20200306勝手に養老鉄道ハイキング「桑名の美濃街道を歩く」(下深谷~多度)(その3)……戸津の町を歩き、戸津と小山の尾津神社2社にお参りし、多度駅にゴールにて「完」
3月6日の「勝手に養老鉄道ハイキング『桑名の美濃街道を歩く』」(下深谷~多度)のその3です。その2の最後で船着社にお
参りし、県道26号線の天王平跨線橋の下を潜るところまで来ました。その2には載せませんでしたが、跨線橋の南からは多度山が右の写真のように見えます。冒頭の実測ルートマップは、その4。
戸津の町へ入って行きます。「みえの歴史街道」の美濃街道のマップには「集落の中は道が細く、車では通行しにくい」と注意書きがあります。確かに右の写真のようなところもあり、東海道や伊勢街道(参宮街道)のイメージからすると、「これが街道か?」と思えます。集落の中で微妙に曲がっているところもあって、迷いそうでした。
「みえの歴史街道」の美濃街道のマップをもとに、自作のコースマップをつくっていったのですが、それを見ながら、なおかつアヤシいところでは、スマホでグーグルマップを調べながら進みました。上左の写真の先に、この左の写真の交差点に来ます。ここを左折し、西に向かうと、「旧戸津村の庄屋を代々世襲していた西田家の長屋門と塀のある屋敷がある」とみえの歴史街道のマップにはあったのですが、見当たりませんでした。道を間違えたかとか、すでに取り壊されたのかと思って、実はしばらくあたりをウロウロ(苦笑)。これを書くに当たって、再度よく調べたら、場所が間違っていて訂正されていました(こちら)。「なんてこった!?」という感じ。「正しい位置は、4ブロック北の、4の北、街道が西へ曲がる交差点の東側になります」だそうです。見逃したのは、残念。
尾津神社にも行くつもりでしたが、まずは、美濃街道が多度川に突き当たるところまで行ってみることに。冒頭の実測ルートマップ(その4)で、美濃街道は南から北へ行き、赤い星印のところまで。街道はこの先、多度川を渡ってさらに続きますが、今回のハイキングはここまで。左の写真は、実測ルートマップで、2つの尾津神社を東西につなぐ道富の街道とがクロスするところから多度川の方を撮ったもの。
川まで行って堤防から見える多度山は、左の写真の通り。美濃街道は右の写真のように、人自転車専用橋を渡ってさらに北に延びています。この橋から岐阜県境までは1㎞あまりですが、この日はここまで。引き返して、尾津神社に行きます。尾津神社という名前の神社は、ルートマップにもあるとおり、2つあります。戸津の尾津神社と、小山の尾津神社です。予告編で小山にもあると書きましたが、それは草薙神社。戸津は、古代には川湊であったといいます。
戸津の尾津神社。実測ルートマップでは、多度中学から多度川を挟んだ南にあるところ。延喜式内社。戸津区の氏神様。御祭神は倭建命、稚武彦命(わかたけひこのみこと:第7代孝霊天皇皇子で、吉備臣(吉備氏)の遠祖)、足鏡別命(アシカガミワケノミコト:倭建命の子)、品陀和気之命(応神天皇)、宇賀魂神、天照大神。
尾津というところは、倭建命が東国遠征の時、尾津崎に立ち寄り、松の木の下で食事をされ、松の木に太刀をかけて置き忘れて立ち去られたといいます。東国遠征を終えての帰途、ここに立ち寄ったところ、松の木にかけた剣が、そのままであったのを見て、感激のあまり歌を詠んだと伝わっています。その和歌は、古事記にある「尾張に直に向える 尾津前なる一つ松吾兄を 一つ松人に在りせば 太刀佩けましを衣着せましを 一つ松吾兄を」です。この大意は、「尾張に向かって真っ直ぐに生えている一本松よ 一本松が人間だったら、服を着せ、太刀を佩かせてやるものを」。境内にはこの歌碑があると「くわな史跡めぐり」にはあったのですが、見忘れてしまいました。なお、尾津崎で休んだとき、もう一振の太刀を持って居られ、それが伊勢神宮で伯母倭比売命から与えられた剣である草薙剣(現在、名古屋の熱田神宮に祀られています)。
こちらは、鳥居を潜った左手にあった石碑。天保10(1839)年に建立されたもので、日本書紀の文章が書かれており、倭建
命が太刀を置き忘れた故事を記しています。「鳥波利珥多陀霧加幣流……」とあります。右の写真で、この石碑の右手前にあるのは、古い社号標のようで、表面には、「尾津神社」と刻まれた下に「日本武尊/稚武彦命」とありました。
ほかには、稲荷社と句碑が1基。稲荷社は、「正一位尾津稲荷大神」とありました。句碑
は、「上げ馬乃 若獅子の宝 朝さくら/仁志子」と読めます(ちょっとアヤシいですが)。
戸津の尾津神社から300mほど西に行ったところに小山の尾津神社があり
ます。主祭神は、倭建命と足鏡別命。相殿神は、大山津見神のほかに、不詳のご祭神。こちらも延喜式内社と称し、戸津の尾津神社と同様に、倭建命の伝説の地とされています。
小山の尾津神社の境内には、西南戦争で亡くなった方を顕彰する石碑があります「紀念碑」と題され、小山に在住の小林源三郎という方が、徴兵され、明治以降、旧多度村で最初の戦没者となったことが記されています。多度神社(現在の多度大社)祠官・平野直賢氏がそれを悼み、追悼の辞をしたためておられます。
なお、この日は訪ねていませんが、御衣野にある草薙神社(こちらも地図によっては尾津神社と表示されます)が、「日本武尊尾津前御遺跡(県指定史跡)」となっています。その理由の一つは、「日本書紀」はこの松があったところを「尾津浜」としているのですが、「絵本名物桑名時雨蛤」には「御園(御衣野)村」に船を止め、船を係留した古松が残ると知るしているからです。古代、肱江川は、入れになっていたと推定されます。草薙神社の境内には、倭建命が太刀を置いたとされる松が枯れた跡に覆いが掛けられて保存されているそうです。
これで当初訪ねようと思っていたところはほぼ行けました(西田家を除いて)ので、多度駅に向かいます。小山の尾津神社から美濃街道に戻って、もう一度西田家がないかを見たのですが、まさか地図が間違っているとは夢にも思わず(苦笑)。
ゴールに設定した養老鉄道多度駅には、11時30分に到着。スタートからは2時間35分をかけて、7.9㎞を歩
いてきました。桑名行きの普通電車は、12時2分までありません。駅で待っていると、大阪からいらしたという男性に出会いました。「どこも新型コロナウィルスとかで行くところがないから、人が少なそうなところに来て、多度山を登ってきた」とおっしゃいます。午後からはなばなの里へいらっしゃるとか。さらにこの日は、桑名駅前で泊まって、次の日ゆっくり帰るという予定だそうでした。
やって来た電車は、通称「赤歌舞伎」。東急電鉄で活躍した7700系。昭和37(1962)年から製造開始された、日本初のオ
ールステンレス車両です。赤歌舞伎には、初めて乗れました。先日は、「緑歌舞伎」にも乗れました。これらが走り始めてから、一度は乗ってみたいと思っていたのです。
桑名駅には、12時18分着、¥310。これで、桑名市内の美濃街道はほぼコンプリート。多度川から先、岐阜県境まで1㎞あまり残すのと、地図が間違っていて見られなかった西田家の長屋門と塀も見なくては。それに、草薙神社にも行ってみたいと思いますし、多度山にもまだ登ったことがありません。また、これらを考えて、「勝手にハイキング」を企画することにします。この日、1日での歩数は、16,643歩(生活リズム計のデータ)。帰りに桑名駅から自宅までが0.9㎞ですから、今日歩いたのは、8.8㎞ほど。
「勝手に養老鉄道ハイキング『桑名の美濃街道を歩く』」では、桑名市川口町と江戸町の境の起点から多度駅まで、2日間かけて歩きました。合計15.4㎞を歩くのに6時間10分を要しました。まぁまぁですし、それなりに楽しめたと思います。次の「勝手にハイキング」企画は、「濃州道を行く」で、三岐鉄道北勢線沿線の予定。
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TAKUさん、こんにちは。
下手な道中記にお付き合いくださり、ありがとうございます。
近鉄ハイキングも、JRさわやかウォーキングも中止ですので、「勝手に企画」しています(^_^)
次は、益生近くの三ツ矢橋から、2回に分けて、東員駅あたりまで歩こうと考えています。
赤歌舞伎にも乗りましたし、1回目は緑歌舞伎にも乗ってきました。
中古のはずですが、新車気分がしっかり味わえました。
実家が名鉄三河線の線路のすぐ近くでしたから、鉄道、電車、嫌いではありません(微笑)。
ところで、夜景も撮ってみたいし、多度山にも登りたいのですが、夜はすっかり出かけなくなりました。
投稿: mamekichi | 2020年3月11日 (水) 17時17分
「勝手にハイキング」、自分も歩いているような感覚で拝見しました^^
次回は・・・なんと北勢線沿線!
楽しみです!
ついつい“テツ”に目が行ってしまいますが、赤歌舞伎乗られたのですね!
新車は良いものですよね^^
多度の天王平跨線橋の辺り、ちょっと上ると隠れ(というわけでもないですが)夜景スポットがあります(^^)
多度山の夜景はもっと綺麗なんだそうですが、夜に行くのもコワいので行ったことはありません(^^;)
投稿: TAKU | 2020年3月11日 (水) 15時18分