お知らせ

  • データの移行について
    2005年10月26日のブログ開始当初から、2026年9月30日までの記事は、「猫の欠伸研究室(アーカイブ)」に移行しました(http://blog.livedoor.jp/taichimaru151/)。 このココログの「猫の欠伸研究室」には、2021年1月以降の記事を残し、2020年12月以前の記事は削除しました。2021年1月1日以降の記事は、両方にあります。

レンズを通した自然観察

  • この「レンズを通した自然観察」ということばは、恩師のお一人が、私の趣味を形容しておっしゃったものです。2023年2月7日のブログに書きましたが、実はときどき思い出していることばです。お世話になった先生方はたくさんいらっしゃいますが、この恩師は、就職のことから学位論文の執筆、審査に至るまで本当にお世話になった先生です。「写真の撮り方を指南してもらいたい」ともおっしゃったのですが、これはお世辞と理解しています。私はほぼ隠居状態となって10年以上になりますが、今、改めてこのことばをかみしめています。この先生には結婚式の際に「理論と臨床をつなぐ仕事をするように」ということばをいただきました。体調を崩してそれには十分に応えられませんでしたので、せめてこの「レンズを通した自然観察」については、極めるとまでは行かないにしても、もう少し精進したいと考えています。

ブログ名の由来

  • ブログ名の「猫の欠伸研究室」は、中日新聞の夕刊に連載されている「紙つぶて」というコラム(平成22(2010)年1月13日)に、元新党さきがけ代表の武村正義さんが書いていらっしゃった「人生は猫の欠伸である」というコラムによります。武村さんは、“チベットで鳥葬を取り仕切る僧侶が、「人の生涯は猫の欠伸のようなもの」と語った”と書いていらっしゃいます。「猫の欠伸のようなもの研究室」としたかったのですが、ちょっと間延びしますので、「猫の欠伸研究室」とした次第です。「研究室」とつけたのは、過去、大学に勤めていたことがあるということやら、知らないこと、分からないことがあると何でも調べずにはいられない性分であること、屁理屈、講釈が大好きであることからであります。しかし、「人生の研究をしている」のではありません。「大所高所」からのご高説を開陳できるほどの力量はないが故、「小所低所」からの戯れ言をつぶやくのが精一杯(苦笑)。身の程に合わせ、勝手なことを書き綴っていますので、御用とお急ぎでない皆様には、今後ともご交誼のほど、お願いいたします。是非ともコメントを頂戴し、少しでも世間を広げたいと熱望しております。

モットー

  • 座右の銘というほど立派なものはありませんが、過去に体調を崩し、療養生活を送った経験から、私なりのモットーをつくっています。その一つは、「淡々と飽きもせず……」です。自分では、「……」と余韻を残しているところが気に入っています。こだわりすぎや、やり過ぎはよくありません。若い頃はムキになってやったこともありますが、今はこのように「淡々と飽きもせず……」が自分に合っていると思っています。もう一つは「晴耕雨読」ならぬ「晴歩雨読」です。マンション暮らし故、耕すところはありません。代わりに歩いています。そして、最近(令和3(2021)年に入った頃から)追加したのが、「散歩生活、ときどき仕事」。NHKのテレビ番組に「晴れ、ときどきファーム!」というものがあります。これのもじり。浅学非才の身ですので、ご交誼の上、いろいろとご教示をお願いします。

« 愛鳥週間初日は、スズメとカワラヒワのヒナデー……午後からは市民大学郷土史学科へ【ワクチン接種について追記(5/10)】 | トップページ | 今日は、スズメのヒナ・デー »

2021年5月10日 (月)

20210508「東海道・伊勢街道歩いて伊勢詣りツアー」第3回「富田~四日市」(その2)……八幡常夜燈、八幡地蔵堂、八幡神社跡、かわらずの松、志氐神社一の鳥居と妋石、光明寺を経て国道1号線へ

210508tomida2  5月8日の「東海道・伊勢街道歩いて伊勢詣りツアー」、第3回「富田~四日市」の本編その2です。その1では、近鉄富田駅をスタートし、茂福神社と茂福城跡を見て、県道64号線の高架をくぐるところまで来ました。左の画像は、詳しいマップその2です。八田三丁目西の交差点がそこです。このあとは、八幡常夜燈、八幡地蔵堂と八幡神社跡、かわらずの松、志氐神社社号標・常夜燈・妋石、光明寺と進みます。光明寺の先で東海道は、国道1号線と同じルートになります。

Img_5226c_20210508165901  中部運輸局四日市自動車検査場を過ぎ、米洗川(よないがわ)の手前、西側に常夜燈があります。八幡(やわた)常夜燈です。一昨年の近鉄ハイキングでもここを通ったのですが(2019年3月29日:20190324近鉄ハイキング「昔も今もお伊勢参り~旅2日目~ 東海道、旅人気分で間の宿・富田から四日市宿へ」(その2)……八幡常夜灯、八幡地蔵堂、八幡神社跡、かわらずの松、妋石(みよといし;夫婦石)、光明寺を経て国道1号線に合流)、その時には、この常夜燈について詳しいことがよく分かりませんでした。今回、ここから先、羽津地区で立ち寄ったところには、「羽津地区まちづくり推進協議会」が新たに説明板を立ててくださってあり、いろいろと知ることができました。この常夜燈は、明治35(1902)年9月に建てられています。Img_5230c_20210510043201 両側面には「両大神宮」と刻まれ、台座には世話人として羽津村中人100余名の名があります。設置年代からみて、それ以前にあったものを建て替えたと考えられるのですが、以前のものの記録はないそうです。設置当時、茂福から米洗川までは、一軒の家もない「芝原縄手」と呼ばれる、松並木の寂しい道で追いはぎも出たといいます。一方、東海道中が盛んな頃には、このあたりまで四日市宿の飯盛り女や客引きが迎えに来ていたそうです(以上、説明板より)。このあと訪ねる八幡地蔵堂は、もともとこの常夜燈の向かいに建っていました。

Img_5238c_20210510044501 Img_5243c  八幡常夜燈のすぐ先に米洗川。左の写真は、その上流方向です。この先に伊賀留我神社(北伊賀留我神社と南伊賀留我神社があります)や、その近くには、天武天皇迹太川御遙拝所跡があります。天武天皇が壬申の乱で、奈良の吉野を離れて鈴鹿を経て三重県に入り、迹太川(とおがわ)のほとりで天照大神に戦勝祈願したと日本書紀にありますが、迹太川は、現在の米洗川であると考えられています。右の写真は、米洗川を渡った先の東海道の様子。

Img_5246c_20210508165901  八幡常夜燈から300mほど、八田第一集会所の隣に、八幡(やわた)地蔵堂と、伊勢国八幡(はちまん)神社跡があります。お地蔵様は、延命地蔵尊。このあと通った金場町にある金場地蔵尊と同じ一つの石から作られた兄弟地蔵で、こちらの地蔵、もとは羽津村の南北の入口(この地蔵は北の入口)に置かれ、村内に疫病が入り込まないようにするための結界地蔵といわれるものであったといいます。上に書いたように、昔は、米洗川北側の八幡常夜燈の向かい辺りにあったのが、昭和4年(1929年)に、八幡地区の住民によって現在地に移設されたそうです。トリビアですが、このお地蔵様、仏像の知識に乏しい石工が彫ったらしく、螺髪に来迎印という阿弥陀如来の形になっています。地蔵堂の前には「真誉法眼(しんよほうげん)上座」という石碑が建っています。是についても、以前来たときには分からなかったのですが、新しい説明板によれば、堂守の真誉師(しんよし)の遺徳を偲んで建てられたもの。

Img_5257c_20210508165901  八幡神社は、勧請年代は不明ですが、江戸時代の旅行記に、「一国一社にして村名も八幡(やわた)と称し、皇国六十六拝の一つに数えられている古社である」と紹介されています。東西40間、南北55間という広い社地を持つ、著名な神社出遭ったそうです。明治41(1908)年に志氐神社に合祀されて、ここ旧社地には「伊勢国八幡神社碑」と刻まれた石柱が建ち、往時を偲ぶよすがとなっています。八幡神社の遺品は、鳥居が志氐神社東口に、また、石燈籠が東海道沿いにある志氐神社一の鳥居脇に移設されています。

Img_5265c_20210508165901  八幡地蔵堂・八幡神社跡から400mほど、堀切川を渡る直前に、松の木が一本。「かわらずの松」です。戦前まで、このあたりは松並木でした。戦後は、経済発展にともなって、道路の拡幅が行われ、また、松食い虫の被害を受けて、東海道の松並木は姿を消してしまいました。この松は、樹齢200年以上とされ、江戸時代からここを行き交う旅人を見守っていたと思われます。ここは、今は羽津というところですが、その昔は「かわらず(川原須)」と呼ばれていましたので、その地名からこの松は「かわらずの松」と名づけられ、大切にされています。同行のK氏は、「もっと立派な松だと思ったがなぁ」とひと言。

Img_5303c  かわらずの松の先、スタートから4㎞を過ぎたところに志氐(しで)神社の一の鳥居と石柱、常夜灯などがあります。志氐神社は、上記の伊勢国八幡神社を合祀した先。神社は、この一の鳥居から400mほど北西に入ったところ(四日市市大宮町)にあります。いろいろと見るべきものもあるようですから、一度行ってみたいとは思っているのですが、まだ実現していません。往復800mの寄り道はちょっと厳しい。主祭神は、気吹戸主神(いぶきどぬしのかみ;祓戸の神(ハラエドノカミ)ともいい、祓を行う場所である「祓戸(はらえど)」を守る神)。創祀年代は明かではありませんが、社記では垂仁天皇の頃といいます。

Img_5296c  先に触れたように、八幡神社にあった常夜燈が、ここに移設されています。「天下泰平 八幡宮御神前 国家安全」と正面に刻まれています。

Img_5299c_20210508165901  この志氐神社一の鳥居のところに、東海道の両側に2つの大きな石があります。これらは「妋石(みよといし)(夫婦石)」と呼ばれています。志氐神社には、伊弉諾尊(イザナギノミコト)と伊弉冉尊(イザナミノミコト)も祀られていて、縁結び・夫婦円満のご神徳があるとされます。古書にも「婦女の婚姻を求むる祈願を之になす」と記述があり、古来より、東海道を行き交う多くの旅人は、この夫婦一対妋石をなでて、縁結び・夫婦円満の願いを込めたといいます。石は、鳥居の真下に1つ(上の鳥居が写った写真をよくご覧ください)、道を挟んだところにもう1つ(左の写真)あります。きちんと撫でて来たらよかったかと、思ったりして(苦笑)。

Img_5307c_20210508165901  このすぐ先(100mあまり)には、初野山摂護殿光明寺(はつのざんしょうごでんこうみょうじ)があります。真宗本願寺派のお寺。元は大矢知村青木谷にあったといいます。弘仁年間(810~824年)に空海が諸国を巡回した時に、小堂を建てたのが始まりと伝わっています。寛正元(1460)年に、下野国高田の専修寺第10世眞慧(しんね)上人が諸国巡化の際、最初に近江国坂本の妙林院(浄土真宗寺院。真慧が専修寺の出張所として創建したものの、廃絶。跡地不明)から光明寺に来錫し、約1年間在住して付近を教化した時に、当時の住職が改宗して浄土真宗高田派に転じたといいます。

Img_5321c_20210510065401  享禄年間(1528~1531年)に、羽津城主赤堀左京大夫盛義(宗昌)が出家して光明寺に入り善願と名乗り、現在地に寺を移して初野山青木堂光明寺と称しました。天正年間(1573~1591年)に京都興正寺の勧めにより、高田派から本願寺派に転じたとされます。寛文3(1663)年2月、雷により堂宇、宝物、記録等一切を焼失し、創建の年月、開基の事蹟、中古世代住職名等すべて不明になりました。第5世俊応の妹せつが青蓮院宮に仕えた関係で、皇族所縁の品々を下賜され保管していたのですが、これらは、戦災で焼失しています。

Img_8233c_20210510065501  光明寺の山門前には、「八十宮(やそのみや)御遺跡」の碑が建っています(左の写真は、2019年3月24日に撮影)。八十宮は、霊元上皇の内親王(吉子内親王(よしこないしんのう);正徳4(1714)~宝暦8(1758)年;八十宮は幼名)で、正徳5年、7代将軍徳川家継の婚約者になったのですが、家継は翌年死去。享保11(1726)年内親王となり、同17(1732)年、19歳で仏門に入りました。徳川家継は江戸幕府の第7代将軍(在任:1713~1716年)ですが、宝永6(1709)年)7月3日生まれですから、婚約当時はわずか6歳。八十宮の方は、何と1歳で婚約しています。正徳6(1716)年閏2月18日(4月10日)に納采の儀を行ったのですが、そのわずか2ヶ月後、享保元(1716)年4月30日(6月19日)に家継は亡くなります。八十宮は、1歳7ヵ月で後家となってしまったのです。政治的な思惑が働いたのでしょうが、何ともいえない話。光明寺にこの「八十宮御遺跡」の碑があるのは、その宮付に光明寺第5世俊応の妹つねが召されたとされます(こちら)。碑は、昭和3(1928)年3月に桑名吉津屋町の寺本久治が建てています(寺本についてGoogleで検索すると、昭和22年の官報に名前が出て来ますが、どのような人物かは不明。こちら)。

Img_5334c_20210508165901  境内には、森多三郎紀念碑とその墓碑があります。文久元(1861)年、桑名藩が過酷な年貢米の増徴を命じたのに対し(当時の藩主は、松平定敬)、これを阻止しようと、羽津村組頭(村方三役の一つで、名主、庄屋を補佐する役目)であった森多三郎ら17名が先頭に立って藩に抵抗しました。その結果、藩は年貢の増徴を断念することになったのですが、その後、多三郎は桑名藩庁に呼ばれて安永の料理屋に行き、毒酒を飲まされ、帰途、この光明寺までたどり着いたところで絶命したと伝えられています。この碑は、当時の羽津村の肝煎、組頭、小前惣代が藩の譲歩を勝ち取った記念に、多三郎の功績に報いるものですが、桑名藩の追及を畏れ、碑文は紀念碑という文字と、建立年、多三郎を含む百姓の代表名という簡素なもになっています。また、紀念碑の前には、「釋浄諦信士」と刻まれた森多三郎の墓碑が建てられています。

Img_5345c_20210508170001 Img_5281c_20210510070501  光明寺から200m足らずのところで旧・東海道は、左に曲がり、国道1号線に入ります。スタートからは4.6㎞ほどのところ。この先、金場町、三ツ谷と進みます。これもいささか余談ですが、羽津地区のあちこちに右の写真のようなものが置かれていました。「とうかいどう」と透かし彫りになっていて、電源コードがつながっていますから、夜は灯りが入ると思います。なかなか風情があっていい感じ。その2は、ここまで。その3は、国道1号線沿いにある金場延命地蔵や、道標を見て、多度神社へとなります。

« 愛鳥週間初日は、スズメとカワラヒワのヒナデー……午後からは市民大学郷土史学科へ【ワクチン接種について追記(5/10)】 | トップページ | 今日は、スズメのヒナ・デー »

「旅行・地域」カテゴリの記事

「神社」カテゴリの記事

「寺院」カテゴリの記事

「地蔵」カテゴリの記事

「歴史散歩」カテゴリの記事

「名所旧跡」カテゴリの記事

「勝手にハイキング」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

« 愛鳥週間初日は、スズメとカワラヒワのヒナデー……午後からは市民大学郷土史学科へ【ワクチン接種について追記(5/10)】 | トップページ | 今日は、スズメのヒナ・デー »

2026年10月
日 月 火 水 木 金 土
        1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 31
無料ブログはココログ

マイブックス

  • 釈撤宗: 100分de名著 親鸞 教行信証
    何を今さらといわれるかもしれませんが、NHKの100分de名著という番組で、親鸞の『教行信証』の勉強をしました。勉強したとはいえ、エッセンスを垣間見たくらい。たぶん何度も復習をしないと、私の理解を超えています。「自力を手放し、現実を力強く生きる」「他力の念仏・信心で救われる道筋」とありますが、自力を手放し、他力に身を委ねるということは、実はとても難しいことで、私などにはとても到達できる心境ではないという気がしています。さてはて、阿弥陀如来にすべてを任せられるようになるものでしょうか? (★★★★★)
  • 本郷和人: インテリジェンス関ヶ原
    関ヶ原合戦については、昨年(2025年)10月にJRさわやかウォーキングで旧跡を訪ねたこともあって、興味があります。以前、高橋陽介:さんの「シン・関ヶ原」をマイブックスにあげましたが、今回の本も、それと同様に、徳川家康は合戦前から天下人であり、勝負は決選前にすでについていたという立場に立っています。関ヶ原合戦は、わずか半日で決着がついたのですが、実はその前に行われた外交戦、情報戦こそが意味を持っていたのです。家康がどのようにして、この外交戦、情報戦を勝ち抜いたかも重要ですが、石田三成など、いわゆる豊臣方の大名たちが、なぜ失敗したのかについても着目してこれを読むと、一段とおもしろいでしょう。 (★★★★★)
  • 渡辺祐基: 鳥は飛びながら眠る-超小型センサーで覗く野生動物の私生活-(中公新書)
    著者は、野生動物に小型の記録計をつけるバイオロギングという手法で魚類、海鳥、海生哺乳類の生態を調べる研究者です。記録計は、超小型センサーや、カメラです。サバンナに生きる動物、極致の海に潜る海生哺乳類、大空を飛んで渡る野鳥などにバイキングサイエンスの手法を適用し、動物たちがどのように食べ、逃げ、眠り、子育てをするのかという謎に迫っています。これにより、厳しい環境を生き抜く進化のメカニズムが明らかになり、さらにそれらは、人の身体や行動に潜む進化的な意味も明らかにしてくれます。ヒヒは多数決で行き先を決める、アザラシは一晩に4000回も狩りをするなどなど、新しい、興味深い知見満載で、おもしろい本でした。 (★★★★)
  • 高橋陽介: シン・関ヶ原 (講談社現代新書)

    高橋陽介: シン・関ヶ原 (講談社現代新書)
    関ヶ原で起こった戦闘の経緯について、新しい説を提起しています。私たちが知っている関ヶ原の戦いとは、まったく違う見方で、驚きました。この本では、「徳川家康はすでに天下人であった」という大前提のもとに当時の一次資料を読み(ここがポイント)、そこから「石田三成は西軍決起の『首謀者』ではない」「小早川秀秋は開戦前に東軍であった」「東西両軍の和談は決戦前日に成立していた」など新たな見方が示されています。すべて当時の書状などの一次資料の内容に基づいています。これらがすべて歴史学界で認められた説ではないものの、新鮮で、大変おもしろい内容でした。ちなみに通説は、帝国陸軍参謀総本部が、一次資料のほか、江戸時代の『関ヶ原軍記大成』『徳川実記」などさまざまな編纂史料をもとに再構築したものと、それをもとに司馬遼太郎さんが書いた小説『関ヶ原』に基づいているといいいます。 (★★★★★)

  • 銅冶英雄: 悩み・不安・困った!を専門医がスッキリ解決 腰部脊柱管狭窄症

    銅冶英雄: 悩み・不安・困った!を専門医がスッキリ解決 腰部脊柱管狭窄症
    体操で改善を目指すことを謳い文句とした本です。脊柱管狭窄症については、これで4冊の本を読みました。それぞれに一般向けに分かりやすく書かれており、これら4冊の本で決定的な差はありません。むしろ、何冊か読むことで、脊柱管狭窄症についての理解が深まりました。多くの本で脊柱管狭窄症を改善する運動療法が紹介されています。この本では、「痛みナビ体操」が紹介されています。私自身は、近いうちにかかりつけの整形外科医院で理学療法士さんに運動療法を教えていただくことになっていますので、それを優先しますが、そういう機会のない方には、この「痛みナビ体操」を試してもよいように思います。 (★★★★)

  • 菊地 臣一 ほか: 脊柱管狭窄症 腰の名医20人が教える最高の治し方大全 ~聞きたくても聞けなかった150問に専門医が本音で回答! ~ (健康実用)

    菊地 臣一 ほか: 脊柱管狭窄症 腰の名医20人が教える最高の治し方大全 ~聞きたくても聞けなかった150問に専門医が本音で回答! ~ (健康実用)
    脊柱管狭窄症について、病気そのもの、症状、診察・診断、薬物療法、運動療法、そのほかの保存療法、セルフケア、食事、症状別対策、手術などの全貌についてのガイドブックです。タイトルにあるように、専門医が150の質問についてわかりやすく解説しています。図、写真も使われていて、よくわかります。 (★★★★★)

  • 文藝春秋: 文藝春秋 2026年6月号[雑誌]

    文藝春秋: 文藝春秋 2026年6月号[雑誌]
    特集記事の「総理の夫 初告白20時間」という、高市首相の夫である高市拓さんのインタビュー記事が載っていて、それを読んでみたいと思って、20年ぶり以上に文藝春秋を買いました。余談ですが、この6月号は、特別定価¥1,250で、ビックリ。定価がそもそも¥1,200だそうです。それはともかく、高市首相は公邸で夫のワンオペ介護をしているという話がしばらく前に話題になりましたが、実態はどうもかなり違ったようです。最近の高市拓さんは、シャワーも一人で浴びられ、トイレも大丈夫、食事も一人で準備し、食べられるそうです。週末は拓さんが簡単なご飯を作って、平日夜は官邸の食堂からお弁当を運んでいるといいます。そのほか、夫婦関係、再婚と改姓、介護問題などについて語っていますが、結局、「へぇ~、そうなんだ」と思われる内容で、私としてはちょっと期待はずれ。それに、あまりおおっぴらに書くのは憚られますが、私のセンスではちと変わったご夫婦のように思えました。 (★★★★)

  • 林 将之, 株式会社アマナ: 新版 葉っぱで見わけ五感で楽しむ樹木図鑑

    林 将之, 株式会社アマナ: 新版 葉っぱで見わけ五感で楽しむ樹木図鑑
    樹木の図鑑でわかりやすい、よいものがないか探していて見つけました。図鑑ですから、通読はしていませんが、「葉っぱの写真を手がかりに探せる」ことと、「五感を使った観察の楽しみ方を紹介」というのがポイントで、使いやすそうです。前者については、葉の形、ふち、生え方などを確認し、リアルな質感を再現した葉っぱスキャン画像と実際の葉を見比べることで、樹木の種類を検索できます。葉っぱをスキャンした画像が、実にリアルです。後者については、各樹木の解説ページでは、「見る・聴く・かぐ・触る・味わう」の五感を使った観察の楽しみ方、鳥や動物などの樹木とつながっている生き物も紹介されています。近所の公園の木の種類を調べていますが、今まで見当をつけた種類が間違いないか、これを持っていって照らし合わせてみようと思っています。 (★★★★)

  • 若山滋: 漢字文化圏の興亡―中国の限界、日本の前途―(新潮新書)

    若山滋: 漢字文化圏の興亡―中国の限界、日本の前途―(新潮新書)
    建築家である著者が、「漢字文化圏の興亡」というタイトルの本を書いたということに気持ちが動きました。サブタイトルには、「中国の限界、日本の前途」とあります。日本は古来、「漢字文化圏」の中心である中国から大きな影響を受け、漢字に「かな」を補うという独自の形でその文化を受容してきました。戦国時代から近現代には、アルファベット文化圏の西洋からの洗礼を受けますが、こちらも柔軟に受け入れます。建築と文字の関係に以前から着目してきた著者は、その受容の仕方を「和能」と呼びます。東西の力学が激変する中、日本の進むべき道はどこなのか。漢字文化圏の影響力には限界があり、中国が永続的に支配的な地位を占めることはない、しかし日本には可能性があるといいます。壮大な文明論が展開されています。今の政治家の人たちも、こういう本を読む必要があると思います。 (★★★★★)

  • 今泉忠明, 高橋秀男, 武田正倫, 小宮輝之, 岡島秀治: 自然観察 (学研の図鑑 新・ポケット版 16)

    今泉忠明, 高橋秀男, 武田正倫, 小宮輝之, 岡島秀治: 自然観察 (学研の図鑑 新・ポケット版 16)
    最近、近所の桑名七里の渡し公園でで野鳥、樹木、雑草、昆虫の観察に勤しんでいます。「自然観察」としているというと格好がつくかもしれません(笑)。自然観察入門によい本はないかとネットで探して、見つけたのがこの本です。学研出版のサイトでは「こどもの本」に分類されていおり、対象は小学生となっていますが、まぁこれくらいがちょうどよいと思います。内容は、かなり高度ですが、テーマごとにまとめられていて、分かりやすいので、しっかり勉強しようと思います。 (★★★★)

  • 松田圭太: 腰痛は医者には治せない ~2人に1人が「筋肉」「関節」が原因!理学療法士の神ワザ治療~

    松田圭太: 腰痛は医者には治せない ~2人に1人が「筋肉」「関節」が原因!理学療法士の神ワザ治療~
    1つ前に紹介した「大学病院「背骨外来」の名医が教える 脊柱管狭窄症 自力で克服! 一生役立つ痛みほぐし地図大全」と一緒に入手しました。この本の著者は、腰痛治療に特化した施術院を経営する理学療法士。これは、たぶん好みの問題も関わるのでしょうが、私個人としては、1つ前に紹介した本の方が、読みやすく、実際にも役立つと思いました。この本も運動療法を重視しています。ただ、その説明や、説明に至るプロセスで呈示される根拠の説明が弱い気がします。また、具体的な運動療法の仕方については、必ずしも体系的には説明されていません。著者の書いている「痛みは悪いものではなく、体を守るための相棒」「自分の体は自分で治すという気概を持つと、治りが早い」「とにかく食べて とにかく動く」「痛みに負けない根気を持つ」「やりたいことがみつかれば、体が動く」「日常で笑顔になることをたくさん見つける」など、本書のあちこちにちりばめられた著者の言葉は、大切だと思います。 (★★★★)

  • 猪瀬弘之: 大学病院「背骨外来」の名医が教える 脊柱管狭窄症 自力で克服! 一生役立つ痛みほぐし地図大全

    猪瀬弘之: 大学病院「背骨外来」の名医が教える 脊柱管狭窄症 自力で克服! 一生役立つ痛みほぐし地図大全
    2月末に脊柱管狭窄症と診断され、服薬とリハビリを続けていますが、ここで一度、きちんとした知識を得て、これら以外の治療法はないか調べた方がよいと思っていたところにこの本を見つけました。著者は脊椎脊髄外科が専門の整形外科医。タイトルのように大学病院で「背骨外来」を開いています。脊柱管狭窄症についての総合的なガイドブックであり、狭窄した脊柱管、椎間孔を広げる、各種の運動療法を体系的に紹介しています。「体系的に」というところが味噌で、症状に応じてどのような運動療法を行うと、脊柱管や、椎間孔を広げられるか、分かりやすく(写真、図示を用いて)説明されています。私は一通り熟読し、まずは脊柱管を広げる運動療法を試し始めました。まだその評価をする段階ではありませんが、もうしばらく続けてみて、また追記したいと思っています。医学用語や、背骨、神経の図など専門的な内容も出て来ますが、めげずに読むと、その運動療法をする意味が分かってきます。意味を分かった上で取り組むことが大切だと、私は思います。ちなみに、運動療法は、いわゆる筋トレではありません。正しい体の動かし方を習得することです。 (★★★★★)

  • 古荘純一: 境界知能の人たち (講談社現代新書)

    古荘純一: 境界知能の人たち (講談社現代新書)
    「境界知能」という言葉は、専門家以外の人たちにはほとんど馴染みがないものでしょう。専門家であってもその支援については、見落とされてきており、支援が必要であるのに、その谷間に陥ってしまった人たちということもができます。境界知能というのは、IQ(知能指数)でいえば、70以上80未満(誤差を考慮して、85未満とする考え方もあります)の人たちとなります。ただし、知的水準だけでなく、適応行動が取れているかも、考慮する必要があります。たとえば、言語化が苦手、段取りを覚えられない、行動がワンテンポ遅い、対人関係の距離感が極端、金銭管理ができない、ダマされやすいといった特徴があると著者は指摘します(もちろん、これらは境界知能の人たちに限るということではありません。ほかの障害でも見られる可能性があります)。本書は、定義など学問的な内容から、事例、支援についての提案、さらには用語解説、境界知能の所見リストなど、多方面から境界知能の人たちの困難と、その支援について述べています。医療、心理、教育、福祉に関わる方たちには、ぜひ手に取っていただきたい本です。 (★★★★★)

  • 保阪 正康: 真の保守とは何か 近代日本の地下水脈 (文春新書)

    保阪 正康: 真の保守とは何か 近代日本の地下水脈 (文春新書)
    著者は昭和史研究家。約5,000人もの方に取材してきました。この本は、高市政権圧勝、参政党躍進を受けて書かれたもので、「日本人の選択をいま問う」と帯にあります。著者は、高市政権を「国家主義的右派」と位置づけており、「保守」ではないとします。著者のいう「真の保守」である10ヵ条とは、①常に歴史を読め、歴史の中の声を聞け、②師たる政治家を持て、③甘言、巧言は敵とせよ、④誤りから学べ、⑤良きブレーンを持て、⑥精錬の徳を持て、⑦討論、対話を厭うな、⑧典故、先例に通じよ、⑨読書に勝る良薬はない、⑩氷山のごとき人格たれです。これらは、著者の歴史の教訓を政治の現場に伝えなければならないという危機感から来ています。これに照らすと、今の高市政権の中枢をなす政治家は、極めてアヤシいと思われてなりません。私には、とくに、勉強していない(=本を読んで、考えていない)と思えるのです。ほかにこの本で気になったのは、鶴見俊輔さんがいったという「民主主義の後をファシズムが影絵のようについてくる」ということばです。石橋湛山、池田勇人や、後藤田正晴といった政治家たちの足跡をもう一度ふり返り、良識派の保守の姿を取り戻すことが大切と思います。また、石橋湛山が掲げた①小日本主義(帝国主義否定)、②非軍事志向(軍事で物事を解決しようとしない)、③論理的基盤(共同体的な情緒を克服し、個の意志を明確に示す)といったこともとても重要で、意味があると思います。今の時代に違和感を覚える方には是非ともお勧めします。 (★★★★★)

  • 日浦 勇: 自然観察入門: 草木虫魚とのつきあい (中公新書 389)

    日浦 勇: 自然観察入門: 草木虫魚とのつきあい (中公新書 389)
    1975年出版という古い本です。若い頃持っていたのですが、その後は所在不明。最近になって、もう一度読みたいと思って、古本で入手しました。この本に載っているレベルをきちんとおさえれば自然観察の基礎は身につくと思ったからです。著者は大阪市立自然史博物館の学芸員などを務めています。子どもたちを対象として、自然観察教室を開いたり、授業でエコロジー/生態学を教えたりするときの手引きとして書かれたものです。 春の草花を調べる、川の生物を観察する、トンボを捕まえて分類するなど、いくつかのテーマを立て、種の見分け方、水辺の危険への注意、採集法、学習のポイントなどが示されています。著者の経験に基づいて書かれていて、かなり実用的ですが、読んでおもしろいとはいいがたいところが難点。 (★★★★)

  • 伊藤氏貴: 読む技法 詩から法律まで、論理的に正しく理解する (中公新書)

    伊藤氏貴: 読む技法 詩から法律まで、論理的に正しく理解する (中公新書)
    評判の本のようでしたので、読んでみました。本の帯に「『読めたつもり』が危ない!」とありますが、それはまさにその通り。30歳代半ばから教職にありましたので、それは実感しています。とくに60歳を過ぎてから短大の非常勤講師になってから、学生たちの読解力がアヤシいと思うようになっていました。読解力そのものも低下しているとともに、集中力が続かないことも影響しているように思っていました。きちんと読めて、書き手の意図することを正しく理解できないと、議論も思索も成り立ちません。この本は、解釈学、構造主義、ナラトロジーなどさまざまな読む技法を具体例に則して紹介しています。世の中、コスパ、タイパが重視される時代ですが、敢えて深く、論理的にじっくりと読み、考えることも大切と思います。 (★★★★)

  • 滝口 正哉: 江戸町奉行所 与力・同心の世界 (岩波新書)

    滝口 正哉: 江戸町奉行所 与力・同心の世界 (岩波新書)
    時代小説が好きでよく読みますので、町奉行所の与力や同心がどのように仕事し、いかに暮らしていたかには、とても興味があります。この本の帯には、「時代劇でおなじみ 江戸の町を守る『八丁堀の旦那』、その本当の姿 くらし、仕事、文化活動」とありますので、割と気楽に読めるかと思ったら、学術的に書かれていました。与力・同心の仕事は、治安維持が主なものではなく、もっと幅広い仕事をしていました。さらに、深い教養を身につけ、豊かな人脈に裏打ちされた文化活動を行う人たちもいたということには驚きました。さらに、明治維新以降の新しい時代と格闘しつつ、江戸を語り継いだ彼らの実像が明らかにされています。寝転がって読むのは、ちょっと難しいかなと思います。 (★★★★)

  • 森 章司: 仏教的ものの見方: 仏教の原点を探る

    森 章司: 仏教的ものの見方: 仏教の原点を探る
    仏教のものの見方の基本は「あるがまま」を「あるがまま」に見ることにあるとして、仏教の人間観、仏・菩薩観、世界観、人生観、見方、生き方を体系的に説いています。著者は、仏教学者で、東洋大学名誉教授。専門はインド仏教。元浄土真宗本願寺派僧侶です。大学時代の同級生に真宗本願寺派のお寺の住職を務めていた友人がいます。私が体調を崩していたとき、「仏教の勉強をするとよい」といわれ、それがずっと記憶に残っていました。いろいろ本を読んだり、テレビ番組を見たりしましたが、どうも今ひとつピンときませんでした.そういう中でこの本を知り、ようやく入手して、やっと読み終えました。初めに書きましたように、「あるがまま」を「あるがまま」に見ることは、簡単そうで難しい。 「あるがまま」を「あるがまま」に見ることが知ることだといいます。哲学も見ることだそうです。「小欲知足」が、仏教のもっとも基本的な生活態度であり、これが「戒」を導くといいますし、自己中心的な思いも減り、慈悲につながるそうです。これらが、つまらないことにこだわることもなくなり、行動の根源となる意思も、考えも、言葉も、行為も生活も正しいものとなり、偏見や固定観念、先入観が消え去って、「あるがまま」を「あるがまま」に見ることができるようになると説かれていました。読みやすい本とはいえませんが、ここに書いたエッセンスを頭に置いて読むと、いくらか分かりやすい気がします。私自身、今は分かったような気がしていますが、たびたび思い出して、振り返る必要があります。 (★★★★)

  • 林望: リンボウ先生 老いてのたのしみ (祥伝社新書)

    林望: リンボウ先生 老いてのたのしみ (祥伝社新書)
    リンボウ先生こと林望さんが実践する「令和老人生活要領」を説いた本です。リンボウ先生は、ちょっと変人で、群れない、威張らない、信念は曲げないという人。初めての老い(誰でも、自分にとってはそうですが)に対して、先手先手でいろいろと考え、対策、対応を考え、実行しています。その第一は危機管理。たとえばどこに行くのにも「誤嚥防止ボード」を持って行き、外食の際でもそれを目の前に立てながら食事をするそうです。他人がどう思おうが構わないとか。見ならいたいことはたくさん書かれていますが、ごく普通の老人には「それはちょっとなぁ」と思うことも多いでしょう。「流行には迎合しない」というのが、リンボウ先生のモットーの1つでもあります。老後の趣味の心得などについても触れられていて、参考になることもあるかと思います。 (★★★★)

  • 平凡社: 街道アトラス

    平凡社: 街道アトラス
    旧街道に興味があります。ただし、あまりあちこちの街道を歩いたわけではありません。この本では、東海道と中山道は各宿場も紹介されるなど、詳しく載っていますが、その他の街道はダイジェスト。いわば、旧街道のカタログ本といったところ。現代の道と比べたり、旧街道がどのようにつながっていたかを知るにはよい本です。ただし、この本だけを頼りに旧街道を歩くことは、ほぼ不可能でしょう。 (★★★)

  • 保阪正康: なぜ日本人は間違えたのか―真説・昭和100年と戦後80年―(新潮新書)

    保阪正康: なぜ日本人は間違えたのか―真説・昭和100年と戦後80年―(新潮新書)
    今年は、昭和100年であり、戦後80年でもあるということで、新聞などでも特集記事が掲載されています。太平洋戦争は、日本という国を滅亡の一歩手前まで追い込みました。昭和という時代もそれが終わってから35年以上経ちますから、これからは歴史として語られるようになっていくはずです。この本は、二・二六事件、東京裁判、高度成長、田中角栄、昭和天皇など、時代を大きく変えた8つの事象を取り上げ、当事者たちの感情や思惑排して見つめ直すことを通して、これまでの通説、定説とは異なるそれらの真相を浮かび上がらせようとしています。読後感としては、私なども、何となくそうなのかと思っていたことがひっくり返されたような感じを抱いています。目的と手段を取り違えている、事実や科学的知見から目をそらしている、希望的観測を事実と思い込む、妙な精神論に陥るなど、今も続く認知、思考は、太平洋戦争のときの軍指導者から始まっているのかも知れません。いろいろな意味で「戦後」という概念については、根本的に再検討が必要ですし、日清戦争から太平洋戦争に至る数十年の戦争の時代は、何に由来し、そこから何を学ぶか、よくよく考えてみる必要があると思いました。 (★★★★★)

  • 保阪 正康: 保阪正康と昭和史を学ぼう (文春新書)

    保阪 正康: 保阪正康と昭和史を学ぼう (文春新書)
    保阪正康さんは、一貫して近現代史を検証し続け、5,000人もの歴史の証人を取材してきています。この本は、月刊『文藝春秋』に掲載されたものから15編を選んでまとめられています。読み応えがあるのに、分かりやすい内容で、昭和史の証人として瀬島龍三、後藤田正晴などインタビューが、また、昭和の戦争7つの謎として無謀な開戦を決意した理由などが載せられています。その後、あの戦争と昭和史を語ろうということで、半藤一利さんなどとの対談が載っています。最後に、歴史をどう引き継ぐかということで、講演録があります。この講演では、江戸時代まで遡らなければ日本人は理解できない、江戸時代の260年を通じて、戦争をしなかったという事実から教訓、知恵を学ぶ必要があるなど、江戸時代に築かれた財産をもう一度取り戻すことの重要性が語られています。明治維新という、薩長の下級武士の暴力革命を経て、帝国主義国家が作られていく過程で、江戸自在の財産は放棄されたと著者はいいます。知識、技術は学び、取り入れたのに、哲学までには思いが至らなかったため、そうなっています。また、もう一つ、著者が強調するのは、天皇制の捉え方、論じ方です。天皇制は、本質的に戦争を嫌う制度だと著者はとらえています。これは、私には目から鱗の見方でした。さらに、天皇は何らかの形で京都にお住まいになって、政治の中心は東京にあってという江戸時代の知恵をもう一度取り戻すのもよいという提案は、真摯に検討する価値があると思います。 (★★★★★)

  • 芝村 裕吏: 関数電卓がすごい (ハヤカワ新書)

    芝村 裕吏: 関数電卓がすごい (ハヤカワ新書)
    関数電卓は持っていますし、その昔は、プログラム電卓で平均値、標準偏差などの計算をする簡単なプログラムを組んで使っていたこともあります。タイトルに惹かれて買ったのですが、ウ~ン、期待はずれでした。計算例が平方根以外にはほとんどありませんでした。関数電卓を片手に、その使い方や、どのような応用ができるかを知りたいと思ったのですが、そういう内容はあまりなくて残念でした。ただこの本を読んでよかったのは、数学の力と計算力とは別物であることが分かったこと。また、計算については、関数電卓などを駆使すればよいということでした。私自身、数学には自信がないのですが、「エェ!?、そうだったっけ?」と思う内容もありました(つまり、間違っているんじゃないの、と思える内容)。 (★)

  • 今尾 恵介: 地名散歩 地図に隠された歴史をたどる (角川新書)

    今尾 恵介: 地名散歩 地図に隠された歴史をたどる (角川新書)
    地名の由来については興味がありますから、この本を手に取ったのですが、読み始めたものの、すぐに「放置」していました。テーマごとに、それに関連する地名が列挙され、その由来について多少の説明(蘊蓄?)が書かれているのですが、列挙されている(例示されている)地名が煩雑で、読むのが面倒になってしまったのです。「地名マニア」の方であれば、これくらい何のそので読み進めたのでしょうが、私にはちょっと難行でした。2年くらい経って、気を取り直して、少々無理矢理に読み進めました。が、「不思議な名称には物語がある」という、帯の謳い文句には、いささか無理があるかなという気がします。物語というのであれば、個々の地名についてもうすこし物語って欲しい気がするのです。ただし、以上は、極めて個人的な感想です。 (★★)

  • piro piro piccolo: 意外と知らない鳥の生活 (コミックエッセイ)

    piro piro piccolo: 意外と知らない鳥の生活 (コミックエッセイ)
    本の帯に「あなたが毎日スルーしている鳥たちの素顔」「カラスも本当は人が怖い」とあります。ほとんど知っている内容でしたが、このように改めて、まとめてあると、いっそうよく分かりました。野鳥観察を始めたばかりの方、野鳥に興味を持ち始めた方には、最適な参考書の1つと思います。身近にいる鳥ばかりが取り上げられていますが、それだけに身近な鳥の行動や、特徴がよく分かって、野鳥がもっと好きになること請け合いです。タイトル通り、まさに「意外と知らない」です。自分では知っているつもりでも、意外と知らないことは多々ありそうです。 (★★★★★)

  • 五味 洋治: 高容姫 「金正恩の母」になった在日コリアン (文春新書)

    五味 洋治: 高容姫 「金正恩の母」になった在日コリアン (文春新書)
    高容姫という女性を知る人は多くはないかも知れませんが、本のサブタイトルにあるように、金正恩の母となった在日コリアンの女性です。北朝鮮では、日本から帰国した人間の社会的地位は低いため、その存在は公的には明らかにされていませんし、「国母」として崇拝されることもありません。これは、金正恩の弱点でもあり、コンプレックスにもなっているかも知れません。大阪の鶴橋で生まれ育った少女の数奇な運命をたどった、力作です。よくぞここまで取材したものだと思います。高容姫の人生をたどることで、北朝鮮の体制、社会、歴史にまで理解が及びます。ほとんど一気読みをしてしまいました。ちなみに、現在も大阪には、金正恩の伯父を始め、親戚が50名以上も暮らしているといいます。このことは、日朝関係の改善や、拉致問題の解決の手がかりになるのではないかという気がします。 (★★★★★)

  • 本郷 和人: 東大生に教える日本史 (文春新書)

    本郷 和人: 東大生に教える日本史 (文春新書)
    別に「東大生に教える」でなくてもよいのですが、この本の元になったのが、東京大学教養学部の学生たちに「暗記不要、歴史を考えるおもしろさを伝えたい」ということで行った連続講義ですから、そういうタイトルになっています。歴史、とくに高校時代に学んだ歴史は、やはり暗記科目でした。あれから50年以上経った今でも、そこから抜けきっていない気がします。そういう意味では暗記ではなく、時代を動かす原動力は何か、誰が時代を変えていくのかという視点から歴史を見て、考えるのは、新鮮です。史実は変わりませんが、それを材料に、自分の視点から、自分の見方で論理を組み立て、自分なりの歴史像を造ってみることを愉しめばよいという著者の考え方をしっかりと身につけられたらよいなというのが、読後感です。 (★★★★★)

  • 木村幹: 国立大学教授のお仕事 ――とある部局長のホンネ (ちくま新書)

    木村幹: 国立大学教授のお仕事 ――とある部局長のホンネ (ちくま新書)
    未だにこういう本を手にするということは、過去の仕事に未練があるのか、と思われそうです。確かに、健康問題がためとはいえ、定年のはるか前にリタイアせざるを得ませんでしたので、未練がまったくないとはいえません。部局長になったことはありませんでしたが、副学部長に相当する立場や、大学の評議員、セクハラマニュアル作成や、セクハラ実態調査を実施する責任者にはなりました。故に、1つの部局内だけではなく、全学的な立場での仕事も経験しました。ごく小さな研究会の会長をしたこともありますし、いくつかの学会で査読委員も依頼されたこともあります。自慢を書いているのではなく、この本の著者の経験と似たような経験もしてきたということです。世間でもたれている大学の教員のイメージは、著者が書いておられるように、実態に即したものというより、先入観がかなり先行したものと思います。現実には、多岐にわたり、大量の仕事、それも本来の業務である教育研究以外の仕事が占める比率が、年々高まっています。われわれが学生だった頃は、まさに古き良き時代でした。独法化されて以降は、教員受難時代といえるかも知れません。日本人は、大学に限らず、小中校ともに、教員に過剰に期待し、酷使していると私は考えています。専門性を尊重し、それが発揮できるような環境条件を整えてこそ、国も民も栄えるような気がします。大学の教員がどのような人達で、どのように働いているかを理解するには、好著と思います。 (★★★★)

  • デジタルカメラマガジン編集部: デジタルカメラマガジン 2025年5月号[雑誌]

    デジタルカメラマガジン編集部: デジタルカメラマガジン 2025年5月号[雑誌]
    ブロ友さんから教えていただきました。昔は、書店でよく立ち読みしていた雑誌です。2025年5月号の特集は、「野鳥撮影超入門ガイド」。内容はもちろん参考になることがたくさんありますが、載っている野鳥の写真がどれもきれいで、驚くくらい。これを眺めているだけでも楽しめるかも知れません。これで¥1,200なら、安い買い物といえるでしょう。 (★★★★★)

  • 日本放送協会,NHK出版: NHK 3か月でマスターする 江戸時代 2025年 1月~3月 [雑誌] (NHKテキスト)

    日本放送協会,NHK出版: NHK 3か月でマスターする 江戸時代 2025年 1月~3月 [雑誌] (NHKテキスト)
    NHKのEテレで放送された、同名の番組のテキストです。今年の大河ドラマ「べらぼう」の関連番組ともいえます。放送を見なくとも、このテキストを通読することによって、江戸時代の概要をおさらいし、さらに、学生時代に学んだ知識をアップデートすることができます。とくに私のように、学生時代から50年近く過ぎたものにとって、昔、教科書で学んだことが、今やまったく書き替えられていることもよくあります。図表、写真も多用されていて、とても分かりやすいものです。 (★★★★)

  • 田中 優子: 蔦屋重三郎 江戸を編集した男 (文春新書)

    田中 優子: 蔦屋重三郎 江戸を編集した男 (文春新書)
    今年の大河ドラマの主人公である蔦屋重三郎について書かれた本ですが、読み終えるのに難儀しました(苦笑)。蔦屋重三郎は、数多くの洒落本、黄表紙、狂歌を世に出し、歌麿、写楽を売り出した人物です。江戸最大のプロデューサーというか、編集者というか。大河ドラマの主人公になるくらいなら読んでみるかと思って、気楽に手に取ったものの、専門書ではないかと思えるような内容、記述で読むのに苦労しました。著者の田中優子さんは、法政大学総長も務めた日本近世文学、江戸文化の大家。 (★★★)

  • 岩波 明: 高学歴発達障害 エリートたちの転落と再生 (文春新書)

    岩波 明: 高学歴発達障害 エリートたちの転落と再生 (文春新書)
    高学歴、高機能の発達障害の方たちの人生は、かなり激しいアップダウンを示すことがよくあります。ダウンした、長いつらい時期を過ごさざるを得ない人達であっても、そこから這い上がり、復活して、成功をつかむことが可能な人達も多くいます。その一方で、長きにわたって低迷した状態から抜け出せない人や、失敗、挫折を何度もくり返してしまう人もいます。高学歴、高機能の人達は、理解がよく、必要な情報に容易にアクセスする能力を持っているのですが、この点がマイナスに作用することもあります。知識量が多くて混乱したり、自分の考えに固執して医師と対立関係になったりすることがあるからです。私自身は、発達障害のある人には、自覚と工夫が必要と考えていますが、この本を読み終えた現在も、その考えに大きな間違いはないと思っています。さらに、発達障害の特性があったとしても、広い意味での環境要因を整えることはとても重要です。専門家による専門的な援助はもちろん、学校、職場の環境調整、家族の適切なサポートなどがそれです。「工夫」をする際には、とくに力量のある専門家からの援助は不可欠です。ASDについては、中核的症状に対する、有効な薬剤がない現状では、心理教育や、認知行動療法、SSTが有用です。ADHDの諸症状には、有効な薬剤が複数ありますし、心理教育や、認知行動療法のアプローチも有用でしょう。苦手なことについてがんばろうとしないことや、自分の得意な事が上手く発揮できたり、活かせたりすることを考えることもとても大切です。この本は、当事者の方やご家族、関わりを持つ教師などの皆さんにとても参考になるでしょう。 (★★★★)

  • 外山滋比古: 人生の整理学 読まれる自分史を書く (イースト新書Q)

    外山滋比古: 人生の整理学 読まれる自分史を書く (イースト新書Q)
    著者は、私の出身高校が旧制中学であった時代の大先輩。『思考の整理学』ほか、多数のベストセラーを書いておられます。この本は、ほかの本を探しに書店に行ったときに見つけて、即買い。自分史を書こうとは思っていませんが、これまでの人生を振り返るのに、何か参考になるかも知れないと思って、買ってきました。「サクセスストーリーのほとんどが退屈」「言いたくてむずむずするところは抑える」「『私』をおさえて『間接話法」で書いてみる」「お手本の文章をみつけて、軟度も読む」「内田百閒『戦後日記』のようにさらっと書いてみる」などなど、首肯するところ多々ありました。 (★★★★)

  • 小松 正: なぜヒトは心を病むようになったのか? (文春新書)

    小松 正: なぜヒトは心を病むようになったのか? (文春新書)
    進化心理学とは、ヒトの心のはたらきを「自然淘汰による進化」という考え方によって統一的に説明しようとする分野です。私が現役の頃から発展してきた、新しい心理学の分野です。この本は、ヒトが陥る自己否定的な状態、他人に対する攻撃性、人間同士の対立や分断など、ネガティブな性質がなぜ進化の過程で残ったのかを考察しています。一言でいうと、それは生存や繁殖と深い関係があるというのです。進化心理学から捉えることで、これら、心のダークサイドがよりよく見えてきます。 (★★★★)

  • 林 望: 節約を楽しむ あえて今、現金主義の理由 (朝日新書)

    林 望: 節約を楽しむ あえて今、現金主義の理由 (朝日新書)
    林望こと、リンボウ先生の本は、昔々、よく読みました。「イギリスはおいしい」などのエッセイは楽しみました。この本のタイトルをネットで見たとき、まさかあのリンボウ先生だとは思ってもみませんでした。リンボウ先生と節約というのが結びつかなかったのです。しかし、読んでみると、まがいもなくあのリンボウ先生の文章でした。ただの節約術の本ではなく、高齢になったときのライフスタイル、生き方について、リンボウ先生の考え方が展開されていました。筋金入りのへそ曲がりにして、頑固者のリンボウ先生らしい生き方です。キーワードを拾っただけでも、その一端が分かります。「銀行は信用してはいけません」「(お金を)知らない人に預ける危険性を考える」「高齢者は見栄を張らない」「冠婚葬祭は義理を欠く」「自然の調整機能に任せる」などなど。私はリンボウ先生ほど変人でも頑固でもないと思っていますが(多少は変人で、融通が利かないという自覚はあります)、なるほどと思ったことは参考にして行きます。 (★★★★)