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2018年12月13日 (木)

20181208伝馬公園遺跡発掘調査説明会に参加して来ました

Img_5470c  このところ、あちこち遊び歩いていて、12月8日(日)の午後行ってきた桑名市内の伝馬公園遺跡発掘調査説明会のことを書いていませんでした。桑名市伝馬町の伝馬公園では市の公共施設整備計画がありますが、市教育委員会が行っている遺跡発掘調査で、江戸時代、桑名城下町に全国6番目に整備された上水道管が初めて敷設状態で見つかりました。12月8日午後2時から現地説明会があるということで、行ってきました。我が家からは、南へほぼまっすぐ。徒歩で1.7㎞、20分あまりで行けますので、歩いて往復。試掘調査は、今年9月からこの12月にかけて行われています。

Img_4973c  伝馬公園は、近世の桑名城下町でいうと、その南西端にあります。16世紀末頃からこの地に所在した浄土真宗の寺院「願証寺」の境内の一部であったと伝わります。願証寺はもとは長島にあり、明応6(1497)年、蓮如上人の子・連淳が入って東海地方の浄土真宗の中心として、門徒10万人余を擁する一大勢力を保っていました。本願寺が織田信長と対立したとき、願証寺も信長に反旗を翻したのですが、天正2(1574)年に信長に滅ぼされました。しかし、江戸時代、桑名に再興し、約1万坪(約33,000平方メートル、野球場3個分くらい)に及ぶ境内を有していましたが、正徳5(1715)年の高田派への宗旨替えで内紛が起こり、廃寺に至ったといいます。伝馬役に従事する人々が多く住んでいたため、それが町名になりました。
20181208setsumeikai 左の画像は、当日配布していただいた説明資料(A4版4ページ)。当日は、Img_5420c 13時半から入場ができ、説明会は14時からで、調査を担当なさった学芸員の方が説明してくださいました。遺跡発掘調査の説明会には、興味はあったものの、今回が初めての参加でしたが、大変面白いものでした。参加者は、思ったよりもたくさん。右の写真は、水道管が発掘された試掘孔(トレンチ)での説明の様子。現地には13時40分頃到着。14時までは自由に見て回って良いということでした。
181208trench 左の画像は、説明会資料からお借りしました。伝馬公園内のトレンチの位置を示した図。今回は、T1-1とT3について説明があったほか、出土品も展示され、説明がありました。T1-1では、町屋御用水の遺構、T3では江戸時代の墓域が見つかっています。T1-2とT2はすでに埋められていました。ここは中世末から近世初頭頃に盛り土したと考えられる整地面が確認できたそうで、この頃以降本格的に土地利用が始まったと考えられます。桑名では、このころ「慶長の町割」が行われていますので、それに関連するかもしれません。
Img_5337c T1-1を北東から眺めた写真。手前の方に東西方向に土管が並んでいま

Img_5349c

す。近世遺物包含層に掘り込まれるように埋められていますから、町屋御用水の遺構と考えられたということです。右の写真は、同じトレンチを東側から見たもの。上水道管は途中で途切れていますが、手前側(東側)には、割れているものを含め5本、向こう側(西側)には3本が、それぞれつながった状態で見つかっています。「久波奈名所図会」には、「願証寺境内に桑名町中の水道を通す」とありますから、それに該当する可能性があるそうです。

Img_5344c 左は、東側部分をクローズアップした写真(写真奥が東側)。手前側の2Img_5353c 本は割れてしまっていますが、奥(東)は3本の水道管が連結された状態になっています。右の写真は、西側部分。こちらには3本がつながっています。
Img_5335c これは、別のところ(新屋敷)から出土した町屋御用水の上水道管。長さImg_5454c 30㎝、外径10㎝、内径5㎝。瓦のように焼かれたものだそうです。
Img_5373c こちらは、T3を東から見た写真です(人骨が写っていますので、ご注意ください)。倒壊した多数の墓石の下に、甕棺や木棺などに埋葬された人骨がたくさん出て来たそうです。副葬品や骨壺、お供えに用いたと思われる陶磁器もたくさん出土しています。試掘範囲では10人以上が埋葬されたと思われるそうです。また、説明会資料によれば、墓石の祈念銘から遅くとも18世紀中頃には墓地として利用され、19世紀以降廃絶したと見られるといいます。願証寺との関連は、現時点では不明。
Img_5367c 左は甕棺。上左の写真では、手前の深い水たまりの向こう側(西)に見えていImg_5365c るものです。右の写真は、この甕棺に向かって右(北)にある人骨(写真をクリックすると拡大しますので、ご注意ください)。人骨は、トレンチに見えている限りで4体ありました。かなり年月を経ているので、もろくなっており、取り出すには慎重な作業が必要だそうです。
Img_5409c T1-1の西側には、T3から出土した墓石などがクリーニングの上、展示さImg_5404c れていました。たとえば、右の墓石には、「宝永八辛卯年 法名釋教西信士 二月廿七日」と刻まれています。宝永8年は1711年(なお、この年4月には正徳に改元されています)。墓石は、説明会の時点で65点(ただし、パーツに分かれていますので、墓が65基ということではありません)。
Img_5400c こちらは、墓碑銘と思われます。野呂さんという、元禄8(1695)年Img_5394c に生まれ、明和元(1764)年に亡くなった医師のもの。これら2点の墓石・墓碑銘は、18世紀初め~半ばのものですから、ここは、上記のように遅くとも18世紀半ばには墓地となっていたことを示しています。
Img_5458c 説明会の受付には、今回の試掘調査で発掘された出土品の一部が展示されていました。左の写真には、地蔵様の頭部、皿、徳利、鍋、植木鉢などがあります。これらはトレンチ2、3から出土したもの。
Img_5455c こちらはトレンチ2からの出土品。横に説明が書かれていました。左上のImg_5456c_2 大きな破片は、すり鉢。右側、上から2列目には天目茶碗とあります。天目茶碗といえば、鑑定団などでも「お宝」として出てくることがあります。
Img_5331c さらにトレンチ3からは、瓦もたくさん出て来たということでした。この試掘調査で得られた遺物は、近世の瓦屋陶磁器が多いものの、中世のものも一定量出土しているといいます。トレンチ2の最深部では、中世末から近世初頭の陶磁器がまとまって出土したそうです。このあたりの土地利用がいつ頃始まったということを考える上で重要な手がかりということです。
Img_5377c 説明会では、試掘調査のプロセスを示す写真も展示されており、興味深Img_5384c く見て来ました。町屋御用水は、複数の絵図が残っていて、江戸時代の通り沿いに埋まっていると考えられていたのですが、現場はそれより約30m南に位置しており、想定外の発見だったといいます。
 以下は、補足説明。
【町屋御用水】
 桑名の土地は、木曽三川(揖斐・長良川、木曽川)の砂が積もってできた低い土地でした。そのため、大雨によって土地が水につかり、井戸水は飲み水に適していませんでしたので、上水道の整備は、桑名藩の大きな願いでした。桑名藩主の松平定行は、桑名藩の水問題を解決するために、寛永3(1626)年に上水道をつくり始めました。これが「町屋御用水」で、それ以降、明治37(1904)年に諸戸水道が完成するまで約280年にわたって使われました。
Img_6371c  町屋御用水の取水口は上野にあり、現在は水を調整するための水門がImg_6536c 残っています。ここから2.5㎞の間は溝を掘った形で地上に水路が見えており、その先は地中に潜っています。吉津屋御門(今の吉津屋町)から町内に入ると水道は地下に潜り、所々に水をくむめの井戸がつくられました。その井戸を「通り井」といいます。人々は、長い竿のついた桶をもって水をく みに来たといいます。左の画像は、「久波奈名所図会」から撮ったもの。下水道工事により見つかっ た「通り井」の場所には右の写真にあるような標識が埋められ、現在でもその場所を知ることができます。これは、旧・東海道筋にある歌行燈(うどん屋)の近くのもの。
【掛樋(かけひ)】
Img_5477c  伝馬公園のすぐ近く、矢田郵便局付近に「掛樋」という地名があります。Img_5478c 交差点の名前にもなっています。これは、当時、御用水が城の惣構え堀をまたぐための水道橋がかけられたことに由来するものです。
【願証寺】
Img_6374c こちらは、「久波奈名所図会」に描かれている願証寺。画面、左上に「願Tenmapark 證寺」と書かれています。顕本寺(日蓮宗)は、現在も日進小学校の北にあります。中央には、「傳馬町通」が通っています。右は、伝馬公園あたりのマップ。赤いラインが旧・東海道。

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