お知らせ

  • データの移行について
    2005年10月26日のブログ開始当初から、2024年11月30日までの記事は、「猫の欠伸研究室(アーカイブ)」に移行しました(http://blog.livedoor.jp/taichimaru151/)。 このココログの「猫の欠伸研究室」には、2019年1月以降の記事を残し、2018年12月以前の記事は削除しました(2019年1月1日から2024年11月30日までの記事は、両方にあります)。

レンズを通した自然観察

  • この「レンズを通した自然観察」ということばは、恩師のお一人が、私の趣味を形容しておっしゃったものです。2023年2月7日のブログに書きましたが、実はときどき思い出していることばです。お世話になった先生方はたくさんいらっしゃいますが、この恩師は、就職のことから学位論文の執筆、審査に至るまで本当にお世話になった先生です。「写真の撮り方を指南してもらいたい」ともおっしゃったのですが、これはお世辞と理解しています。私はほぼ隠居状態となって10年以上になりますが、今、改めてこのことばをかみしめています。この先生には結婚式の際に「理論と臨床をつなぐ仕事をするように」ということばをいただきました。体調を崩してそれには十分に応えられませんでしたので、せめてこの「レンズを通した自然観察」については、極めるとまでは行かないにしても、もう少し精進したいと考えています。

ブログ名の由来

  • ブログ名の「猫の欠伸研究室」は、中日新聞の夕刊に連載されている「紙つぶて」というコラム(平成22(2010)年1月13日)に、元新党さきがけ代表の武村正義さんが書いていらっしゃった「人生は猫の欠伸である」というコラムによります。武村さんは、“チベットで鳥葬を取り仕切る僧侶が、「人の生涯は猫の欠伸のようなもの」と語った”と書いていらっしゃいます。「猫の欠伸のようなもの研究室」としたかったのですが、ちょっと間延びしますので、「猫の欠伸研究室」とした次第です。「研究室」とつけたのは、過去、大学に勤めていたことがあるということやら、知らないこと、分からないことがあると何でも調べずにはいられない性分であること、屁理屈、講釈が大好きであることからであります。しかし、「人生の研究をしている」のではありません。「大所高所」からのご高説を開陳できるほどの力量はないが故、「小所低所」からの戯れ言をつぶやくのが精一杯(苦笑)。身の程に合わせ、勝手なことを書き綴っていますので、御用とお急ぎでない皆様には、今後ともご交誼のほど、お願いいたします。是非ともコメントを頂戴し、少しでも世間を広げたいと熱望しております。

モットー

  • 座右の銘というほど立派なものはありませんが、過去に体調を崩し、療養生活を送った経験から、私なりのモットーをつくっています。その一つは、「淡々と飽きもせず……」です。自分では、「……」と余韻を残しているところが気に入っています。こだわりすぎや、やり過ぎはよくありません。若い頃はムキになってやったこともありますが、今はこのように「淡々と飽きもせず……」が自分に合っていると思っています。もう一つは「晴耕雨読」ならぬ「晴歩雨読」です。マンション暮らし故、耕すところはありません。代わりに歩いています。そして、最近(令和3(2021)年に入った頃から)追加したのが、「散歩生活、ときどき仕事」。NHKのテレビ番組に「晴れ、ときどきファーム!」というものがあります。これのもじり。浅学非才の身ですので、ご交誼の上、いろいろとご教示をお願いします。

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2019年6月 9日 (日)

20190609JRさわやかウォーキング「~TOICAエリア拡大記念~ ~紀勢線全通60周年記念~ 亀山藩城下町と花しょうぶまつりを訪ねて」へ(予告編)……雨にも負けず(苦笑)

Img_9434c

 天候がかなりアヤシかったので、朝からテレビの天気予報にかじりつき、かつ、ネットで雨雲レーダーを何度も確かめていました。7時過ぎから我が家あたりは雨が降ってきたのですが、四日市から南は大丈夫そうでした。そこで、エイヤッとばかりに、JRさわやかウォーキング「~TOICAエリア拡大記念~ ~紀勢線全通60周年記念~ 亀山藩城下町と花しょうぶまつりを訪ねて」に行ってきました。四日市を過ぎると空は明るくなり、亀山ではわずかに青空も見えており、これはラッキーと思ったのですが、途中4㎞あたりから雨(涙)。4㎞過ぎでは引き返すとか、途中リタイアという選択肢はありません。何しろ、スタートもゴールもJR関西線・亀山駅ですから、そのままゴールまで行かざるを得ないのです。今回は、予告編。

Img_9444c  今日のスタート&ゴールは、JR関西線・亀山駅。受付は、8:20~11:10でしたが、空模様を眺めていましたので、出かけるのImg_9438c がやや遅くなり、桑名駅を9時28分に発車する亀山行き快速に乗車。四日市から先は各駅停車になります。亀山駅着は、10時6分着。¥670。往きの電車で隣り合わせた男性は、浜松から今日のさわやかウォーキングにいらしたそうです。私よりも明らかにご年配。負けてはいられませんねぇ。

190609jrwalkingkameyamacoursemap  こちらが今日のコースマップ。亀山駅をスタートして、亀山の西部を時計回りに歩くというコース。松月地蔵、190609jrwalkingkameyama 忍山神社、布気皇館太神社、旧・東海道の野村一里塚、慈恩寺を経て、亀山市歴史博物館、亀山公園で花しょうぶまつりを見て、亀山城多門櫓、でころぼ坂という珍しい名前の坂を下って、亀山駅に戻るという、マップ上、約7.4㎞です。右は、実際に歩いたルートを示した実測ルートマップ。8.2㎞を歩いてきました。いつものように桑名駅往復が1.8㎞ですので、今日は10㎞+αということです。スタートしたのは、10時10分。

Img_9442c  スタート地点の亀山駅には、駅前に大鳥居があります。駅に降り立ったのは、鈴鹿に就職したときに1度遊びに来て以来ですから、40年ぶり。当時、鳥居があったかどうかは、忘却の彼方。実はこれ、能褒野神社の一の鳥居です。能褒野神社は、亀山市田村町にあり、亀山駅からは北東に直線で5㎞離れています。能褒野の地は、明治12年(1879年)に「王塚」あるいは「丁字塚」と呼ばれていた前方後円墳(現在の能褒野王塚古墳)が、内務省によって「能褒野墓」に治定されたところ。すなわち、日本武尊が崩じた場所とされたのです。その後、地元の有志により日本武尊の遺徳をしのぶため能褒野陵周辺での神社の創建が企画され、明治28(1895)年に社殿が竣工され、御鎮座祭が行われています。能褒野神社も行ってみたいところの一つですが、それはまたの機会に。

Img_9477c  亀山駅からは西へ。昔は国道1号線であった、県道565号線なども通って、亀山警察署を過ぎて南下。JR関西線を越えて、鈴鹿川沿いに出たところに松月地蔵(しょうげつじぞう)。五体のお地蔵様がいらっしゃいます。亀山市歴史博物館のサイトによれば、亀山駅近くに住む方が中心になってお世話をしておられ、地蔵や五輪塔(部分)を「松月地蔵」と名づけたそうです。祠の後ろの松を植え替えたり、アジサイを植えたりなさっています。「川原の地蔵さん」というのが昔からの呼び名のようです(こちら)。

Img_9484c  例によって(微笑)、田園地帯を進みます。鈴鹿川や、JR関西線の線路沿いです。稲はすでにかなり伸びてきていて、青々とImg_9498c しています。このあたり(JR関西線を越えて、松月地蔵に出るところから500m以上にわたって)、関西線と鈴鹿川の間にメガソーラーの太陽光発電パネルが並んでいます。まさにその名の通り「メガ」です。右の写真は、メガソーラーの西側にある陸橋の上から東を向いて撮ったもの。これだけの規模のものは初めて見ます。

Img_9511c_1  スタートからほぼ2㎞、10時35分に忍山神社(おしやまじんじゃ)。「延喜式」神名帳に登録された式内社です。崇神天皇7Img_9525c_1 年(紀元前91年)、伊香我色雄命(いかがしこめのみこと;孝元天皇の妃となり、彦太忍信命(ひこふつおしのまことのみこと)を生みますが、天皇の死後、その子開化天皇の皇后となり、崇神天皇を生んだと伝わっています)に猿田彦を鎮座せしめられ、その子・大水口宿禰の子孫(80代)が相継いで神主となって明治に至ったとされます。垂仁天皇の御代に倭姫命が御杖代となって天照大御神の鎮座の地を求めて、大和の国から忍山に御遷幸になり、ここに半年御鎮座されたといいます。また、景行天皇の御代には、日本武尊が東征に際し、忍山神社に立ち寄られ、神主・忍山宿禰の長女・弟橘媛を妃とされ、媛は東征に従われ、相模の海が海神の怒りで荒れたため、入水してその怒りを鎮められたと伝承されています。明治41(1908)年、村社能牟良神社他、近隣の20社を合祀しています。主祭神は、猿田彦命と、天照皇大神。相殿神は、天児屋根命他22柱。本編の際にきちんと示したいと思っています。

Img_9537c_2  ここでは氏子の代表の方がいらっしゃり、「いただいていってもらわないと困るんです」と、御神酒を強く勧めてくださいましImg_9527c た。お断りするのもどうかと思い、素直に頂戴してきました(微笑)。辛口で、なかなかいける「御神酒でした」などと書いていると、罰が当たるかも知れません(苦笑)。

Img_9620c_2  次の目的地は、布気皇館太神社(ふけこうたつだいじんじゃ)。スタートから3.3㎞、時刻は11時。ここの主祭神は、天照大御神、豊受大神、伊吹戸主神(いぶきどぬしのかみ;払戸大神に同じ)Img_9592c_3 。相殿神は、宇迦之御魂神他19柱。延喜式神名帳には「鈴鹿郡布気神社」とあるといいます。昔、旧野村字に布気林というところがあり、そこに奉斎してあったことため「布気神社」と称えたといいます。文明(1469~86年)の頃に起った兵乱によって社殿がすべて焼失したため、後に皇舘の森へ奉遷したと伝わっています。静かでなかなかよい感じの神社でした。

Img_9631c  布気皇館太神社の表参道は、旧東海道に面しています。それ故、ここからしばらくは、東海道を歩いて東に向かうことになりImg_9654c ます。このあたりから雨が降り始めます(苦笑)。4.3㎞地点に「野村一里塚」。亀山城の西に位置します。県内12ヵ所の一里塚のなかで唯一、昔ながらの原形を保っています。残っているのは北側の塚で、南側の一里塚は、大正3(1914)年に取り壊されました。江戸日本橋からは106里12町(417.6㎞)、京三条大橋から17里32町(70.2㎞)の距離。樹齢400年のムクの巨木が植えられています。昭和9(1934)年に国の史跡に指定されています。

Img_9666c  雨がけっこうよく降りますので、先を急ぎました。野村一里塚から400mほどのところに亀鶴山無量院慈恩Img_9680c 寺。浄土宗のお寺。慈恩寺の縁起によれば、行基が神亀5(728)年に聖武天皇の勅願によって創建した薬師寺(長福寺)というお寺がかつてあったのですが、正徳6(1716)年にこのお寺は、慈恩寺と改まっています。

Img_9687c_2  ここのご本尊の阿弥陀様は、長福寺のご本尊であった薬師如来像の両手首から先を阿弥陀印としたものと考えられています。この木造阿弥陀如来(国重要文化財)は、像高163cm、ヒノキの一木造で、 県内における9世紀初めの代表作といいます。今日は、檀家の代表の方がいらっしゃり、ご本尊を拝ませていただけた上に、写真撮影まで認めてくださいました。肉付きがよく、なかなか力強い感じの仏様です。

Img_9714c_2  雨の中を進み、スタートから5.8㎞で亀山市歴史博物館へ。常設展と企画展が行われていました。企画展は、今日まで「彫った 刷った 出来た!」という印刷技術や、印刷物についての展覧会でした。常設展の方は、入場料が必要。JRさわやかウォーImg_9717c キングの特典で、団体料金で入れていただけました。

Img_9733c  常設展で目を引いたのは、まずは左の写真にある「井田川茶臼山古墳横穴式石室復元模型」。これは迫力があImg_9756c りました。そしてもう一つは、「亀山城・亀山城か復元模型」。文久3(1863)年頃の亀山城と亀山城下の中心部の状況を1/180で再現したもの。これも圧巻。幕末から明治にかけての資料に基づいています。亀山宿内は、文久3(1863)年2月の14代将軍徳川家茂の亀山宿止泊時における宿割帳とみられる、「宿内軒別書上帳」(亀山市歴史博物館蔵)に基づいて復元されているそうです。

Img_9823c_1  続いて、亀山公園で行われている「花しょうぶまつり」へ。この菖蒲園は、平成10(1998)年に亀山城の堀跡にもともとあImg_9829c_1 った花しょうぶ園が拡張整備されたもので、約4,000平米の敷地に県下最大規模の100品種、約1万2千株の花しょうぶが植えられています。亀山公園は元々、亀山城藩主の別荘のあったところだそうです。また、花しょうぶは、亀山市の花になっています。6月5日で五分咲きとなっていましたが、かなり見事でした。

Img_9859c  花菖蒲園で時刻は、12時25分。スタートから6㎞半くらい。雨は小降りでしたが、残すのは亀山城多門櫓のみでしたし、1㎞くらい歩けばゴールというところまで来ています。菖蒲畑の目の前に屋根付きのベンチがありましたので、ここでお昼にしました。今日は、JRさわやかウォーキングということもあって、桑名駅のキオスクでゲットしてきた「幕の内弁当」。¥450。焼き魚や、野菜の煮物なども入っていますから、コンビニの幕の内よりもよいかも(微笑)。ご飯は、コンビニ弁当の方が美味しい感じでしたが……。

Img_9903c  12時50分に再スタート。亀山城多門櫓を目指します。といっても、花菖蒲園からは300mほど。亀山城は天正 18(1590)Img_0080c_2 年、岡本宗憲によって築城されました。多門櫓は、天守台といわれる本丸高石垣上にあり、寛永9(1632)年頃に築造されたとみられています。三重県で唯一現存する城郭建造物として県史跡に指定されています。これは、今日是非とも見たかったところ。平成の大修理が平成25(2013)年3月に完成し、往時の姿に復原され、真っ白な白壁の漆喰が印象的です。

Img_9945c  しかも、内部が公開されていてラッキーでした。修理で屋根が葺き替えられていたり、壁が塗り替えられたりImg_9949c していますが、櫓の柱、梁などは建築当時のものを使っているというお話しでした。建築部材から見つかった「惣武具」や「武器蔵」といった文字から、当時は武具庫として使用されていたと考えられています。もともと「櫓」は「矢倉」だったそうですから、さもありなん。多門櫓のところの石垣は、野面積みとなっていました。今年度の市民大学講座「城と城下町」で先月、話を伺ったばかりですから、まだまだしっかりと記憶していました(苦笑)。多門櫓近くには、亀山神社、亀山演武場(亀山藩御流儀心形刀流武芸形(おんりゅうぎしんぎょうとうりゅうぶげいがた)が伝承されています)、明治天皇行在所旧蹟などがありましたが、それはまた本編にて。

Img_0109c  亀山城多門櫓を拝観してからは、亀山市役所の前を通って、ごく短い距離、再び東海道を歩き、「でころぼ坂」へ。妙な名前Img_0114c の坂だと思って調べてみました。亀山市歴史博物館のサイトの昔話のページにありましたが、正しい由来は分からないようです。昔からこの呼び名だったそうで、「でこぼこ坂」や「でくのぼう坂」がなまったものだといわれます。「でくのぼう」は「木偶の坊」で、木でつくられたあやつり人形。「どちらにしてもなぜこの名前なのかはわかりません」となっていました。

Img_0130c_2  元の国道1号線を越えて、ゴールのJR亀山駅へ。スタートから8.2㎞、時刻は13時35分でした。結局、布気皇Img_0141c_1 館太神社を出た11時20分頃からずっと雨でした。今日で、JRさわやかウォーキングのスタンプは、7個目。今日は、バッチと、「TOICAエリア拡大記念」ということでICカードで乗車してきた参加者限定でフリクションボールペンがいただけました(先着1,000名)。

Img_0159c  13時59分に四日市行きの臨時快速電車がありましたので、それに乗車して帰途へ。四日市着Img_0174c は14時34分。四日市市発の名古屋行き普通電車が、14時42分にあります。これに乗って桑名には14時57分に到着。¥670。ALKOOのデータは、右の写真の通り、18,935歩。ウォーキングで8.2㎞、自宅から桑名駅往復が1.8㎞で合計10.0㎞。

Img_0181c  亀山駅で電車を待っている間にキオスクを覗いたら、深川屋の「関の戸 お茶の香」6個入り(¥600)を売っImg_0188c ているのを見つけ、これを今日の土産に。関の戸は、関宿の名物。この関の戸は、昔、鈴鹿で働いていた頃からの大好物。赤小豆のこし餡をぎゅうひ餅で包み、阿波特産の「和三盆」をまぶした一口大の餅菓子。「お茶の香 関の戸」はこれに亀山茶の粉末がまぶしてあります。オリジナルの関の戸よりも、これの方がよいかも。お茶の苦みと餅皮の食感、こしあんの甘味の組合せがよい感じです。

 以上、雨に降られましたが、それなりに楽しめました。本編は、またボツボツと書き進めます。明日は、午後から歯科の定期検診。その後、教育委員会の会議に出席予定。6/15は相談会ですから、その準備も急がねば(微笑)。

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コメント

おユキさん、こんばんは。

昨日は降られないと思って出かけたのに、見事裏切られました(苦笑)。
「水も滴る何とやら」かどうかは、きわめてアヤシいですねぇ。
単なる見込み違いのジジイかも知れません(爆)。

しかし、おっしゃるように、座学と実地見学とが結びつくと、よく分かり、この年でもしっかりと記憶されます。

亀山駅の鳥居は、40年前にもあったと思うのですが、まったく記憶にありません。
能褒野神社は、いつぞや行った加佐登神社や、白鳥塚古墳とも関わる歴史的な場所。
鈴鹿にいた頃から知っているものの、まだ行ったことはありません。

御神酒は、神前に供えられたあとは、お下がりとして振る舞われると思います。
神様からの頂き物ですから、お断りするなど問題外です(笑)。
おユキさんも、機会がおありでしたらどうぞご遠慮なく。

でころぼ坂は、コースマップで見て気になったところ。
坂のてっぺんから見下ろした写真です。
ほとんどは階段になっています。
高低差は20mほど。
おっしゃるように、雨に濡れて余計に風情があります。

関の戸は、昔からの好物でしたが、比較的最近この「お茶の香」のような、新しいものが出ています。
三越で買えるようですし、通販もあると思います。

mamekichi先生、こんにちは。

今日もよく降りました。
先生は昨日、「水も滴るイイ男」になって、歩いてこられたのですね。
市民大学講座での知識と、実際に見て経験したことが繋がって、より深い学びになっているのですね。

亀山駅の鳥居、色は違いますが、道路に面して大きく建っているところ、中村公園駅の鳥居を連想しました。
能褒野神社、「のぼのじんじゃ」と読むんですね。
なんだか和みます(ほのぼの)。
それに、前方後円墳などと聞いてしまうと、ちょっとトキメキます。
何故だかわからないのですが、子供の時から、ワクワクするんです(笑)。
神話と史実が繋がる、結び目のように感じていたのかもしれません。

「御神酒」って、飲んでも良いものなんですねぇ。
畏れ多くて、人が手を出してはいけないものなのかと想像していました。
「なかなかいける」とは、神様になったような仰りよう、確かに罰が当たるように思えますね(笑)。

でころぼ坂、カメラのアングルが良いのか、雨に濡れたツヤが良いのか、風情があって素敵です。
街灯の形の影響か、異国情緒も少し感じます。
「坂」という名前が付いていますが、階段になっているのでしょうか。
転がり落ちると危ないので、段をつけたのかな、などと想像してしまいます。

関の戸、お茶の粉の緑が濃くて、香ってくるようです。
一口サイズのところにも、誘惑されます(笑)。

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  • 森永 卓郎: 書いてはいけない

    森永 卓郎: 書いてはいけない
    他の本を買いに行った時、書店で平積みになっていましたので、思わず買ってしまいました。メディアのタブーに触れつつ、現在の日本が凋落している要因を3つ指摘しています。サブタイトルは、「日本経済墜落の真相」となっています。3つは、ジャニーズの性加害、財務省のカルト的財政緊縮主義、日本航空123便の墜落事件。この3つについては、関係者は皆知っているものの、触れてはいけない、本当のことをいってはいけないタブーになっているといいます。メディアで触れたら、瞬時にメディアには2度と出られなくなるそうです。ジャニーズ問題は、BBCの報道のためにオープンになってしまいましたが、著者の森永さんは、ご自身が病を得られたこともあって、現状を打破するためにこの本を書かれました。財務省による必要以上の財政緊縮政策と、日航123便の事故のお陰で日本がアメリカに対してどんどん主権を失っていったことが、日本経済の衰退の主たる要因と主張しています。たぶんそれは本当だろうなというのが、私の読後感。 (★★★★)

  • 立木 康介: フロイト『夢判断』 2024年4月 (NHKテキスト)

    立木 康介: フロイト『夢判断』 2024年4月 (NHKテキスト)
    何を今さら勉強しているのか? と思われるかも知れませんが、ちょっと前に流行った言葉でいえば、リスキリングに相当するかも知れません。学生時代に読みましたが、しっかり理解したかといえば、アヤシいのです。学生時代からは50年近い月日が経っていますので、その後の研究成果も含め、新しいことがあるだろうと思ったのです。100分de名著というNHK Eテレの番組のテキストです。講師の立木先生は、パリ第8大学で精神分析の博士号を取得され、京大人文科学研究所の教授。精神分析は「昨日までとは違う自分を手に入れるために行う」とおっしゃっていました。この番組でもっとも印象に残ったのは、あの有名な「エディプス・コンプレックス」よりも、今日、重要なフロイトが提案した概念は、「両性性」であるということでした。これは、いかなる個人も与えられた解剖学的性にしばられないセクシュアリティの自由を持つことをうたうものです。この視点に立てば、同性愛も、トランスジェンダーもいわば当たり前の存在であるということになります。これらを踏まえると120年間に書かれた「夢判断」の内容は、きわめて今日的な意義を持ってくると再認識する必要があります。 (★★★★★)

  • 諸富 祥彦: NHK「100分de名著」ブックス フランクル 夜と霧

    諸富 祥彦: NHK「100分de名著」ブックス フランクル 夜と霧
    フランクルのこの本は、改めて紹介するまでもないほど、有名な本です。私も学生時代、霜山徳爾先生の翻訳で読みましたが、ことばでは書き尽くせないほどの衝撃を受けたことを、いまでもよく覚えています。第二次世界大戦中にナチスの強制収容所に収監された経験をもとに、精神医学者・フランクルが、人生の目的を明確にし、その実現に向けて没頭する心理療法を紹介する本です。原題を直訳すると「それでも人生に然りと言う:ある心理学者、強制収容所を体験する」となります。実存心理学の名著であり、極限の環境におかれたとしても、何かが、あるいは、誰かがあなたを待っているということを主張しています。絶望して終わるのではなく、人生が何をわれわれに期待しているのかが問題であり、私たちはそれを学ぶことが重要だとしています。何度か読み直すことによって、人生への理解が深まる気がします。 (★★★★★)

  • 松田 忠徳, 増田 晋作: 枕草子の日本三名泉 榊原温泉

    松田 忠徳, 増田 晋作: 枕草子の日本三名泉 榊原温泉
    榊原温泉は、全国的に有名とはいえないかも知れませんが、名湯です。それは、枕草子に「湯は七栗の湯 有馬の湯 玉造の湯」にある、七栗の湯が榊原温泉と考えられるからです。最近、日本三名泉といえば、有馬温泉/兵庫県、草津温泉/群馬県、下呂温泉/岐阜県とされますが、枕草子に取り上げられたのはそれよりも古く、「元祖日本三名泉」といえます。榊原温泉の湯は、肌がきれいになる「美人の湯」というだけでなく、抗酸化作用もある健康の湯でもあります。この本は、日本一の温泉教授・松田先生と、地元を知り尽くした増田さんの共著で、「何もない」といわれていた榊原温泉の魅力を語り尽くしています。ちなみに、私にとっては家内の実家を知る上で格好のガイドブックです。 (★★★★)

  • 文藝春秋: 定年後に読む不滅の名著200選 (文春新書)

    文藝春秋: 定年後に読む不滅の名著200選 (文春新書)
    この本の帯には「これが定年後の知の道しるべ!」とありますが、私自身はさほど大上段に構えたつもりで読んではいません。どのような本が選ばれているかにももちろん興味はあったのですが、それらがどのように紹介されているかといった方面に興味があって読みました。本を紹介している方々はいろいろな分野で功なり、名を挙げた方ばかり。それらの方がどんな本を読み、どのように唱歌していらっしゃるかが知りたかったのです。ちょっと邪道な読み方ではありましたが、しっかりと楽しめました。 (★★★★)

  • 石田泰弘(編著): 街道今昔 佐屋路をゆく (東海の街道2) (爽BOOKS 東海の街道 2)

    石田泰弘(編著): 街道今昔 佐屋路をゆく (東海の街道2) (爽BOOKS 東海の街道 2)
    さほど本格的に取り組んでいるわけではありませんが、昔の街道を歩くのは好きです。この本のテーマである佐屋路(佐屋街道)も歩きたいと思って調べています。佐屋路は、東海道佐屋廻りとも呼ばれたように、東海道の迂回路でした。江戸時代に東海道宮宿と桑名宿の間を、陸路万場宿、佐屋宿の陸路を経て、佐屋から桑名宿への水路三里の渡しによって結んでいた街道です。実際に歩いて書かれたと考えられますが、旅人目線で書かれたウォーキングガイドです。津島街道、高須道も取り上げられています。部分的には歩いたところがありますが、佐屋路はいずれ、歩いてみたいと思い、計画中ですので、とても参考になりました。実際に歩かなくとも、歴史読み物としても楽しめます。 (★★★★★)

  • 柳瀬博一: カワセミ都市トーキョー 【電子限定カラー版】 (平凡社新書1049)

    柳瀬博一: カワセミ都市トーキョー 【電子限定カラー版】 (平凡社新書1049)
    東京都心にたくさんのカワセミが棲んでいるというのは、最近割とよく知られるようになっています。清流の鳥というイメージがあるかも知れませんが、東京の「野生」環境をうまく利用して繁殖もしています。そのカワセミが暮らす街は東京屈指の高級住宅街ばかりだそうです。すなわちカワセミも、人間も好む環境は同じというのです。カワセミが暮らす街は、人間にとってもよい街ということです。カワセミの存在に気付いたことから、「小流域源流」をキーワードに「新しい野生」と「古い野生」の繋がりを論じています。カワセミの生態も詳しく観察されていますので、私も今までよく知らなかったことが多々書かれていて、興味深く読みました。 (★★★★)

  • 内田 樹: コモンの再生 (文春文庫)

    内田 樹: コモンの再生 (文春文庫)
    私は、内田樹先生の評論が好きで割とよく読みます。「コモン(common)」とは、形容詞としては「共通の、共同の、公共の、ふつうの、ありふれた」という意味ですし、名詞としては「町や村の共有地、公有地、囲いのない草地や荒れ地」を意味します。昔は、ヨーロッパでも日本でも村落共同体はそういう「共有地」を持っていました。コモンを管理するには「みんなが、いつでも、いつまでも使えるように」という気配りが必要になるのですが、近代になって怒った「囲い込み」によって「コモンの私有化」が起こり、村落共同体が消え、集団的に維持されていた儀礼、祭祀、伝統芸能、生活文化が消えてしまったのです。著者は、このコモンを再生することが市民の原子化、砂粒化、血縁、地域共同体の瓦解、相互扶助システムの不在という索漠たる現状を何とかするために必要と考えています。ちなみに、マルクスとエンゲルスによるコミュニズムは、著者によれば「共同体主義」と訳した方がよく、彼らは「コモンの再生」が必要と提言したといいます。「共産主義」と訳されてしまったがため、なんだかよく分からないことになっているのです。「共有主義」あるいは「共同体主義」と意訳してくれていたら、もろもろが変わっていたかも知れないという話には、膝を打ちました。 (★★★★★)

  • 本田 秀夫: 知的障害と発達障害の子どもたち (SB新書)

    本田 秀夫: 知的障害と発達障害の子どもたち (SB新書)
    児童精神科医の本田先生の最新刊です。今回は知的障害が取り上げられています。これまでの本田先生の御著書では、発達障害が主に取り上げられてきたのですが、実は知的障害を持つ子どもたちも一定数存在していますし、発達障害と知的障害を合わせ持つ子どもたちもいます。その意味で、発達に困難のある子どもたちのことをきちんと理解して、適切な支援をする上では、両者を視野に入れることが重要です。著者は、知的障害の支援では、「早く」と「ゆっくり」がキーワードになると書いておられます。これは私もそうだと思います。可能な限り早期から支援を受けた方がよく、一方で、発達のスピードに合わせて「ゆっくり」としたペースで支援をすることが大切になります。発達障害の子どもたちにも「本児のペースに遭わせた支援が必要」とおっしゃる方がありますが、発達障害の子どもたちの理解/支援の上でのキーワードは「アンバランス」です。この本は、発達が気になるお子さんをお持ちの保護者の方、特別支援教育に携わる教員の方々にとって、基本的なテキストといえます。 (★★★★★)

  • BIRDER編集部: お手本でわかる!野鳥撮影術 (BIRDER SPECIAL)

    BIRDER編集部: お手本でわかる!野鳥撮影術 (BIRDER SPECIAL)
    バードウォッチングや野鳥撮影を趣味にしています。とはいえ珍鳥を追うのではなく、主に自宅近くを散歩しながら、いわば「定点観測」のように野鳥を見ています。自分の写真の撮り方を振り返ると、図鑑的に撮ることがほとんどです。なぜそうなのかを考えてみると、研究者の端くれであったことが関わっている気がします。つまり、写真を撮ることを、観察した記録やデータと見ているからではないかということに思い当たりました。野鳥撮影の「幅を広げたい」と思っていたら、この本が出版されました。ざっと目を通したところ、「色とりどりの花と鳥」「木の実レストラン」「やわらかい表情を追う」などさまざまなテーマで鳥とその周辺を撮る方法が載っています。これを参考に、自分の野鳥写真の世界を広げられたらいいなと思える本です。 (★★★★★)

  • 磯田 道史: 磯田道史と日本史を語ろう (文春新書)

    磯田 道史: 磯田道史と日本史を語ろう (文春新書)
    磯田道史さんが、さまざまな分野の達人と歴史についての論賛をしたのをまとめた本です。論纂とは、①人の徳行や業績などを論じたたえること、②史伝の終わりに著者が書き記した史実に対する論評のこと。異分野の専門家同士が議論をすることによって生まれるものは、別次元となり、大変興味深いものとなります。この本がその論より証拠。養老孟司さんとの論賛からは「脳化社会は江戸時代から始まった」という話が出て来ています。忠、孝、身分などは、シンボリズムであり、それらは見たり、触れたりできません。また、関東大震災に遭遇したことは、被害に対する鈍感さをもたらし、それが太平洋戦争につながったという指摘には、なるほどそういう面も確かにありそうだと思わされました。その他、歴史や人間について、実にさまざまな、新しい見方が示され、大変おもしろく読み終えました。 (★★★★★)

  • 保阪 正康: 近代日本の地下水脈 I 哲学なき軍事国家の悲劇 (文春新書 1440)

    保阪 正康: 近代日本の地下水脈 I 哲学なき軍事国家の悲劇 (文春新書 1440)
    本の帯に「『水脈史観』で日本の失敗を読み解く」とあります。「水脈史観」という概念には初めて接しましたが、「攘夷のエネルギーは、いまも日本社会の根底に流れている」という見方です。明治維新後、日本がとりえた国家像は、欧米型帝国主義国家、道義的帝国主義国家、自由民権国家、米国型連邦制国家、攘夷を貫く小日本国家の5つであったが、哲学なきまま欧米型帝国主義国家の道を突き進み、軍事中心の国家作りを推し進めたことが、戦前の日本の失敗の原因であったというのが著者の主張です。それは確かにそうだと思いますが、私には、ほんのサブタイトルにある「哲学なき国家」ということが、現代日本の様々な問題の背景にあるような気がしてなりません。 (★★★★)

  • 佐伯 泰英: 陰流苗木(かげりゅうなえき)~芋洗河岸(1)~ (光文社文庫)

    佐伯 泰英: 陰流苗木(かげりゅうなえき)~芋洗河岸(1)~ (光文社文庫)
    今回も特別に時代小説を取り上げます。この2つ前の本に佐伯泰英さんの「恋か隠居か 新・酔いどれ小籐次(二十六)」を取り上げ、これは佐伯さんの300冊目の「文庫書き下ろし小説」だと書きました。今回のこの本は、301冊目です。しかも、80歳を越えて、さらに新しいシリーズを始められたのです。美濃を食い詰めた浪人・小此木善治郎が、職なし、金なし、住むあてなしながら、剣の達人にしてとぼけた侍であるものの、なんとも頼りになる存在で、親切な住人や大家によって受け入れられた長屋の秘密と謎の渦に巻き込まれるという設定。これまたおもしろそうなシリーズです。毎月刊行で、全3巻の予定とか。第2巻が待ち遠しい内容です。 (★★★★★)

  • 養老孟司, 鵜飼哲夫: なるようになる。 僕はこんなふうに生きてきた(中央公論新社)

    養老孟司, 鵜飼哲夫: なるようになる。 僕はこんなふうに生きてきた(中央公論新社)
    養老先生の新刊が出たというので早速入手し、ほぼ一気に読み終えました。「はじめての自伝!」といううたい文句で、帯には「虫と猫と、バカの壁。考え続けた86年」ともあります。養老先生は、かなりしつこい性格でいらっしゃるようで、疑問に思ったことは「まぁいいか」などと思わず、考え続けてこられたそうです。その結果が、これまでのユニークな著作に結実しています。それはさておき、考え続けた結果、「なるようになる。」というのが、養老先生の現時点での結論だそうです。「なるようにしかならない」ではなく、「なるようになる。」のです。物事は、はっきりとした目的意識があって進むのではないので、「なるようになる。」なのです。忘れてしまったような些事がその後の人生を動かしてきたかもしれないともあります。なるほどと、この本を読み、養老先生の来し方をいささか知ると、納得できます。というか、納得した気になっているだけかも知れませんが…… (★★★★★)

  • 佐伯 泰英: 恋か隠居か 新・酔いどれ小籐次(二十六) (文春文庫)

    佐伯 泰英: 恋か隠居か 新・酔いどれ小籐次(二十六) (文春文庫)
    佐伯泰英さんは、この本で「文庫書き下ろし小説」というジャンルで300冊刊行を達成されました。佐伯さんの時代小説はすべて読んでいます。まさにストーリー・テラーといえる作家で、実に読み応えのある時代小説をたくさん書いておられます。このシリーズは、いったん完結となったかと思ったのですが、この「恋か隠居か」で復活しました(と理解しています)。隠居を考える小籐次ですが、小籐次親子に挑戦状が届くところから始まる物語。今回も楽しめました。 (★★★★★)

  • 安藤優一郎: 15の街道からよむ日本史 (日経ビジネス人文庫)

    安藤優一郎: 15の街道からよむ日本史 (日経ビジネス人文庫)
    街道歩きを少ししています。三重県内では、東海道のほとんど、伊勢参宮街道、美濃街道・養老街道などを歩きました。もっとあちこちの街道を歩きたいと思っていますが、そのときにこの本が出版されましたので、早速入手して読みました。芭蕉の奥州街道、伊勢参宮街道のお伊勢参り、武士の旅日記などの章をとくに興味深く読みました。主要な街道を取り上げることで読みやすい歴史物語となっています。 (★★★★)

  • 大芦治: 心理学をつくった実験30 (ちくま新書)

    大芦治: 心理学をつくった実験30 (ちくま新書)
    「誰もが一度は耳にしたことがある有名実験の背景・内容・影響を紹介、新たな心理学像を呈示する」と帯にあります。心理学全般に関心を持つ社会人を読者に想定しているといいますが、私には心理学史のテキストとして、あるいは、入門段階の心理学を学んだ方がさらに学習を深める際に読む本としてもよいかも知れません。 私自身も、心理学の教科書を執筆したことが何度かありますが、そこに引用する理論や実験については、いわゆる「孫引き」をしてしまったこともよくありました。この本の著者は、可能な限り原典にあたって執筆していらっしゃり、その意味では参考になったところが多々あります。 ところで、著者は心理学の未来にあまり明るい展望を持てないようです。臨床心理士、公認心理師の資格が人気を集め、心理学部などもたくさん設けられました。私自身の勝手な個人的意見を書けば、資格ができると、レベルは下がると思っています。根拠はありません。個人的な印象によるものです。私は実験心理学でトレーニングを受け、臨床心理の分野に進みました。心理学の基本は実験心理学と個人差測定心理学にあると思っています。学部段階からいきなり臨床心理学プロパーに進むのは、相当よろしくないと思います。臨床実践にあたってはその基礎となる確かな、科学的な学問(知見、理論なども含む)が必要です。また、仮説演繹法などのものの見方もきちんと身に付ける必要があります。これらは実験心理学と個人差測定心理学から養われると思っています。 この本は、基礎的知識がない方がいきなり読むのは難しいでしょうが、科学的心理学を学びたいと思う方にはよい参考書となります。 (★★★★)

  • 磯田 道史: 家康の誤算 「神君の仕組み」の創造と崩壊 (PHP新書)

    磯田 道史: 家康の誤算 「神君の仕組み」の創造と崩壊 (PHP新書)
    磯田先生の書く本はどれもとても面白く読めます。といっても、私が読むのは研究書ではなく、新書だからなのかも知れません。この本は、家康がなぜ幕藩体制を創ることができたのか、江戸時代、誰が神君の仕組みを崩わしたのか、幕末、かくして神君の仕組みは崩壊した、神君の仕組みを破壊した人々が創った近代日本とは、家康から考える日本人というものという5つの章からなっています。家康は天下を取ったあとこの国を支配するのに巧妙な仕掛けをつくり、平和な時代が続いたのですが、誤算が生じて、徳川政権が変質し、崩壊に至ったと著者は考え、そのプロセスを俯瞰しています。いろいろな時点で「神君の仕組み」を骨抜きにする人物や政策が表れたといいます。組織が弱体化する姿を見ておくと、自分たちの劣化を防ぐ力が養われると磯田先生は述べています。徳川時代が現在にあたえている影響も多く、その分析も興味深く読めます。 (★★★★★)

  • 多井 学: 大学教授こそこそ日記

    多井 学: 大学教授こそこそ日記
    文庫本を買いに本屋に行ったら、平積みしてあるのを見つけて思わず買ってしまいました。私もその昔、ご同業だったことがあったからです。帯に「いくらでも手抜きのできる仕事」とありますが、私の経験でもそういう人もそれなりにいました。ちなみに私自身は、こき使われたと思っています。さらに「現役教授が打ち明けるちっとも優雅じゃない生活」とも書かれていますが、これはまさに私の体験と同じ。本に書かれていることがらも、ことごとく納得できます。私は、「そうそう!」といいながら読み終えました。大学教授で儲けている人はごく一部などなど。まぁ大学教授の仕事や生活に興味をお持ちの方は、さほど多くはいらっしゃらないとは思いますが、お暇な方にはどうぞ。 (★★★★)

  • 宮口 幸治: 境界知能の子どもたち 「IQ70以上85未満」の生きづらさ (SB新書)

    宮口 幸治: 境界知能の子どもたち 「IQ70以上85未満」の生きづらさ (SB新書)
    「境界知能」という言葉は、専門家はよく知っていると思いますが、一般のご父兄や、小中学校の先生方にはあまりなじみがないかも知れません。IQという指標でいえば、多くの場合70以上85未満の子どもたちがこれに該当する可能性があります。一見したところでは普通の子どもたちと変わりはなく、なかなか気づかれません。しかし、理論的には約14%の子どもたちが含まれますから、本の帯にあるように「日本人の7人に1人」となります。平均と知的障害のはざまにあり、気づかれにくいものの、授業について行けなかったり、友だちと上手くつきあえなかったり、感情のコントロールが苦手であったりして、当事者の子どもたちは苦戦し、辛い思いをしています。発達障害はよく知られるようになりましたが、境界知能の子どもたちにもしっかり目を向け、必要な支援を提供することは喫緊の課題といえます。この本では、境界知能とはどのような状態なのか、教科学習の前に認知機能を向上することの重要性、子どもの可能性をいかに伸ばしたら良いかについて具体的に、分かりやすく解説されています。 (★★★★)

  • 関裕二: スサノヲの正体(新潮新書)

    関裕二: スサノヲの正体(新潮新書)
    タイトルに惹かれて手に入れたものの、序章の記述が私にとっては退屈でしばらく放っておいたり、読み直そうと思ってくじけたりしていました。しかし、そこを乗り越えるとこの本はとても面白くなり、ほとんど一気読みしました。スサノヲ(素戔嗚尊)の正体を探るプロセスでアマテラス(天照大神)の謎も明らかにされて行き、それもとても興味深いものがあるのです。アマテラスは皇祖神とされますが、実在の初代王と言われる崇神天皇はアマテラスを伊勢に追いやっています。また、伊勢神宮を整備した持統天皇だけは伊勢に参ったものの、それ以降明治になるまで、1,000年以上も歴代天皇は伊勢神宮を訪れていません。明治天皇が東京に遷御したあと武蔵国の鎮守勅祭の社に定めたのは、スサノヲの祀られる氷川神社(現さいたま市)です。明治天皇は氷川神社を訪れた翌年に、伊勢神宮を訪れています。そもそも伊勢にいる神はアマテラスなのかという疑問にも立ち向かっている、古代史や神に関心がある方にはお勧め。 (★★★★★)

  • 安藤 優一郎: 大名屋敷「謎」の生活 (PHP文庫)

    安藤 優一郎: 大名屋敷「謎」の生活 (PHP文庫)
    時代小説をよく読みます。捕物帖、市井の人たちの生活、侍の物語、大名の話などいろいろとあります。庶民の生活については、これまでもいろいろな本でかなり知っていますが、大名の生活については分からないところの方が多いと思っていました。タイトルに惹かれて買ったのですが、大名やその家族の生活が詳しく書かれているのではなく、勤番侍の生活、大名屋敷の庭園、御用達商人や豪農、幕末の動乱と大名屋敷などの話が中心でした。それはそれで知らなかったことが多々あり、興味深く読みました。 (★★★)

  • 服部環ほか: 指導と評価2023年10月号(図書文化社)
    「指導と評価」は、日本教育評価研究会の機関誌であるとともに、日本で数少ない教育評価に関する月刊誌です。この号では、教育・心理検査の意義と活用という特集が組まれています。「教育・心理検査の意義」に始まり、WISC-Ⅴ、KABC-Ⅱなどの個別検査の使い方、解釈の仕方、指導への活かし方がそれぞれの専門の先生によってわかりやすく解説されています。特別支援教育の現場でも、きちんとした心理アセスメント所見に基づいた支援を展開することが望ましいのですが、現場の先生方には敷居が高いようです。ご関心がおありの方には、どのように使えるか、どのように考えたらよいかについて基本的なことがらを理解するのに適しています。出版社のWebサイトからバックナンバーとして購入できます。 (★★★★)
  • 石田 光史, 樋口 広芳(ナツメ社): ぱっと見わけ観察を楽しむ 野鳥図鑑

    石田 光史, 樋口 広芳(ナツメ社): ぱっと見わけ観察を楽しむ 野鳥図鑑
    野鳥図鑑はすでに何冊も持っていますが、この野鳥図鑑は、2015年の刊行で、なぜ今までこの存在に気づかなかったと反省するほど便利そうなもの。掲載されているのは324種ですが、それぞれの特徴や、見わけのポイントがパッとわかるようになっています。その鳥の生活型や生息地、食性や羽色、形態などのほか、雌雄、夏羽冬羽、幼鳥などで特徴が異なる場合は、それらについても説明されています。観察したい行動から、おもしろい生態、探し方までもが載っていますし、鳥の鳴き声が聴けるQRコードも付いています。私自身、野鳥の特定がけっこうアヤシいので、しっかり活用しましょう。 (★★★★★)

  • 千枝大志(風媒社): 街道今昔 三重の街道をゆく (爽BOOKS)

    千枝大志(風媒社): 街道今昔 三重の街道をゆく (爽BOOKS)
    「東海の街道」シリーズの第4巻です。「街道歩きのお供に最適の1冊」といううたい文句。内容は、三重の主な街道、近世三重の城郭図・城下図を読み解く、お伊勢参り小咄、伊勢をめぐる〈参詣〉をデジタル化するの4章構成で、まさに三重の街道歩きの参考書としてよいと思います。私自身も県内の東海道、伊勢街道、美濃街道、濃州街道はほとんど歩き、ほかの街道も部分的に歩いていますし、城もここに載っているところはかなり訪ねています。デジタル化も、ブログに写真・記事を載せていますから、出来不出来はともかく、私も取り組んでいます。県内の街道はさらに歩こうと思っていますし、デジタル化にももっと取り組みたいと考えていますので、十分活用できるでしょう。 (★★★★★)

  • 唐沢孝一: 都会の鳥の生態学 カラス、ツバメ、スズメ、水鳥、猛禽の栄枯盛衰 (中公新書)

    唐沢孝一: 都会の鳥の生態学 カラス、ツバメ、スズメ、水鳥、猛禽の栄枯盛衰 (中公新書)
    都市にもたくさんの野鳥がいることを知る人は少ないかも知れません。私がいつも散歩している地方都市の公園では、これまで10年あまりで70種類近くの野鳥を観察しています。都会は自然の少ない人工的な環境にあふれていますが、野鳥たちはもともとの生態を活かしつつこれらにしたたかに適応してい生きています。この本では、カラス、ツバメ、スズメ、水鳥、猛禽を取り上げ、その都会における生態や、活動の変化、人間と鳥との関係とその変化などについて多くの実例や、調査結果をもとに、豊富な写真を使って楽しく読めるようにまとめられています。 (★★★★★)

  • 堤未果: 堤未果のショック・ドクトリン 政府のやりたい放題から身を守る方法 (幻冬舎新書)

    堤未果: 堤未果のショック・ドクトリン 政府のやりたい放題から身を守る方法 (幻冬舎新書)
    「ショックドクトリン」とは、テロや大災害など、恐怖でこくみんが思考停止している最中に、為政者や巨大資本がどさくさ紛れに過激な政策を推し進める悪魔の手法のことです。アメリカでの3.11以来、日本でも大地震やコロナ禍の裏で知らない間に個人情報や資産が奪われようとしているというのがこの本のテーマ。パンデミックで製薬企業は空前の利益を得、マイナンバーカード普及の先には政府のよからぬ思惑があるなどよくよく注意し、自分の生命・財産を守らないといけないというのが著者の主張。「今だけ、自分だけ、お金だけ」という強欲資本主義に負けないようにするには、ちょっとした違和感を大事にし、お金の流れがその裏にないか、また、それで大もうけして回転ドアをくぐって逃げる輩がいないかをチェックすることです。また、政府が何か、大急ぎで導入しようとしたり、既存の制度を急拡大しようとするときは、要注意だそうです。 (★★★★)

  •  奥山景布子: 葵の残葉 (文春文庫)

    奥山景布子: 葵の残葉 (文春文庫)
    いわゆる「高須四兄弟」である徳川慶勝、松平容保、松平定敬、徳川茂栄は、幕末維新の激動期に、結局のところ官軍と幕府とに分かれて戦う運命になったのですが、この四兄弟を取り上げて埋もれた歴史を活写した小説。私自身は、桑名藩主であった松平定敬が取り上げられているので興味を持って手に取った次第。幕末維新は、次々に色々な出来事が起きて、さまざまな人たちの思惑も複雑に入り組んでいるので、小説にするのは難しいと思っていたのですが、隠れた主人公ともいえる高須四兄弟の視点からとても躍動感のある読み物になっています。また、この時期の歴史をより一層深く理解できたという感想も持っています。 (★★★★)