20210201勝手に養老鉄道ハイキング「桑名駅西歴史散歩」(その1)……播磨を出発して北別所神明社、高塚山古墳に登るつもりがリタイア、式部泉を通って土佛山聖衆寺へ
2月1日に行ってきた「勝手に養老鉄道ハイキング『桑名駅西歴史散歩』」の本編、その1です。予告編にも書きましたが、下調べは少しずつしていたものの、日程としては、ほぼ思いつきでこの日に出かけました。非常勤の講義も終わり、成績も付け終えましたし、確定申告の準備も済みましたので、前日の夜、「行こう」と決めた次第(微笑)。「勝手に養老鉄道ハイキング『桑名駅西歴史散歩』」というタイトルにしましたが、「養老鉄道ハイキング」となったのは、結果論。一応、養老鉄道播磨駅をゴールにしていたのですが、電車の時刻が合わなければ家内に迎えに来てもらおうと思っていました。しかし、ゴールの10分後に桑名行きの電車がありましたので、急遽「勝手に養老鉄道ハイキング」になったのです。この日歩いたのは、「くわな史跡巡り」という桑名市文化課が、平成28(2016)年3月に刊行した本(ミス多発で、すぐに販売停止され、今日に至っていますから、稀覯本といえるかも知れません)の122~125ページにある「駅西コース:照源寺コース」を参考にコースを組み立てました。本編、いつものように書きながら考えますが、3回くらいを見込んでいます。
こちらが、この日のルート。朝は家族にクルマで送ってもらい、播磨郵便局近くを8時25分頃スタート。先日行った岸西山の西を通って南下(2021年1月15日:大山田川あたりでバードウォッチングとプチ歴史散歩……大正寺と尾野神社について付記、修正しました【1/18】)。県道142号線を越えて、北別所神明社、北別所中世墓、高塚第三公園、高塚山古墳(途中で断念)、式部泉あたり、土佛山聖衆寺、立坂神社𦾔跡、円妙寺墓地、大福田寺、円妙寺、東海山照源寺、専明寺、尾野神社と回って、養老鉄道播磨駅にゴール。11時25分。歩いたのは6.5㎞ほど。しかし、けっこう高低差があり、運動量はかなりありました。
詳しいルートマップその1(左)。スタートして、すぐに南下。1月15日に訪れた岸西山の西側を通って行きます。「南下」で南に下るのですが、道は登り坂。県道142号線は、桑名東員線。このあたりはずーっと、昔からの住宅団地を通って行きます。142号線を越えて左折し、旧桑名西医療センター(元市民病院)の東を通って北別所神明社(マップでは神明社)、北別所中世墓へ。そこから髙塚町の住宅団地を西へ。ここも登り坂。高塚第三公園から高塚山古墳に登ろうと思ったものの、途中で断念。竹林を通って、式部泉(しきぶせん)、土佛山聖衆寺、その奥の院である秋葉三尺膨大権現と回って行きます。
スタートは、このあたり。大山田川をはさんでいます。向かって左が播磨郵便局。向かって右は、今はけっこう少なくなったと思いますが、不二家桑名播磨店。不二家の洋菓子を扱っています。右の写真は、岸西山遺跡の西側。登り坂が続きます。こういうダラダラと登る坂は、けっこうしんどい(苦笑)。
坂を登り切ったところで、県道142号線の上を越えます。桑名東員線ですが、我が家からは、イオン桑名や、東員の万助溜公園、いなべの両ヶ池公園などに行くときに通る道。左の写真は東の方、右の写真は西の方。西の方は、小公園になっています。県道は、トンネル。このトンネルをくぐった東西で天気が少し違うなと思うことがたまにあります。
こちらは、旧桑名西医療センターの跡地を望んだ写真。かつては、正面に病院がありました。桑名市民病院、山本総合病院そして平田循環器病院が合併して、桑名市総合医療センターになりました。山本総合病院のところに新しい病院の建物ができるまでは、市民病院は西医療センターでした。すでに建物は解体され、更地。早ければ、昨年、有料老人ホームと分譲型の医療モール、介護ショップを併設した調剤薬局など開業するということでしたが(こちら)、まだ建物は見えません。
西医療センターの跡地を過ぎ、角を右に曲がったところに北別所神明社。歩き始めてほぼ1㎞。創始は不詳。旧社格は、村社。織田信長の伊勢侵攻の時、桑名ではここに本陣を置いたといいます。また、神社の由緒には、織田信長在陣の時、当神明社を崇敬し、幣帛等を奉納し、また、社内に信長の駒繋の松と伝える松があったといいます。
主祭神は、天照大御神。相殿神は、大山祇神(おおやまつみのかみ:山を司る神)、迦具土神(かぐつちのかみ:火の神)、天満大自在天神(菅原道真、天神に同じ)。由緒書きに、宝物として、信行焼御神酒壺一対(市文化財)、信行焼狛犬一対とあります(ただし、拝殿前の狛犬は、石造)。信行(しんぎょう)は、江戸時代の中頃、聖衆寺を再興した瓦師・岡本信行(1648~1732年)。信行は、瓦師として鍋屋町に住んでいたのですが、 脱俗して北別所の聖衆寺に入り作陶を手がけました。個人的に珍しいと思ったのは、右の写真にあるように、神額。石に文字が刻まれているように見えました。
拝殿に向かって左手には、「皇太子殿下御生誕記念御造営」という石碑。碑表、碑陰とも、寄附者の名簿になっています。石碑の古さから勝手に推測するに、現在の上皇陛下がお生まれになったときのものかという気がします。上皇陛下は、昭和8(1933)年12月23日のお生まれ。神社の境内地東側には、「殉国戦士之碑」(右の写真)。詳細不明。以前は、三重県遺族会のサイトに県内のこういう忠魂碑、慰霊碑のリストがあったのですが、最近はなくなってしまい、調べられません。
北別所神明社の向かいに北別所中世墓(きたべっしょちゅうせいぼ)があったと、「くわな史跡巡り」にあります。この写真がその場所なのですが、建物が建ち、裏手は駐車場になっています。その名の通り、中世の墓の跡と考えられ、古瀬戸、常滑等の焼き物が出土したそうですが、きちんとした調査はされないまま破壊されてしまいました。
北別所神明社、北別所中世墓のところからは西へ直進。高塚の住宅団地の中です。西に向かって、さらに登り坂。登り切って、高塚の住宅団地の西の端に高塚第三公園(右の写真)。このあたりで標高70mほど。スタート地点が12~13mでしたから、かなり登ってきました。この公園の西に高塚山古墳があります。15年前に訪ねていますが(2006年2月11日:標高88.62メートル)、改めて行ってみようと思ったのです。高塚山古墳は、全長約56mの桑員地区最大の前方後円墳。平成16(2004)年の調査で盾型や朝顔型、円筒埴輪、籠の文様のついた土師器がたくさん発見され、築造時期は4世紀後半の古墳と推定されています。有力な豪族の墓なのでしょう。
高塚山古墳に登ろうかどうしようか迷っていたら、地元にお住まいの男性が通りかかられたので伺ってみました。「う~ん、行けるけど、今は難しいよ」ということでした。しかし、「まあせっかく来たから」と登りかけたものの、途中で右の写真のような状態。この古墳、竹林になっているのですが、最近は人の手が入っていないようで、かなり荒れていました。男性も、「古墳の標識も、今は倒れてしまっている」とおっしゃっていましたので、登るのは結局、断念。
ちなみに、2006年1月に登ったときの写真を載せておきます。左の写真が高塚山古墳のもっとも高いとこ
ろ。「高塚山古墳」という木製の碑が建っていますが、地元の男性によれば、これはすでに根腐れして、倒れているといいます。向かって左手にあるのは、一等三角点。
降りて来て、高塚第三公園の南の高いところから東を見ますと、眺望が開けていて、揖斐・長良川から名古屋の方までよく見えました。ズームアップすると、我が家のマンションも小さく見えています。このあたりで歩き始めて2㎞。時刻は、9時15分。
ここからは、土佛山聖衆寺(どぶつざんせいしゅうじ)に向かいますが、この先はずっと竹林の端を通って行きます。
この先に式部泉(しきぶせん)という泉がありました。平安時代の歌人・和泉式部が硯の水にした、あるいは、長嶋一向一揆の時、江州住人山本式部何某が討れて、その首を洗ったという話があります。式部泉がどこにあったかは、今となっては不明。雰囲気というか、イメージというか、京都の嵯峨野を彷彿とさせる静けさがあります。外からの音が、竹に吸い取られているような感じでした。ちなみに、和泉式部にまつわる説話、伝説は、民間信仰と結びついて広く各地に分布しているといいますから、硯の水にしたというのも真偽は不明と思います。
高塚第三公園から10分足らずで、竹林が途切れ、土佛山聖衆寺の下に出ます。この写真で、左手に階段があり、聖衆寺に行くにはこれを登ります。まったくのトリビアですが、向かって右にある電柱には、「とらや饅頭」とあります。とらや饅頭は、春日神社(桑名宗社)門前にある饅頭屋さん。メインのとらや饅頭は、酒饅頭。宝永元(1704)年創業で、江戸時代には桑名宿の土産物などとして武士や町人に親しまれたそうです。
土佛山大正院聖衆寺です。ここで2.5㎞。真言宗醍醐寺派のお寺。桑名では「土佛さん(どぶっつぁん)」と呼ばれます。鎌倉初期の建仁4(1204)年に、北伊勢地方鎮護のため定舜法師が建立したといわれる古刹です。永正年間(1504~1520年)に乗覚照範和尚が伽藍修復と堂宇建立を行い、中興されました。当時は、43坊を有し、僧兵も1,000余名置くほどの大寺であったといいます。しかし、信長の伊勢侵攻の時に焼かれ、現在の堂宇のみが残りました。江戸時代の中頃、瓦師岡本信行が、桑名藩主松平定重に寺運再興を言上して再興し、瓦製阿弥陀如来(市文化財)をつくったため、「土佛さん」といわれます。本堂は大正12(1923)年の建立。
伊勢七福神(恵比寿神)にして、三重四国八十八箇所第2番札所。境内には、7体のお地蔵様もいらっしゃいます。
聖衆寺から、奥の院の秋葉三尺坊大権現へ行くには、またもや急な階段を登っていかなければなりません。普段の散歩では、ほとんど高低差のないところを歩いています(せいぜい5~10m)ので、ちょっと大変。奥の院は、かなり広いところ。ここには、秋葉三尺坊大権現の他、稲荷社などがありますが、長くなりますので、その1はここまで。その2は、秋葉三尺坊大権現からとします。
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