20200411「勝手に三岐鉄道北勢線ハイキング『員弁街道を歩く』(東員~楚原)」(その2)……もう一つの大谷神社、長宮公園、神明社と道標、大泉新田開発記念碑を見る
4月11日に出かけた「勝手に三岐鉄道北勢線ハイキング『員弁街道を歩く』(東員~楚原)」のその2です。その1では、東員駅をスタートし、チリン坂・律師智傳之碑から、茶屋橋を渡って大谷神社にお参りし、うりぼう(いなべ市農産物直売所)まででした。その2では、うりぼうからほど近い、もう一つの大谷神社から。うりぼうを出て県道555号線へ。途中で左に入って611号線に。いなべ東小学校のところで北勢線を渡っていきます。
もう一つの大谷神社。ただし、裏参道というか、「横参道」というか、東側にあるJAの敷地から入っていき、拝殿の横から境
内 にお邪魔しました。本来の参道は、南に200mほど行ったところからです。主祭神は、水分神(ミクマリノカミ:水の分配をつかさどる神)と、天児屋根命(アマノコヤネノミコト:天照大神が天の岩屋に隠れたとき、祝詞を奏した神)。相殿神は、宇気母智神(うけもちのかみ:食物の神)、天照大御神。大泉の氏神様。社名はこの地が「大谷御厨(みくりや)」の地であったことよると考えられています。ちなみに、御厨は、古代、中世の神社の荘園である神領。伊勢神宮では各地の神宮神領を御厨、御園 (みその) と呼びました。もとは、員弁川対岸の梅戸にあったのですが、明応8(1499)年、大洪水のため押流され、村落ごと大泉に移転し、大泉の春日明神(永仁4(1296)年、奈良の春日大社から分霊)へ合祀しました(そのため、大谷春日大明神と称しています)。拝殿前には狛犬ではなく、鹿の像。春日神社との関わりがあるからと思われます。
表参道の鳥居からまっすぐに150mに及ぶ長い参道があるため、昔から「長宮さん」と呼ばれてきました。上記の神鹿の他、
狛犬もあったのですが、それがどういうわけか、「子取り、玉取り」になっておらず、拝殿に向かって左の狛犬が子どもを抱き、その子どもが玉を持っているスタイルでした。「玉取り」の狛犬は、鞠で遊んでいるような様子から「運気がよく転がるように」という意味合いで、縁起がいいといいます。一方、「子取り」の方は、文字通り子どもを連れている狛犬で、子孫繁栄のご利益があるといわれています。こういうタイプは初見。
ちなみに対をなす方には、子も玉もありませんでした。また、由緒書きには、桑名に関わる
こととして、次のような記述がありました。「元禄3(1690)年桑名藩主松平定重の重臣野村増右衛門が耕地に適するとしてこの氏神を岡の茶臼山に移し耕地としたが不思議にも作物悉く実らずこれ神慮なりとして改めてこの地に鎮座するに至ったのである」。江戸時代、このあたりも桑名藩領でした。
境内には、「殉国義士の碑」があります。員弁町大泉区自治会と大泉区遺族会が、昭和30(1955)年4月に建立したもので、大泉地区全戦没者の慰霊碑です。明治37(1904)年~昭和20(1945)年にかけて亡くなられた27名の方のお名前が刻まれています。日露戦争、日中戦争(支那事変)、第2次世界大戦に出征された方々です。
大谷神社で一息入れて、また、員弁街道に戻ります。北勢線の線路を越え
て、員弁東小学校の北東側に来ると、長宮公園があり、鳥居が立っていました。ここは、大谷神社の裏参道なのでしょう。そこに北勢線(発足当時は、北勢鉄道)が通り、さらに小学校ができたのでしょう。この公園にある鳥居から、表参道に見えた鳥居までは500mほどありますから、確かに「長宮」といえます。
公園の中をよく見ると、「長宮」という駅名板が残っています。平成16(2004)年4月に廃止された駅です。駅名板には、「大泉東」「楚原」の文字も見えます。うりぼうが併設されていた大泉駅は、大泉東駅と長宮駅を統合し、両駅の中間部分に新設された駅です。長宮公園で11時頃、スタートからは5.2㎞ほど。
大谷神社の先の員弁街道からの眺め。麦畑の向こうに空に向かう北勢線の黄色い電車。さらにその向こうには、藤原岳や、龍ヶ岳が見えています。天気もよく、いい眺め。山もはっきり見えます。途中、喜之助橋という橋を渡りますが、名前の由来は不明。喜之助さんという方がかけたのかなどと想像だけが膨らみます。
このあたりで実際に歩いたルートマップは、その3に入ります。神明社、石仏墓地に立ち寄ると、ゴールの楚原駅が間近になります。石仏墓地で11時40分を過ぎましたので、取り敢えず楚原駅近くで昼食を摂ろうということになり、結局、ヨシヅヤへ。相談の結果、ねじり橋、眼鏡橋を見ることになり、そちらへ行ってから楚原駅にゴールということに。
スタートから5.8㎞、大泉新田に神明社。主祭神は、天照大御神。相殿神は、誉田別命(ほ
んだわけのみこと:応神天皇)、須佐之男命(すさのおのみこと)、市寸島姫命(いちきしまひめのみこと)、火産霊神(ほむすびのかみ)。寛永13(1636) 年、大溜をが豪雨で大破し修復するとき、庄屋・正木嘉兵衛を伊勢の山田へ遣わし、笠田大溜に勧請した神明社の分霊を遷座したといいます。明治40(1907)年に厳島神社(宇賀神弁財天(市寸島姫命)を祀る)を合祀しています。
境内には珪化木らしきものでつくった碑があります。文字はとても読みにくく、何かの「記念」に昭和8(1933)年に「青年会」がつくったことしか分かりません。忠魂碑も1基。これをネットで調べようと思ったら、三重県遺族会のサイトがリニューアルして、慰霊碑のリストへのリンクがなくなってしまっていました。
境内には、仏像を刻んだ石や、五輪塔の頭らしき石が、きちんと並べられて、榊が供えられています。これについて、詳細は分かりません。
この神社は、旧里道の畑新田道と員弁街道の分岐点にあります。神社の前には、小さい道標が立っています。道標には「北平古 たど」とあります。碑陰には「青年支部」とあります。「平古(ひらこ)」は、ここから北東に2㎞あまり行ったところにあります。平古の向こうが多度の美鹿(びろく)・古野(この)になります。余談ですが、平古は、桑名藩が戊辰戦争に負けた後、11万3,000石から6万石(実収2万3,450石)に減封となりました。分領地の越後柏崎陣屋や、江戸藩邸・大坂蔵屋敷・京都所司代屋敷から藩士が家族を連れて桑名城下に帰郷したため、禄高は半分になって生活が苦しくなった上に、住むところのない藩士が多数出ました。桑名藩は、この対策として原野であった平古野を開拓させ、農業によって士族の自立を図ろうとしたといいます。
神社の裏手には、「大泉新田開発之碑」があります。この碑は、上でも触れましたが、寛永年間に大泉新田を開発し、笠田大溜完成のために力を尽くした正木嘉兵衛の功労を顕彰する碑となっています。さらにこの先、員弁街道と下笠田道との分岐点にも道標があったのですが、こちらは見逃してしまいました。見逃した道標は、旧里道の下笠田道との分岐点にあり、「左下笠田三笠橋ちか道」と刻んであるのだそうです。
6㎞あたりのところで、員弁街道に鳥居が立っています。この鳥居、南東から北西に向かって潜るようになっているようですが(北西側に建立年月日などが刻まれているのです)、どこの神社の鳥居なのかはよく分かりません(三重県教育委員会編の歴史の道調査報告書「濃州道」にも鳥居があることは触れられていますが、詳細については書かれていないのです)。この鳥居から500mほど行き、左折し、北勢線の踏切を越えると石仏墓地がありますが、キリが良いので、その2はここまで。その3は、石仏墓地からとします。
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