陣跡があったのですが、場所を勘違いして見逃していました。近鉄ハイキングのときにも、同様のボケをかましており、いやはや(苦笑)。このすぐ先に鳥羽藩高札場跡の石碑。
スタートからは3㎞になります。宮古橋の西のたもとに参宮人見付石碑が建っています。江戸時代、伊勢神宮のおかげがいただけるありがたい年として「おかげ参り」が約60年毎に起こり、たくさんの人々が伊勢神宮へと押しかけました。そのため治安が乱れ、警備のため見張り所を造り、不審者をチェックしたのが「参宮人見附」です。これを観て不思議なもののように思ったのですが、ここに建っているものは、昭和54(1979)年7月に付近の側溝の底から発見されたといいます。もとは、柱石角柱、火袋屋根木製の常夜燈だったと考えられますが、ほぼ半分に割られています。宮川の渡から遠くないところです。
余談。宮古橋を渡ったところに自動車学校があります。三重県南部自動車学校ですが、キャッチフレーズが「ほめちぎる教習所」で、笑えます。私が運転免許を取った、今から40年前など、教習所の指導員の先生は、怖い人ばかりだったような気がしますが、それは今は昔のことのようです。
自動車学校のすぐ南が、宮川。延長91kmは、三重県のみを流れる川としてはもっとも長く、また、国土交通省の一級河川水質調査で、過去11回(2006年からは6年連続)1位となっており、清流で知られています。神宮式年遷宮のお白石持行事に使用する石は、この宮川の河原から採集されます。
ここに桜の渡し跡があるのですが、残念ながら、工事中で近くまではいけませんでした。宮川は、伊勢に入るときは必ず渡らなければなりません。川を渡るのは、すべて渡し船を利用しました。宮川の渡しは、上の渡し(川端町)、下の渡し(小俣町)、磯の渡し(磯町)と3個所あり、とくに小俣と伊勢とを結ぶ、ここ下の渡し(別名・桜の渡し)がもっとも多く利用されました。春には桜花が美しく咲き、堤に沿っては茶屋が並び、御師の出迎えの看板が林立したといいます。また、めでたく参宮を終えて帰る伊勢講の人々を送る道中歌も響きました。
宮川橋に回って宮川を越えます。橋を渡った先にも「桜の渡し説明板」があります。桜の渡しは、明治30(1897)年、参宮鉄道が開通するまで生き続けてきた渡し場です。参宮鉄道は、現在のJR東海の紀勢本線・参宮線の津~山田(現伊勢市)間を結びました。明治40(1907)年には、国有化されています。
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