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2011年6月19日 (日)

ダニング・クルーガー効果(Dunning-Kruger effect)

 アメリカの教育サイトで、アメリカの子供たちの学力が、先進国30カ国の中で、数学は25位、科学21位に位置するのに対し、自信は1位にランキングされていたというニュースがありました。その中に引用されていましたので思い出したものが、この“ダニング・クルーガー効果(Dunning-Kruger effect)”であります。

 これは、コーネル大学の2人の研究者の実験による理論として1999年に発表されたもので、「知識の少ない人間が、もっと知識の多い人々より自分の方が物事をよく知っていると思い込む」現象のことです。実験に当たって彼らが立てた仮説は以下の4つで、結果的にそれらがほぼ証明されたのです。

  1. 無能な人々は、自分のスキルのレベルを過大評価する傾向がある。
  2. 無能な人々は、他者が持っているスキルを正しく認識できない。
  3. 無能な人々は、自分の無能さがどれほどのものかを認識できない。
  4. こうした人々も、本質的にスキルが向上するような訓練を施されれば、それまでのスキル不足に気づき、それを認めることができる。

 これ以上は、何も申し上げません。耳が痛い指摘でありますが、経験的に十分以上に首肯できることでもあります。例をあげれば、ある議論が有意義なプロセスや結果につながらず、ただの不毛な言い争いになってしまうのは、もちろん感情レベルで発言し合ってしまうことも原因ですが、往々にして、このダニング-クルーガー効果の影響もあるように思えます。

 やたらと自信満々で、ひたすら他者を言い負かそうとする人ほど、傍から見ると無知に見えることがないでしょうか? もしかして、どなたかを想像されましたか? たぶん小生と同じ、あの方をご想像になったのではないかと、勝手に拝察致します(爆)。

 誰にでも自分が知らないことはあります。それもたくさんあります。また、1つを知ると、別に知らないことがあるのにも気づきます。何かを知らないこと自体は、決して悪いことではありません。むしろ、そういう、“知らないことを知らない”ということを自覚することが大切なのです。その意味では、謙虚になる必要もあるのでしょう。それと、たとえばリーダーシップがあるとか、決断力があるということとは、別なのです。

 はい、今日は、ここまでにします。

                                                    
Kruger, J. & Dunning, D.  (1999): Unskilled and Unaware of It: How Difficulties in Recognizing One's Own Incompetence Lead to Inflated Self-Assessments. Journal of Personality and Social Psychology, 77 (6), 1121-1234.

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