20210912「東海道・伊勢街道歩いて伊勢詣りツアー」第9回「津・一身田~津駅」(その2)……三重大学前から江戸橋を渡り、上浜の町を通って津駅へゴール(完)
9月12日、雨の中を出かけてきた「東海道・伊勢街道歩いて伊勢詣りツアー」の第9回「津・一身田~津駅」のその2です。4㎞しか歩いていませんので、今回のマップは1枚。三重大学の前(西)の国道23号線を歩いています。雨は本降りに近いくらい。国道23号線の新江戸橋の手前で、伊勢街道に架かる江戸橋の方に逸れ、上浜の町へ入っていきます。ここは、津宿の北の入り口。お寺2箇所、阿部家住宅、小丹神社、鶴之宮跡碑を見て行きます。雨が弱まるかと期待したのですが、それはなさそうでしたので、津新町駅まで行くのを諦め、津駅をゴールに変更。
三重大学の西の国道23号線。その東側に大学のキャンパスが広がっています。スタートから2㎞ほど。10時50分過ぎ。ここに教育学部、生物資源学部、工学部、人文学部、医学部、医学部付属病院(右の写真)が集まっています。
医学部付属病院の北、23号線から見ると、左に風力発電の風車が見えます。愚息は、この風車の勉強をしていました。大型の3枚羽根のものの他、縦型のコンパクトな風力発電の風車もあります。これは、左の写真で、大型の風車の左手前に見えているのですが、写真では分かりにくいかも知れません。
2.4㎞のところで、国道23号線から右(西)に逸れて行き、江戸橋を渡ります。志登茂川にかかっています。津にあるのに、なぜ江戸橋というのか?という疑問がおありかも知れません。津藩主・藤堂氏が参勤交代で江戸に向かうとき、家臣などがこの橋のたもとまで見送りに来たことから江戸橋と名づけられたとされます。橋には、右の写真のような参勤交代のレリーフが飾られています。こちらの江戸橋は、市道に架かるもの。4年ほどの架け替え工事を経て、平成31(2019)年の春、新しい橋が完成しています。
近鉄江戸橋駅から三重大学に通う学生の皆さんなどの利用が多いので、写真のように車道と、自転車道、歩道とが分離され、しかも、自転車歩行者専用道の部分がかなり広くなっています(左の写真は、2019年9月1日に撮影)。江戸時代には橋は架けられていたといいます。余談ですが、ここはまたバードウォッチングのスポットでもあります。令和元年度の後期は、授業の帰りにバードウォッチングに立ち寄っていました(たとえば、2019年10月30日:非常勤の帰りに志登茂川でバードウォッチング)。今年度後期も授業に来る予定ですから、また、ここで冬鳥を見られると思います。
江戸橋を渡ったところの交差点の北東には、常夜燈と、高田本山への道標が立っています。常夜燈は、安永6(1777)年に建立された、津市内最古の常夜燈です(津市指定文化財)。高田本山への道標には「左 高田本山道」と刻まれています。高田本山専修寺へはここから北へ、伊勢別街道をたどっておよそ3㎞。明治22(1889)年に「愛知縣名古屋市別院下請講中」によって再建されたと刻まれています。
この常夜燈と道標のある交差点が、伊勢別街道との追分で、伊勢別街道の終着点。伊勢別街道は、亀山市にある関宿東追分から津市芸濃町椋本(むくもと)、津市一身田(いっしんでん)を通り、ここまでの総距離およそ四里二六町(約18.5㎞)。伊勢街道はこの交差点で左折し、南に向かいます。左の写真で、左手が江戸橋。伊勢街道は、写真奥の方向に進みます。右の写真で、右の方に続く道が伊勢別街道。冒頭のマップと合わせてご覧ください。
交差点を左折して、伊勢街道を上浜の町へと進みます。スタートから2.8㎞のところにあるのが、真宗高田派の深正寺(じんしょうじ)。「お寺も1箇所くらい、寄って行くか」という次第。雨で歩きにくかったのですが、ここのお寺は庭もあり、緑も多くて、雨に濡れて、風情がありました。県の有形文化財に指定されている「絹本著色阿弥陀二十五菩薩来迎図」を所蔵しています。これは、14世紀中頃の製作と考えられ、鎌倉時代来迎図の成立事情を示す極めて貴重な資料だそうです。
深正寺を出てすぐの左手(西側)に阿部家住宅があります。醸造業の大店。このあたりは、醸造業を営む者が多かったといいます。阿部家は、江戸時代から伊勢街道沿いに店を構える商家で、もとは酒造業でしたが、明治時代に味噌醤油醸造業に変わっています。その主屋は典型的な大店の商家建築で、市の文化財に指定されています。主屋は伊勢街道に面して東向きに建っています。主屋の間口は7間半(13.5m)で、外観は切妻造、桟瓦葺きの大屋根となっています。さらに、右の写真でわかるように、卯建(うだつ)が上がっていますし、庇の下には「おおだれ(雨除け)」があります。その他、大戸、荒格子、千本格子など、大店の格式と貫禄が窺えます。上記のリンク先に詳しい説明や、図面があります。建築様式から見て、江戸時代後期の建物と考えられています。現在も、阿部喜兵衛商店として営業しています。機会があれば内部も是非見たいところです。
こちらの写真は、このあと訪ねた光蓮寺から見た阿部家住宅。主屋の南側には倉庫などに使われた南棟が付属しているのがよく見えます。主屋に向かって右、松の木が見えているところには、高塀と木戸があります。
阿部家住宅の先、東側には、真宗本願寺派の宝池院八葉山光蓮寺。広い駐車場の奥に山門があります。境内にはよく手入れされた、枝振りのよい松。なかなか落ち着いた感じのお寺でした。
3.1㎞を過ぎたところ、右手(西側)に小丹(おにの)神社の拝殿。2年前、近鉄ハイキングの伊勢詣りツアーで来たときには、よく分からなかった神社です(2019年9月 8日:20190901近鉄ハイキング「お伊勢さん参りハイキング 昔も今もお伊勢参り~旅6日目~伊勢街道、旅人気分で河芸から潮風薫る江戸橋へ」(その3)……阿部家住宅、鶴之宮跡碑から近鉄津駅にゴールして、美濃味匠でランチ(完))。本社は、上浜西の山上に鎮座しています。延喜式内社で、埴夜須毘売命(はにやすひめのみこと)と大山祇神を祀っています。景行天皇(第12代天皇。垂仁天皇の第3皇子)の時代に鎮座したといいます。
上浜町一丁目の上浜南公園に「鶴之宮跡碑」があります。津藩の第2代藩主・藤堂高次公が、この場所で狩りをしていて鶴を射止めたちょうどそのとき、朝廷より官位昇進の知らせが届き、大変めでたいことであったので、その射止めた鶴を埋めて、社殿を造り、祀ったということによります。しかし、神社は、明治40(1907)年に小丹神社(津市上浜町6丁目、JR紀勢線・近鉄名古屋線の西)に合祀され、社殿はなくなりました。現在は、この石碑が建っています。碑は、昭和7(1932)年9月に建之。こういうところに鶴がいたのかと思うのですが、江戸時代初期は、このあたりは原野だったそうです。
上浜町の南端から栄町あたりにかけての伊勢街道。このあたりは、鈴鹿で働いていた頃から、知らないところではないのですが、もっと古い家などが建て込んでいて、道も狭かった記憶があります。一帯は再開発され、きれいになっていて、昔の面影はありません。途中、「伊勢参宮街道」という、新しい石碑もあります。
国道23号線・津駅東交差点のすぐ西。この日の伊勢街道歩きは、ここまで。写真の左手が国道23号線。ここで右折すると、すぐに津駅。JR紀勢線と近鉄名古屋線、伊勢鉄道が乗り入れています。
11時40分に到着。1時間半で4㎞を歩いてきました。写真は、東口で、こちら側がJRと伊勢鉄道の津駅。
食事をして帰ることにして、駅ビルの津Cham2階へ。蕎麦屋、サイゼリア、パン屋などあるのですが、いつもの美濃味匠へ。「お総菜カフェ」。弁当などを売っているのですが、イートインができるのです。この日は、「たまごわやさしい」弁当。たまご、まめ、ごま、わかめ、やさい、さかな、しいたけ、いもの頭文字で、バラエティに富んだ、栄養バランスのよい弁当。その場で暖かいしいたけご飯を入れてもらえ、¥712。
続いて、1階にあるドトールでコーヒータイム。1階には津銘菓を売っている土産物屋さんがあるのですが、ちょっと覗いて、蜂蜜まんの話をしていたら、店員さんが、近鉄の切符売り場の前で売っていると教えてくれました。
こちらが、蜂蜜まんの出張販売店舗。こしあんを、蜂蜜風味の皮が包んでいます。本店で焼き立てをほおばると皮がぱりっとしていて、美味しいのです。緊急事態宣言が出たため営業していないという話も聞いていたので、これはラッキーでした。10個入り¥600を土産に購入。これでお分かりのように、1個¥60。津の方のソウルフードといってもよいでしょう(蜂蜜まんの写真は、レッ津ゴー旅サイトからお借りしました)。
津駅を12時40分発の名古屋行き急行に乗車できました(電車が少し遅れていたお蔭)。桑名駅には、13時22分着。桑名の方は、雨はあまり降らなかったようです(苦笑)。まぁ、こんなもの。駅までクルマで迎えに来てもらい、帰宅途中に、知事選挙・県会議員補欠選挙の投票に行ってきました。
4㎞しか歩いていませんでしたので、歩数は、ご覧のように、9,778歩と伸びていません。「雨にも負けず」の伊勢詣りツアー第9回は、これにて「完」。四天王寺、津観音、大門商店街などを回って、津新町駅まで行く予定でしたが、それは次回に回します。次回は、津新町からJR紀勢線の高茶屋までを計画していました。今回の残りを加えると、歩く距離が9㎞近くになりますが、チャレンジしてみよう、ダメなら途中で、近鉄南が丘駅までにしようという相談がまとまっています。
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