諸戸氏庭園で花菖蒲を楽しむ……濡れ燕という珍しい品種も咲いていました
いつもよりやや遅く、8時45分から散歩。住吉神社、九華公園、貝塚公園、内堀公園、京町、田町といつも通りのコースを回
り、11時頃から諸戸氏庭園へ。そろそろ花菖蒲が見頃だろうと期待してです。50分ほど滞在してきました。諸戸氏庭園のFacebookには、6月5日頃が見頃か、とありました。諸戸氏庭園は、拙宅マンションの北側にあります。左の写真は、玄関先から撮ったもの。向かって右の方に煉瓦蔵3棟が見えています。現在、主屋など半解体修理中ですので、出入り口がこの煉瓦蔵に臨時に設けられています。6月16日までが春の特別公開期間。大人500円、小学生以下200円、幼児(3歳以下)無料。
煉瓦蔵は、もともと明治20(1887)年頃、木造で建てられたもの。その後、火災で焼失し、煉瓦で再建。昭和
20(1945)年の戦災で2棟が失われ、現在3棟が残っています。煉瓦はイギリス積み。米蔵として使用され、南側の堀に船を着けて搬入していました。三重県文化財。右上の写真が通りに面した入り口。左は、庭園内部に入っていくところ。最初から余談ですが、庭園に入ったところに鉢が置いてあり、不思議に思って覗いたら、メダカが泳いでいました。さすがに由緒ある諸戸氏庭園、こういう風にしているとは、驚きとともに感心(微笑)。
まずは、こちら。「濡れ燕」という品種の花菖蒲。これで開花した状態だそうです。2年前に訪ねたとき(2017年6月 3日:諸戸氏庭園 春の一般公開へ【花菖蒲の名前、訂正あります(6/10)】)、係の方が教えてくださ
ったもの。そのときは確か一輪のみとおっしゃっていたのですが、今日は2輪ありました。ただし、ネットで検索すると、違う花が咲いたものが出てきますし、サイトによって「濡れ燕」としている花が異なります。それはともかく、ひょっとしたら咲いているかと思って出かけたのですが、どんぴしゃりで嬉しくなりました。
さて、入り口の煉瓦蔵から入って順路は、東から反時計回りになっています。こちらに庭園内の案内図があります。案内図で
は「へ」のところにあるのが、藤茶屋。この目の前に藤棚がしつらえられています。江戸時代には、藩主が藤を愛でるために訪れたといわれる茶室ですが、昭和20(1945)年の戦災で焼失し、昭和43(1968)年に再建されたもの。
藤茶屋の西にある、案内図では「庭1」となっているところが、花菖蒲園。室町時代には「江の奥殿」と呼ばれ、既に邸宅・庭
園があったといわれています。貞享3(1686)年、豪商山田彦左衛門が下屋敷・隠居所として買い求め、庭園をつくりました。明治17(1884)年、邸宅・庭園は初代諸戸清六の手に移り、御殿などが付け加えられ、その後、二代目諸戸精太の代にさらに手が加わっています。庭園は、2つのエリアに分かれており、「庭1」は菖蒲池を中心とした回遊式庭園で、諸戸氏庭園の中でももっとも古い部分だそうです。菖蒲池を中心に、西に推敲亭、東に藤茶屋、北に蘇鉄山と稲荷祠があります。春にはつつじ、藤、菖蒲、秋にはどうだんつつじや、もみじの紅葉などが美しい庭です。有料で、専属庭師さんがいらっしゃいますので、比べられませんが、九華公園の花菖蒲園とはかなり違う気がします(大きな声ではいえませんが……)。今のタイミングで花菖蒲を楽しむのであれば、諸戸氏庭園のそれは、500円以上の価値は十分あります。
どの花菖蒲がよいか、どこから眺めるのがよいかなどは、それぞれ好みがおありでしょうが、私の個人的趣味と、撮ってきた
写真の写り具合から、いくつか紹介します。お近くの方は是非、ご自身でお訪ねになることをお勧めします。右の写真には、上の文章で触れた「推敲亭」が写っています。これを入れた写真は是非撮りたいもの。
こちらも左端に推敲亭が少しだけ見えていますが、菖蒲池に架かる石橋から北西を向いて撮ったもの。右は、その石橋を入れ
て北を向いたもの。蘇鉄山が見えています。
もう少し広く視野を撮って見ると、たとえばこんな景色。私自身は、どうしても推敲亭が気になるというか、気に入っていま
すので、これを入れて撮りたくなってしまいます(微笑)。右の写真は、北側から南にある主屋(現在、揚屋をして半解体修理中)を少しだけ入れて撮って見ました。菖蒲池にはメダカも棲んでいます。
西に進み、案内図の「と」のところには、神社があります。明治時代に改築されたのですが、昨年の台風でも木が倒れて来ま
したので、さらにその後修理されたと思われます。金毘羅神社・住吉神社・伏見稲荷・玉船稲荷・菅原神社が祭られているといいます。神社に向かって右側(北側)には、右の写真のような水路。現在は、六華苑との境になっています。古い写真を見ると、諸戸家の方かと思うのですが、ここに船を浮かべて遊んでおられるものがありました。自分の屋敷内で船遊びとは、ちょっとあこがれます(苦笑)。
御殿近くまで行くと、木々の合間から六華苑の建物をのぞき見ることができます。私はこの水路あたりの景色や、諸戸氏庭園から六華苑を見るのが好きです。
御殿は、修理中で今は公開されていません。御殿とその池庭は、水田であったのを埋め立てて作られ、海抜0m以下になりま
す。そのため、水門から流れ込む揖斐川の干満の影響を受け、池の水位が上下し、刻々と変わり行く景観を味わう「汐入りの池」となっていました(現在は水門が閉じられているため水の流れはないそうです)。御殿には、大隈重信や、山県有朋も訪れたといいます。池庭は、宮内省技師の小平義近を招いて設計されたもので、琵琶湖を模してつくられています。
御殿の前から池庭の南を回り、案内図の「に」のところに来ると、ここが推敲亭。覚々斎原叟(かくかくさいげんそう;延宝
6(1678)~享保15(1730)年)作と伝えられている草庵です。ここから菖蒲池へと続く低い地形を水面に見立てて沢飛石が打たれ、山間の渓流のような雰囲気になっています。推敲亭に向かって右には「織部灯籠」があります。茶人古田織部の考案した形といわれ、竿の部分に人形の彫があるのが特徴です(一説には切支丹禁制の時世に信者が用いたものが、茶庭の趣のひとつとして使用されるようになったともいわれるそうです)。推敲亭は、右の写真のように広さ三畳。ぽんと置いたような感じがしてなりません(素人の感想故、ご容赦ください)。
立ち入り禁止なのですが、一度でよいからここに座って、花菖蒲など池や、庭の景色を眺めてみたいものだと思っています。左の写真は、気分だけでもと思って、座ったときの視線の高さになるようにと狙って撮った写真(微笑)。
十分に堪能して、順路にしたがって煉瓦蔵に戻ります。途中、主屋の修理現場の裏手から1枚。2mほどの高さに揚屋が行われ
ています。右は、主屋の工事現場から煉瓦蔵に戻る途中。苔も生えていますし、何といっても青紅葉がきれい。庭も相当手入れされていますが、これだけのお庭を維持管理するのにはかなりの手間とご苦労がおありだろうと思います。
ということで、今日の記事は諸戸氏庭園の花菖蒲。とくに濡れ燕が見られて本当によかったと思っています。明日は、江戸橋での仕事。好天のようですが、30℃という予報も。ホドホドにしてもらいたい等と勝手なことを思っています。
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コメント
こころんさん、こんばんは。
近場は案外穴場ですね(笑)。
諸戸氏庭園のFacebookでは6月5日頃が見頃と、また、知り合いの歴史案内人の方の情報では、月が変わった頃がいいというお話しでした。
バードウォッチングを優先しようかとも思ったのですが、諸戸氏庭園に行って大正解でした。
おっしゃるように手入れが行き届いています。
有料で公開しているだけありますし、さすがに専属の庭師さんがいるだけのことはあります。
濡れ燕は2年前に教えていただいたもので、これで開花しています。
もう一輪、蕾の状態のものがありましたので、お時間がおありでしたら、是非どうぞ。
歌行燈本店のアジサイ、今年も見事です。
ただ、去年までと比べ、ちょっとは置数が減っている感じではあります。
年を取ると図々しくなりますし、時間も余裕がありますから、待つということができます(苦笑)。
今日も、推敲亭の写真を撮るのに、向こうにカメラを持った方が陣取っていて、しばらく待ちました(笑)。
投稿: mamekichi | 2019年6月 4日 (火) 19時55分
こんばんは
ここに名所がありましたね!
花菖蒲が綺麗に咲いて綺麗です。
ここは手入れが行き届いてますね。
蕾のように見えて、これが咲いてる品種もあるんですね。
花菖蒲もいろいろ品種があって難しいです。
歌行燈の紫陽花も綺麗で撮ってみたいんですが
昨年だったか九華公園の花菖蒲へ行く途中、
前を歩いて通りましたが
お客さんが多くて勇気がありませんでした(笑)
投稿: こころん | 2019年6月 4日 (火) 18時55分