お知らせ

  • データの移行について
    2005年10月26日のブログ開始当初から、2023年5月31日までの記事は、「猫の欠伸研究室(アーカイブ)」に移行しました(http://blog.livedoor.jp/taichimaru151/)。 このココログの「猫の欠伸研究室」には、2018年1月以降の記事を残し、2017年12月以前の記事は削除しました(2018年1月1日から2023年5月31日までの記事は、両方にあります)。

レンズを通した自然観察

  • この「レンズを通した自然観察」ということばは、恩師のお一人が、私の趣味を形容しておっしゃったものです。2023年2月7日のブログに書きましたが、実はときどき思い出していることばです。お世話になった先生方はたくさんいらっしゃいますが、この恩師は、就職のことから学位論文の執筆、審査に至るまで本当にお世話になった先生です。「写真の撮り方を指南してもらいたい」ともおっしゃったのですが、これはお世辞と理解しています。私はほぼ隠居状態となって10年以上になりますが、今、改めてこのことばをかみしめています。この先生には結婚式の際に「理論と臨床をつなぐ仕事をするように」ということばをいただきました。体調を崩してそれには十分に応えられませんでしたので、せめてこの「レンズを通した自然観察」については、極めるとまでは行かないにしても、もう少し精進したいと考えています。

ブログ名の由来

  • ブログ名の「猫の欠伸研究室」は、中日新聞の夕刊に連載されている「紙つぶて」というコラム(平成22(2010)年1月13日)に、元新党さきがけ代表の武村正義さんが書いていらっしゃった「人生は猫の欠伸である」というコラムによります。武村さんは、“チベットで鳥葬を取り仕切る僧侶が、「人の生涯は猫の欠伸のようなもの」と語った”と書いていらっしゃいます。「猫の欠伸のようなもの研究室」としたかったのですが、ちょっと間延びしますので、「猫の欠伸研究室」とした次第です。「研究室」とつけたのは、過去、大学に勤めていたことがあるということやら、知らないこと、分からないことがあると何でも調べずにはいられない性分であること、屁理屈、講釈が大好きであることからであります。しかし、「人生の研究をしている」のではありません。「大所高所」からのご高説を開陳できるほどの力量はないが故、「小所低所」からの戯れ言をつぶやくのが精一杯(苦笑)。身の程に合わせ、勝手なことを書き綴っていますので、御用とお急ぎでない皆様には、今後ともご交誼のほど、お願いいたします。是非ともコメントを頂戴し、少しでも世間を広げたいと熱望しております。

モットー

  • 座右の銘というほど立派なものはありませんが、過去に体調を崩し、療養生活を送った経験から、私なりのモットーをつくっています。その一つは、「淡々と飽きもせず……」です。自分では、「……」と余韻を残しているところが気に入っています。こだわりすぎや、やり過ぎはよくありません。若い頃はムキになってやったこともありますが、今はこのように「淡々と飽きもせず……」が自分に合っていると思っています。もう一つは「晴耕雨読」ならぬ「晴歩雨読」です。マンション暮らし故、耕すところはありません。代わりに歩いています。そして、最近(令和3(2021)年に入った頃から)追加したのが、「散歩生活、ときどき仕事」。NHKのテレビ番組に「晴れ、ときどきファーム!」というものがあります。これのもじり。浅学非才の身ですので、ご交誼の上、いろいろとご教示をお願いします。

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2021年1月15日 (金)

大山田川あたりでバードウォッチングとプチ歴史散歩……大正寺と尾野神社について付記、修正しました【1/18】

Img_5183c_20210115165901  今日までは暖かいという天気予報でした。遠くに出かけるのは憚られますので、近場でいつもと違うところへと考え、久しぶりに大山田川あたりを歩くことにしました。大山田川は、大山田団地にある光陵中学校の北あたりから東に流れ、東名阪道、国道258号線の下を通って、播磨から伊勢大橋の北で揖斐川に注ぐ一級河川。たぶん6㎞足らずの長さ。いつものように、播磨にある日物谷の市営住宅近くから歩き始めました。まずは、播磨橋まで。今日はここから南に少し下り、岸西山(がんさやま)へ。ここは遺跡になっており、また、大正寺という浄土宗のお寺と尾野神社北之宮があります。初めて訪ねました。その後、大山田川に戻り、沢南橋あたりまで下って、上之輪新田を覗き、大山田水門から伊勢大橋、福島地内と歩いて、六華苑脇から住吉神社へというコース。6.9㎞。最高気温は12.4℃と暖かく、風も弱かったので、今日もまた散歩日和。

Img_4457c_20210115165601  日物谷の市営住宅近くから播磨郵便局近くの間では、まずは、セグロセキレイ。いつもの散歩コースで見るセキレイは、ハクセImg_4477c_20210115165601 キレイがほとんど。セグロセキレイは、大山田川に来るとたいてい見られます。キセキレイもときどき見られますが、今日は出遭いませんでした。右の写真は、コガモ。大山田川の今日歩いた範囲のあちこちで見られます。とくに多いのは新宮西橋のところ。

Img_4480c_20210115165601  播磨郵便局の南あたりで、アオジ。ただし、超証拠写真(苦笑)。ちょっと距離があり過ぎました。さらにImg_4491c_20210115165601 その近くで、ハクセキレイも。

Img_4626c_20210115165701  播磨橋から南へ。岸西山へ向かいます。教育委員会の文化財のサイトによれば、ここは弥生~古墳時代の遺跡で、弥生土器が出土したといいます(岸西山遺跡)。左の写真は、岸西山の南西側から少し登ったところから、大正寺の山門方面を撮ったもの。

Img_4548c_20210115165601  まずは、大正寺へ。浄土宗のお寺。岸西山と号します。こちらのサイトや「くわな史跡めぐり」によれば、江戸時代中期の開基といいImg_4509c ますが(桑名市史によれば、明和(1764~1772年)の頃)、他にネット検索では詳しい情報は出て来ません。お寺は、岸西山の東北側の斜面に建っており、山門から境内へは下っていきます。

Img_4514c_20210115165601  山門を潜って、境内の右手には鳥居とお社がありました。お社の中は暗かったのですが、覗いてみると、狐が見えましたので、おそらく稲荷社と思われます。しかし、社号、由緒を示すものはなく、詳細は不明。

Img_4521c_20210115165601  大正寺に来たのは、野村増右衛門の供養塔があることを知ったからです。野村増右衛門は、桑名藩島田代官所(桑名藩領の員弁郡嶋田村、現桑名市島田)の手代(8石2人扶持という記録があります)という軽輩の身から藩を左右する実力者にのしあがっています(郡代となり、700石を得ています)。その権力は家老をも凌ぐと言われたこともあります。新田開発、河川改修、焼失した城の修理など藩への貢献は大きかったのですが、宝永7(1710)年、突然公金横領等の嫌疑で捉えられ、弁明もむなしく処刑されました。処罰は増右衛門だけでなく一族の老人や、わずか1歳の子どもを含む44人が死刑、関係者数100名が追放または罷免にされたという、桑名藩では前代未聞の大事件でした。藩の公式記録が、後年、すべて焼却されているために不明な点が多いのですが、敏腕を振るう野村に対して長期間ないがしろにされた(と思った)譜代家老らの憎悪(私怨)によるものとされています(こちらも参照)。この失政の責任を問われ、藩主・松平定重(久松松平家)は越後高田(現在の新潟県上越市)に国替えになっています。久松松平家が文政6(1823)年に桑名に再封されると、増右衛門の罪は許され、文政10(1827)年に供養塔が建立されました。最初は、大山田川川原の処刑場に建てられたのですが、明治42(1909)年、ここに移転されています。なお、増右衛門の墓は、現在は、島田の共同墓地にあります。

Img_4562c_20210115165601  大正寺の南に尾野神社北之宮があります。由緒書きなどはありません。尾野神社は、この南西にもあります。今は、そちらが本社のように思います(後の付記をご覧ください)。尾野神社は、孝昭天皇の子で春日臣の祖・天押帯日子命(あめのおしたらしひこのみこと)と衝立船戸神(ついたてふなとのかみ)を祀っています。衝立船戸神は、杖の神や曲がり角の神で、桑名では川が曲がっているところに祀られていることが多いようです。尾野神社は、舟着明神とも呼ぶ。古くはこの付近が海岸線であったといわれ、その境内に舟繋松と称する松があります。この北之宮については、詳細不明(付記したように、桑名市史の記述によれば、もともと尾野神社は、このあたりに鎮座していたものを、後に船着大明神の社へ奉遷して相殿としたという説があります)。

Img_4582c_20210115165601  岸西山を頂上まで登ると(といっても標高は40m足らず)、魚藍(ぎょらん)観音堂があります。「久波奈名所図会」の泡Img_4585c_20210115165701 州崎之部によると、元禄2(1689)年11月、掛樋通の堀さらへをした時、水底より出現したものといいます(現在、久波奈名所図会を確認中)。唐、元和12年の作とも、また伝教大師の作ともいうが定かではありません。昭和50(1975)年3月、市指定文化財。これと時を同じくして、愛染明王、役行者の脇侍佛とともにここに安置されたといいます。今は、ちょっと手入れが行き届いていない感じがしました。

Img_4588c Img_4591c_20210115165701  観音堂に向かって右手には、「魚藍観音碑」と、水谷孟生の歌碑があります。魚藍観音碑には、ここに魚藍観音が納められた経緯が記されています。魚藍観音は、「元禄2(1689)年、掛樋の御堀さらへの時、水中より出現し、一時は、不破義幹氏の手もとにあった」とあります。不破義幹氏は先々々代の春日神社の宮司さんにして、郷土史家。水谷孟生氏は、和菓子の花乃舎の4代目主人。歌碑には、「ちちと鳴く 間遠の浦の 群千鳥 母ともしたふ むらさきの雲」とあります。この歌は、ここ魚藍観音の山号「紫雲山」に因んだものといいます。

Img_4621c_20210115165701  こちらは、岸西山の頂上あたり。このあたりが岸西山遺跡かと思います。建物の礎石らしきものがありますが、詳細は不明。水谷孟生の歌碑の他、小林雨月庵句碑があると「くわな史跡めぐり」にはあったのですが、しばらく歩き回ったものの、こちらは分からず。ちなみに「箒めの とどかぬもよし 苔の花」という句だそうです。雨月は、本名、慶治郎で志知の人。本統寺にある冬牡丹句碑建立に尽力したといいます。

Img_4605c_20210115165701  岸西山の頂上からはそれなりに眺望が利きました。揖斐・長良川まで見えます。長良川河口堰も見えますし、手前にはエディオンなども。今ほど木々が茂っていなかった頃なら、もっとよく見えたと思います。

Img_4653c_20210115165701  岸西山を下りて、NTNの産業機械技術開発センター近くの水路の方へ。愚息が、この水路にコガモがいるとImg_4685c_20210115195401 いっていましたので、見に行った次第。今日は、メスが2羽のみ。ここからは、養老鉄道播磨駅南あたりへ戻ります。「戻る」というのは、播磨橋のすぐ東に出るからです。

Img_4681c 今までは、播磨橋からは、大山田川右岸を下っていくのですが、養老鉄道Img_4705c_20210115165701 の踏切のすぐ東から通行止め。災害復旧工事のためです。堤防道路の下が崩れたようですが、河床の方も草木を取り除いたりしたようです。鳥見という視点からすると、ちょっとなぁと思いますが、まぁ治水が優先ですね。

Img_4721c_20210115165701  その先、新宮西橋付近は、コガモがたくさんいるところ。橋の上流側に集まっています。その数20羽を越えるくらい。ここ新宮Img_4734c_20210115165701 西橋は、橋の下にイワツバメが営巣します。去年のブログを見ると、今頃すでにイワツバメが来ていたとあります(2020年1月18日:大山田川沿いから福島あたりでバードウォッチング……カワセミ、ケリ、芸達者なアオサギたち、そしてイワツバメが来て白梅が咲いて、春の雰囲気)。今日はまだイワツバメ之姿は見られませんでした。

Img_4755c_20210115165701 Img_4779c  新宮西橋からJR/近鉄の鉄橋までの間で、オオジュリン。左の写真はメス、右の写真はオスと思います。たくさんとはいいませんが、このほかにも数羽いましたし、このあと、沢南橋の上流でも見ました。オオジュリンも、普段の散歩コースでは見られません。

Img_4827c_20210115165801  沢南橋のすぐ上流にある人・自転車専用橋のところで、カワラヒワにツグミ。カワラヒワは、Img_4835c_20210115165801 護岸のスロープにも止まっていたりします。また、このあたりでは、メジロも出て来ました。ウグイスの地鳴きも聞こえていたのですが、さすがに姿は見られませんでした。オオジュリンは、このあたりにもいます。

Img_4823c_20210115165801  人・自転車専用橋のところでは、再びアオジらしき鳥。アオジは、証拠写真もどきばかり(苦笑)。

Img_4872c_20210115165801  沢南橋から下流側を見たら、ダイサギが3羽にアオサギが1羽。ただし、アオサギは葭の陰に隠れています。近くにはオオバンも浮いていましたし、イソシギらしき鳥も逃げていくのが見えました。イソシギは逃げ足は速いのです。このあたり、以前、コガモもいましたし、カワセミをよく見るところですが、今日はどちらもいません。コサギやジョウビタキも見られませんでした。

Img_4883c_20210115165801 Img_4888c_20210115165801  ここから、上之輪神社を経て、上之輪新田へ。ケリがいないか探そうと思ったのです。単眼鏡で2回ほどチェックしたのですが、ケリの姿はありません。

Img_4902c_20210115165801  南側の水田にセキレイたち。セグロセキレイとハクセキレイが1ペアずつ。写真はセグロセImg_4911c キレイ。ここで実は、10時10分を回った頃。ふと「ひのとりが来るかも知れない」という考えが浮かんできました。しかし、セキレイたちの向こうにオスのモズが登場し、そちらに気を取られました。

Img_4934c_20210115165801  これが不覚のもと。気づいたら、ひのとりがすぐ近くまでやって来ていました。左の写真、パッと見にはそれなりに撮れたと思えるかも知れませんが、実は、これは大阪行き。つまり、進行方向は向かって左で、最後尾の写真(苦笑)。

Img_4974c  大山田川が揖斐川に注ぐあたり、大山田水門の先にアオサギが1羽。さらにその南、甚内ポンプ場の排水口のImg_4994c ところにもアオサギがやって来ました。

Img_5032c  伊勢大橋西詰交差点を越えて、揖斐川沿いの堤防。先日も、伊勢大橋架け替え工事で杭打ちが行われていましたが、今日もその準備のようでした(午後から、杭打ちが行われ、音が響いてきていました)。

Img_5065c  福島(ふくじま)の水田でケリ。以前は、上之輪新田や、ここ福島の水田ではよくImg_5072c_20210115165801 ケリを見たのですが、ここ2~3年はあまり見なくなってきています。さらにこのあたりでは、ツグミがけっこういました。

Img_5080c_20210115165801  福島というか、諸戸苑から水路をはさんでその北にちょっとした梅の木畑があります。ここには、白梅と紅Img_5088c_20210115165801 梅とがありますが、毎年早めから咲いています。ここでも紅梅の方が早くから咲いたようです。

Img_5123c_20210115165801  このあとは福島のポンプ場のところから六華苑の北を通って、揖斐川の右岸堤防へ。セグロImg_5135c_20210115165801 カモメが飛んで来て、揖斐川に降りたと思ったら、何か魚を捕まえて食べているのが見えました。さらに、最近はあまり触れていませんが、揖斐長良川の中洲にある「アオサギの集合場所」には、今日は、アオサギが4羽やって来ていました。余りにも早い時間にはやって来ないようです。

Img_5153c_20210115165801  住吉神社には、11時10分頃到着。8時半から歩き始めましたから、ここまで2時間40分くらい。ほぼ7㎞ですから、まあよく歩いてきました。住吉神社の前では、久しぶりに散歩友達のTさん。今年初めて出会ったと思います。

【大正寺と尾野神社についての付記(1/18)】 いずれも桑名市史によって付記します。まず、大正寺については、桑名市史(本編pp.469~470)では「岸西庵(一雲寺=大正寺)」という見出しで言及されています。

東方村北岸西山にある。本尊阿弥陀如来、開基は本梁、宝暦9(1759)年松平下総守の家臣奥平宗右衛門の次男宅之丞定盈が美濃国庭田村の浄土宗円満寺の弟子となり、法号を本梁と称し、明和頃当庵を創建した。

境内の観音堂紫雲山一雲寺は、空也上人(元禄3寂70)の開基と伝うる古刹で、もと今一色堤原の南、会下(えんげ、えか)にあったのを安永3年(1774)当所に移した。<中略>明治5年(1873)に廃庵となったが、信徒の来賽多く、愛知県市江の浄円、善戒等により仏道として継がれ、明治末期から妙香尼の代になって信徒益々増え大正14年(1925)大正寺となった。昭和30年(1955)1月9日浮浪人の放火にて全焼、31年4月落成、本尊は照源寺末の廃寺北楠の玄忠寺より迎えた。現住職水谷祐愼、前期の火災にて什物伝記等一切焼失したので詳細は知ること困難である。

 次に尾野神社について。桑名市史(本編pp.51~52)に、「市内大字東方、小野山の北方、字西場様に鎮座し俗に船着大明神と称する」とあります。さらに、以下のように記述が続きます。

この地は往古に尾津浦また小野入江・小野古江・船戸村とも云い、町屋川と西別所川の落ち合った処でここを往来する船の停泊所であったと伝う。西方は走井山の給料に連らなり、東は田野に民居し、その山嶺(尾)に続いた野であったので尾野と称し、転じて小野とも書かれているが、一説には上代の名族、小野氏族民の占拠地であったとも伝えられている。<中略>一説には尾野山の北の鼻山に鎮座してあったのを、後に船着大明神の社へ奉遷して相殿としたという。

この社の祭神については、異説多く、通説素戔嗚尊(午頭天王)とし、また野槌神とし、また衝立船戸神とし、相殿を宇賀御魂神・八幡神・春日神・神明神・山神の五神とし、または小野臣の祖神、天押帯日子命として、相殿に天照大神・宇賀神・春日神・八幡神を祀るとも云う。

社はその西方丘陵に奉祀する高御前に対し、江御前とも称する。郷司家旧記には第53代淳和天皇の天長年中、僧空海が伊勢へ来錫した時、疫病が流行してこの社に参拝したと云い、館家日記には、この社の祭神を素戔嗚尊とするには、織田氏の兵乱にこの社を天王に擬して兵火を免れようとした名残であろう。往古は東富津御厨、内宮若江御厨等あり、今の字に畝若江之内・若之尻等あるは御厨田なるべく、依って天照大神を祀って村名を田宮村と云い、船戸村に船戸神を祀ったとある。

 以上の記述によると、大正寺の南にある尾野神社北之宮は、最初のパラグラフにある「一説には尾野山の北の鼻山に鎮座してあった」社のことかという気がします。

 なお、尾野神社のある大成小学校の北の丘は、尾野山城跡とされますし、この尾野山城跡と、大成小学校を挟んだ南側のところは、白山鼻ヶ城跡とされます(こちら)。

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    2022年12月のNHKのEテレ「100分de名著 中井久夫スペシャル」のテキストです。今頃(2023年2月)これをリストアップしているのはどうかという気もしますが、録っておいたビデオをみたのが最近なのです。中井久夫さんは、2022年8月にお亡くりになりましたが、日本を代表する精神科医のお一人であり、翻訳家、文筆家としても一流でした。現役の頃、中井さんの本はたくさん読みました。臨床心理学の分野でも「風景構成法」を導入した方として知られています。Eテレの講師である齋藤環さんは、中井さんを評して「義と歓待と箴言知の人」と書いておられますが、まさにそういう気がします。『最終講義』『分裂病と人類』『治療文化論』『「昭和」を送る』『戦争と平和 ある観察』が紹介されています。現在もウクライナで戦争が続いていますが、中井は「戦争は過程、平和は状態」とし、戦争は物語として語りやすく、とにかくかっこよくて美しい、それが問題だといいます。一方、平和は分かりにくく、見えにくいため、心に訴える力が弱いとします。「状態を維持する努力はみえにくい」のですが、戦争と平和に限りません。普段通りの日常生活を維持していくのも同じような気がします。戦争を経験していない人間が指導者層の多くを占めるようになると戦争に対する心理的抵抗が低くなるともいいます。「戦争には自己収束性がない」とも中井さんはいっています。われわれはやっかいな時代に生きていると痛感します。中井さんの本を多くの方が読むと、時代も変わるかも知れません。 (★★★★★)

  • 桑名三郎: 七里の渡しを渡った人達(久波奈工房)
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  • 日下部理絵: 60歳からのマンション学 (講談社+α新書)

    日下部理絵: 60歳からのマンション学 (講談社+α新書)
    今年1年、何の因果か(などと書くとお叱りを受けること必至ですが)、住んでいるマンションの管理組合の理事長を仰せつかっています。今年は、エレベーターリニューアル工事が最大のイベントで、それは無事に済んだのですが、前理事長から8年後に迫った第3回大規模修繕に向けて、修繕積立金が不足する見込みと申し送られました。確かにかなりの金額が不足しそうで、頭を悩ませていました。マンションに住みながら、そもそも基本的な知識が不足しており、管理会社のフロントマンの方の協力を得ながらシミュレーションなどをしていました。ネットであれこれ調べてはいたものの、それで得られる知識は体系的なものではありませんでした。この本は、事例を元にマンション管理について必要な知識が得られるように書かれており、まだすべて読み終えてはいないものの、とても役に立っています。任期残り2ヶ月半となって付け焼き刃ではあるものの、次の理事会に具体的に課題を申し送ることができるよう勉強中(笑)。 (★★★★)

  • 宮口 幸治: ドキュメント小説 ケーキの切れない非行少年たちのカルテ (新潮新書)

    宮口 幸治: ドキュメント小説 ケーキの切れない非行少年たちのカルテ (新潮新書)
    「ケーキの切れない非行少年たち」や「どうしても頑張れない人たち」の著者である宮口幸治さんの新刊です。前2著の内容をよりよく理解できるよう、「ドキュメント小説」として書かれたものです。主人公は、精神科医の六麦克彦。医局から派遣されて要鹿乃原少年院に勤務して5年。彼がそこで目にしたのは、少年院に堕ちてきた加害者ながら、あらゆる意味で恵まれず、本来ならば保護されてしかるべき「被害者」と言わざるを得ない少年たちでした。この内容は、前の2冊のように普通の新書では書き尽くせるものではなく、物語の形を借りざるを得なかったのでしょう。ただし、普通の小説として読むのには少し苦労するかも知れません。特別支援教育が普及して、知的障害や、発達障害のある子どもへの教育や支援は、以前に比べれば改善されてはいますが、最近は、家族の養護能力が十分でなかったり、親など家族自身に支援が必要なケースもたくさんあります。こうした中には、この本で取り上げられたような結末に至ることがあっても不思議ではないという気がします。極端な事例が集められていると思われるかも知れませんが、社会全体として真剣に取り組むべき課題が突きつけられています。 (★★★★)

  • 本田秀夫: 学校の中の発達障害 「多数派」「標準」「友達」に合わせられない子どもたち (SB新書)

    本田秀夫: 学校の中の発達障害 「多数派」「標準」「友達」に合わせられない子どもたち (SB新書)
    本田秀夫先生によるこのSB新書の4冊目のシリーズ。今回は、発達障害のあるお子さんの学校選び、学級選び、友達関係、学習や学力の悩み、不登校など、発達障害のあるお子さんの学校生活全般にわたって、どのような考え方に基づいてサポートしたら良いかについてまとめられています。それぞれ、親と先生とが、どのように取り組むことが基本となるか、解説されています。対策よりも予防的な工夫をコミュニケーション(要求ではなく)に基づいて行う、「学校の標準」を緩める、登校や成績を気にしすぎず、社会に出るための土台作りを考える、発達の特性には寛容になる、学びを大切にするが学力にこだわりすぎない、親と先生とが気づきを伝え合い相談、調整する、子どものモチベーションを重視するなど、具体的に書かれていて、分かりやすくなっています。発達障害のあるお子さんが小中学校で充実した学習が進められるための基本的な考え方やヒントが詰まっていますので、親御さんにも、先生方にもお勧めできます。 (★★★★★)

  • 佐々木秀斗: 小学生博士の神社図鑑 ぼくの近くにはどんな神さまがいるの?

    佐々木秀斗: 小学生博士の神社図鑑 ぼくの近くにはどんな神さまがいるの?
    サンドウィッチマン&芦田愛菜ちゃんMCの「博士ちゃん」に「三国志博士ちゃん」、「日本の神様博士ちゃん」として2回出演した佐々木秀斗君の自由研究を本にしたもの。何故これをここに取り上げたかというと、私のブログに載せた立坂神社の緑色の鳥居について、写真を提供して欲しという依頼が出版社からあったのです。私が提供した写真は、本書の162ページに「提供:猫の欠伸研究室」として載っています。ざっと読みましたが、大人でも、古事記や神社についてよく知らない方が、最初に手に取って基本的なことがらを知るには、わかりやすくて良い本だと思います。 (★★★★★)

  • 森 博嗣: 読書の価値 (NHK出版新書)

    森 博嗣: 読書の価値 (NHK出版新書)
    ネットで見つけ、新刊かと思って購入したのですが、4年前の本でした(微苦笑)。 若い頃に森博嗣さんの小説をすべて読んでいました。いつの頃からか、小説は読まず、森さんのエッセイだけを読むようになっています。「読書の極意を教える」と帯にはあります。もちろんそれについて書かれているのですが、私にはある種の知的生産の技術について著者の方法を開示していると読めます。「何でも検索できる時代にも、本を読む意味がある」というのは、よく首肯できます。また、「教養とは保留できる能力をいう」というのも確かにそうだと思います。自分の問題として抱続けられ、また、考え続けられるのは、容易ではありませんから。 (★★★★★)

  • 井川香四郎: 別子太平記 : 愛媛新居浜別子銅山物語 (文芸書)

    井川香四郎: 別子太平記 : 愛媛新居浜別子銅山物語 (文芸書)
    愛媛県新居浜市にあった別子銅山は、元禄3(1690)年、伝説の切上り長兵衛によって発見されてから、昭和48(1973)年の閉山まで、283年間にわたり、累計65万トンの銅を産出しました。これは、世界の銅の産出量の1/6にも達するといいます。巨大財閥住友の礎となっただけでなく、日本の貿易や近代化にも大きく貢献したのがこの別子銅山です。江戸時代には貨幣改鋳にも深く関わった世界屈指の鉱山を舞台に、そこに関わった人達を鮮やかに描いた、本当の意味での大河小説です。徳間時代小説文庫で読みました。  (★★★★)

  • 養老孟司, 池田清彦: 年寄りは本気だ―はみ出し日本論―(新潮選書)

    養老孟司, 池田清彦: 年寄りは本気だ―はみ出し日本論―(新潮選書)
    養老孟司先生と池田清彦先生の対談であれば、外れはありません。サブタイトルのように、「はみ出し日本論」ではありません。ど真ん中の日本論といってもよい本で、楽しみながら読めます。しかし、それは、自分のアタマできちんと考えているからこそ論じられる内容だと思います。常識や、マスコミで報道されることがらだけをフォローしていては、こういう風に考えることはできません。きちんとした理論、知識、データに基づかなければなりません。さらには、物事を捉える大きな枠組み、私の世代にとっては「パラダイム」といえるものが必要。それも、確固たるパラダイムが必要です。私にとってそれはある種の理想なのですが、なかなか難しい。しかし、まぁ、年寄りになったからこそ見えるものや、年寄りなりの知恵も働くようになるということもありますから、養老・池田の「怖いものなし」コンビを1つの目安として、言うべきこともいえるようになりたいものです。 (★★★★★)

  • 土井 善晴: 一汁一菜でよいと至るまで (新潮新書)

    土井 善晴: 一汁一菜でよいと至るまで (新潮新書)
    先に同じく土井善晴さんの「一汁一菜でよいという提案」を挙げましたが、入手したのはこちらが先。「一汁一菜でよい」というスタイルに至るまでの土井さんの修行、出会い、発見、迷いなどなどが書かれています。「家庭料理に失敗なんて、ない」、「すべては人を幸せにする料理に繋がる」というのが基本。具だくさんの味噌汁はおかずの1つになる。余裕があれば、食べたいものや、食べさせたいものをその都度調べてつくればよい。一汁一菜を入り口にして、一つ一つおかずをつくってみて、10種類ほどでもできるようになれば、それで幸せに一生やっていける。といった話があり、へぇーと感心させられました。これだけで健康に健やかに自足できるとも述べられています。一汁一菜なら、私にもできる、でしょうか?? (★★★★★)

  • 土井善晴: 一汁一菜でよいという提案(新潮文庫)

    土井善晴: 一汁一菜でよいという提案(新潮文庫)
    著者の土井善晴先生は、私と同世代。そして、私の世代にとってはあの土井勝さんの息子というイメージが強くあります。テレビなどにもよく出ておられ、なかなか面白い視点でものを見る人だなと思っていました。この本は,出版された当時(2016年秋)から知っていたのですが、手に取ったのはごく最近。文庫本を探していたのですがなかなか遭遇しなかったのです。「一汁一菜でよい」というのは、ご飯と具だくさんの味噌汁があればよいということです。家庭料理についての提案なのですが、実は、この本はもっと奥深いことを述べています。一言で言えば、日本文化や日本人の哲学について述べる中で、食や生活、生き方などについても論じられています。解説を書いておられる養老孟司先生は、それを「自足の思想」と表現していらっしゃいます。優しい、わかりやすい本ですが、実は奥が深い。著者の端正さもよく表れています (★★★★★)

  • 奥山 景布子: 流転の中将

    奥山 景布子: 流転の中将
    幕末の桑名藩主・松平定敬を描いた歴史小説。定敬は、実の兄で会津藩主である容保とともに徳川家のために尽くそうとしたものの、最後の将軍・徳川慶喜に振り回され、裏切られてしまいます。定敬は、それでも抗おうとしたのですが、国元の家臣たちはいち早く恭順を決め、藩主の座も追われてしまいます。朝敵といわれ、越後、箱館から上海まで流浪した定敬の波乱に満ちた人生と、秘めたる思いが生き生きと書かれています。定敬については、歴史講座で学んだり、本で読んだりしてきましたが、小説家の手にかかるとこのように立体的に、活き活きと動き出すものなのだと実感します。 (★★★★★)

  • サトウタツヤ: 臨床心理学小史 (ちくま新書)

    サトウタツヤ: 臨床心理学小史 (ちくま新書)
    たまには専門のアカデミックな本も取り上げます(微笑)。本屋でみつけ、購入。この本は、同じ著者が東大出版会から昨年刊行した「臨床心理学史」で果たせなかったことを果たそうと構想されたもの。果たせなかったのは、日本の臨床心理学史に触れることと、コンパクトな歴史記述だそうです。東大出版会の本は、読んでみたい気もしますが、¥7,000もしますし、内容もハードそうです。こうして臨床心理学の歴史を俯瞰してみますと、やはり実験心理学を抜きにしては臨床心理学も語れないといえます。私個人の考えでも、臨床心理学を学び、実践するには、実験心理学を学び、実験・調査などの方法で研究をした経験が必須です。臨床心理士、公認心理師の資格に関わり、心理学を志す人は多く、また、大学でも臨床心理学部や臨床心理学科もあります。しかし、私は、自分自身の経験からもやはり、実験心理学などの基礎心理学を抜きにして、臨床心理学は成り立たないと考えますし、学生も実験心理学を含めた基礎心理学を、少なくとも学部段階ではきちんと修得した方がよいと思います。本書を読んで、その考えはいっそう強くなりました。 (★★★★★)

  • 昭文社 旅行ガイドブック 編集部: 三重のトリセツ

    昭文社 旅行ガイドブック 編集部: 三重のトリセツ
    本屋に別の本を買いに行って見つけ、即買い(微苦笑)。私の好むタイプの本です。三重県の地形や地質、歴史、文化、産業などを、地図を読み解きながら紹介するマップエンターテインメント本。地図も歴史も文化も好きなのです。地図で読み解く三重の大地、三重を駆ける充実の交通網、三重の歴史を深読み!の3部構成。2017年11月にたまたまみつけたJRさわやかウォーキング「~四日市市制120周年記念~ 家族みんなで楽しめる四日市旧港街歩き」に行って以来、JRさわやか、近鉄ハイキング、勝手にハイキングで県内や近郊のあちこちに電車で行って電車で帰るハイキング/ウォーキングをしています。それによって訪ねたあちこちのことが改めてまとめられていて、とても楽しめます。各県のバージョンが出ているようです (★★★★★)

  • 磯田道史: 歴史とは靴である (講談社文庫)

    磯田道史: 歴史とは靴である (講談社文庫)
    歴史家・磯田道史さんが、鎌倉女学院高校で行った特別授業の記録と、ビリギャルの小林さやかさんなどとの対談を収めてあります。基本的には、「歴史の見方」についての本なのですが、それに留まりません。ものの見方、考え方を説いた内容です。むしろ、ものの見方、考え方を学びたい方にお勧めしたいと思うくらいです。ちなみに、タイトルは、「歴史は好きか嫌いかの嗜好品ではなく、安全に世の中を歩くためのむしろ実用品である」という意味です。これは、歴史の見方について、あまりよく理解されていないポイントと思います。講義録ですから、読みやすく、しかも大変おもしろい本です。 (★★★★★)

  • 久住 祐一郎: 江戸藩邸へようこそ 三河吉田藩「江戸日記」 (インターナショナル新書)

    久住 祐一郎: 江戸藩邸へようこそ 三河吉田藩「江戸日記」 (インターナショナル新書)
    この著者の前著「三河吉田藩・お国入り道中記」で読んだ、三河吉田藩(豊橋)の参勤交代の話も大変おもしろく読めましたし、江戸時代の藩邸の様子、殿様や家臣の仕事、暮らしなどに興味があったので、読んでみました。三河吉田藩に残る「江戸日記」などの古文書から、江戸の大名屋敷がどのようなところであったか、江戸で働く武士の状況、江戸の藩邸で起きた事件のいろいろ、藩邸の奥向きの様子、さらには、明治維新後の藩邸から子爵邸への変化について、リアルな武士の暮らしのもろもろがまとまっていて、とても興味深く読めました。三河吉田藩は、現在の愛知県豊橋市にあり、松平伊豆守家が長く藩主を務めています。松平伊豆守家は、「知恵伊豆」の異名を持つ松平伊豆守信綱を初代とし、忍藩、川越藩、古河藩、吉田藩、浜松藩と国替えを繰り返した後、寛延2(1749)年から明治維新まで三河吉田を治めています。 (★★★★)

  • 安藤 優一郎: 江戸の旅行の裏事情 大名・将軍・庶民 それぞれのお楽しみ (朝日新書)

    安藤 優一郎: 江戸の旅行の裏事情 大名・将軍・庶民 それぞれのお楽しみ (朝日新書)
    サブタイトルに「大名・将軍・庶民 それぞれのお楽しみ」とあり、さらに、オビには「300年前は えっ!? 今よりもっと愉快な旅行天国」ともあります。ただし、旅行を心から楽しめたのは、庶民に限られていたようです。参詣者を増やしたい各地の寺社、温泉、宿泊業者が積極的に営業したからです。一方、武士や大名は、トラブルメーカーだったといいます。公用で旅行したり、参勤交代したりなのですが、宿泊料のダンピング、備品の破壊などなどトラブルをまき散らしながらの旅であったり、権威を笠に着たりで、あまり歓迎されなかったようです。江戸時代の旅のエピソード満載で、楽しめる本です。 (★★★★)

  • 藤田 和弘, 熊谷 恵子, 熊上 崇, 星井 純子, 熊上 藤子: 心理検査のフィードバック

    藤田 和弘, 熊谷 恵子, 熊上 崇, 星井 純子, 熊上 藤子: 心理検査のフィードバック
    この本は、WISC-ⅣやKABC-Ⅱなどの知能検査の結果(アセスメント情報)を「子どもの自立と社会参加」により役立つものにしていくには、どのように伝えたらよいか(フィードバック)についてまとめられています。過去には、保護者、学校の担任、子どもたち自身に知能検査の結果を伝えることはされていませんでした。しかし、現在では、苦戦している子どもたちが、自分のことを理解し、自分なりにも工夫して、学習や生活スキルを向上させ、将来の自立と社会参加につなげるために、知能検査の結果(アセスメント情報)を子どもたち自身にも伝えるようになってきています。私も、相談では、お子さんに直接、フィードバックを行い、子どもたち自身が自己理解を深め、意欲的、積極的に取り組めるようにしています。この本は、子どもと支援をつなぐ、支援者をつなぐという視点から、心理検査のフィードバックについて基礎から応用、事例を含んでその全体像を把握できる、優れたものとなっています。 (★★★★★)

  • 新潮文庫: 文豪ナビ 藤沢周平 (新潮文庫)

    新潮文庫: 文豪ナビ 藤沢周平 (新潮文庫)
    藤沢周平の作品案内、小説に見られる名言集、映像化された作品の出演者や、関係者による評伝などによって藤沢周平の作品についてすべてとはいいませんが、かなりが分かります。私は、藤沢周平の小説が好きで、たぶんほとんど読んだと思います。ただそれは、15~6年以上前のことで、リストアップもしていませんから、すべて読んだかどうかについては、不確か。こういう本を読むと、もう一度読もうかという気になります。この本では、娘の遠藤展子さんの「父にとっての家族」がもっとも興味深く読めました。また、藤沢周平の言葉で私が気に入っているのは、「普通が一番」です。ほかにも、「挨拶は基本」「いつも謙虚に、感謝の気持ちを忘れない」「謝るときは素直に非を認めて潔く謝る」「派手なことは嫌い、目立つことはしない」「自慢はしない」という言葉が、遠藤さんが父から言われて心に深く残っていることばだそうです。 (★★★★)

  • 千正康裕: 官邸は今日も間違える(新潮新書)

    千正康裕: 官邸は今日も間違える(新潮新書)
    新型コロナのまん延にともなって、政治的な判断や、もろもろの政策は、迷走したといってもよいと思います。突然の全国一斉休校要請、いわゆるアベノマスクの配布や、閣議決定をやり直した一律給付金など、なぜああいうドタバタになるのか、国民の信頼が得られなかったというか、失ったというのか、ずっと疑問を抱いていました。著者は、元厚生官僚で、社会保障・労働分野で仕事をし、現在はコンサルティング会社を経営。この本では、最近のコロナ禍での出来事の背景を記述する中から、官僚主導から官邸主導への変化に、政治の仕組みの変化がついて行けていないからだとしています。これに関して、政治家、官僚ともに仕事のやり方を変えることが必要であるとともに、国民の側にも良い政策をつくるためには望まれることがあるといいます。 (★★★★)

  • 嶋田 哲郎, 森本 元: 知って楽しいカモ学講座 : カモ、ガン、ハクチョウのせかい

    嶋田 哲郎, 森本 元: 知って楽しいカモ学講座 : カモ、ガン、ハクチョウのせかい
    「観察するのが面白くなる! ガンカモ類のひみつ」というキャッチコピーです。私がほぼ毎日散歩に行く九華公園の堀には、秋が深まるとカモたちがやってきます。キンクロハジロが最も多く、次いでハシビロガモ。他にはヒドリガモやホシハジロも数少ないものの来ています。カルガモ、カイツブリ、オオバンなども来ることがあります。これらカモやその仲間、近縁種についてもっとよく知り、観察のポイントを増やしたいと思って、この本を読んだ次第。著者は、宮城県の伊豆沼・内沼をフィールドとする専門の研究者。形態的な特徴と行動との関連性、渡り、繁殖地での暮らし、越冬地での生活など、ガン・カモ類について、ちょっと専門的な部分も多いものの、一通りの知識を得られ、また、行動観察などの方法についても知ることができました。 (★★★★)

  • 田中優子: 遊廓と日本人 (講談社現代新書)

    田中優子: 遊廓と日本人 (講談社現代新書)
    「江戸学の第一人者による「遊郭入門」の決定版!」と帯に書かれていて、ついつい手に取ってしまいました。遊郭にはとても興味があります。などと書くと「好色な人物か」と思われるかも知れません(苦笑)。遊郭や遊女は、今日の人権やジェンダーの観点からすると、許されない存在です。これは間違いのないことですが、一方で、たとえば、江戸時代の吉原遊郭の花魁と呼ばれたようなハイクラスの遊女は、高い教養を持ち、芸事や生け花、茶道にも通じていました。ある意味で日本文化の守り手でもあったという面も持っているのです。こうした観点から著者は、「遊郭は二度とこの世に出現すべきではなく、造ることができない場所であり制度である」と述べています。ちなみに、「好色」ということばの意味は、平安時代以来、和歌や琴、舞などの風流、風雅を好む人を「色好み」と呼んでいたことによります。「色」には恋愛や性愛という意味もありますが、もともとは恋愛と文化的美意識が組み合わさったものだそうです。 (★★★★)

  • 養老孟司: ヒトの壁(新潮新書) 「壁」シリーズ

    養老孟司: ヒトの壁(新潮新書) 「壁」シリーズ
    養老先生が、コロナ禍の2年間でお考えになったことの集大成です。新型コロナウイルス感染症が蔓延し始めた頃、NHKのBSの番組「まいにち 養老先生、ときどき まる」だったかで、「老人は、もともと不要不急の存在だ」とおっしゃった気がしますが、この本は「人生は不要不急か」という章から始まっています。これがたぶんコロナ禍や、養老先生ご自身のご病気(心筋梗塞)を経験し、お考えになった結論の1つ。さらに、不要不急の人生ではあるものの、それでも生きる価値はどこにあるか様々な視点から考察されています。「人生とはそんなもの」と思いつつ、自分に居心地の良い場所をつくりながら、万事テキトーに終わるのが良さそうです。 (★★★★★)

  • 松原,始: カラスの教科書

    松原,始: カラスの教科書
    ちょっとマニアックな本と思われるかも知れません。そもそもカラスに好意を抱いている方は少ないでしょうし(微笑)。カラスには、「賢い」というイメージもありますが、ゴミをあさって、カアカアとうるさい、真っ黒で気持ち悪いなど「嫌われ者」といってよいかも知れません。私もバードウォッチングをしますが、カラスの写真はほとんど撮っていません。しかし、九華公園などでは、カラスがいるとついついその行動を見てしまいます。よくよく見るとやっていることは、結構おもしろいのです。本書に引用されていますが、ある鳥類学者のことばによれば、「小心者でお調子者」だそうですが、頷けます。ところで、カラスとひと言で言っていますが、何種類もいるのはご存じでしょうか? 街中でよく見るカラスでさえ、ハシボソガラスとハシブトガラスの2種類がいます。同じカラスといっても、この2種類だけでも行動パターンはかなり違います。さらに、記紀に登場するカラスもいます。八咫烏(ヤタガラス)です。このカラスは、神武天皇一行が熊野山中で道に迷った際、道案内として遣わされています。そのため、熊野本宮大社などのシンボルになっています。カラスの迷宮に入り込んでしまうと、おもしろいことがたくさんあって、出て来たくなるかも知れません。すべての方にお勧めする本ではありませんが、物好きの方にはよいかも(微笑)。 (★★★★★)

  • 竹内政明 : 「編集手帳」の文章術 (文春新書)

    竹内政明 : 「編集手帳」の文章術 (文春新書)
    何を今さら「文章術」なのか? と訝られる向きもおありでしょう(微笑)。どこで読んだか忘れてしまったのですが、ある方の文章で文章術の本としては、これがベストと書いてあったので、気になったのです。いろいろと反省するところ多々あり、でした。しかし、その一方で「耳で書く」など、ずっと以前から心がけていて、学生にもレポートを書く際に注意事項として伝えていることもありました。私は、音読すると、論旨があいまいなところや、日本語がヘンなところがよく分かると考えていましたが、著者も同様のことを書いておられます。自分の文章術(などという大げさなものはありませんが)も、あながち独断と偏見ではなかったと安心したところもあります。その他、明示されてはいませんが、ひとまず書いた上で読み直し、推敲して、削っていくというのもありのようです。文章の書き方にかなりご関心がおありの方には、お読みになるとよいでしょう。 (★★★★)

  • BIRDER編集部: BIRDER (バーダー) 2021年 11月号 [雑誌]

    BIRDER編集部: BIRDER (バーダー) 2021年 11月号 [雑誌]
    この号の特集は、「お散歩バードウォッチングのススメ」。まさに、私が毎日実践していること。表紙がいつもとは違って、今風のイラストなのはちょっと気になりますが、それはともかくとして、冬にオススメのアウトドア、身近な鳥見スポットを探せ、あなたの鳥見散歩教えてください-鳥見散歩のすすめ-といったテーマが並んでいます。かねてからバードウォッチングは、いつ、どこでも楽しめる趣味と考えています。散歩しながらのバードウォッチングは、まさに一石二鳥どころか、一石何鳥にもなります(微笑)。今日(2021/10/24)も2ヶ所で、13鳥。うまく行けば2~3時間近所を歩いているだけでもっとたくさんの鳥に出逢えます。是非とも同好の士を増やしたいと思っています。ご関心がおありの方は、ご一読をオススメします。 (★★★★★)

  • 本田秀夫: 子どもの発達障害 子育てで大切なこと、やってはいけないこと (SB新書)

    本田秀夫: 子どもの発達障害 子育てで大切なこと、やってはいけないこと (SB新書)
    本田秀夫先生の発達障害3部作の最新刊。これを書いている時点では、発売日前なのですが、本屋に立ち寄ったら売っていたので、買ってきて一気読みしました。私も発達障害のあるお子さんの相談に携わっていますが、これまでの助言と一致していたところもたくさんありますし、なるほどそういう風に考えればよいのかと思うところも多々ありました。発達障害についての解説本はたくさん出ていますが、その育て方、しかも、子どもを主役にした育て方の本はほとんどなかったでしょう。この本は、子どもを主役にした、幼児期から思春期に入る頃までの発達障害のあるお子さんの育て方、どのように育っていくかを丁寧に解説しています。発達障害のある子どもとはどういう子どもなのかからスタートしています。ポイントは、そのお子さんは、どんなお子さんなのか、また、そのお子さんがとっている行動は何に由来するのかをきちんと見て、捉えることからスタートするということ。親の都合で、「こういう子どもになって欲しい」という考え方から抜けることが必要と説いていますが、まさにその通りと思います。具体的な内容は多岐に渡っています。ほめ方・叱り方、暮らし方、発達障害の子の育て方といったないようになっています。載っている方法をそのまま使うのではなく、「うちの子のことだ」と思ったことを取り入れ、他は参考程度に読むとよいと著者が書いていますが、これも重要なポイント。発達障害のお子さんをもつ親御さんだけでなく、関わりのある方には是非ともご一読をお勧めします。 (★★★★★)

  • 本郷和人: 世襲の日本史: 「階級社会」はいかに生まれたか (NHK出版新書)

    本郷和人: 世襲の日本史: 「階級社会」はいかに生まれたか (NHK出版新書)
    この本の内容は、以前、マイブックスにあげた「 日本史の法則 (河出新書)」にも、「地位より人、血より家-世襲が強い-」として取り上げられています(出版は、今回の「世襲の日本史」の方が、2019年と先)。世襲というのは、今も、政治家、芸能人、医者、実業家などあちこちで見られます。「売り家と唐様で書く三代目」ということわざがあったり、「三代目が会社を潰す」という話があったりします。しかし、著者がいうには、日本では「地位より人」と考えられてきており、その「人」というのは、その人が受け継いでいる「血」であるといいます。より慎重に見ると「血よりも家」で、「家が肝心・要」というのが大原則だそうです。インドのカーストのように細かな具体性を備えていないので、人々の意識に浸透しやすく、そのため未だに世襲を黙認する社会意識を産み、さらにまたそれが、格差社会を容認する空気につながっていると著者は考えています。歴史上、世襲がなかったのは、明治維新。明治維新では能力主義が徹底され、いわゆる明治の元勲たちも、個人の財産は別として、地位などは世襲させませんでした。いわゆる「立身出世」がそれ。これは、画期的でしたが、続きませんでした。世襲という原則の方が勝ったのでしょう。著者は、「日本の歴史はぬるい-変わるときは外圧-」ともいっています。明治時代に立身出世となったのは、「黒船襲来」という外圧によるものでした。現代の外圧は、「人口減少」だと著者はいっています。江戸時代、地方で育った人材が、明治維新で根こそぎ東京に持って行かれましたが、もう一度、地方からやり直すということが必要とも著者はいいます。 (★★★★)

  • 本郷和人: 日本史の法則 (河出新書)

    本郷和人: 日本史の法則 (河出新書)
    著者の本郷和人さんは、東京大学史料編纂所教授。テレビにも出ておられますし、一般向けの歴史書もたくさん書いておられます。専門は日本中世史。この本は、日本の歴史がどのように動いてきたかを、本郷さん独自の視点(通説とは異なるとらえ方をなさっているところも多々あるようです)から説いたもの。「日本は西高東低」「歴史は一つではない」「日本の歴史はぬるい-変わるときは外圧-」「信じるものは救われない」「地位より人、血より家-世襲が強い-」「日本社会は平和を選んだ」という6つの論点から考察されていますが、これがなかなかおもしろい。「蒙を啓かれた」と書くと、ちょっと大げさかも知れませんが、なるほど、そういう風に見るとよく分かるということが多々ありました。いつ、どこで何があったということだけではなく、もうちょっと物語的に、どういう動機でそうなったかという視点を導入すると、歴史がもっとおもしろくなるんだと実感した本。 (★★★★★)

  • 吉田 友和: ご近所 半日旅 - いちばん気軽な「新しい旅」のスタイル - (ワニブックスPLUS新書)

    吉田 友和: ご近所 半日旅 - いちばん気軽な「新しい旅」のスタイル - (ワニブックスPLUS新書)
    本屋で偶然見つけてついつい買ってしまいました。タイトルを見たとき、「ご近所半日旅」なら、私自身が、近鉄ハイキングやJRさわやかウォーキングから派生して「勝手にハイキング」と名付けて歩いているのが、それに相当するのだろうと思いました。これで1冊、本が書けるのかというのが読む前の感想。勝手にハイキングや、普段の散歩に新たな視点、やり方、楽しみ方が導入できるかと思って読んだ次第。ご近所半日旅は「いちばん気軽な『新しい旅』のスタイル」と銘打っていますが、コロナ禍の現在、そうかも知れません。心得七ヵ条があげられていましたが、私としては、①お金をかけて楽しもう、④疲れることは基本的にしない、⑦予定を決めすぎないという3点に啓発されました。また、⑥スマホをうまく活用せよにあったグーグルマップの使い方などにも興味が持てました。長く続けていると、自分なりのスタイルができあがってきますが、別の見方をするとマンネリに陥っているともいえます。こういう本で刺激を与えると、私の中に新しいものが生まれてくるかも知れません。コロナで旅行に行けなくなったと嘆いておられる方、自分の住んでいる近所なんかにおもしろいところなんかあるのかと思っておられる方、一読なさると、新しい世界が開けます。 (★★★★)