20191110JRさわやかウォーキング「晩秋の田園風景と伊勢本街道を訪ね、『おいないまつり』で多気の文化と食を楽しもう!」へ(その1)……多気駅をスタートし、伊勢本街道を歩いて、常夜燈、金粒丸の商家太好庵、金粒丸の巨大看板を見た後、立ち寄るところもなく2㎞以上をひたすら歩く
11月10日に参加したJRさわやかウォーキング「晩秋の田園風景と伊勢本街道を訪ね、『おいないまつり』で多気の文化と食を楽しもう!」の本編です。いくつものハイキング・ウォーキングに参加し、記事が滞り気味です(苦笑)。まぁ、仕事ではありません。遊びですから慌てる必要はないので、ゆっくりとやっていくことにしましょう。
この日、JRさわやかウォーキングに参加したのは、一つには、行動範囲を広げたいと思ったからです。これまでのハイキング・ウォーキングでは、三重県中南勢地域は、松阪、明和、伊勢しか行っていません。多気駅は、JR紀勢線で松阪から2駅先。未知の領域なのです(昔、車で通過したことは何度かありますが、訪ねたことはなかったのです)。もう一つは、この日参加すると、さわやかウォーキングのスタンプが10個目となり、賞品をいただけるという、いささか不純な動機から。
多気駅は、三重県多気郡多気町にありますが、どこ? と思われる方も多いかも知れません。最近の伊勢参りの近鉄ハイキングで訪ねている、松阪、明和、伊勢のエリアも含めて地図を示すと、左のようになります。松阪市の南に位置しています。紀州に向かう国道42号線、JR紀勢本線と、伊勢に行く伊勢自動車道、伊勢自動車道から勢和多気インターチェンジで分かれる紀勢自動車道が通っていますし、旧街道では、この日歩いた伊勢本街道、和歌山別街道、熊野街道なども通っているという交通の要衝です。
この日もまた絶好の行楽日和、ウォーキング日和でした。前日の近鉄ハイキング「近鉄名古屋線改軌60周年記念ハイキング 近畿日本鉄道発展の礎を歩く(近鉄弥富駅~近鉄長島駅)」に続いて、です。実際に歩いたコースは、左のマップの通り。多気駅をスタート・ゴールとして、多気町内約9.7㎞を歩きました。途中、2回に分けて伊勢本街道をわずかではあるものの、歩きますし、倭姫命ゆかりの相鹿上神社(おうかがみじんじゃ)や、伊勢本街道・相可の道標などをみてまわり、おいないまつりにも立ち寄るというコース。コース前半と後半は、まさに「晩秋の田園風景」でしたし、伊勢本街道を歩くのも楽しみでした。
受付は、JR紀勢線・多気駅で多気駅で8時半から11時の受付。電車の時刻、運賃をいろいろと調べ、結局、ちょっとインチキなのですが、松阪までは近鉄名 古屋線で行き、松阪でJR紀勢線に乗り換えることにしました。JRで行くのであれば、もっとも便利なのは、特急「南紀」に乗るか、快速みえを利用するかです。これなら1時間ほどで桑名から多気まで行けますが、特急では、運賃1,380円+特急指定席1,410円。普通を乗り継いでいくとなると、いったん亀山まで関西線で行き、紀勢線に乗り換えて、乗車時間だけで2時間近く。ということで、桑名を7時52分に出る宇治山田行き急行に乗車。松阪には8時54分に到着。JR紀勢線の伊勢市行き普通電車が、9時24分にありました。松阪から多気までは2駅、¥200。9時35分着。途中の停車駅は徳和。徳和駅は、この10月27日の伊勢参りの近鉄ハイキングですぐそばを通っています(20191027近鉄ハイキング「昔も今もお伊勢参り~旅10日目~伊勢街道、旅人気分で松阪から王朝ロマンをたどる斎宮跡へ」(予告編))。
こちらがスタートの多気駅。切符の自動販売機はなく、出札窓口がありました。それに、ICカードはまだ利用できません。 が、JR紀勢線と参宮線が分岐する駅で、快速みえや、特急南紀も停車します。明治26(1893)年12月に参宮鉄道が津駅~宮川駅間で開通した時に相可駅(初代)として開業しています。紀勢線は、大正12(1923)年3月に、紀勢東線が栃原駅まで開通し、相可駅(2代目)が開業したことにより、相可口駅に改称。さらに、昭和34(1959)年7月、多気駅に改称しています。
紀勢本線は、三重県亀山市の亀山駅から和歌山県新宮市の新宮駅を経て同県和歌山市の和歌山市駅に至る鉄 道路線ですが、全通したのは、昭和34(1959)年でした。したがって、今年が全通60周年です。ゴールしたとき、その記念絵はがきをいただきました(右の写真)。
前置きが長くなりました。多気駅をスタートしたのは、9時40分。紀勢線 に沿って南に進みます。このあたり、まさに田園地帯を行くという感じ。1㎞ほど、ほぼ直進すると、伊勢本街道に行き当たります。このあたりの伊勢本街道は、ほぼ東西に通っています。
左の写真は、伊勢本街道に入るところ。ここを右折し、奈良方面に向かう道を歩きます。西に向かっていくのです。伊勢本街 道のマップを見ると、この先にはお寺が多いと書いてあります。
スタートから1.4㎞ほどのところに「西池上(にしいけべ)の常夜燈」があります。天保15(1844)年に建立されたもの。高さ2.8m、笠が遠景につくられ、裏側には石段が設けられています。石段は、灯りを灯すためのものと思われます。時々石段があるものを見かけます。正面には「常夜燈」、裏には「石工根来宗和」、西側には「天保十五年辰五月日」と彫られていました。
常夜燈の手前には、龍華院という天台宗のお寺がありました。ネットで調べてもこれという情 報は出てこなかったのですが、ちょっと珍しい光景を目にしたのです。車でやってこられた男性が「陸軍歩兵一等卒小竹○○」と彫られた石碑に花を飾り、拝んで行かれたのです。いずれかの戦争に従軍され、戦死なさった方の碑ではないかと思います。この方のご子孫なのでしょうが、今もこのように供養されていることに感心したのです。ちなみに後で調べたら、この門前に「岩内観音」への道標があったというのですが(こちら)、予習が足らず、また、気づきもしませんでした。残念。
その先、瑞泉寺という浄土宗のお寺の手前には、「商家太好庵(たいこうあん)」があります。白壁、荒格子の商家です。ここは、江戸で大きな富を得た金粒丸(きんりゅうがん)の太好庵があったところ。ここは江戸時代、「金粒丸」という薬を製造販売していました。参宮土産に大人気だったそうです。伊勢朝熊の「万金丹(まんきんたん)」と同じく、胃腸、腹痛など万病に効くという丸薬でした。太好庵は、寛永年間に江戸芝神明町に薬店太好庵を出し、明治時代末まで反映したそうです。金粒丸は、もともと、伊勢国司・北畠氏の家臣だった太好庵村林家の先祖が、北畠材親(きちか)の代(1508~11年)に戦で手柄をあげた褒美に漢方薬製法の書き付けをもらい、御薬種奉行をつとめ、西池上の地で代々この秘法を伝えたといいます。
太好庵のすぐ西には、随泉寺という浄土宗のお寺がありました。ネット検索ではここも、これという情報はなかったのですが、商家太好庵が建立した私仏堂だそうです。門は新しくなっていましたが、お堂はかなり古いものでした。
随泉寺の少し先、スタートからは1.6㎞を過ぎたあたりに、金粒丸の大きな縦看板が掲げられたところがあり ます。ここは、明治の末、村林家から金粒丸を譲り受け、販売した西村家。看板は、欅(けやき)製で、上方に唐破風つきの屋根がある立派なもの。江戸時代につくられ、多気町の文化財になっています。高さ197㎝、幅58㎝で、「本家勢州神山薬師前いけへ村 御免きんりうくはん 江戸芝神明町分家之外無類大好庵店」と刻まれています。看板の文字「きんりうくはん」は儒家・三谷蒼山の筆と伝わっています。いや、しかし、こんな立派な看板はなかなかありません。スタートから2㎞足らずでいろいろと面白いものを見られました。
伊勢本街道沿いですから、昔の建物もけっこう残っていました。ここへ来 るまでに目についたものを載せておきます。
2㎞を過ぎて、佐奈川を池上橋で渡りま す。この写真で、伊勢本街道は橋を渡って直進するのですが、この日のウォーキングコースは、多気町役場に向かうため左折していきます。伊勢本街道からはいったん離れます(あとで、また伊勢本街道を少し歩きます)。
池上橋のあたりから南を見たら、風力発電用の風車が20基ほど見えました。愚息に確かめたら、度会町日の出の森あたりにあるコスモエコパワーという会社の「度会ウィンドファーム」の風力発電用風車だそうです。2,000Kw級風車が25基設置されています。
この先、4.3㎞ほどのところにある「六角堂(旧多気郡役場)」まで立ち寄るところはありません。アップダ ウンを繰り返しながら、多気に誘致された工場地帯の脇をひたすら歩いて行かねばなりません。歩く道の片側は山と森、もう一方は工場で、さほど見るところもなく、アップダウンを繰り返しながら2㎞以上歩くのは、けっこうしんどい(苦笑)。
3.3㎞で国道42号線の勢和多気バイパスに出ます。左の写真で、画面外になりますが、向かって左手には 「相可台」という大きな住宅団地。そのさらに向こうは、紀勢線・相可駅。写真を撮っている背後にシャープ三重工場。シャープの工場に沿ってバイパスを下ること600m。その間、左手はずっとシャープの工場。ここは1995年に操業し、液晶ディスプレイパネルの開発・製造を行っています。敷地面積は、344,000m²という巨大なもの。3.9㎞を歩いて、相可一区の交差点まで来ます。ここを右折して、多気町役場や、六角堂そしておいないまつり会場へ。
キリが良いので、その1はここまで。その2は、六角堂を見学して、いよいよおいないまつり会場へと歩を進めます。
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