20191201近鉄ハイキング「お伊勢さん参りハイキング 昔も今もお伊勢参り~旅12日目~【最終日】伊勢街道、旅人気分で一層賑やか古市から念願のお伊勢さんへ」(その1)……宇治山田駅をスタートし、古市参宮街道を行き、大林寺、油屋跡をみる
12月1日に行ってきた近鉄ハイキング「お伊勢さん参りハイキング 昔も今もお伊勢参り~旅12日目~【最終日】伊勢街道、旅人気分で一層賑やか古市から念願のお伊勢さんへ」の本編、その1です。この近鉄ハイキング「お伊勢さん参りハイキング」も、3月10日に桑名を出発して以来(20190310近鉄ハイキング「昔も今もお伊勢参り~旅1日目~東海道、旅人気分で七里の渡しから富田へ」……雨天決行にて「完」)、12回に分けて、東海道、日永の追分から伊勢街道を歩いてきました。この日は、タイトルにあるように、いよいよ最終日で、伊勢神宮・内宮に無事に参拝してきました。あまり大きな声ではいえませんが、実は、とある研究会をブッチして近鉄ハイキングに参加したのです(お世話をしてくださるG先生、講師のK先生には大変失礼をしました)。調べてみたら、12回で歩いたのは、合計133.8㎞でした。年内には、改めて全行程を振り返りたいと思います。
この日の受付、スタートは、近鉄山田線・宇治山田駅。9時半から11時の受付でしたので、桑名駅を8時3分に 出る伊勢中川行きに乗車。伊勢中川に9時4分に着いて、9時7分の五十鈴川行き急行に乗り換え。宇治山田駅には9時31分に到着。¥1,220。コースマップを受け取り、あみま倶楽部のスタンプを押してもらい、9時40分にスタート。あみま倶楽部のスタンプは32個になりましたが、会員資格を更新する必要がある今月中に40個達成は困難。ちょっと残念ですが、40回参加しようと思うと、今の状況ではやや無理があります。今日は、畏友M氏と二人、珍道中。
こちらがこの日のコースマップ。B4サイズ片面。宇治山田駅から伊勢街道(古市参宮街道)を南に行くと、内宮に達します。お参りした後は、北へ。ゴ ールは、近鉄鳥羽線・五十鈴川駅。1駅先なのですが、グルッと回りますので、マップ上、約9㎞のコース。主な立ち寄り個所は、大林寺、伊勢古市参宮街道資料館、猿田彦神社、皇大神宮(内宮)、岩戸屋、おかげ横丁、三重交通 Gスポーツの杜 伊勢です。が、おはらい町にある岩戸屋さんには立ち寄るのを忘れて、接待していただけたはずの湯茶とお菓子にはありつけず。しかし、伊勢くすり本舗おはらい町屋台には立ち寄り、野間の萬金丹を入手してきました。これには理由があるのですが、それはまた後ほど。右は、実測ルートマップ。余分なところには行っていませんので、歩いたのは、ほぼコースマップ通りの9.2㎞。
近鉄宇治山田駅は、お気に入りの建物。昭和6(19319年、参宮急行電鉄線(のちの近鉄大阪線・山田線)全通に際し、宇治山田市(昭和30(1955)年に伊勢市と改称)の新たな玄関口となる伊勢神宮最寄りのターミナル駅として解説されました。ここは、昭和5(1930)年に開かれた「御遷宮奉祝神都博覧会」の会場跡 地。当時から長距離列車の始終着駅として賑わい、また、貴賓室があり、天皇や内閣総理大臣の伊勢神宮参拝の際の乗降駅となっています。当時としては壮大であった高架ターミナル駅は「伊勢では電車も高天原に着く」と洒落て呼ばれたといいます。設計は、久野節(くの みさお 1882~1962年)。久野は、大阪府出身の建築家。東京帝国大学建築学科卒。鉄道省技師、中部鉄道管理局、鉄道省初代建築課長、逓信省技師を歴任。宇治山田駅と同じく、昭和6(1931)年に開業した東武鉄道浅草駅や、昭和7(1932)年竣工の南海電気鉄道難波駅(南海ビルディング)をも手がけました。駅舎外部壁面はクリーム色のテラコッタ・タイルで全面装飾され、入口上部には八角形の窓が並びます。屋根は茶色のスペイン瓦を使用しています。コンコースの高い天井共々、デザインに優れた昭和初期の名建築と評価されており、駅舎本屋は2001年に国の登録有形文化財に登録されました。
この宇治山田駅の前に、今年5月30日、戦前、戦中のプロ野球で活躍した名投手・沢村栄治(大正6(1917)~昭和19(1944)年)の銅像が建てら れています。沢村は、ここ三重県伊勢市の出身。駅前の明倫商店街に出生地とその記念碑があります。銅像は沢村の身長とほぼ同じで、約1.7m。左足を大きく上げた独特のフォームをかたどっています。除幕式には、沢村の長女・酒井美緒さんが出席され、「いまだに父のことを思い像を建ててくれる人がいて、父は幸せ者です」と話したそうです。沢村は、旧・京都商業を卒業し、昭和9(1934)年に巨人の前身球団に入り、プロ野球初の無安打無得点試合を達成するなど活躍しましたが、昭和9年に3度目の兵役に住持し、台湾沖で戦死しました(27歳)。
こちらは、詳しい実測ルートマップのその1。宇治山田駅から南へ行き、御幸道路を岩淵交差点で越えて次の信号交差点を左折。ここからが伊勢街道(古市参宮街道)。小田橋は勢田川に架かっています。勢田川は伊勢神宮への物資を運ぶ水路でした。ここには伊能忠敬が測量を行ったという説明板があります。古市の町は伊勢参宮を終えた人たちの精進落としの場として栄えた町ですが、第二次大戦でほとんど灰燼に帰し、昔の建物が残っているところはほとんどありません。古市は小高い丘にあり、坂道をずっと上っていくと、大林寺があります。このあたり、歩いたコースは1月のJRさわやかウォーキングと同じです。そちらの記事もご覧ください(2019年2月1日:20190127JRさわやかウォーキング「新春に二千年の時を刻む大神宮へのおかげ参り」へ(その1)……外宮、豊川茜稲荷神社に参拝し、祖霊社を見て、古市参宮街道へ)。
スタートから500mあまりで小田橋に来ます。勢田川は昔、御贄(おんべ)川といわれ、神宮の御饌(みけ、御供物≒御贄) がここを通って運ばれたそうです。ご遷宮の時、御用材がこの橋につき、ここからお木曳きが行われたといいます。左の説明板にはそうした内容が書かれています。この裏が、「伊能忠敬測量の地」という説明。伊能忠敬が現在の伊勢市を訪れたのは、第五次測量の文化2(1805)年4月(旧暦、太陽暦では5月)です。山田には5日間滞在し、木星の衛星(ガリレオ)による凌犯(りょうはん)観測を行い、経度差を求めたそうです。「凌犯(りょうはん)」とは、月が惑星や恒星を隠す現象のことで、この現象を観測した2地点の地方時(その地点を通る子午線を基準として定めた時刻)を正確に求めることで、時差から2地点の経度差がわかるのだそうです。5日間の滞在中には外宮を参拝したといいます。続いて、宇治に3日間滞在し、朝熊岳の測量や、恒星の観測をしたとありました。
小田橋を渡ると、次第に古市の町に入っていきます。このあたりから緩い坂が続き、歩くのも楽ではありません(苦笑)。途 中、何ヶ所かに石柱が建っていて、栄えた頃が偲ばれます。たとえば、右の写真は「間の山 お杉お玉」とあります。「間(あい)の山」とは、江戸時代、伊勢神宮の内宮と外宮の中間の、このあたりをさします。ここ間の山に小屋掛けして、三味線・胡弓などを弾いて歌い、旅人から銭をもらっていた女芸人を「お杉お玉」と称したのです。
さらにその先には、「備前屋跡」という石柱が建っています。天明年間(1781~1788年)、古市には妓楼が70あまり、遊女約1,000人がいたそうです。この備前屋は、牛車楼とも呼ばれたといい、古市では著名な妓楼であったといいます。油屋、備前屋、杉本屋が古市の三大妓楼と呼ばれ、内部には舞台のついた広間があり、毎晩、伊勢音頭を唄い踊り(こちらのNHKのサイトもご覧ください)、客への顔見世にしました(伊勢古市参宮街道資料館のサイトもご参照ください)。
途中、街道沿いにはいくつかお寺なども見えましたが、今回はパス。スタートから1.6㎞ほど、10時10分に 浄土宗西山禅林寺派の大琳寺に到着。しゃべっていて、通り過ぎそうになったのですが、同じハイキング参加者の方が教えてくださいました(苦笑)。信空大和尚が、寛永2(1625)年に開いたお寺。浄土宗西山禅林寺派は、京都市左京区の禅林寺(永観堂)を総本山とする広義の浄土宗の一派です。ご本尊は阿弥陀如来。この境内には、歌舞伎狂言「伊勢音頭恋寝刃(いせおんどこいのねたば)」として今に伝えられている遊郭「油屋」で起こった刃傷沙汰「油屋騒動」のお紺と孫福斎の墓「比翼塚」が建ち、供養しています。
油屋騒動は、寛政8(1796)年5月4日の夜更けに起こりました。事件は27歳の町医者・孫福斎(まごふくいつき)という男が、古市有数の伎楼「油屋」で、なじみの遊女・お紺(16歳)をめぐり、恋の嫉妬に 狂い、刀を振り回し、3人を斬り殺し、6人を負傷させたというもの。斉は後に自殺(27歳)。お紺は49歳で病死します。左の写真が境内にある「比翼塚(ひよくづか)」。向かって左がお紺の墓、右が孫福斎の墓、中央は六地蔵。昔は、塚にはほこら「愛染堂」が、建てられていましたが、残念ながら、 伊勢湾台風により全壊してしまいました。今でも、油屋騒動を題材に舞台などが行われると、出演する芸人さんなどが必ずこの菩提にお参りされるといいます。お紺の墓は文政12(1829)年、板東彦三郎によって、また、孫福斉の墓は昭和4(1929)年、実川延若似よってそれぞれ建てられています。
愛染堂にあった愛染明王(あいぜんみょうおう)は、現在は新しいお堂に安置されています。この愛染明王は遊廓の街・古市にあって、遊女たちの守り神として信仰がありました。現在でも水商売等に携わるかたがたのお参りも続いているそうです。
境内には、このほか、地蔵堂、庚申塔、稲荷社が並んでいます。お地蔵様は、田井戸地蔵。高さ約80cmの立像と、約20cmの座像があります。 その年代、由緒とも明らかではありませんが、永代山の田井戸にあったものを大林寺へ預けられたものです。灌漑用の水祈願のために建立されたものとされます。
庚申塔は、もとは村の入り口とかに邪霊や悪鬼が村に入らぬように、病魔 悪魔 邪鬼を除くとされる正面 金剛がを主尊としています。お稲荷さんの写真は、ちょっとピンぼけになりました。お堂には、「寒中御見舞」と書かれた札がたくさん貼られています。「家内安全、町内円満、商売繁盛」などとも書かれ、伊勢市内の町の講の名前になっています。この「寒中御見舞」は、伊勢の風習のようで、お稲荷さんに貼られるようです。商才はよく分かりませんが、たとえばこちらをご参照ください。
これがその「寒中御見舞」の札。近鉄ハイキングや、JRさわやかウォーキングに行き始めて3年目になりますが、これまでのところ、伊勢市内の稲荷社でしかみたことがありません。
大琳寺を出てすぐ、近鉄鳥羽線を越える陸橋の手前に「油屋跡」の石柱がありました。1月にもこれは観たのですが、ここがあの「油屋騒動」のあった、油屋という妓楼があったところ。ここでスタートから1.8㎞、時刻は10時20分頃。
キリが良いので、その1はここまで。「お前の記事は長い」という評判も少し、気にして(苦笑)。
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