お知らせ

  • データの移行について
    2005年10月26日のブログ開始当初から、2024年11月30日までの記事は、「猫の欠伸研究室(アーカイブ)」に移行しました(http://blog.livedoor.jp/taichimaru151/)。 このココログの「猫の欠伸研究室」には、2019年1月以降の記事を残し、2018年12月以前の記事は削除しました(2019年1月1日から2024年11月30日までの記事は、両方にあります)。

レンズを通した自然観察

  • この「レンズを通した自然観察」ということばは、恩師のお一人が、私の趣味を形容しておっしゃったものです。2023年2月7日のブログに書きましたが、実はときどき思い出していることばです。お世話になった先生方はたくさんいらっしゃいますが、この恩師は、就職のことから学位論文の執筆、審査に至るまで本当にお世話になった先生です。「写真の撮り方を指南してもらいたい」ともおっしゃったのですが、これはお世辞と理解しています。私はほぼ隠居状態となって10年以上になりますが、今、改めてこのことばをかみしめています。この先生には結婚式の際に「理論と臨床をつなぐ仕事をするように」ということばをいただきました。体調を崩してそれには十分に応えられませんでしたので、せめてこの「レンズを通した自然観察」については、極めるとまでは行かないにしても、もう少し精進したいと考えています。

ブログ名の由来

  • ブログ名の「猫の欠伸研究室」は、中日新聞の夕刊に連載されている「紙つぶて」というコラム(平成22(2010)年1月13日)に、元新党さきがけ代表の武村正義さんが書いていらっしゃった「人生は猫の欠伸である」というコラムによります。武村さんは、“チベットで鳥葬を取り仕切る僧侶が、「人の生涯は猫の欠伸のようなもの」と語った”と書いていらっしゃいます。「猫の欠伸のようなもの研究室」としたかったのですが、ちょっと間延びしますので、「猫の欠伸研究室」とした次第です。「研究室」とつけたのは、過去、大学に勤めていたことがあるということやら、知らないこと、分からないことがあると何でも調べずにはいられない性分であること、屁理屈、講釈が大好きであることからであります。しかし、「人生の研究をしている」のではありません。「大所高所」からのご高説を開陳できるほどの力量はないが故、「小所低所」からの戯れ言をつぶやくのが精一杯(苦笑)。身の程に合わせ、勝手なことを書き綴っていますので、御用とお急ぎでない皆様には、今後ともご交誼のほど、お願いいたします。是非ともコメントを頂戴し、少しでも世間を広げたいと熱望しております。

モットー

  • 座右の銘というほど立派なものはありませんが、過去に体調を崩し、療養生活を送った経験から、私なりのモットーをつくっています。その一つは、「淡々と飽きもせず……」です。自分では、「……」と余韻を残しているところが気に入っています。こだわりすぎや、やり過ぎはよくありません。若い頃はムキになってやったこともありますが、今はこのように「淡々と飽きもせず……」が自分に合っていると思っています。もう一つは「晴耕雨読」ならぬ「晴歩雨読」です。マンション暮らし故、耕すところはありません。代わりに歩いています。そして、最近(令和3(2021)年に入った頃から)追加したのが、「散歩生活、ときどき仕事」。NHKのテレビ番組に「晴れ、ときどきファーム!」というものがあります。これのもじり。浅学非才の身ですので、ご交誼の上、いろいろとご教示をお願いします。

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2020年1月11日 (土)

20200111JRさわやかウォーキング「あいち・なごや生物多様性EXPOと宮の渡し跡から熱田神宮」(予告編)

Img_7162c_20200111172001 Img_7166c  令和2年になって、初めてのウォーキング/ハイキング、JRさわやかウォーキングあいち・なごや生物多様性EXPOと宮の渡し跡から熱田神宮」に行ってきました。今回は、名鉄のハイキングとの共同開催。名鉄名古屋本線山王駅で8時半から11時が受付。桑名駅を8時31分に出る近鉄名古屋行き普通電車に乗車。近鉄名古屋に9時12分着、¥450。名鉄名古屋本線に乗り換えます。名鉄名古屋駅を9時24分に出る東岡崎行き普通で、山王駅に9時26分着、¥170。

Img_7158c_20200111172001  山王駅は、かつては「中日球場前駅」、「ナゴヤ球場前駅」という名称で、平成8(1996)年まで中日ドラゴンズのホームグラウンドだったナゴヤ球場への最寄り駅でした。しかし、ホームグラウンドが平成9(1997)年からナゴヤドームに移転したため、利用客も激減し、平成17(2005)年に開業当時と同じ現在の駅名に改称しました。中日球場、ナゴヤ球場の時代、いずれもドラゴンズの試合を見に来たことがあり、かなり懐かしい駅です。ナゴヤ球場は、中日ドラゴンズ二軍の本拠地球場および練習場となっています。ホームから南西に見えますが、一軍の本拠地だった頃とはかなり変貌してしまっています。

Img_7180c_20200111172001 Img_7187c_20200111172001  名古屋でのJRさわやかウォーキングは、いつも大混雑ですが、今日は、名鉄のハイキングとの共同開催ということもあってか、狭い山王駅の改札前は大混雑でした。受付を済ませ、スタートしたのは、9時33分。駅の目の前が信号というのも、混雑に拍車をかける要因。今日は、気温はさほど上がりませんでしたが(名古屋で12.1℃)、風もなく、暖かいというより、少々暑いくらい。汗を掻きました。

200111jrwalkingsannou  左は、配布されたコースマップ。右は、実際に歩いたルートマップです。山王駅をスタートして松重閘門200111jrwalkingsannou0 へ。その後は、堀川沿いをずっと歩いて、名古屋国際会議場に行きます。「あいち・なごや生物多様性EXPO」が、今日・明日と開催されています。ついで、白鳥庭園、白鳥公園を経て、宮の渡し跡へ。個人的には、ここ宮の渡し跡へ行くのが目的で参加しています。その後は、秋葉山円通寺がゴール。オプションコースとして、熱田神宮に参拝しますが、宝物館が割引料金で入れることになっています。熱田さん参拝のついでに、宝物館も観てこようと思って出かけました。帰りは、名鉄神宮前駅から電車に乗るつもり。

Img_7192c_20200111172801  スタートして、北へ。名古屋駅方向です。中川運河に突き当たって右折し、松重閘門に向かいます。歩き始めImg_7218c_20200111172801 てすぐの写真が左のもの。名古屋駅前の高層ビル群が遠くに見えています。スタートして500mほどで松重閘門に到着。去年(令和元(2019)年9月28日のJRさわやかウォーキングでも来ています(20190928JRさわやかウォーキング「名古屋の二大庭園とてづくり朝市を訪ねて」へ(予告編))。中川運河が開削されたとき、堀川とを結ぶためにつくられたもの(昭和5(1930)年(供用開始は、翌年)。両河川は水位が2メートルほど違ったそうです。東西長さ90mの水路の両端に高さ約20mの塔が2棟ずつあり、一対の塔をつなぐ橋に吊られた40トンの鉄板を上げ下げしました。塔の内部には鋼板を動かすのに使う錘が入っています。日本の閘門では、扉式が多いそうですが、このように両側に塔を建設するやり方は珍しいとされます。

Img_7266c_20200111174701  松重閘門のところの南北橋をわたって、堀川の左岸に出て、ずっと南下していきます。その距離2.3㎞あまり。立ち寄る所はImg_7287c ありませんが、私は、堀川にかかる橋を眺めながら歩いてきました。古い橋は、親柱や照明が凝ったデザインで楽しめるのです。右の写真は、住吉橋。昭和12(1937)年にかけられています。左は、JRAのウィンズ名古屋の東にかかる鉄道橋(スタートから1.8㎞)。JR東海道線、中央線、名鉄名古屋本線が並んでいます。ちょうど、中央線の特急しなのが通過して行きました。

Img_7311c_20200111175301  歩き始めて3㎞を過ぎた所で旗屋橋を渡って、名古屋国際会議場に向かいます。ここで、「名鉄のハイキング×さわやかウォImg_7313c_20200111175301 ーキング 2020.1.11共同開催記念」のカードが配布されました。裏に番号が記されていて、名鉄のハイキングゴール受付で抽選会があるのです。

Img_7317c  名古屋国際会議場には、10時半に到着。スタートからは3.3㎞。ここは、学会でも何度か来Img_7327c_20200111175601 ましたし、前職の時代には、入学式・卒業式が行われたところ。さらには、ポンキッキや、ユーミンなどのコンサートでもたびたび来ています。

Img_7331c_20200111175601  懐かしかったので、ちょっと中に入って、ロビーあたりを一回り。さらには、一休みしてきました(微笑)。ちなみに、「あいち・なごや生物多様性EXPO」は、スルー(苦笑)。前職の時、評議員をしていた時期がありましたので、入学式・卒業式では、舞台の上でセレモニーに参列したことがあります。好き好んでではありません(笑)。立場上の役目として。その頃は、冗談半分に「いらないことと居眠りをしないで、おとなしく座っているのが仕事」といっていました。

Img_7351c  名古屋国際会議場を過ぎると、白鳥公園。このあたりは昔は貯木場(白鳥貯木場)と国鉄白鳥駅でした。平成元(1989)年Img_7395c のデザイン博の時はその会場となっています。昭和58(1983)年から平成3(1991)年までかけて整備した白鳥庭園が、公園の中心です。白鳥庭園は、去年9月のJRさわやかウォーキングで訪ねましたので(20190928JRさわやかウォーキング「名古屋の二大庭園とてづくり朝市を訪ねて」へ(予告編))、今回は、パス。

Img_7353c_20200111180701  白鳥庭園に行く途中にある旧・白鳥貯木場の「太夫堀 中水門」あたりにはユリカモメが並んでいました。9月に予想したとImg_7368c おり(微笑)。通り過ぎてから振り返ると、餌をやる人があったようで、大騒ぎになったりしていました。また、カモもたくさんいました。キンクロハジロが多かったのですが、ホシハジロや、ハシビロガモもいましたし、カルガモの姿もありました。

Img_7424c_20200111181001  堀川沿いをさらに下り、白鳥橋の下を潜って、宮の渡し跡に向かいます。左の写真は、白鳥橋より1つ下流にある大瀬古橋から上流方向を振り返ったもの。堀川に浮かんでいるのは、ユリカモメと、セグロカモメ。水があって、広々とした空間は、私の好み(微笑)。

Img_7458c_20200111181001  宮の渡し跡には、11時20分に到着。スタートから5.7㎞ほど。前からずっと、一度は来てみたいと思っていたところです。宮の渡しは、いうまImg_7446c_20200111181601 でもなく、東海道五十三次のうち41番目の宿場である宮宿にあった渡し場。42番目の宿場である桑名宿に行くには、船で海路を行かねばなりませんでした。その距離は当時の単位で七里。そのため「七里の渡し」と呼ばれていたのです。宮の宿は、東海道最大の宿場で、たくさんの人で栄えました。

Img_7475c  今は、ここには当時の常夜燈や時の鐘、船着場などが復元され、「宮の渡し公園」となっています。左はその常夜燈。常夜燈Img_7488c は、寛永2(1625)年、犬山城主である成瀬正房が熱田須賀浦太子堂(聖徳寺)の隣地に建立したものの、風害で破損。承応3(1654)年からは、現在の位置で宮の渡しの安全を見守ることとなりました。しかし、またしても火事で焼失。ほどなくして再建されたもののすぐに荒廃。昭和30(1955)年になってやっと当時とほぼ同じ位置に復元されました。右は、時の鐘。こちらは、延宝4(1676)年、尾張藩主・徳川光友の命によって作られたもので、熱田の住民や東海道をゆく旅人に時刻を知らせる役目を担いました。江戸時代に使われていた鐘は、今も蔵福寺に保管されているそうです。昭和58(1983)年に宮の渡し公園内に復元されました。

Img_7460c  この写真の先が海。昔の東海道の旅は、ここから船に乗って、海上七里を桑名に向かったのです(こちら)。満潮時には、陸地沿いの航路が約7里(27㎞)で、干潮の時には、沖を廻る航路となり、こちらは約10里(39㎞)だったといいます。所要は、3時間から4時間と推定されています。渡し賃は、正徳元(1711)年の規定では乗合船一人当り、宮~桑名は45文(1,125円)であったといいます(換算にあたっては、1両=米180㎏=100,000円とみなし、「keisan 生活や実務に役立つ高精度計算サイト」によりました)。

Img_7468c  ちなみに、ここの桟橋にもユリカモメが集まって、船を待っていました(微笑)。というわけはありませんが、ユリカモメがImg_7502c 集まっていたのは、事実。宮の渡し跡では、15分かけてあちこち見て回り、海を眺め、堪能してきました。次は、七里の渡しを船で渡ってみたいと思っています。

Img_7550c_20200111184001  11時35分に七里の渡し跡をでて、ゴールに向かいます。途中、伝馬町交差点を通過。「伝馬」は、江戸時代、街道の宿駅に常備され、公用の人や荷物の継ぎ送りにあたった馬をいいます。渡し場&宿場の近くにあるはず。桑名でも伝馬町という地名があるのですが、それは、七里の渡し跡からは1.7㎞ほど行ったところ。ちょっと離れている気がします。

Img_7568c Img_7580c_20200111185001  ゴールは、秋葉山円通寺。曹洞宗の寺院。山号は補陀山(ほださん)。ご本尊は釈迦如来。一般には秋葉山円通寺(あきはさんえんつうじ)などの呼び名で知られています。予習をしていきませんでしたので、お堂が二つある!?など、今ひとつよく分からなかったのですが、始まりは尾張国の豪族であった尾張氏が熱田社に神宮寺として建立したものとされます。弘仁年間(810~824年)に当地を訪れた空海がこの地に小宇を築いて、自ら彫った十一面観音像を安置したと伝わっています。宝暦7(1757)年に伽藍の大造営が行われましたが、明治24(1891)年の濃尾地震で全壊。明治40(1907)年に本堂が建て直されるなどしたものの、これらは昭和20(1945)年の名古屋大空襲によって焼失、戦後に再建されました。寺が開かれて多くの修行僧が集まった中に、一人の僧に姿を変えた秋葉三尺坊がおり、長年の修行を経て永享年間(1429~1441年)、ついに鎮防火燭の秘法を得たといいます。喜びのあまり本当の姿を見せた三尺坊は寺の守護を誓したと伝わり、これに由来して、秋葉三尺坊大権現や羽休の秋葉などの通称で呼ばれています。

Img_7553c  JRさわやかウォーキングのゴールは、寺の南側に設けられていました。ゴールに着いたのは、11時50分。ここまでで歩いたImg_7558c のは、6.8㎞(円通寺は、ゴールしてからお参りしました)。完歩記念のパネルも、撮影しました(微笑)。ゴール受付は、けっこうな賑わい。名古屋でのJRさわやかウォーキングは、参加者が半端ありません。途中でもらった抽選カードの番号は、03136でしたから。

Img_7564c  その抽選カードは、名鉄のハイキングのゴール受付でチェック。残念ながら、「円通寺賞」Img_7566c ということで、「ともしび 秋葉総本山熱田秋葉山 神佛用マッチ」が当選。名鉄のハイキングの完歩券もいただきました。

Img_7642c  マッチは、ご覧のようなもの。「守護 鎮防火燭」とあります。秋葉山のImg_7590c ものですから、火除けに霊験があるかも知れません。一人暮らしをしている家内の母に進呈しようかと思っています。受付を済ませてから、拝殿にお参りしてきました。

Img_7591c  これでゴールはしました。熱田神宮は、オプションコースになっていましたが、ここまで来Img_7628c_20200111195101 て素通りはできません。地元で初詣は済ませていましたが、せっかくの機会ですから、熱田さんにもお参り。東門から入り、本宮拝殿へ直行しますが、人出と、露店の多さには驚きました。

Img_7599c_20200111195101  本宮拝殿前は、このようになっていました。賽銭箱ではなく、賽銭投げ入れ広場という感じ。大賑わいですから、幅広いとImg_7603c_20200111195701 ころからお参りできるようにということでしょう。テレビなどでは、こういう場面を見たことがありましたが、実際にこの目で見るのは初めて。お神籤、お守り、破魔矢などを授与してもらう方多数。私は、よほどのことがなければ、そういうものはいただかなくなっています。

Img_7624c_20200111195101  お参りを済ませたら、宝物館へ、これまた直行。元旦から1月28日まで「日本書紀撰上 一三〇〇年 新春Img_7626c_20200111195101 特別展日本書紀の世界~熱田本日本書紀と共に ~」という展覧会を見てきました。熱田神宮は、14世紀の写本の「日本書紀」を所蔵しています(重要文化財)。巻第十一を欠いていますが、巻第一を上下に分け、巻第十五までの15巻が現存しているそうです。これらを見てきたという次第。

Img_7605c  宝物館を出て少し行ったところに熱田神宮会館が、出店を出していて、きよめ餅と宮きしめんを土産に売っImg_7606c ていました。きよめ餅は、年末にも買ってきましたが、宮きしめんは食べ損なっています(2019年12月15日:20191215近鉄ハイキング「名古屋の繁華街に残る古墳めぐり」(予告編))。迷わず、宮きしめんを買ってきました。しょうゆ味、半生、三人前で¥1,080。本当は、お店で食べたいところですが、熱田神宮内の宮きしめんの店は、超長蛇の列でした。熱田神宮には12時10分頃着いて、13時10分まで滞在。

Img_7630c  帰りは、当初の予定通り、名鉄名古屋本線神宮前駅から電車に乗ることにしました。ここまででトータル8.4㎞を歩いてきました。改札口に着いたのは、13時13分。13時15分に新鵜沼行きの快速特急があり、それに乗車。名鉄名古屋駅には13時22分着。¥230。近鉄に乗り換え。13時41分の五十鈴川行き急行で、桑名到着は14時1分、¥450。

Img_7647c_20200111195101  ALKOOのデータ。19,415歩を歩きました。歩いた距離は、JRさわやかウォーキングで8.4㎞、自宅から桑Img_7651c 名駅往復が1.8㎞ですから、合計10.2㎞。新年初のウォーキングとしては、まあまあでしょう。

 さて、明日は、近鉄ハイキング「高田本山専修寺「お七夜」と寺内町散策」に行ってきます。このコースは、2年前(2018年1月11日:近鉄ハイキング「高田本山専修寺『お七夜』と寺内町散策」へ(その1)……勝久寺、大乃巳所神社、魚歳食品など)にも歩いていますが、高田本山専修寺は、お気に入りのお寺ですし、現在、お七夜が行われています。お七夜は、いわゆる報恩講。親鸞聖人の命日のお勤め。1週間にわたって行われます。また、ここには、家内の父親のお骨が納めてありますから、納骨堂にお参りしてこようと思っています。天気予報は、曇りですので、無事に行けそうです。御非時をいただきたいのと、時間がうまく合えば(10時と13時の2回)、本山のお庭、雲幽園にある安楽庵の見学をしてきたいと思っています。

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コメント

こころんさん、こんばんは。

いつもありがとうございます。

熱田神宮、年末年始とお参りできました。
去年の記事にも書きましたが、熱田さんにも蕃塀があったのですが、その位置が微妙で、どういう意味合いのものか疑問が深まってしまった感じです。

熱田さんの土産は、やはりきよめ餅ですね
年末に買いましたし、宮きしめんが食べたかったので、今回はきしめんにしました。

また明日以降、本編を書いていきますので、よろしくお願いします。

椿大神社もまだ賑わっているんでしょうね。
鈴鹿にいた頃以来、もう何十年も行っていませんので、一度またお参りに行きたいと思っています。

ところで、7日の日は午前中に本屋に行きました。
エディオンでプリンタのインクなどを買ったついでに立ち寄りました。
こころんさんとは、すれ違いだったんですね。
失礼しました。
また機会がありましたら、是非お目にかかりたいと思っています。

こんにちは
ゴールおめでとうございます!
熱田神宮を参拝できていいコースですね。
またゆっくりコースの地図を拝見して参考にしたいと思います。
お土産はやっぱりきよめ餅ですよね(^^)
はずせません。
また本編を楽しみにしてます。

仕事が落ち着いたので今日は椿大神社へ参拝に行きました。
もう正月から10日以上経っているので少ないだろうと
思ってましたが、日曜ですし車は満車で人いっぱいでした^^;。
おみくじ引いて草餅買って帰ってきました。

7日の雨の日は本屋さんにいらっしゃいましたか?
午前中だったと思います。
入口から左の方でお尻を店側にオープンカーが停まってましたのでもしかしたらと。
僕は1台開けて右側に停めました。
店内で見つけられませんでしたが、ちょっと立ち読みして帰るときにもう車がありませんでしたので行き違いぐらいだったかもしれません^^;。

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    著者の前著『スサノヲの正体』も、興味深く読みました。斬新な着眼点と発想で、思いもかけない結論に至っています。読み物としてはとてもおもしろいという点で、☆を5つとしました。ネタバレになりますから、詳しいことを書くのは控えておきますが、著者は、伊勢神宮に祀られているのは、いわゆる「天照大神」ではなく、別の霊威の強い(祟る)、二柱の神だとしています。祟るが故に、伊勢に放逐されたのだと主張するのです。ただ、著者の肩書きは、歴史作家にして、武蔵野学院大学日本総合研究所スペシャルアカデミックフェローであり、仏教美術に関心をもち、奈良に通ううち、独学で日本古代史を研究したということですから、現在の歴史学や考古学が明らかにした内容と整合性がとれている主張なのかどうかは、私には判断はできかねます。それ故、「読み物としてはおもしろい」と評価しています。 (★★★★★)

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  • 宮口幸治: 歪んだ幸せを求める人たち―ケーキの切れない非行少年たち3―(新潮新書)

    宮口幸治: 歪んだ幸せを求める人たち―ケーキの切れない非行少年たち3―(新潮新書)
    「ケーキの切れない非行少年たち」シリーズの3冊目です。本の帯には「『幸せを求めて不幸を招く人』の戦慄ロジック」とあります。「みんな幸せになりたい」という動機は万人がもつものでしょう。しかし、幸せの形は人それぞれですし、幸せになりたいと強く願うものの、かえって生きづらさや苦悩を抱える人たちもたくさんいます。著者は、人は幸せになりたいが故に、結果的に他人が不幸になることでもやってしまうといいます。さらに、幸せになりたいのだけれど、そのやり方がよくない」と考える、結果的に他人を不幸にする人たちを理解できるともいいます。著者が長年関わってきた非行少年達にもそれは共通するそうです。歪んだ幸せを求める人たちの背景にある要因として、著者は、怒りの歪み、嫉妬の歪み、自己愛の歪み、所有欲の歪み、判断の歪みの5つの歪みを取り上げ、事例も含めて考察しています。これを読むと、こうした5つの歪みは、ごく普通の人びとも多少とももっているものといえます。最終章では、自分と他者の「ストーリー」という概念を用いて、歪んだ幸せを求める事についてどう向き合えばよいか、提案されています。 (★★★★)

  • 森永 卓郎: 書いてはいけない

    森永 卓郎: 書いてはいけない
    他の本を買いに行った時、書店で平積みになっていましたので、思わず買ってしまいました。メディアのタブーに触れつつ、現在の日本が凋落している要因を3つ指摘しています。サブタイトルは、「日本経済墜落の真相」となっています。3つは、ジャニーズの性加害、財務省のカルト的財政緊縮主義、日本航空123便の墜落事件。この3つについては、関係者は皆知っているものの、触れてはいけない、本当のことをいってはいけないタブーになっているといいます。メディアで触れたら、瞬時にメディアには2度と出られなくなるそうです。ジャニーズ問題は、BBCの報道のためにオープンになってしまいましたが、著者の森永さんは、ご自身が病を得られたこともあって、現状を打破するためにこの本を書かれました。財務省による必要以上の財政緊縮政策と、日航123便の事故のお陰で日本がアメリカに対してどんどん主権を失っていったことが、日本経済の衰退の主たる要因と主張しています。たぶんそれは本当だろうなというのが、私の読後感。 (★★★★)

  • 立木 康介: フロイト『夢判断』 2024年4月 (NHKテキスト)

    立木 康介: フロイト『夢判断』 2024年4月 (NHKテキスト)
    何を今さら勉強しているのか? と思われるかも知れませんが、ちょっと前に流行った言葉でいえば、リスキリングに相当するかも知れません。学生時代に読みましたが、しっかり理解したかといえば、アヤシいのです。学生時代からは50年近い月日が経っていますので、その後の研究成果も含め、新しいことがあるだろうと思ったのです。100分de名著というNHK Eテレの番組のテキストです。講師の立木先生は、パリ第8大学で精神分析の博士号を取得され、京大人文科学研究所の教授。精神分析は「昨日までとは違う自分を手に入れるために行う」とおっしゃっていました。この番組でもっとも印象に残ったのは、あの有名な「エディプス・コンプレックス」よりも、今日、重要なフロイトが提案した概念は、「両性性」であるということでした。これは、いかなる個人も与えられた解剖学的性にしばられないセクシュアリティの自由を持つことをうたうものです。この視点に立てば、同性愛も、トランスジェンダーもいわば当たり前の存在であるということになります。これらを踏まえると120年間に書かれた「夢判断」の内容は、きわめて今日的な意義を持ってくると再認識する必要があります。 (★★★★★)

  • 諸富 祥彦: NHK「100分de名著」ブックス フランクル 夜と霧

    諸富 祥彦: NHK「100分de名著」ブックス フランクル 夜と霧
    フランクルのこの本は、改めて紹介するまでもないほど、有名な本です。私も学生時代、霜山徳爾先生の翻訳で読みましたが、ことばでは書き尽くせないほどの衝撃を受けたことを、いまでもよく覚えています。第二次世界大戦中にナチスの強制収容所に収監された経験をもとに、精神医学者・フランクルが、人生の目的を明確にし、その実現に向けて没頭する心理療法を紹介する本です。原題を直訳すると「それでも人生に然りと言う:ある心理学者、強制収容所を体験する」となります。実存心理学の名著であり、極限の環境におかれたとしても、何かが、あるいは、誰かがあなたを待っているということを主張しています。絶望して終わるのではなく、人生が何をわれわれに期待しているのかが問題であり、私たちはそれを学ぶことが重要だとしています。何度か読み直すことによって、人生への理解が深まる気がします。 (★★★★★)

  • 松田 忠徳, 増田 晋作: 枕草子の日本三名泉 榊原温泉

    松田 忠徳, 増田 晋作: 枕草子の日本三名泉 榊原温泉
    榊原温泉は、全国的に有名とはいえないかも知れませんが、名湯です。それは、枕草子に「湯は七栗の湯 有馬の湯 玉造の湯」にある、七栗の湯が榊原温泉と考えられるからです。最近、日本三名泉といえば、有馬温泉/兵庫県、草津温泉/群馬県、下呂温泉/岐阜県とされますが、枕草子に取り上げられたのはそれよりも古く、「元祖日本三名泉」といえます。榊原温泉の湯は、肌がきれいになる「美人の湯」というだけでなく、抗酸化作用もある健康の湯でもあります。この本は、日本一の温泉教授・松田先生と、地元を知り尽くした増田さんの共著で、「何もない」といわれていた榊原温泉の魅力を語り尽くしています。ちなみに、私にとっては家内の実家を知る上で格好のガイドブックです。 (★★★★)

  • 文藝春秋: 定年後に読む不滅の名著200選 (文春新書)

    文藝春秋: 定年後に読む不滅の名著200選 (文春新書)
    この本の帯には「これが定年後の知の道しるべ!」とありますが、私自身はさほど大上段に構えたつもりで読んではいません。どのような本が選ばれているかにももちろん興味はあったのですが、それらがどのように紹介されているかといった方面に興味があって読みました。本を紹介している方々はいろいろな分野で功なり、名を挙げた方ばかり。それらの方がどんな本を読み、どのように唱歌していらっしゃるかが知りたかったのです。ちょっと邪道な読み方ではありましたが、しっかりと楽しめました。 (★★★★)

  • 石田泰弘(編著): 街道今昔 佐屋路をゆく (東海の街道2) (爽BOOKS 東海の街道 2)

    石田泰弘(編著): 街道今昔 佐屋路をゆく (東海の街道2) (爽BOOKS 東海の街道 2)
    さほど本格的に取り組んでいるわけではありませんが、昔の街道を歩くのは好きです。この本のテーマである佐屋路(佐屋街道)も歩きたいと思って調べています。佐屋路は、東海道佐屋廻りとも呼ばれたように、東海道の迂回路でした。江戸時代に東海道宮宿と桑名宿の間を、陸路万場宿、佐屋宿の陸路を経て、佐屋から桑名宿への水路三里の渡しによって結んでいた街道です。実際に歩いて書かれたと考えられますが、旅人目線で書かれたウォーキングガイドです。津島街道、高須道も取り上げられています。部分的には歩いたところがありますが、佐屋路はいずれ、歩いてみたいと思い、計画中ですので、とても参考になりました。実際に歩かなくとも、歴史読み物としても楽しめます。 (★★★★★)

  • 柳瀬博一: カワセミ都市トーキョー 【電子限定カラー版】 (平凡社新書1049)

    柳瀬博一: カワセミ都市トーキョー 【電子限定カラー版】 (平凡社新書1049)
    東京都心にたくさんのカワセミが棲んでいるというのは、最近割とよく知られるようになっています。清流の鳥というイメージがあるかも知れませんが、東京の「野生」環境をうまく利用して繁殖もしています。そのカワセミが暮らす街は東京屈指の高級住宅街ばかりだそうです。すなわちカワセミも、人間も好む環境は同じというのです。カワセミが暮らす街は、人間にとってもよい街ということです。カワセミの存在に気付いたことから、「小流域源流」をキーワードに「新しい野生」と「古い野生」の繋がりを論じています。カワセミの生態も詳しく観察されていますので、私も今までよく知らなかったことが多々書かれていて、興味深く読みました。 (★★★★)

  • 内田 樹: コモンの再生 (文春文庫)

    内田 樹: コモンの再生 (文春文庫)
    私は、内田樹先生の評論が好きで割とよく読みます。「コモン(common)」とは、形容詞としては「共通の、共同の、公共の、ふつうの、ありふれた」という意味ですし、名詞としては「町や村の共有地、公有地、囲いのない草地や荒れ地」を意味します。昔は、ヨーロッパでも日本でも村落共同体はそういう「共有地」を持っていました。コモンを管理するには「みんなが、いつでも、いつまでも使えるように」という気配りが必要になるのですが、近代になって怒った「囲い込み」によって「コモンの私有化」が起こり、村落共同体が消え、集団的に維持されていた儀礼、祭祀、伝統芸能、生活文化が消えてしまったのです。著者は、このコモンを再生することが市民の原子化、砂粒化、血縁、地域共同体の瓦解、相互扶助システムの不在という索漠たる現状を何とかするために必要と考えています。ちなみに、マルクスとエンゲルスによるコミュニズムは、著者によれば「共同体主義」と訳した方がよく、彼らは「コモンの再生」が必要と提言したといいます。「共産主義」と訳されてしまったがため、なんだかよく分からないことになっているのです。「共有主義」あるいは「共同体主義」と意訳してくれていたら、もろもろが変わっていたかも知れないという話には、膝を打ちました。 (★★★★★)

  • 本田 秀夫: 知的障害と発達障害の子どもたち (SB新書)

    本田 秀夫: 知的障害と発達障害の子どもたち (SB新書)
    児童精神科医の本田先生の最新刊です。今回は知的障害が取り上げられています。これまでの本田先生の御著書では、発達障害が主に取り上げられてきたのですが、実は知的障害を持つ子どもたちも一定数存在していますし、発達障害と知的障害を合わせ持つ子どもたちもいます。その意味で、発達に困難のある子どもたちのことをきちんと理解して、適切な支援をする上では、両者を視野に入れることが重要です。著者は、知的障害の支援では、「早く」と「ゆっくり」がキーワードになると書いておられます。これは私もそうだと思います。可能な限り早期から支援を受けた方がよく、一方で、発達のスピードに合わせて「ゆっくり」としたペースで支援をすることが大切になります。発達障害の子どもたちにも「本児のペースに遭わせた支援が必要」とおっしゃる方がありますが、発達障害の子どもたちの理解/支援の上でのキーワードは「アンバランス」です。この本は、発達が気になるお子さんをお持ちの保護者の方、特別支援教育に携わる教員の方々にとって、基本的なテキストといえます。 (★★★★★)

  • BIRDER編集部: お手本でわかる!野鳥撮影術 (BIRDER SPECIAL)

    BIRDER編集部: お手本でわかる!野鳥撮影術 (BIRDER SPECIAL)
    バードウォッチングや野鳥撮影を趣味にしています。とはいえ珍鳥を追うのではなく、主に自宅近くを散歩しながら、いわば「定点観測」のように野鳥を見ています。自分の写真の撮り方を振り返ると、図鑑的に撮ることがほとんどです。なぜそうなのかを考えてみると、研究者の端くれであったことが関わっている気がします。つまり、写真を撮ることを、観察した記録やデータと見ているからではないかということに思い当たりました。野鳥撮影の「幅を広げたい」と思っていたら、この本が出版されました。ざっと目を通したところ、「色とりどりの花と鳥」「木の実レストラン」「やわらかい表情を追う」などさまざまなテーマで鳥とその周辺を撮る方法が載っています。これを参考に、自分の野鳥写真の世界を広げられたらいいなと思える本です。 (★★★★★)

  • 磯田 道史: 磯田道史と日本史を語ろう (文春新書)

    磯田 道史: 磯田道史と日本史を語ろう (文春新書)
    磯田道史さんが、さまざまな分野の達人と歴史についての論賛をしたのをまとめた本です。論纂とは、①人の徳行や業績などを論じたたえること、②史伝の終わりに著者が書き記した史実に対する論評のこと。異分野の専門家同士が議論をすることによって生まれるものは、別次元となり、大変興味深いものとなります。この本がその論より証拠。養老孟司さんとの論賛からは「脳化社会は江戸時代から始まった」という話が出て来ています。忠、孝、身分などは、シンボリズムであり、それらは見たり、触れたりできません。また、関東大震災に遭遇したことは、被害に対する鈍感さをもたらし、それが太平洋戦争につながったという指摘には、なるほどそういう面も確かにありそうだと思わされました。その他、歴史や人間について、実にさまざまな、新しい見方が示され、大変おもしろく読み終えました。 (★★★★★)

  • 保阪 正康: 近代日本の地下水脈 I 哲学なき軍事国家の悲劇 (文春新書 1440)

    保阪 正康: 近代日本の地下水脈 I 哲学なき軍事国家の悲劇 (文春新書 1440)
    本の帯に「『水脈史観』で日本の失敗を読み解く」とあります。「水脈史観」という概念には初めて接しましたが、「攘夷のエネルギーは、いまも日本社会の根底に流れている」という見方です。明治維新後、日本がとりえた国家像は、欧米型帝国主義国家、道義的帝国主義国家、自由民権国家、米国型連邦制国家、攘夷を貫く小日本国家の5つであったが、哲学なきまま欧米型帝国主義国家の道を突き進み、軍事中心の国家作りを推し進めたことが、戦前の日本の失敗の原因であったというのが著者の主張です。それは確かにそうだと思いますが、私には、ほんのサブタイトルにある「哲学なき国家」ということが、現代日本の様々な問題の背景にあるような気がしてなりません。 (★★★★)

  • 佐伯 泰英: 陰流苗木(かげりゅうなえき)~芋洗河岸(1)~ (光文社文庫)

    佐伯 泰英: 陰流苗木(かげりゅうなえき)~芋洗河岸(1)~ (光文社文庫)
    今回も特別に時代小説を取り上げます。この2つ前の本に佐伯泰英さんの「恋か隠居か 新・酔いどれ小籐次(二十六)」を取り上げ、これは佐伯さんの300冊目の「文庫書き下ろし小説」だと書きました。今回のこの本は、301冊目です。しかも、80歳を越えて、さらに新しいシリーズを始められたのです。美濃を食い詰めた浪人・小此木善治郎が、職なし、金なし、住むあてなしながら、剣の達人にしてとぼけた侍であるものの、なんとも頼りになる存在で、親切な住人や大家によって受け入れられた長屋の秘密と謎の渦に巻き込まれるという設定。これまたおもしろそうなシリーズです。毎月刊行で、全3巻の予定とか。第2巻が待ち遠しい内容です。 (★★★★★)

  • 養老孟司, 鵜飼哲夫: なるようになる。 僕はこんなふうに生きてきた(中央公論新社)

    養老孟司, 鵜飼哲夫: なるようになる。 僕はこんなふうに生きてきた(中央公論新社)
    養老先生の新刊が出たというので早速入手し、ほぼ一気に読み終えました。「はじめての自伝!」といううたい文句で、帯には「虫と猫と、バカの壁。考え続けた86年」ともあります。養老先生は、かなりしつこい性格でいらっしゃるようで、疑問に思ったことは「まぁいいか」などと思わず、考え続けてこられたそうです。その結果が、これまでのユニークな著作に結実しています。それはさておき、考え続けた結果、「なるようになる。」というのが、養老先生の現時点での結論だそうです。「なるようにしかならない」ではなく、「なるようになる。」のです。物事は、はっきりとした目的意識があって進むのではないので、「なるようになる。」なのです。忘れてしまったような些事がその後の人生を動かしてきたかもしれないともあります。なるほどと、この本を読み、養老先生の来し方をいささか知ると、納得できます。というか、納得した気になっているだけかも知れませんが…… (★★★★★)

  • 佐伯 泰英: 恋か隠居か 新・酔いどれ小籐次(二十六) (文春文庫)

    佐伯 泰英: 恋か隠居か 新・酔いどれ小籐次(二十六) (文春文庫)
    佐伯泰英さんは、この本で「文庫書き下ろし小説」というジャンルで300冊刊行を達成されました。佐伯さんの時代小説はすべて読んでいます。まさにストーリー・テラーといえる作家で、実に読み応えのある時代小説をたくさん書いておられます。このシリーズは、いったん完結となったかと思ったのですが、この「恋か隠居か」で復活しました(と理解しています)。隠居を考える小籐次ですが、小籐次親子に挑戦状が届くところから始まる物語。今回も楽しめました。 (★★★★★)

  • 安藤優一郎: 15の街道からよむ日本史 (日経ビジネス人文庫)

    安藤優一郎: 15の街道からよむ日本史 (日経ビジネス人文庫)
    街道歩きを少ししています。三重県内では、東海道のほとんど、伊勢参宮街道、美濃街道・養老街道などを歩きました。もっとあちこちの街道を歩きたいと思っていますが、そのときにこの本が出版されましたので、早速入手して読みました。芭蕉の奥州街道、伊勢参宮街道のお伊勢参り、武士の旅日記などの章をとくに興味深く読みました。主要な街道を取り上げることで読みやすい歴史物語となっています。 (★★★★)

  • 大芦治: 心理学をつくった実験30 (ちくま新書)

    大芦治: 心理学をつくった実験30 (ちくま新書)
    「誰もが一度は耳にしたことがある有名実験の背景・内容・影響を紹介、新たな心理学像を呈示する」と帯にあります。心理学全般に関心を持つ社会人を読者に想定しているといいますが、私には心理学史のテキストとして、あるいは、入門段階の心理学を学んだ方がさらに学習を深める際に読む本としてもよいかも知れません。 私自身も、心理学の教科書を執筆したことが何度かありますが、そこに引用する理論や実験については、いわゆる「孫引き」をしてしまったこともよくありました。この本の著者は、可能な限り原典にあたって執筆していらっしゃり、その意味では参考になったところが多々あります。 ところで、著者は心理学の未来にあまり明るい展望を持てないようです。臨床心理士、公認心理師の資格が人気を集め、心理学部などもたくさん設けられました。私自身の勝手な個人的意見を書けば、資格ができると、レベルは下がると思っています。根拠はありません。個人的な印象によるものです。私は実験心理学でトレーニングを受け、臨床心理の分野に進みました。心理学の基本は実験心理学と個人差測定心理学にあると思っています。学部段階からいきなり臨床心理学プロパーに進むのは、相当よろしくないと思います。臨床実践にあたってはその基礎となる確かな、科学的な学問(知見、理論なども含む)が必要です。また、仮説演繹法などのものの見方もきちんと身に付ける必要があります。これらは実験心理学と個人差測定心理学から養われると思っています。 この本は、基礎的知識がない方がいきなり読むのは難しいでしょうが、科学的心理学を学びたいと思う方にはよい参考書となります。 (★★★★)

  • 磯田 道史: 家康の誤算 「神君の仕組み」の創造と崩壊 (PHP新書)

    磯田 道史: 家康の誤算 「神君の仕組み」の創造と崩壊 (PHP新書)
    磯田先生の書く本はどれもとても面白く読めます。といっても、私が読むのは研究書ではなく、新書だからなのかも知れません。この本は、家康がなぜ幕藩体制を創ることができたのか、江戸時代、誰が神君の仕組みを崩わしたのか、幕末、かくして神君の仕組みは崩壊した、神君の仕組みを破壊した人々が創った近代日本とは、家康から考える日本人というものという5つの章からなっています。家康は天下を取ったあとこの国を支配するのに巧妙な仕掛けをつくり、平和な時代が続いたのですが、誤算が生じて、徳川政権が変質し、崩壊に至ったと著者は考え、そのプロセスを俯瞰しています。いろいろな時点で「神君の仕組み」を骨抜きにする人物や政策が表れたといいます。組織が弱体化する姿を見ておくと、自分たちの劣化を防ぐ力が養われると磯田先生は述べています。徳川時代が現在にあたえている影響も多く、その分析も興味深く読めます。 (★★★★★)

  • 多井 学: 大学教授こそこそ日記

    多井 学: 大学教授こそこそ日記
    文庫本を買いに本屋に行ったら、平積みしてあるのを見つけて思わず買ってしまいました。私もその昔、ご同業だったことがあったからです。帯に「いくらでも手抜きのできる仕事」とありますが、私の経験でもそういう人もそれなりにいました。ちなみに私自身は、こき使われたと思っています。さらに「現役教授が打ち明けるちっとも優雅じゃない生活」とも書かれていますが、これはまさに私の体験と同じ。本に書かれていることがらも、ことごとく納得できます。私は、「そうそう!」といいながら読み終えました。大学教授で儲けている人はごく一部などなど。まぁ大学教授の仕事や生活に興味をお持ちの方は、さほど多くはいらっしゃらないとは思いますが、お暇な方にはどうぞ。 (★★★★)

  • 宮口 幸治: 境界知能の子どもたち 「IQ70以上85未満」の生きづらさ (SB新書)

    宮口 幸治: 境界知能の子どもたち 「IQ70以上85未満」の生きづらさ (SB新書)
    「境界知能」という言葉は、専門家はよく知っていると思いますが、一般のご父兄や、小中学校の先生方にはあまりなじみがないかも知れません。IQという指標でいえば、多くの場合70以上85未満の子どもたちがこれに該当する可能性があります。一見したところでは普通の子どもたちと変わりはなく、なかなか気づかれません。しかし、理論的には約14%の子どもたちが含まれますから、本の帯にあるように「日本人の7人に1人」となります。平均と知的障害のはざまにあり、気づかれにくいものの、授業について行けなかったり、友だちと上手くつきあえなかったり、感情のコントロールが苦手であったりして、当事者の子どもたちは苦戦し、辛い思いをしています。発達障害はよく知られるようになりましたが、境界知能の子どもたちにもしっかり目を向け、必要な支援を提供することは喫緊の課題といえます。この本では、境界知能とはどのような状態なのか、教科学習の前に認知機能を向上することの重要性、子どもの可能性をいかに伸ばしたら良いかについて具体的に、分かりやすく解説されています。 (★★★★)

  • 関裕二: スサノヲの正体(新潮新書)

    関裕二: スサノヲの正体(新潮新書)
    タイトルに惹かれて手に入れたものの、序章の記述が私にとっては退屈でしばらく放っておいたり、読み直そうと思ってくじけたりしていました。しかし、そこを乗り越えるとこの本はとても面白くなり、ほとんど一気読みしました。スサノヲ(素戔嗚尊)の正体を探るプロセスでアマテラス(天照大神)の謎も明らかにされて行き、それもとても興味深いものがあるのです。アマテラスは皇祖神とされますが、実在の初代王と言われる崇神天皇はアマテラスを伊勢に追いやっています。また、伊勢神宮を整備した持統天皇だけは伊勢に参ったものの、それ以降明治になるまで、1,000年以上も歴代天皇は伊勢神宮を訪れていません。明治天皇が東京に遷御したあと武蔵国の鎮守勅祭の社に定めたのは、スサノヲの祀られる氷川神社(現さいたま市)です。明治天皇は氷川神社を訪れた翌年に、伊勢神宮を訪れています。そもそも伊勢にいる神はアマテラスなのかという疑問にも立ち向かっている、古代史や神に関心がある方にはお勧め。 (★★★★★)

  • 安藤 優一郎: 大名屋敷「謎」の生活 (PHP文庫)

    安藤 優一郎: 大名屋敷「謎」の生活 (PHP文庫)
    時代小説をよく読みます。捕物帖、市井の人たちの生活、侍の物語、大名の話などいろいろとあります。庶民の生活については、これまでもいろいろな本でかなり知っていますが、大名の生活については分からないところの方が多いと思っていました。タイトルに惹かれて買ったのですが、大名やその家族の生活が詳しく書かれているのではなく、勤番侍の生活、大名屋敷の庭園、御用達商人や豪農、幕末の動乱と大名屋敷などの話が中心でした。それはそれで知らなかったことが多々あり、興味深く読みました。 (★★★)

  • 服部環ほか: 指導と評価2023年10月号(図書文化社)
    「指導と評価」は、日本教育評価研究会の機関誌であるとともに、日本で数少ない教育評価に関する月刊誌です。この号では、教育・心理検査の意義と活用という特集が組まれています。「教育・心理検査の意義」に始まり、WISC-Ⅴ、KABC-Ⅱなどの個別検査の使い方、解釈の仕方、指導への活かし方がそれぞれの専門の先生によってわかりやすく解説されています。特別支援教育の現場でも、きちんとした心理アセスメント所見に基づいた支援を展開することが望ましいのですが、現場の先生方には敷居が高いようです。ご関心がおありの方には、どのように使えるか、どのように考えたらよいかについて基本的なことがらを理解するのに適しています。出版社のWebサイトからバックナンバーとして購入できます。 (★★★★)
  • 石田 光史, 樋口 広芳(ナツメ社): ぱっと見わけ観察を楽しむ 野鳥図鑑

    石田 光史, 樋口 広芳(ナツメ社): ぱっと見わけ観察を楽しむ 野鳥図鑑
    野鳥図鑑はすでに何冊も持っていますが、この野鳥図鑑は、2015年の刊行で、なぜ今までこの存在に気づかなかったと反省するほど便利そうなもの。掲載されているのは324種ですが、それぞれの特徴や、見わけのポイントがパッとわかるようになっています。その鳥の生活型や生息地、食性や羽色、形態などのほか、雌雄、夏羽冬羽、幼鳥などで特徴が異なる場合は、それらについても説明されています。観察したい行動から、おもしろい生態、探し方までもが載っていますし、鳥の鳴き声が聴けるQRコードも付いています。私自身、野鳥の特定がけっこうアヤシいので、しっかり活用しましょう。 (★★★★★)

  • 千枝大志(風媒社): 街道今昔 三重の街道をゆく (爽BOOKS)

    千枝大志(風媒社): 街道今昔 三重の街道をゆく (爽BOOKS)
    「東海の街道」シリーズの第4巻です。「街道歩きのお供に最適の1冊」といううたい文句。内容は、三重の主な街道、近世三重の城郭図・城下図を読み解く、お伊勢参り小咄、伊勢をめぐる〈参詣〉をデジタル化するの4章構成で、まさに三重の街道歩きの参考書としてよいと思います。私自身も県内の東海道、伊勢街道、美濃街道、濃州街道はほとんど歩き、ほかの街道も部分的に歩いていますし、城もここに載っているところはかなり訪ねています。デジタル化も、ブログに写真・記事を載せていますから、出来不出来はともかく、私も取り組んでいます。県内の街道はさらに歩こうと思っていますし、デジタル化にももっと取り組みたいと考えていますので、十分活用できるでしょう。 (★★★★★)

  • 唐沢孝一: 都会の鳥の生態学 カラス、ツバメ、スズメ、水鳥、猛禽の栄枯盛衰 (中公新書)

    唐沢孝一: 都会の鳥の生態学 カラス、ツバメ、スズメ、水鳥、猛禽の栄枯盛衰 (中公新書)
    都市にもたくさんの野鳥がいることを知る人は少ないかも知れません。私がいつも散歩している地方都市の公園では、これまで10年あまりで70種類近くの野鳥を観察しています。都会は自然の少ない人工的な環境にあふれていますが、野鳥たちはもともとの生態を活かしつつこれらにしたたかに適応してい生きています。この本では、カラス、ツバメ、スズメ、水鳥、猛禽を取り上げ、その都会における生態や、活動の変化、人間と鳥との関係とその変化などについて多くの実例や、調査結果をもとに、豊富な写真を使って楽しく読めるようにまとめられています。 (★★★★★)

  • 堤未果: 堤未果のショック・ドクトリン 政府のやりたい放題から身を守る方法 (幻冬舎新書)

    堤未果: 堤未果のショック・ドクトリン 政府のやりたい放題から身を守る方法 (幻冬舎新書)
    「ショックドクトリン」とは、テロや大災害など、恐怖でこくみんが思考停止している最中に、為政者や巨大資本がどさくさ紛れに過激な政策を推し進める悪魔の手法のことです。アメリカでの3.11以来、日本でも大地震やコロナ禍の裏で知らない間に個人情報や資産が奪われようとしているというのがこの本のテーマ。パンデミックで製薬企業は空前の利益を得、マイナンバーカード普及の先には政府のよからぬ思惑があるなどよくよく注意し、自分の生命・財産を守らないといけないというのが著者の主張。「今だけ、自分だけ、お金だけ」という強欲資本主義に負けないようにするには、ちょっとした違和感を大事にし、お金の流れがその裏にないか、また、それで大もうけして回転ドアをくぐって逃げる輩がいないかをチェックすることです。また、政府が何か、大急ぎで導入しようとしたり、既存の制度を急拡大しようとするときは、要注意だそうです。 (★★★★)

  •  奥山景布子: 葵の残葉 (文春文庫)

    奥山景布子: 葵の残葉 (文春文庫)
    いわゆる「高須四兄弟」である徳川慶勝、松平容保、松平定敬、徳川茂栄は、幕末維新の激動期に、結局のところ官軍と幕府とに分かれて戦う運命になったのですが、この四兄弟を取り上げて埋もれた歴史を活写した小説。私自身は、桑名藩主であった松平定敬が取り上げられているので興味を持って手に取った次第。幕末維新は、次々に色々な出来事が起きて、さまざまな人たちの思惑も複雑に入り組んでいるので、小説にするのは難しいと思っていたのですが、隠れた主人公ともいえる高須四兄弟の視点からとても躍動感のある読み物になっています。また、この時期の歴史をより一層深く理解できたという感想も持っています。 (★★★★)